○地域住民が主体となって史跡をまちづくり資源として活用し、地域を盛り上げている事例として注目される。
五斗長垣内遺跡
五斗長垣内遺跡
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<史跡等の基本情報>
管理団体等
計画書作成 保存管理計画 -
整備・活用基本計画 平成 24 年3月 31 日
管理体制
整備担当部署 淡路市教育委員会社会教育課 維持・管理担当部署 淡路市教育委員会社会教育課 維持・管理の実施主体 自治体職員が直接管理
<保存・整備活用計画>
◇五⽃⻑垣内遺跡整備活用構想(平成 22 年 12 月、淡路市)
・「①調査研究の拠点として活用」「②地域のシンボルとして活用」「③交流の舞台として活用」の3つの方針を五 斗長垣内遺跡の保存活用の基本方針として設定する。
・付帯的な取組として、五斗長垣内遺跡を日本の「ものづくり」の原点に触れることができる遺跡として、地域 の歴史・地域の活力のシンボル・交流の舞台と位置づけ、弥生時代の鉄器を中心とした「ものづくり」の解明・
体験を通して、淡路市のまちづくりの拠点の1つと位置づける。
<整備事業>
◇五⽃⻑垣内遺跡史跡整備⼯事(平成 25 年度に着⼿)
・同遺跡は圃場整備に伴い、平成 19~20 年度に市教委が発掘調査し、弥生時代後期の国内最大級の鉄器工房跡 が確認された。市は史跡公園への整備を決めて土地 2.3ha を買収。5年計画で鉄器工房(4基)の復元と植栽、
園路が整備される。
◇五⽃⻑垣内遺跡活用拠点施設
・活用拠点施設は、鉄筋平屋建て(262 ㎡)で、多目的室、会議室、事務室、休憩スペースが設けられている。
休憩スペースには喫茶コーナーを併設し、五斗長まちづくり協議会女性部が地元の農産物を使い、遺跡にち なんだ名物料理や土産物を開発し、観光客をもてなしている。
また、鉄器や勾玉作りの体験イベント、祭りなども企画している。
<活用>
◇五⽃⻑まちづくり協議会や㈱五⽃⻑営農の取組
○五斗長ひまわりまつりと五斗長垣内遺跡収穫祭
・毎年7月下旬に開催。勾玉づくりや弥生時代の鉄器づくり体験のほか、地元五斗長地 区の特産品の販売・勾玉作り体験・弥生時代の鉄 器つくり体験・そうめん流し・
もちまき・たまねぎ踊り等のイベントが行われる。また、古代米の収穫時期に合わせ た「収穫祭」も開催し、地域で収穫された新鮮な農作物の販売なども行う。
○住民学習会の開催
・住民学習会を開催し、住民自ら遺跡についての知識を習得し、誰もが案内役を務め、
住民の笑顔や温かいおもてなしの心で見学者を迎え入れる地域を目指している。
○花いっぱいイベント
・遺跡周辺の農地に、四季折々の花を栽培し、来訪者への憩いを提供するとともに、そ の花を利用した遺構表示を行う。
○地元で採れた野菜や古代米を使った「お焼き」の商品化(女性部、市地域おこし協力隊)
・遺跡活用拠点施設内に平成 26 年3月開業のカフェで提供する。カフェでは五斗長地 区住民でつくる営農組織の生産物を活用している。
◇シンポジウムの開催
○五斗長垣内遺跡シンポジウム(平成 24 年3月開催)他
・五斗長垣内遺跡の国指定の前後に各種シンポジウム等を開催し、市民等への普及・啓発に努めている。
・兵庫県では、学識者と「古代鉄器集落の実態」を解明する調査研究プロジェクトを実施しており、淡路市・地 域住民と連携して、遺跡を「地域のシンボル」として活用する先行ソフト事業を実施。その取組の成果総括と ともに地域の歴史や遺跡を活かした地域づくりのあり方について県民と共有するシンポジウムを開催した。
2 保存・管理、整備・活用の状況
弥生鍛治体験
「お焼き」の商品化
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3 課題克服のポイント
課題:人口減少の進む過疎地であり、人の集う地域づくりや観光の拠点として機能できるように土地・施設の 整備や地域住民全体の協力によるソフトの充実を図ることが必要であった。
五斗長垣内遺跡は、平成 16 年の台風被害からの復旧事業として 計画された、圃場整備事業に伴う発掘調査で発見された。遺跡の 歴史的価値はもとより、地域住民が抱く遺跡に対する多様な価 値や期待感をいかに共有できるのかが課題となった。そこで、住 民説明会や工事関係者との調整において遺跡の価値や重要性を 説明するとともに、地域づくりに対する活用策をともに考える ことができる場を持った。さらに、本格的な発掘調査後の、平成 22 年より「五斗長垣内遺跡整備活用構想」の検討が進められる 中、市民参加のシンポジウムの開催など、住民が遺跡への理解を 深められる機会を数多く持つことに務めた。住民に対して遺跡 の価値や整備・活用についてともに考える機会を持つことがで きたことで、住民からの理解を得ることに成功し、平成 24 年度 には史跡の公有化が終了している。その後も、地域住民と協力し て、学校教育の場での活用や(地元小学生の古代米の栽培・刈取 り体験、子ども教室の鍛冶体験)、生涯学習の場での活用(弥生 時代の鉄器づくりを学ぶ会、竪穴建物復元)など、様々な活用事 業を展開している。
