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震度曝露人口に基づく影響規模指数

3. 供給系ライフラインを対象とした地震時機能的被害・復旧予測手法の開発

3.4. 国内で近年発生した地震による被災事例の収集・整理と震災規模の違いを考慮した予測モ

3.4.7. 震度曝露人口に基づく影響規模指数

3.4.4で述べたように,震災規模の違いがライフライン施設の初期被害の総量および被害に伴う緊 急対応や復旧作業量の多寡につながるため,復旧所要期間の長短に大きな影響を及ぼすと考えられ る.震災規模の違いを指標化するにあたり震度曝露人口を用いることとした.ライフライン施設の集 積規模と人口の集積規模は高い相関関係にあり,地震によるライフライン施設への影響規模と曝露 人口規模にも,同様に相関関係があるとみなせると考えられるためである.また,予測モデルの入力 情報として既に震度曝露人口を利用しているという利便性の高さが挙げられる.

震度曝露人口(PEX; Population Exposure to seismic intensity) 9)とは,「所定の震度レベルに曝される人 数」と定義される.評価対象地震における震度6弱以上の震度曝露人口を図 3.23に示す.震度6弱 以上,同6強以上,同7の曝露人口は,それぞれ18~631万人,0~170万人,0~51万人である.

1995年兵庫を基準として評価対象地震における震度6弱以上,同6強以上,同7の震度曝露人口を 比較すると,それぞれ0.051~1.78倍,0.00~1.03倍,0.00~0.13倍である.また,図 3.16と図 3.23 とを比較すると,各ライフラインとも震度6弱以上もしくは同6強以上に着目した場合に,両者の概 形が類似しており,供給支障人口と震度曝露人口の多寡の順序に対応関係がみられる.

(a) 震度曝露人口(文献33)に加筆)

(b) 所定の震度以上となる比率(評価対象地震/兵庫県南部地震)

1995:兵庫県南部地震,2004:新潟県中越地震,2007:新潟県中越沖地震,

2011:東北地方太平洋沖地震,2016:熊本地震,2018:大阪府北部の地震 図 3.23 震度階別の震度曝露人口の地震間比較

0 100 200 300 400 500 600 700

1995 2004 2007 2011 2016 2018

震度曝露人口(万人)

震度6 震度6 震度7

0.124

0.051

1.780

0.318

0.219

0.100 0.066

1.033

0.410

0.000

0.052 0.000

0.126 0.052 0.000

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

2004 2007 2011 2016 2018

倍率(対象地震/兵庫県南部地震 震度曝露)

震度6弱以上 震度6強以上 震度7

72

震度階が高くなるにつれてライフラインの支障に及ぼす影響が大きくなると思われるため,震度 階に応じた寄与度に相当する指標を考えることにした.また予測モデルでは,1995年兵庫の被災事例 を基本モデルとしていることから,既往地震および想定地震の双方の事例に適用するためにも1995 年兵庫を基準として正規化する.

そこで,各震度階の曝露人口PEXiについて震度階に応じた供給系ライフラインへの影響の大きさwi

(震度6弱,震度6強以上の各震度階が対象.i=1, 2は,これらの震度階に対応した添字)で重み付け した震度曝露指数IEXjとwiの制約条件をそれぞれ式(3.9),(3.10)で表す.また震度曝露指数IEX0に対す る震度曝露指数IEXjの比(影響規模指数と表記)rjを式(3.11)に示すように定義する.

(3.9) (3.10)

0 j j

r IEX IEX

 

  

 

,0 (3.11)

ここで,jは任意の評価対象地震を表し,1995年兵庫についてはj=0とする.λは,影響規模を調整する

パラメータである.

式(3.10)のwiと式(3.11)のλの推定にあたっては,

Rr

2を目的関数として,制約条件付きの非線形 最適化手法であるL-BFGS-B法による最小二乗法を適用した.ただし,都市ガス停止については,評 価システム改良の対象外とした.その理由は,初期被害の推定値と実測値が整合しておらず,復旧所 要期間を調整しても推定精度向上にはつながらないと判断したことに加え,式(3.9)~(3.11)の制約条 件を満たすwiとλが得られなかったためである.また,推定式の適合度を把握するためにRMS(二乗 平均平方根)誤差で評価した.表3.3にモデル係数の一覧およびRMS誤差を示す.

停電におけるwは震度6弱と同6強以上の比率がおおよそ3:7である.後述する断水と比べると,震度 6弱の影響度合いが大きい.断水におけるwは,震度6強以上の影響が支配的である.RMS誤差は,停 電が0.322,断水が0.255である.

各ライフラインのIEXを図3.24に示し,rの結果を図3.25に示す.2011年東北のrが1.03~1.38倍とな る以外は,1995年兵庫の規模を下回る.震災規模は,一部の例外を除いて,いずれも大きい順に2016 年熊本,2004年中越,2018年大阪,2007年中越沖である.

表 3.3 ライフライン別のモデル係数

w1 w2 λ RMS誤差

停電 0.317 0.683 0.773 0.322

断水 0.015 0.985 0.511 0.255

2

1

( )

j i i

i

IEX w PEX

1 2 1

ww

73

図 3.24 各地震の震度曝露指数IEX(評価対象地震/1995年兵庫県南部地震)

図 3.25 影響規模指数r

1995:兵庫県南部地震,2004:新潟県中越地震,2007:新潟県中越沖地震,

2011:東北地方太平洋沖地震,2016:熊本地震,2018:大阪府北部の地震

172.8 

20.0 

9.7 

262.5 

60.5 

24.7  165.3 

16.6  10.8 

174.7 

67.2 

0 1.2  50 100 150 200 250 300

1995 2004 2007 2011 2016 2018

震度曝露指数IEX()

停電(w1=0.317,w2=0.683) 断水(w1=0.015,w2=0.985)

1.000

0.189

0.108

1.382

0.444

0.222 1.000 

0.309 

0.248 

1.029 

0.632 

0.080  0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

1995 2004 2007 2011 2016 2018

影響規模指数r (対象/兵庫県南部地)

停電 断水

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