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地震災害におけるライフラインの機能的被害・復旧予測手法の開発

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Title

地震災害におけるライフラインの機能的被害・復旧予測手

法の開発( 本文(Fulltext) )

Author(s)

加藤, 宏紀

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 工博甲第566号

Issue Date

2020-03-25

Type

博士論文

Version

ETD

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/79333

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

学位論文

地震災害におけるライフラインの

機能的被害・復旧予測手法の開発

Development of Assessment Method

for Post-Earthquake Serviceability of Lifeline Systems

生産開発システム工学専攻

加藤 宏紀

(3)

i

目次

1. 序論 ... 1 1.1. 研究の背景 ... 1 1.1.1. 研究を取り巻く社会情勢 ... 1 1.1.2. 学術研究の動向 ... 3 1.1.3. 国内における主要な地震とライフライン被害による教訓 ... 6 1.2. 本研究に関連する既往研究 ... 9 1.2.1. 供給系ライフラインを対象とした被害・復旧予測に関する研究 ... 9 1.2.2. 交通系ライフラインを対象とした被害・復旧予測に関する研究 ... 11 1.2.3. ライフラインの地震後の情報ニーズに関する研究 ... 12 1.3. 論点の整理と本研究の目的・意義 ... 13 1.4. 本研究の構成と概要 ... 16 補注 ... 18 参考文献 ... 19 2. 新聞報道を対象としたテキストマイニングによる災害時情報ニーズの把握 ... 25 2.1. 概説 ... 25 2.2. 2016 年熊本地震における供給系ライフラインの機能的被害・復旧過程 ... 26 2.2.1. 供給系ライフラインの初期被害・復旧過程6) ... 26 2.2.2. 供給系ライフラインの復旧曲線6) ... 27 2.3. 使用した新聞報道のデータおよびテキストマイニングのツール ... 28 2.4. 地方紙と全国紙を対象としたライフライン関連記事の基礎的な分析 ... 30 2.4.1. 記事群全体を対象とした頻出語の集計 ... 30 2.4.2. ライフラインに関する頻出語の時系列推移 ... 31 2.4.3. 自己組織化マップによる記事群の概要の把握 ... 31 2.5. ライフラインに関連する主題に言及した記事数・出現率および主題と関連語の時系列推移 33 2.5.1. ライフラインに関する主題の記事数とその出現率の推移 ... 33 2.5.2. 供給系ライフラインに関する主題の記事数と停止率の比較 ... 35 2.5.3. 供給系ライフラインに関する主題と関連語の推移 ... 36 2.6. まとめ ... 41 補注 ... 41 参考文献 ... 42 3. 供給系ライフラインを対象とした地震時機能的被害・復旧予測手法の開発 ... 44 3.1. 概説 ... 44 3.2. 供給系ライフラインの地震時機能被害・復旧予測モデル(基本モデル・従来モデル)の概 要1), 2) ... 46 3.2.1. 予測モデル(基本モデル)の概要 ... 46

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ii 3.2.2. 予測モデルの改良方法(従来モデル)2), 10) ... 49 3.3. 2011 年東北地方太平洋沖地震と関連する主要地震を対象とした予測モデルの検証2) .... 53 3.3.1. 対象地震とそれらの震度曝露人口 ... 53 3.3.2. 供給支障人口の解消過程の評価結果 ... 54 3.4. 国内で近年発生した地震による被災事例の収集・整理と震災規模の違いを考慮した予測モ デルの改良3) ... 60 3.4.1. 評価対象地震と使用データ ... 60 3.4.2. 都市ガスの耐震化状況に関する情報の更新 ... 62 3.4.3. 供給系ライフラインの機能的被害・復旧過程の地震間比較 ... 63 3.4.4. 供給支障人口の推定値と実測値の比較 ... 66 3.4.5. 予測モデルの改良に向けた方針 ... 69 3.4.6. 供給支障人口の解消過程の累積値の比率 ... 69 3.4.7. 震度曝露人口に基づく影響規模指数 ... 71 3.4.8. 供給支障人口の累積値の比率と影響規模指数との関係 ... 74 3.4.9. 影響規模指数に基づく予測モデルの改良 ... 74 3.5. 予測モデルを簡便に利用するためのシステム化6) ... 77 3.5.1. 市区町村別集計による簡易評価 ... 77 3.5.2. ライフライン供給人口およびモデルパラメータの市区町村別集計 ... 77 3.5.3. 市区町村別簡易評価法のシステム実装 ... 79 3.5.4. 想定地震(南海トラフ巨大地震:基本ケース)による供給支障人口・供給率の面的な推 計事例 ... 81 3.5.5. ライフライン供給支障人口の評価結果の応用例 ... 85 3.6. 全地震活動モデルを用いた供給系ライフラインの途絶リスク評価7) ... 89 3.6.1. 使用したデータと処理方法 ... 89 3.6.2. P-PEX 関係による地震リスク評価 ... 91 3.6.3. リスクカーブによる地震リスク評価 ... 92 3.6.4. 供給系ライフラインの途絶リスク評価 ... 93 3.7. まとめ ... 96 参考文献 ... 99 4. 高速道路網の自動車交通量を用いた時空間分析とネットワーク指標に基づいた震災間比較 .. 103 4.1. 概説 ... 103 4.2. 1995 年兵庫県南部地震の発生に伴う自動車交通量の時系列推移20) ... 104 4.2.1. 対象路線と用いたデータ ... 104 4.2.2. 自動車交通量の長期的推移 ... 105 4.3. 2011 年東北地方太平洋沖地震の発生に伴う自動車交通量の時系列推移21) ... 109 4.3.1. 対象路線と用いたデータ ... 109 4.3.2. 地震被害と交通規制の状況 ... 110 4.3.3. 交通規制に伴う自動車交通量の短期的推移 ... 110 4.3.4. 自動車交通量の長期的推移 ... 113

