○いかにして史跡の整備後の活用と管理を図るかといった課題に対し、全国に先駆けて、整備段階から「市民参 加」を呼び掛けた取組を実施している。
○これら取組を通じて、行政と連携したボランティア組織が、史跡の保存・管理・運営に深く携わっており、市 民団体やボランティア団体による遺構整備・活用が行われている優良事例であると言える。
地蔵田遺跡(復元された竪穴住居) 復元された竪穴住居・木柵
地蔵田遺跡
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2 保存・管理、整備・活用の状況
<史跡等の基本情報>
管理団体等 -
計画書作成
保存管理計画 -
整備・活用基本計画 整備基本構想「地蔵田遺跡手づくり整備プラン」:平成 11 年度 史跡地蔵田遺跡活用実施計画ガイドライン:平成 15 年9月
管理体制
整備担当部署 教育委員会文化振興室文化財担当 維持・管理担当部署 教育委員会文化振興室文化財担当 維持・管理の実施主体 自治体職員が直接管理
<保存・整備活用計画>
◇「整備基本構想:地蔵田遺跡⼿づくり整備プラン(平成 11 年度、秋田市教育委員会)
・整備事業に係る多くの行程を可能な限り学校の児童や生徒、市民の手によって作り上げることを、史跡の整備・
活用の構想に位置づけた。
・竪穴住居建設、四阿設計、案内板制作、土器づくり、弥生の森復元のスタッフ、全体計画やPR・行動手法の 検討に携わるスタッフによる「地蔵田遺跡保存活用運営委員会」を設立する。
・史跡の愛称「御所野 弥生っこ村」は市の広報誌「広報あきた」で公募し、運営委員会で選考した。
◇「史跡地蔵田遺跡整備活用実施計画ガイドライン-市⺠と⽣徒による⼿づくり“弥⽣っこ村”-(平成 15 年9 月、秋田市教育委員会)」
・平成 11 年度に策定した基本構想を実現していくためのより具体的な実施計画として、整備着手から3年目の 平成 15 年度に、「史跡地蔵田遺跡整備活用実施計画ガイドライン-市民と生徒による手づくり“弥生っこ村”
-」を策定。これにより、市民参加型整備の進め方、整備後の姿などを具体的に提示するとともに、行政と市 民との関わり方の基本を定めた。
<整備事業>
◇「史跡地蔵田遺跡環境整備事業」
・市民の郷土学習の場として活用するために、整備中の段階から市民と生徒が主体的に様々な作業に携わる「市 民参加型」をコンセプトに事業を実施。平成 13 年度から現在まで、約 3,000 人が参加して、以下の事業を実 施。
○愛称の選定(愛称「御所野 弥生っこ村」の選定)
○デザイン協力(誘導板、工事案内板、イメージキャラクター)
○「弥生っこ会」による林間道づくり、ベンチづくり、植生の復元
○竪穴住居の手づくり復元、木柵の復元
○「土器どきっこ会」による土器棺の復元
○地蔵田遺跡出土品展示施設(平成 25 年4月 27 日に開館。遺跡から出土した土器 や石器などの貴重な出土品を展示し、パネルや映像などで解説)
<活用>
◇「弥⽣っこ村⺠会」
・ボランティア団体「弥生っこ村民会」は、3つの部会で構成され、弥生っこ会は、弥 生っこ村の維持管理を中心に活動し、木柵の復元などの体験教室で指導、土器どきっ こ会は地蔵田遺跡の特徴である弥生土器の復元や、土器づくり教室などの指導を行 い、ボランティアガイドの会は弥生っこ村の案内を行っており、土・日・休日の来村 者や小中学校等の社会科見学、一般の団体見学時に説明を行っている。
◇イベントや学習講座の開催
○復元体験・弥生体験講座:復元中から学習の場として活用するために、復元体験イベ ントや弥生時代の生活と関連した体験講座や弥生っこ村まつり等の開催
◇情報発信
○地蔵田遺跡「弥生っこ村」のリーフレット等の作成・配布
○ホームページやパンフレット等で、「弥生っこ村」での活動紹介・報告や地蔵田遺跡 に関する特集を紹介する、「弥生っこ村」通信の発信
地蔵田遺跡出土品展示施設
ボランティアガイドの会の活動 弥生っこ会の活動
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3 課題克服のポイント
課題:国史跡に指定されて以来、地域住民をはじめ、市内部からも早期に環境整備に着手し、できるだけ早い 時期に市民に公開しなければならないという気運が高まる一方で、整備後の活用と管理をいかに図るか が危惧された。
史跡の整備後の活用や維持管理を検討した結果、行政側が復元整備 したものを市民が活用するような、従来の行政主導型整備ではなく、
整備事業の大部分に市民が体験学習として参加し、整備の担い手を 育てる市民参加型整備がコンセプトに位置づけられた。さらには、
将来的に参加者が中心となるボランティアを組織し、整備後の管理 に参加してもらう構図までを見据えて整備を進めた。
平成 20 年度までに3軒の竪穴住居、木柵、土壙墓、土器棺墓等が 市民の手によって復元されている。竪穴住居の復元にあたっては、
現地見学会や竪穴住居復元ボランティアスタッフ養成講座を必要 に応じて開催し、市民にノウハウを学んでもらうことで、円滑に復 元作業に着手できるよう、工夫を行った。市民と協働で整備した史 跡は「弥生っこ村」という愛称がつけられ、イベント等の開催など が行われており、市民の憩いの場としても機能している。