五斗長垣内遺跡史跡整備基本計画において、「活動ゾーン」、「体 感ゾーン」、「展望ゾーン」「エントランスゾーン」の4つにゾー ニングし、体験学習やイベントを実施できる芝生広場など、目 的・用途ごとに整備を進めている。また、これらゾーンを取り巻 く周辺地区においても、カフェで提供する古代米や農産物栽培、
豊かな環境を活かした自然観察会など、遺跡と連携した取組が 行われている。さらに、まちづくり協議会が主体となり、多目的 室、会議室、事務室、休憩スペースを併設した五斗長垣内遺跡 活用拠点施設が、地域再生を支援する県の補助を受けて平成 24 年に建てられるなど、住民主体による史跡の活用が行われてい る。この活用拠点施設では平成 26 年 10 月に入館者数1万人を 達成。記念セレモニーが行われた。
遺跡の価値や重要性を住民と共有することにより、史跡の整備・保存にあたって必要な土台作りと、
住民の参加による活用環境の構築に成功している。
マネジメントのポイント①
特に地域づくりにおける地域全体での取組による保存・活用
目的・用途ごとに史跡をゾーニングし、地域づくりや観光の拠点として空間づくりを進めるととも に、その中心となる遺跡活用拠点施設が、2年で入館者数 1 万人を達成した。
現地見学会の様子
五斗長垣内遺跡活用拠点施設 復元された竪穴式住居
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五斗長垣内遺跡活用拠点施設は、遺跡を核とした地域づくりに取組む「五斗長 まちづくり協議会」によって、遺跡活用拠点として利用されている。「五斗長 まちづくり協議会」は平成 16 年の台風 23 号を契機に安心して安全に暮らせ るまちづくりを目指し、平成 17 年5月に地域住民を中心に設立された組織で ある。以来、協議会に各種団体が参画し、地域のイベントや行事を開催して いる。さらに、主幹産業である農業を将来的に持続させていくために、地域 全体が協力し合って農業を進める体制づくりが必要だとして、地域住民一人 一人が一つの会社の一員として農業に携わるという考えのもと、「株式会社五 斗長営農」を設立。集落営農をスタートさせている。地域住民が主体となっ て様々な事業に取組むための環境が整備されている。
本協議会では、住民が遺跡に関する知識を得て案内役として観光客 を出迎えられるよう、住民学習会を開催してきた。また、「ごっさひ まわりまつり」や「五斗長垣内遺跡収穫祭」といったイベントでは、
鉄器づくり体験や遺跡関連ブースの設置、地元農作物の販売を行う など、来訪者をもてなす工夫を継続的に行っている。また、本協議 会女性部が運営するカフェ「まるごキッチン」が平成 26 年 3 月に オープンし、五斗長の野菜や古代米を用いた料理を提供している。
カフェが雑誌に取り上げられたことを受け、史跡の知名度も向上し ている。市民の積極的な活動が展開されており、既存のハード(史 跡・公園)にとどまらず、あらゆるソフト事業を生み出し続けてい る。
平成 21 年からは地元の小学生を対象に、株式会社五斗長営農が栽培した古代米を利用し、まちづくり協議会 の協力を得て、石包丁を使った古代米収穫体験を行っている。さらに、「弥生人の暮らし体験」として石包丁 で収穫した古代米を、復元土器で炊飯するなど、教育面での史跡の活用にも地域と協働で取組んでいる。
活性化に取組む周辺地域の文化遺産を結んで実施してきた、淡路市教育委員会主催のウォーキングイベント
「歴史ウォーク」には、島内外から約 150 人が参加している。淡路市教育委員会の職員によるガイドのもと、
文化財の見学だけではなく、地域住民との交流や特産品の振る舞いなどが行われている。ほかにも、兵庫県 教育委員会や株式会社五斗長営農などとの連携によって文化遺産を通じた島外との交流を行う「歴史文化遺 産ライドアンドウォーク」では、市内だけでなく、市外周辺地域とも連携し、バスとウォーキングで島内を 回るなど、歴史文化遺産の広域な活用手法が開発され、実践されている。
また、平成 25 年度より実施している「五斗長ウォーキングミュージアム」では、淡路島の自然を素材として、
芸術的な視点でその良さを生かした地域の歩行ルート(フットパス)を整備し、古道を再生するアートプロ ジェクトをNPO法人淡路島アートセンターが開催。五斗長垣内遺跡をはじめとする地域資源を島内外に発 信している。
島内外から参加者が集まるイベントでは、文化財の見学のみならず地域住民との交流や特産品の提 供を行い、文化財を核とした地域の魅力を多様な手段で島外にも発信している。
まるごキッチン 大学生視察の様子 五斗長収穫祭チラシ まちづくり協議会や集落営農に取組むために設立された株式会社など、住民が中心となって史跡の 活用を盛り立てており、住民による地域のアイデンティティの形成や活性化につながっている。
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