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iii 4.3.5. 大型車混入率の推移 ... 114 4.3.6. 日平均走行速度に関する考察 ... 116 4.4. 2016 年熊本地震の発生に伴う自動車交通量の時系列推移22) ... 118 4.4.1. 対象路線と使用データ ... 118 4.4.2. 地震による道路被害と交通規制延長・復旧状況 ... 119 4.4.3. 九州自動車道と大分自動車道における交通量の推移 ... 120 4.4.4. 九州自動車道と大分自動車道のIC 区間における交通量の推移 ... 123 4.4.5. 日平均走行速度に関する考察 ... 125 4.5. ネットワーク施設指標と機能指標による震災間比較 ... 127 4.5.1. ネットワーク施設指標と機能指標20) ... 127 4.5.2. 1995 年兵庫県南部地震を対象とした評価結果21) ... 127 4.5.3. 2011 年東北地方太平洋沖地震を対象とした評価結果21) ... 127 4.5.4. 2016 年熊本地震を対象とした評価結果22) ... 128 4.5.5. 事例間比較 ... 128 4.6. まとめ ... 130 参考文献 ... 132 5. 高速道路を対象とした地震時機能的フラジリティ関数の構築と震災間比較 ... 135 5.1. 概説 ... 135 5.2. 使用データと高速道路の通行規制状況の収集・整理 ... 136 5.2.1. 評価対象地震と使用データ ... 136 5.2.2. 各地震における高速道路の通行規制状況 ... 138 5.3. 通行止め状況と計測震度との関係の分析 ... 139 5.3.1. 通行止めの有無と計測震度との関係 ... 139 5.3.2. 通行止め発生確率とそのモデル化 ... 141 5.3.3. 機能的フラジリティ関数の震災間比較 ... 144 5.4. まとめ ... 145 参考文献 ... 146 6. 鉄道の運休状況に関する分析と運休期間予測モデルの構築に向けた基礎的な検討 ... 148 6.1. 概説 ... 148 6.2. 鉄道の運休状況と震度分布との関係 ... 149 6.2.1. 鉄道の運休状況に関するデータ収集・整理 ... 149 6.2.2. 各地震における鉄道の運転規制状況 ... 149 6.2.3. 運休の有無と震度との関係 ... 153 6.2.4. 運休期間と震度との関係 ... 158 6.3. 地震時の鉄道運休に関する確率・統計的分析 ... 161 6.3.1. 運休発生確率に関する分析(第1 段階) ... 161 6.3.2. 鉄道と高速道路の機能的フラジリティ関数の比較1)... 163 6.3.3. 運休期間に関する分析(第2 段階) ... 165 6.3.4. 運行可能率曲線の試算 ... 167

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iv 6.4. まとめ ... 168 参考文献 ... 168 7. 結論 ... 172 参考文献 ... 174 謝辞 ... 175

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1

1. 序論

1.1. 研究の背景

1.1.1. 研究を取り巻く社会情勢 国内ではライフラインの被害を伴う地震が多発している.特に,1995 年兵庫県南部地震以降,ラ イフラインの被害に伴う社会経済活動や市民生活への支障が顕著に現れるようになってきた(各地 震による被害については,1.1.3.で示す).これは物質・エネルギー輸送・情報伝達などの都市機能が ライフラインに強く依存しているためである. 今後,南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震をはじめとする巨大地震の発生が危惧されており,政 府や自治体による被害想定が公表されている.例えば,内閣府1)が公表している南海トラフ巨大地震 の場合,陸側ケース(揺れによる被害が最大となると想定されているケース)ではライフラインの被 害は停電が最大で約2,930 万軒,断水が最大で 3,570 万人,都市ガス停止が最大で約 180 万戸などと 推定されている(図 1.1). これらの地震に対して事前対策の策定・実施が急務であり,防災基本計画2)(災害対策法に基づい て中央防災会議が作成する政府の防災対策に関する基本的な計画)においても,こうした対策の必要 性が明記されている補注[1].関連する部分を要約して示す.ライフライン事業者に対しては,被害状況 の事前予測や復旧予定時期の目安を示すことが求められている.また,国民に対しては平常時から備 えと災害時の自助を基本として,共助も求められている. こうした背景にあるのは,1995 年兵庫県南部地震や 2011 年東北地方太平洋地震をはじめとする近 年の震災の教訓である.従来型の公助主体の計画・対策には限界が指摘されており3),災害による社 会への影響を最小化するためにも公助だけでなく備えや自助を強化する必要性が示されている4).内 閣府が実施した防災に関する世論調査(平成29 年 11 月実施)5)にも,国民の意識の変化が現れてい る.自助・公助・共助に関する質問に対して,「自助」もしくは「共助」に重点をおくべきという回 答がそれぞれ39.8%,24.5%となり,前回調査(平成 25 年 12 月実施)の同 21.7%,同 10.6%と比べて 大きく増加している. 以上を踏まえ,来るべき大規模地震災害に備えて,ライフライン防災の面においても自助・共助の 重要性が高まっている.その支援・促進には適切な事前・事後のユーザー行動を支援する取り組みが 必要である.このため,適時適切なライフライン情報の提供が求められている.

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2

(a) 南海トラフ巨大地震の震度分布(陸側ケース)

(b) 被害想定(上水道の結果を一部抜粋)

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3 1.1.2. 学術研究の動向 都市におけるライフラインの重要性が増すにつれて,ライフライン地震工学の分野における検討 項目が多岐にわたっている6).図 1.2 に示す体系のうち,本研究では赤枠で示す「機能停止分析」「緊 急対応・被害把握・復旧過程の分析」に焦点を当てる.こうした被害・復旧過程の分析に基づいた予 測手法の開発にあたり,文献4), 7)の概念を援用する. 林 7)によると,これまでの地殻災害に関する研究では,災害による被害(D: Damage)の低減を達成 目標としており,災害を予防する努力が重視されてきた,と述べている.式(1.1)に示すように,「被 害低減モデル」という関数で表されており,災害を予防する規定因が,ハザード(H: Hazard)・曝露量 (E: Exposure)・脆弱性(V: Vulnerability)の 3 要素で構成されている.特に,脆弱性の低減を中心課題と して様々な検討が行われてきた,とされている.しかし,1995 年兵庫県南部地震や 2011 年東北地方 太平洋沖地震の発生によって,被害低減モデルでは大規模な被害を完全に予防する力を持ち得ない として,その限界を指摘している.

そこで,式(1.2),図 1.3 に示すように被害低減モデルの概念を拡張し,人間活動(A: Human Activity)

および時間(T: Time)の規定因を加えた「レジリエンスモデル」が提案されている7).ここで,レジリ エンスとは,「災害を乗り越えることができる力」と定義されている.提案されたレジリエンスモデ ルでは,レジリエンス(R: Resilience)の向上を目標として,予防力(被害発生の低減)と回復力(失わ れた機能の復旧に要する時間の短縮)とを組み合わせて災害に立ち向かおうとする点に特徴がある. ( , , ) Df H E V (1.1) ( , , ) ( , , , , ) Rf D A Tf H E V A T (1.2) レジリエンスモデルとライフラインの被害・復旧過程との関連性を表す一例として,図 1.4 に国内 で発生した主要な地震における供給系ライフライン(電力・水道・都市ガス)の初期被害とその復旧 過程8)を示す(詳細は,3.で述べる).地震に伴い各ライフラインの被害(停電・断水・都市ガス停 止)が発生し,時間経過とともに解消されている.このことから,ライフライン地震工学の分野にお いても,レジリエンスモデルの図式がよく当てはまるといえる.こうしたライフラインのレジリエン スを定量的に評価し,可視化する研究が各方面で進められている. 地震時における供給系ライフラインを対象とした被害の影響評価と様々な対策によるインパクト 軽減の枠組み4)を援用し,その概念図を図 1.5 に示す.ライフラインの構成要素やネットワークの脆 弱性に起因する初期被害を出発点として,ライフラインのシステム性能の復旧過程が復旧曲線とし て表されている.復旧曲線と個別的インパクト(利用者がライフライン途絶によって受ける影響を表 す)を組み合わせることで,社会的インパクトが表現されている.ここで社会的インパクトは,「利 用者それぞれの個別的インパクトを利用者全体にわたって時空間的に累積した値4)」と定義されてい る.また,初期被害軽減,応急供給や早期復旧による影響緩和,備えや自助・共助の強化による緩和 によって,総合的に最小化されるべきものとして表されている4) 図 1.3 で示したレジリエンスモデルとの関連をみると,予防力と回復力が図 1.5 の復旧曲線の初 期被害軽減や早期復旧にそれぞれ対応している.また,人間活動については,事業者側の耐震化・冗 長化といった事前対策,応急復旧作業などの事後対策,利用者側の備えや自助・共助にそれぞれ対応 している.