さらに教育面でも、平成 12 年に開校した、史跡に隣接する中高一 貫校の秋田市立御所野学院中・高等学校の生徒を中心に、市内の生 徒と市民が一体となって集落の復元を行い、生きた郷土学習の教材 として史跡を活用しながら史跡公園の整備を行った。
また、市民参加型の整備をコンセプトとしていることから、体験学 習教室を開催しながら市民・生徒による手づくりの木柵・土器棺 墓・土壙墓等復元作業を進めた。
また、市民が主体となって官・民協働で行う史跡整備を主な目的として整備を進めているが、事業の性質上、
すべてが市民主体で実施するには限界があるため、事業推進のためのガイドラインを策定し、市民による「手 づくり整備」と、施設の建設などの「その他の整備」に大別して、相互に協力関係を維持しながら事業の実 施を図っている。具体的には、「史跡地蔵田遺跡環境整備指導委員会」と秋田市教育委員会が「その他の整備」
を行うほか、「手づくり整備」をサポートする。また、ボランティア団体「弥生っこ村民会」は「その他の整 備」に意見・要望を提出する形で参画している。月に1度、市民と行政関係者が集まり、整備事業やイベン トの開催等に関して意見交換をする機会も設けられており、お互いの活動内容に透明性を確保するほか、継 続的に市民に関わってもらう環境の構築につながっている。
史跡の整備や活用に、市民団体、ボランティアが積極的に参加 マネジメントのポイント①
史跡の整備に市民が参加したことで、復元整備後の史跡に市民が愛着を持つことにつながり、当地 は憩いの場として機能することになった。
木柵復元風景
竪穴住居復元風景
今後の活用・運営方法について、市民からの意見や助言を定期的に集める場を設置することで、市 民と連携した施設整備・運営がなされるなど、継続的な市民の関わりを実現している。
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市民が史跡に愛着を持ち、継続的に環境づくりに関わる仕組みを作るため、市は当初市民公募にてボランティ アを募集した。一般市民をはじめ、以前より他の史跡等でボランティアをしていた住民等が中心に集まり、ボ ランティア組織が構築され、平成 26 年度時点で約 30 名程度が在籍している。
市民や生徒との協働による手作り史跡環境整備においては、竪穴住居の復元や、ベンチや林間道づくりなどの 作業に多くの市民が関わり、平成 13 年度から現在まで約 3,000 人が参加している。また、市民が協働作業に 関与する中で、「自分たちが史跡を作り上げている」という実感を得ることにつながっている。これらの取組 を踏まえて、市民組織「弥生っこ村民会」が設立され、史跡公園づくりのみにとどまらず、保全や補修、史跡 の解説等に活動内容が発展している。市民がボランティアとして史跡に関わることで、史跡の認知度も上がり、
市民の財産として愛着も高まって深まっている。
なお、ボランティア団体「弥生っこ村民会」は次の部会で構成されている。①弥生っこ会(弥生っこ村の維持 管理を中心に活動し、木柵の復元などの体験教室で指導を行う。)、②土器どきっこ会(地蔵田遺跡の特徴であ る弥生土器の復元や、土器づくり教室などの指導を行う。)、③ボランティアガイドの会(弥生っこ村の案内を 行っており、土・日・休日の来村者や小中学校等の社会科見学、一般の団体見学時に説明を行う。)
弥生っこ村では、弥生っこ村民会を中心に毎年「弥生っこ村まつり」を開催し ている。もちつきや弥生っこ村まつり音頭、軽食販売のほか、火おこし、勾玉 作りなどの弥生体験コーナーが催され、地域住民が史跡に親しむ機会を提供し ている。平成 23 年度には御所野学院高等学校の生徒が授業の中で制作した貫頭 衣の発表会を行うなど、教育との連携も積極的になされている。
秋田市は「弥生っこ村」に関する出来事を随時ホームページで公開しているほ か、パンフレット「弥生っこ村通信」を発行し、史跡に関わる市民の活動を中 心に発信している。また、市民に「弥生っこ村」のイメージキャラクターの名 前を公募するなど、市民と連携した史跡のPRにも努めている。
平成 25 年4月には、遺跡から出土した土器や石器などの貴重な出土品を展示し、
パネルや映像などで詳しく解説する「地蔵田遺跡出土品展示施設」がオープン した。施設内では、御所野台地全体の遺跡群の紹介を行うほか、弥生っこ村で 活躍するボランティア「弥生っこ村民会」の活動を紹介するコーナーも開設さ れている。
「弥生っこ村」通信 ボランティアガイドの会の活動 市民公募のボランティアや市民組織を設立し、様々な活動を推進したことで、史跡の認知度も向上 し、市民の財産として愛着も高まっている。
整備のみにとどまらず、イベント企画等史跡の活用においても行政と市民が活発に連携すること で、地域住民が史跡に親しむ機会を提供している。
弥生っこ会の活動 土器どきっこ会の活動
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