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4

次項では,国内の主要地震における人的被害・家屋被害,ライフライン被害と教訓を示し,次節で はライフラインの被害・復旧過程の分析と予測に関する既往研究について述べる.

図 1.2 ライフライン地震工学研究の体系6)と本研究の対象領域(赤線で加筆)

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5 (a) 初期(最大)停止戸数,E:電力,W:水道,G:都市ガス 1995:1995 年兵庫県南部地震,2011:2011 年東北地方太平洋沖地震, 2016:2016 年熊本地震,2018:2018 年大阪府北部の地震 (b) 復旧率,1995 年兵庫県南部地震 (c) 復旧率,2011 年東北地方太平洋沖地震 (d) 復旧率,2016 年熊本地震 (e) 復旧率,2018 年大阪府北部の地震 図 1.4 国内の主要地震における供給系ライフラインの被害・復旧状況8) 復旧率=(最大停止戸数-停止戸数) / 最大停止戸数 電力:黄緑色線,水道:青線,都市ガス:赤線 2.60  4.86  0.48  0.17  1.26  2.20  0.45  0.09  0.86  0.46  0.10  0.11  4.05 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 19 9 5 20 1 1 20 1 6 20 1 8 19 9 5 20 1 1 20 1 6 20 1 8 19 9 5 20 1 1 20 1 6 20 1 8 E W G 初期停止 戸 数 (単位: 10 0) 東京電力 東北電力 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1 月 17 日 1 月 18 日 1 月 19 日 1 月 20 日 1 月 21 日 1 月 22 日 1 月 23 日 1 月 24 日 1 月 25 日 1 月 26 日 1 月 27 日 1 月 28 日 1 月 29 日 1 月 30 日 1 月 31 日 2 月 1 日 2 月 2 日 2 月 3 日 2 月 4 日 2 月 5 日 2 月 6 日 2 月 7 日 2 月 8 日 2 月 9 日 2 月 10 日 2 月 11 日 2 月 12 日 2 月 13 日 2 月 14 日 2 月 15 日 2 月 16 日 月 復 旧 率 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 3 月 11 日 3 月 12 日 3 月 13 日 3 月 14 日 3 月 15 日 3 月 16 日 3 月 17 日 3 月 18 日 3 月 19 日 3 月 20 日 3 月 21 日 3 月 22 日 3 月 23 日 3 月 24 日 3 月 25 日 3 月 26 日 3 月 27 日 3 月 28 日 3 月 29 日 3 月 30 日 3 月 31 日 4 月 1 日 4 月 2 日 4 月 3 日 4 月 4 日 4 月 5 日 4 月 6 日 4 月 7 日 4 月 8 日 4 月 9 日 4 月 10 日 月 日 復 旧 率 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 4 月 16 日 4 月 17 日 4 月 18 日 4 月 19 日 4 月 20 日 4 月 21 日 4 月 22 日 4 月 23 日 4 月 24 日 4 月 25 日 4 月 26 日 4 月 27 日 4 月 28 日 4 月 29 日 4 月 30 日 5 月 1 日 5 月 2 日 復 旧 率 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 6 月 18 日 6 月 19 日 6 月 20 日 6 月 21 日 6 月 22 日 6 月 23 日 6 月 24 日 6 月 25 日 6 月 26 日 6 月 27 日 6 月 28 日 6 月 29 日 6 月 30 日 7 月 1 日 7 月 2 日 7 月 3 日 7 月 4 日 7 月 5 日 7 月 6 日 復 旧 率

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6 図 1.5 供給系ライフライン被害の影響評価と様々な対策によるインパクト軽減の枠組み4) 1.1.3. 国内における主要な地震とライフライン被害による教訓 ライフライン地震工学では,震災が発生するたびに新たな問題が浮上し,それらの現象の解明・対 策とともに発展してきた.本項では,1995 年~2018 年に国内で発生した地震における人的被害・家 屋被害,ライフライン被害の特徴と得られた主な教訓について述べる. (1) 1995 年兵庫県南部地震(1 月 17 日 5 時 46 分本震発生,MJMA=7.3)9)-12) 内陸型地震の典型例であり,日本で初めて大都市直下を震源とする地震となった.気象庁が現地 調査を行った結果,兵庫県神戸市須磨区鷹取・長田区大橋・兵庫区大開・中央区三宮・灘区六甲道・ 東灘区住吉,芦屋市芦屋駅付近,西宮市夙川等,宝塚市の一部,淡路島北部の北淡町,一宮町,津 名町の一部で震度7(旧震度階級)と判定された.消防庁のまとめ(2006 年 5 月 19 日,確定報) によると,人的被害は家屋の倒壊に伴う圧死・窒息死などによる死者 6,434 人,行方不明者 3 人, 重傷者10,683 人,軽傷者 33,109 人,住家被害は全壊 104,906 棟,半壊 144,274 棟,一部破損 390,506 棟である. ライフラインの被害も甚大であった.供給系ライフラインの被害をみると,停電が約260 万戸, 断水が約126 万戸,都市ガス停止が約 86 万戸発生した.大部分が復旧するまでに,それぞれ 7 日・ 約80 日・約 80 日を要している.また,交通系ライフラインの被害も大きかった.道路では,名神 高速道路・中国自動車道・阪神高速道路・直轄国道で,落橋・橋脚倒壊・路面陥没などにより,27 路線36 区間が通行止めとなった.鉄道では,JR 西日本・阪急電鉄・阪神電鉄・神戸市交通局など 13 社の路線が不通となった. これらの被害が地震防災の転換点となった.例えば,震度7 の速報化,震度階級の改定,震度観 測点の大幅な増設が行われている.防災基本計画2)では,自然災害対策に関する部分が全面的に修 正されている. (2) 2004 年新潟県中越地震13)-15)および2007 年新潟県中越沖地震16), 17) いずれも新潟県を震源とする地震である. a) 2004 年新潟県中越地震(10 月 23 日 17 時 56 分本震発生,MJMA=6.8)

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7 気象庁によると,新潟県川口町(現在は,長岡市)で震度7 を観測した.また,最大震度 6 弱の 余震が複数回発生した.消防庁のまとめ(2009 年 10 月 21 日,確定報)によると,人的被害は死 者 68 人,重傷者 633 人,軽傷者 4,172 人,住家被害は全壊 3,175 棟,半壊 13,810 棟,一部破損 105,682 棟である. 供給系ライフラインの被害をみると,停電が約30.8 万戸,断水が約 13.0 万戸,都市ガス停止が 約5.7 万戸発生した.多発する余震により状況把握・復旧活動に支障をきたしたとされている.こ の他にも,土砂崩れ・亀裂による道路の寸断により復旧に時間を要した.これらの影響が,ライフ ラインの復旧作業の支障や集落の孤立につながったとされている. b) 2007 年新潟県中越沖地震(7 月 16 日 10 時 13 分本震発生,MJMA=6.8) 気象庁によると,新潟県長岡市・柏崎市・刈羽村と長野県飯綱町で震度6 強を観測した.消防庁 のまとめ(2013 年 5 月 17 日,確定報)によると,人的被害は死者 15 人,重傷者 330 人,軽傷者 2,016 人,住家被害は全壊 1,331 棟,半壊 5,710 棟,一部破損 37,633 棟である. 供給系ライフラインの被害をみると,停電が約3.5 万戸,断水が約 6.2 万戸,都市ガス停止が約 3.5 万戸発生した.地盤の液状化や斜面崩壊による影響があったとされている.一方,これまでの 震災の教訓を踏まえて,水道の復旧では相互応援協定に基づいた迅速な対応が取られた事例があ り,管路の更新が被害の低減の一つの理由となったことが報告されている. (3) 2011 年東北地方太平洋沖地震(3 月 11 日 14 時 46 分本震発生,Mw=9.0)18)- 21) 海溝型地震の典型例である.気象庁によると,宮城県栗原市で震度7 を観測し,東北地方および 関東地方の広い範囲で震度6 弱以上の揺れを観測した.その後も,複数の余震(茨城県沖を震源と する地震 2011 年 3 月 11 日 15 時 15 分,MJMA=7.7・宮城県沖を震源とする地震 同年 4 月 7 日 23 時32 分,MJMA=7.1)および誘発地震(福島県浜通りを震源とする地震 同年 4 月 11 日 17 時 16 分, MJMA=7.0)が発生した.消防庁のまとめ(2019 年 3 月 1 日現在)によると,人的被害は主に津波 による死者19,689 人,行方不明者 2,563 人,重傷者 700 人,軽傷者 5,346 人,負傷程度不明 187 人, 住家被害は全壊121,995 棟,半壊 282,939 棟,一部破損 748,109 棟である. 東北地方から関東地方にかけて広い範囲で甚大な被害が発生した.地震の揺れによる被害だけ でなく,津波によって被害が拡大した.その一例として,福島第一原子力発電所の事故による二次 災害の発生が挙げられる. 供給系ライフラインの被害は,停電が約891 万戸,断水が約 221 万戸,都市ガス停止が約 46 万 戸である.また,これまで被害が想定されていなかった,ライフラインの基幹施設や拠点施設にお いても甚大な被害が発生し,ライフライン機能停止の影響が拡大・長期化した.交通系ライフライ ンの被害は,以下に示す通りである.高速道路では,東北自動車道・常磐自動車道・磐越自動車道 などの42 路線・約 2,300km で通行止めが実施された.鉄道では,JR の新幹線・在来線,民間鉄道, 公営鉄道,第三セクターの計218 路線で 10,000km 以上が運休となった. この地震の経験を踏まえて,海溝型地震の長期評価・津波想定・津波警報に関する見直しが行わ れた.防災基本計画2)では,津波災害対策編の追加が行われた. (4) 2016 年熊本地震22)- 26) 気象庁によると,4 月 14 日 21 時 26 分に発生した地震(前震,MJMA=6.5)と,その約 28 時間後

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8 の4 月 16 日 1 時 25 分に発生した地震(本震,MJMA=7.3)で震度 7 を観測した.このほかにも,最 大震度5 弱~6 強の地震が複数回観測された.消防庁のまとめ(2019 年 4 月 12 日現在)によると, 人的被害は地震による直接死および震災関連死などを含む死者 273 人,重傷者 1,203 人,軽傷者 1,606 人,住家被害は全壊 8,667 棟,半壊 34,719 棟,一部破損 163,500 棟である.震災関連死が直 接死を大きく上回っているのが特徴であり,原因の一例として,避難生活に伴うストレスや持病の 悪化・エコノミークラス症候群が挙げられている. 供給系ライフラインの被害は,本震による停電が約47.7 万戸,断水が約 44.5 万戸,都市ガスが 約10.1 万戸である.高速道路では,九州自動車道・大分自動車道などの約 680km で通行止めとな った.鉄道では,九州地方の計36 路線で約 2,000km が運休となった. (5) 2018 年大阪府北部の地震(6 月 18 日 7 時 58 分本震発生,MJMA=6.1)8), 27)- 29) 気象庁によると,大阪府の5 市区(大阪市北区,高槻市,枚方市,茨木市,箕面市)で最大震度 6 弱が観測された.消防庁のまとめ(2019 年 4 月 1 日現在)によると,人的被害はブロック塀の崩 落や家具の下敷きなどによる死者6 人,重傷者 62 人,軽傷者 400 人,住家被害は全壊 21 棟,半壊 483 棟,一部破損 61,266 棟である. 他の地震と比べると相対的にライフライン施設の物理的被害は少なかったが,それらの機能障 害は広範囲に及んだ.停電は約17 万軒,断水は約 9 万戸,都市ガス停止は約 11 万戸であった.基 幹施設やその関連設備で支障もしくは被害が発生したが,被害が比較的軽微であったため短時間 で解消されている.都市ガス施設の基幹設備や中圧導管に被害は確認されておらず,低圧導管の被 害もわずかであった.しかし,第一次緊急停止判断により,2 ブロックで供給停止が行われた.こ うした状況を踏まえて,経済産業省によって第一次緊急停止判断基準の見直しが進められている. 高速道路の通行止めや鉄道の運休は比較的短時間で解消された.しかし,地震の発生時間帯が早 朝の通勤・通学時間と重なったため,通行止めや運休の影響が広範囲に及んだことで大きな混乱が 発生した. (6) 2018 年北海道胆振東部地震(9 月 6 日 3 時 7 分本震発生,MJMA=6.7)30), 31) 気象庁によると,北海道厚真町で最大震度7 が観測された.北海道で初めて震度 7 を観測した地 震でもある.消防庁のまとめ(2019 年 4 月 1 日現在)によると,人的被害は土砂崩れに巻き込ま れたことなどによる死者43 人,重傷者 48 人,軽傷者 734 人,住家被害は全壊 469 棟,半壊 1,660 棟,一部破損13,849 棟である. 供給系ライフラインの被害では電力への影響が顕著であった.北海道全域の約 295 万戸が停電 するブラックアウトが発生し,大半が復旧するまでに約2 日を要した.事故を受けて立ち上げられ た検証委員会の報告書によると,主な原因として,苫東厚真発電所の全発電機の停止・送電線の事 故による水力発電の停止といった複合要因が挙げられている.その後,再発防止のため,復旧手順 の見直しや復旧作業ノウハウの共有化,電力供給源の分散化・緊急融通設備の増強などの対策が提 言されている. こうした停電による影響は,水道や医療機関,通信システム,交通機関,社会経済などの多方面 に及んだ.なお,断水が約6.4 万戸,都市ガス停止は供給停止基準 SI に達しなかったため 0 戸で あった.

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1.2. 本研究に関連する既往研究

対象とするライフラインを供給系(電力,水道,都市ガス),交通系(高速道路,鉄道)に分けて, ライフラインの被害・復旧過程の分析と予測に関する主要な文献について述べる.また,地震後に必 要とされる情報には時空間的なあいまいさが含まれていることから,ライフラインの地震後の情報 ニーズの把握に関する研究についても述べる. 本研究では,ライフラインの物理的な被害および機能的な被害を,以下のような意味で用いる. 物理的な被害は,ライフライン施設や構造物そのものの損傷を表す. 機能的な被害に関しては,ライフラインの機能について,「そのservice がどこまで満足されている か(serviceability)を意味している32)」という定義を援用する.物理的な被害の有無にかかわらず(物 理的な被害から復旧した後の期間も含む)ライフラインが利用できない状態もしくは,その利用が困 難な状態を表す. 1.2.1. 供給系ライフラインを対象とした被害・復旧予測に関する研究 供給系ライフラインを対象とした被害復旧予測の主な分析手法として,実験,解析,確率・統計的 な手法などが挙げられる.このうち確率・統計的な手法を用いた事例を示す. 物理的な被害・復旧過程を対象とした事例として,以下の研究が挙げられる. (a) 電力 停電解消の情報を早期かつ精度良く提供することを目的として,高圧配電線を対象とした復旧 時間の予測モデルの試作と被災事例に基づく検証が行われている33).遮断器などの開閉情報に代 表される被災時のオンライン情報に基づいた点が特徴である.関連して,配電設備を対象として, 地震情報・停電情報・巡視情報を活用した逐次更新型の被害推定システムの開発と試験運用が実 施されている34).この他にも,電力供給量の変動から災害状況が評価できる点に着目し,地震後 の電力需要を予測するモデルの構築と検証が行われている35) (b) 水道 地震時の配水管の被害を対象とした代表的な 4 つの予測式として,文献36)- 39)が挙げられる. これらの予測式は,標準被害率(箇所/km)に各種補正係数を乗じて配水管の被害率を求める点 は共通しているが,対象とする被災事例,標準被害率の関数形状や各補正係数の値が異なる.構 築された予測式に対して,近年の被災事例に基づいた予測精度や補正係数の検証が行われている 40)- 42).関連して,災害直後にその全体像を俯瞰的に把握するため,リアルタイムの地震動情報を 用いた即時的な被害推定システムの構築と実際に発生した地震を対象とした適用事例が示され ている43) (c) 都市ガス 初期の研究事例では,1978 年宮城県沖地震を対象とした地震動の加速度と埋設管(鋼管・鋳鉄 管)の被害率に基づいた予測手法が提案されている44).また,被害との関連性や観測状況を踏ま えて,地震動強さの指標としてSI 値が用いられている45) 1995 年兵庫県南部地震の教訓を踏まえて,迅速な緊急措置を行うための情報収集や実行手段 の重要性が指摘されている.東京ガスでは,地震時導管網警報システムSIGNAL46)SUPREME47) (SIGNAL を包含,拡張したシステム)が開発され,低圧導管の被害推定48)がリアルタイムで可

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10 能である.SUPREME を用いて,2011 年東北地方太平洋沖地震を対象とした低圧ガス導管(本支 管・灯外内管のネジ継手)の被害推定に関する精度検証49)やネジ継手の供給管・灯外内管の予測 式50)が構築されている.加えて,地震時の漏洩通報情報に基づいて,予測結果を更新する手法の 構築に向けた基礎検討が行われている51) さらに,近年では従来とは異なるアプローチ方法として機械学習の手法を応用して,その適用 可能性に関する検討も行われるようになってきた52), 53) このように,ライフラインの物理的な被害を対象とした被災事例の分析および被害・復旧予測手法 の開発は多く行われており,実務に役立てられている.一方で,こうした物理的な被害に対して,1.1.3. で示したように機能的な被害が広範囲に及びかつ長期化する事例もある. 供給系ライフラインの機能的な被害を対象とした事例として,以下の研究が挙げられる. 初期の研究において,ライフラインが複数の要素によってシステムが構成されていることから,シ ステム全体として機能保持することが都市防災における課題として位置づけられている 32).このよ うな特性を踏まえて,ライフラインの構造被害や機能低下した後の復旧過程を扱う重要性が指摘さ れている32).具体的には,構造被害の復旧過程に着目し,確率過程の一種であるマルコフ過程に基づ いた復旧予測の理論式32)が導出されている例が挙げられる. 上記の復旧予測の理論式 32)を用いたケーススタディとして,関東大震災級の地震を想定した場合 の上水道の埋設管の構造/機能被害・復旧過程の比較が行われており,他のライフラインへの適用可 能性が示唆されている54).文献32), 54)を踏まえて,巨視的に捉えたモデル化・被害予測・復旧理論が 有用であるとの判断から,復旧の順序(順次復旧・同時復旧)や戦略(集中給水計画・拡散給水計画・ 現状直視型の給水計画)を考慮し,理論の単純化が図られている55).また,簡便かつ実用的なモデル を目指して,上水道の機能復旧予測にあたり,物理的な被害から供給機能の支障率を求める過程に対 して実務者の経験的判断が取り入れられている例 56)もある.この他にも,断水を対象として管路被 害の推定結果と水量・水圧情報を用いて,被害予測をリアルタイムで行う手法の提案とプロトタイプ システムの構築が行われている57) これらの研究の多くは,対象とするライフラインのシステムをノードとリンクでモデル化し,ライ フラインの機能を「連結性」として捉えた評価が行われてきた.前述のような成果が得られている一 方で,復旧予測が困難な理由として,被災事例に関するデータ不足や不確定性要因などが挙げられて いる55) 近年では地震直後から政府・自治体・ライフライン事業者などの関係機関から被害・復旧状況が公 表されており,こうした情報の網羅的な収集・整理8), 18), 24)が行われている.また,2011 年東北地方 太平洋地震に伴って被災した複数の社会基盤施設を対象として,復旧曲線を比較した事例58)がある. 1995 年兵庫県南部地震などの被災事例に基づいて,停電・断水・都市ガス停止の有無・復旧所要期 期間に関する予測モデルの構築と被害想定が行われている.中小企業BCP 策定運用指針59)では,三 重県が1997 年に行った被害想定の方式を利用し,震度別の平均復旧日数が設定されている.これに 対して,確率・統計的な手法を用いた予測モデル60)が提案されている.ライフラインの機能的な被害 を機能的フラジリティ関数で,その復旧過程をレジリエンス曲線でそれぞれ予測する点に特徴があ る.関連して,2011 年東北地方太平洋地震における事業者の被災事例に応じて,文献60)を条件分岐

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11 させて適用する評価方法が提案されている 61).また,事業者側と需要家側の双方の対策を考慮した 影響を定量的に評価しようと試みた事例4)もある. 海外の事例では,1960~2014 年における環太平洋地域の国々を中心とした 32 地震の被災事例(停 電・断水・都市ガス停止に加えて,通信)に基づき,各サービスが完全に回復するまでに必要な日数 を整理し,その復旧過程がガンマ分布でモデル化されている62) 1.2.2. 交通系ライフラインを対象とした被害・復旧予測に関する研究 交通系ライフラインとして高速道路と鉄道を対象とし,それらの被害・復旧予測に関する既往研究 を示す. (a) 高速道路 高速道路の物理的な被害を対象として実験,数値解析,確率・統計的な手法などの様々なアプロ ーチで分析が行われてきた.このうち確率・統計的な手法を用いて,被災事例における構造物の被 害状況と地震動強さとの関係を分析し,被害関数,被害率曲線,フラジリティ関数などを構築した 事例を示す. 2004 年新潟県中越地震を対象として,複数の構造物被害を扱った事例63)や盛土被害に焦点を当 てた事例 64), 65)が挙げられる.2008 年岩手・宮城内陸地震や 2011 年東北地方太平洋沖地震に伴っ て発生した斜面崩壊と道路構造物損傷との関係を分析した事例66), 67)や,2016 年熊本地震や複数の 地震における道路橋被害の分析68), 69)も行われている.さらに,これらの構造物の被害状況と地震 動強さの関係に基づき被害関数が構築されている64)- 66), 69) 交通機能に関連する研究として,被災後の復旧過程に着目した分析も行われている.文献 70) は,地震時には関連要因の多さと複雑さから,震災時交通はブラックボックス的な振る舞いをする としており,その挙動をマクロな観点から評価する重要性が指摘されている.そこで,3 つのアプ ローチ方法(グラフ理論的なアプローチ・ネットワーク理論的なアプローチ・交通工学的なアプロ ーチ)によって評価する手法の概要と適用例が紹介されている.このうちグラフ理論的なアプロー チの事例に着目すると,地震前後の高速道路網の自動車交通量のデータ収集・分析が行われており 71)- 73),ネットワーク指標71)(施設指標N,L や機能指標 V)を用いた評価71), 72)および地震間比較 73)が行われている. また,近年国内で発生した主要地震を対象とした高速道路の被害・復旧事例の分析に基づいて, 復旧日数を予測するモデル 74)が構築され,高精度化が図られている 75).加えて,盛土被害に着目 して規制期間に影響を及ぼす要因を分析し,複数の統計手法を用いて復旧予測モデルの構築が行 われている76) 一方,2018 年大阪府北部の地震では通行規制が広範囲で実施され,通勤・通学時間帯と重なっ たため大きな混乱が発生した 28).高速道路ネットワークにおけるこうした地震直後の状況を扱っ た事例は少ないのが現状である. (b) 鉄道 これまでに地震動強さと運休状況との関係を分析し,被害関数や運休期間を予測するモデルが 構築されてきた.その方法は,(i) 構造物の詳細な情報を取り入れた方法と,(ii) 運休期間と関連が

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12 あり,かつデータ入手が容易な情報を説明変数とする簡易的な方法に大別される. 前者の例として,以下の研究が挙げられる.損傷状況に応じた運休日数を考慮したリスク評価手 法77)が構築されている.また,システム信頼性理論に基づき,施設の構成要素および損傷度を考慮 した機能停止期間の評価方法が提案されており,都市内鉄道路線の特徴を考慮したモデル化と試 算が行われている78).この他にも,既存の枠組みである個別の構造物の損傷状態の評価に加えて, 構造物の地点条件・構造条件・周辺環境・投入リソースに基づいた復旧日数の評価手法の提案 79) と,RC ラーメン高架橋を対象としたデータベースの妥当性の検証80)が行われている. 後者の例として,以下の研究が挙げられる.首都圏の事業者を対象とした地震時の対応基準に関 する調査 81)と,地形・地盤分類別に計測震度と被害率との関係に基づいた被害関数 82)の構築が行 われている.これらの結果を用いて,運休期間を安全確認点検と被害復旧に要する時間に大別した 推定モデルの提案・検証・被害想定が行われている83).また,鉄道構造物(素地・低盛土,盛土, 切土,橋りょう,トンネル)の被害に着目した被害関数の構築 84)と予測モデルの構築 85)が行われ ている. 一方で,内閣府が公表した南海トラフの巨大地震における被害想定1)では,大規模な地震に適用 可能な推定モデルが構築されておらず,鉄道構造物の被害数の記載にとどまっているのが現状で ある. 1.2.3. ライフラインの地震後の情報ニーズに関する研究 災害に関する事後の情報ニーズについては,時空間的に変化することが指摘されている 86), 87).そ の動向を把握することを目的として,地震発生後の新聞報道を対象とした分析が行われてきた.初期 の研究例としては,新聞の見出しを用いた社会経済的影響の考察 88)や主要な紙面を対象とした地震 報道率89)による社会的な影響の測定が挙げられる.また,同一の震災を対象として,地震直後におけ る震災報道について地域別・国別で比較した事例90), 91)もある. これらの分析は手作業による集計が主体であったと推察されるが,近年ではテキストマイニング を簡便に実行できるソフトウェアが普及している.これにより,テキストマイニングの手法を用いて 様々な文章(災害後のアンケート調査,新聞,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS),ラ ジオの録音データを文字起こししたものなど)を対象とした分析が行われるようになってきた.そこ では,文章全体の特徴を把握するとともに,それぞれの着眼点に沿った計量的な分析が行われている. 一例として,数値化III 類分析を用いた社会状況の可視化92)や地方紙と全国紙を対象とした災害時の 幅広い主題と個人属性との関係の分析93)などが挙げられる. これらの分析の多くは,災害時の幅広い事象を扱ったものが多い.一方で,短期間で急激に変化す るライフライン被害・復旧の状況に焦点を絞った分析を行う余地が残されている.地震後に,関係機 関から発信されたライフラインの被害・復旧過程がまとめられているものの,需要家の視点からの分 析は少ないのが現状である.

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1.3. 論点の整理と本研究の目的・意義

本節では,既往研究の成果・課題を踏まえて,6 つの論点から本研究で扱う課題を整理する. (1) 対象とする被害形態 前節で示したように,ライフラインの物理的な被害(以降,物理的な被害と表記)に着目した 被害・復旧予測モデルの開発が進められている.これらの知見に加えて,事業者による耐震化対 策が進められており,地震時の施設・設備被害の低減に大きく貢献している. 一方,2018 年大阪府北部の地震のように,物理的な被害は比較的軽微で済んだものの,ライフ ラインの機能的な被害(以降,機能的な被害と表記)が広範囲で発生し社会に大きな混乱をもた らす場合もある28).このような,機能的な被害に着目した事例は少ないのが現状である.この理 由として,詳細なデータの入手が困難であることや,復旧過程が復旧戦略に大きく依存し,供給 を受ける需要家の位置情報と関連付けた予測が一般的に困難であることが指摘されている60).こ のため,自治体などの被害想定では物理的な被害を扱ったものが多いのが現状である. 近年では,地震に伴うライフラインの被害・復旧状況の公表とデータの蓄積が進みつつある(詳 細は(3)で後述).また,地理情報システム GIS(Geographic Information System)の発展・普及により, 被害情報と位置情報を関連付けた分析が可能になりつつある.このため,本研究ではライフライ ンの機能的な被害・復旧過程を対象として,国内で発生した主な地震の被災事例を収集・分析し, 予測手法の開発を行う. (2) 被害・復旧予測モデルの構築方法 予測モデルの構築方法として2 種類に大別されている60) 1 つ目は,積み上げ式の方法である.地震動強度・物理的被害要因・機能的被害要因と復旧要 因に関するデータを用いる方法である.多段階の手順を踏むことで不確実性が増大するが,日本 や米国では事実上標準的な手順とされている.しかし,詳細なデータが得られるのはライフライ ン事業者や被害想定に関する一部機関に限られ,ライフライン途絶対策を独自に検討しようとす る組織や個人にとって,網羅的にデータを入手することは容易ではない 60),と指摘されている. 2 つ目は,被災事例に基づいて震度と機能停止との統計的な関係を求め,そのモデルを用いる 方法である.推定精度に限界はあるものの,必要なデータが十分に得られない状況において,有 効であるとされている.様々な不確定性を考慮できる点も特徴である. そこで本研究では2 つ目の方法を採用する.既往研究においては,機能的な被害の有無もしく は復旧過程のみを扱った事例が多い.しかし,両者は一連の事象として不可分であると考えられ る.このため,機能的被害・復旧過程を明示的に二段階で扱う予測モデルの開発を行う.具体的 には,機能的な被害の有無を機能的フラジリティ関数,その復旧過程をレジリエンス曲線で,そ れぞれモデル化する.なお,「フラジリティ関数」は一般に構造物の物理的な損傷発生確率を表す が,ここでは機能喪失確率を表すために「機能的フラジリティ関数」と称している.また,本研 究では図 1.5 で示した枠組みを援用し,復旧曲線に相当する部分をレジリエンス曲線と定義する. (3) 分析対象地震と震災間比較 地震の特性の一つとして,大規模な被害を伴うような現象の発生が稀であることが挙げられる.

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14 これまで,分析対象となるライフラインの被災事例が少なく,単一の被災事例を対象とした分析・ 予測モデルが多かった.こうした背景には,被害・復旧状況の把握をはじめとする情報の収集・ 発信が困難な場合が多かったものと思われる. 一方,近年では,これまでの震災の教訓を踏まえて観測体制が強化されたことに加えて,政府・ 自治体・ライフライン事業者などの関係機関から災害に伴う被害・復旧情報が収集され,Web 上 で公開されるようになってきた.このため,様々な規模の地震の被災事例に関するデータの蓄積 が進みつつある.また,地震後の迅速な対応などの必要性から,発災直後から各ライフライン被 害・復旧情報を収集・統合して,公開するプラットフォームやリアルタイムシステムが構築され るようになってきた94) 上記の変化に伴い,ライフラインの被害・復旧過程に関する情報が以前と比べて容易に入手で きるようになりつつあり,定量的な評価が可能となってきた.震災間比較という観点から,近年 の地震時における共通の事象や傾向を抽出・モデル化するとともに,個別の震災の特徴を明らか にすることで知見が得られると思われる. そこで本研究では,1995 年兵庫県南部地震,2004 年新潟県中越地震,2007 年新潟県中越沖地 震,2011 年東北地方太平洋地震,2016 年熊本地震,2018 年大阪府北部の地震,2018 年北海道胆 振東部地震の被災事例を分析対象として,震災間比較を行う. (4) 分析対象ライフラインの拡張 (3)に関連して,単一のライフラインを対象とする分析事例が多いのが現状である.しかし,ラ イフラインに強く依存している都市においては,地震に伴う機能的な被害が別のライフラインシ ステムに波及することで被害がより拡大する事例が発生している.こうした現象を解明するため, 「ライフラインの相互連関95)」という概念が提唱されており,国内外で様々な手法を用いたモデ ルが提案されている.これまでの知見から,電力・高速道路・通信の支障が他のライフラインに 及ぼす影響が大きいことが明らかにされており96),早期の被害把握・復旧にはこれらの機能維持 および被害を受けた場合にも迅速な回復が不可欠である. 一方で,ライフラインの相互連関を考慮したモデルの構築が困難な理由として,発生事例が少 ないことや現象が複雑で多岐にわたることが挙げられている62).こうした現象を解明・モデル化 するためにも,まずは個別のライフラインに関する分析・モデル化が必要である.また,供給系 ライフラインについては分析事例が多いが,交通系ライフラインを対象とした分析事例は少ない のが現状である. そこで本研究では,供給系ライフラインとして電力・水道・都市ガスに加えて,交通系ライフ ラインとして高速道路・鉄道を分析対象とする.各ライフラインの機能的被害・復旧過程を分析・ モデル化することで,ライフラインの相互連関を考慮したモデルの構築に向けた基礎資料とする. (5) 一貫したアプローチによる被害・復旧予測手法の開発 ライフライン被害・復旧予測モデルの構築にあたり,システム別に異なるアプローチを採用す る事例が多いのが現状である.この理由の一つとして,推定精度の向上のためにシステム別の要 素を考慮する必要があるためである.さらに,供給系ライフラインと交通系ライフラインの分析・ モデル化が別々のアプローチ方法で行われている事例が多い.

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15 そこで,(4)で示した供給系ライフラインおよび交通系ライフラインを対象として,一貫したア プローチによる機能的被害・復旧過程の予測手法の開発を行う.(2)で示したように,基本的に震 度情報と機能的な被害との関係から統計的な関係を求め,モデル化する方法を採用する.これに 先立って,予測手法の開発にあたり異なるライフラインシステムに対して,同一のアプローチ方 法が適用可能かどうかを調べる必要がある.主要な交通システムのうち,高速道路網を対象とし て地震後の機能を定量的に評価するため,自動車交通量の時空間的分析を行い,ネットワーク施 設水準・機能水準による地震間比較を行う.これらの評価結果を踏まえて,供給系ライフライン を対象とした被害・復旧予測手法のアプローチを応用した高速道路および鉄道の機能的被害・復 旧予測手法の開発を行う. (6) 災害後の情報ニーズの把握 前節で述べたように,地震後の情報ニーズが時空間的に変化することが指摘されている.(1)~ (5)の課題に付随して生じる問題として,ライフラインの機能的被害・復旧に関する予測手法の開 発にあたり,予測モデルに求められる要件を明らかにする必要がある. 政府・自治体・ライフライン事業者などの関係機関からのライフライン被害・復旧状況が発信 されているものの,需要家側の視点からの分析事例が少ないのが現状である.そこで本研究では, 新聞報道(地方紙・全国紙)の分析を行う.この理由として,記事群に被災者の暗黙のニーズや 社会全体を俯瞰した視点が含まれていると考えられることや,客観性の高い情報源とされている ためである.地方紙と全国紙を比較するのは,情報の伝達対象の違いによって,各紙の視点や記 事の質・量に差が生じると考えられるためである.これらの特性から,公的な資料を対象とした 分析を補完する役割が期待される.また,日々発信される膨大な文字情報のうち,ライフライン に関する記事を効果的に抽出・分析する必要性があることから,テキストマイニングの手法を用 いるのがふさわしいと判断した. 上記で示した論点を踏まえて,本研究では国内で近年発生した様々な地震の被災事例に基づいた ライフラインの機能的被害・復旧予測手法の開発を行い,防災対策の策定などに向けた基礎情報を提 供することを目的とするものである.これにより,事前・事後のユーザー行動を支援することで,ラ イフラインの途絶対策が促進され,ライフライン途絶に伴う社会的影響の軽減が期待される.以下に 5 点の検討項目を示す. 1) 新聞報道を対象としたテキストマイニングによる災害時情報ニーズの把握 2) 供給系ライフラインを対象とした地震時機能的被害・復旧予測手法の開発 3) 高速道路網の自動車交通量を用いた時空間分析とネットワーク指標に基づいた震災間比較 4) 高速道路の地震時機能的フラジリティ関数の構築と震災間比較 5) 鉄道の運休に関する分析と運休期間推定モデルの構築に向けた基礎的な検討 なお,本研究では,以下の項目を検討の対象外とする. ・津波,液状化,システム相互連関,基幹施設や拠点施設の被害,ネットワーク特性,土砂崩れな どの影響

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1.4. 本研究の構成と概要

本研究は図 1.6 に示すように 1.~7.の全7 章で構成される.2.以降の概要を以下に示す.併せ て,前節で示した課題と各章との対応関係を表 1.1 に示す. 2.では,ライフラインの需要家側からみた地震後の情報ニーズを把握するため,新聞報道を対象 とした分析を行う.具体的には,2016 年熊本地震における新聞報道を対象として,テキストマイニ ングの手法を用いて,地方紙と全国紙を比較するものである.3.以降で,供給系ライフラインおよ び交通系ライフラインに関する被害・復旧予測手法の開発に向けたモデルの要件を明確化するため, 以下の手順で分析を行う.まず,記事群の全体の傾向を把握するため,テキストマイニングツールを 用いて計量的な分析を行う.形態素解析により頻出語を抽出し,この結果に基づいて記事群全体の主 題を把握する.次に,災害に関する幅広い事象のうち,供給系・交通系ライフラインに焦点を当てて 分析する.ライフラインに関する主題とそれらを表す語群を設定し,その時系列変化を可視化すると ともに,記事数と実測値との比較を行う.これらの結果から,被災地内外におけるライフラインの被 害・復旧に関する関心の推移を定量的に示す. 3.では,供給系ライフラインを対象とした地震時の機能的被害・復旧予測手法の開発を行う.2. での分析結果を踏まえて,予測対象を供給系ライフラインの機能的被害・復旧過程とし,これらを予 測するモデル60)(以降,予測モデルと表記)を示す.また,予測モデルの検証・改良,評価システム の構築を行い,その応用例について述べる.まず,1995 年兵庫県南部地震の被災事例に基づき,電 力・水道・都市ガスを対象として機能的被害・復旧過程を二段階で評価する予測モデル60)について示 す.予測モデルは,機能的な被害の有無を機能的フラジリティ関数で,その復旧過程をレジリエンス 曲線で,それぞれモデル化する点に特徴がある.次に,2011 年東北地方太平洋沖地震と関連する主 要地震を対象として,予測モデルの予測精度を検証する.併せて,ライフライン事業者の耐震化状況 を踏まえた予測モデルの改良方法について示す.加えて,近年国内で発生した複数の地震を対象とし て,予測モデルの検証および震災規模の違いを考慮した予測モデルの改良方法について示す.また, 開発した予測モデルを簡便に利用するためにシステム化を行い,南海トラフ巨大地震を対象とした 評価例を示す.さらに,予測モデルの応用例として,断水に伴う避難者・給水量の推計や供給系ライ フラインを対象とした地震リスク評価の事例を示す. 4.では,高速道路における地震前後の自動車交通量データを用いた機能的被害・復旧過程の時空 間分析と評価指標による震災間比較について述べる.3.で開発した予測手法を交通系ライフライン に応用する前段階として,高速道路の交通機能について定量的な評価を試みるものである.まず, 1995 年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災),2011 年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災),2016 年熊本地震の3 地震の被災事例を対象として,地震後の交通規制状況を収集・整理し,自動車交通量 の時空間的な推移を分析する.次に,定量的な評価を行うため,ネットワーク施設指標・機能指標を 用いて,震災間比較を行う.3 地震とも施設水準に対して,機能水準が一貫して下回っており,ネッ トワーク完結後に地震前の水準に回復することを示す.こうした地震に伴う通行止めによって高速 道路の機能が一旦低下し,その後回復するという結果から,供給系ライフラインだけでなく,交通系 ライフラインにおいても,レジリエンスモデルの図式が当てはまることを示す.

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17 5.では,高速道路を対象とした地震時機能的フラジリティの構築と震災間比較を行う.4.で得ら れた結果を踏まえて,3.のアプローチ方法を高速道路の通行止めの有無の予測に応用する.具体的 には,2011 年東北地方太平洋沖地震,2016 年熊本地震,2018 年大阪府北部の地震,2018 年北海道胆 振東部地震を対象として,被災事例に基づいた震度情報と通行規制状況との関係を分析する.この結 果から,高震度になるにつれて通行止め発生確率が高くなる傾向にあること示す.また,両者の関係 に基づいて,機能的フラジリティ関数を構築し,震災間比較を行う. 6.では,鉄道を対象とした運休状況の整理・分析および運休期間推定モデルの構築に向けた基礎 的な検討を行う.5.と同様のアプローチ方法で,2011 年東北地方太平洋沖地震,2016 年熊本地震, 2018 年大阪府北部の地震,2018 年北海道胆振東部地震を対象とした事例収集・分析を行う.震度情 報と運休状況の分析に基づいて,鉄道に関する機能的フラジリティ関数を構築する.また,5.で示 した高速道路の機能的フラジリティ関数について,交通システム間での比較を行う.さらに,2011 年 東北地方太平洋沖地震の被災事例における震度情報と運休期間との関係の分析に基づいて,運休期 間を予測するモデルの試作結果について示す. 7.では,本研究での成果および今後の改良点について記す. 図 1.6 本研究の構成

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18 表 1.1 本研究の章構成と 1.3.で示した課題との対応関係 章/課題 1 対象とする 被害形態 2 被害・復旧 予測モデル の構築方法 3 分析対象 地震と 震災間比較 4 分析対象ラ イフライン の拡張 5 一貫したア プローチに よる被害・ 復旧予測 手法の開発 6 災害後の 情報ニーズ の把握 2. ◯ ― ― ― ― ◯ 3. ◯ ◯ ◯ ― ◯ ― 4. ◯ ― ◯ ◯ ― ― 5. ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ― 6. ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ― 補注 [1] 防災基本計画の最新版2)(2019 年 5 月公表時点)における関連部分を引用して示す. ライフライン事業者は,災害発生時に円滑な対応が図られるよう,ライフラインの被害状況の予測・把握及 び緊急時の供給について,あらかじめ計画を作成しておくものとする.また,ライフライン施設の応急復旧に 関して,広域的な応援を前提として,あらかじめ事業者間で広域的な応援体制の整備に努めるものとする. (第2 編 各災害に共通する対策編 第 1 章 災害予防 第 6 節 迅速かつ円滑な災害応急対策,災害復旧・復 興への備え 3 災害の拡大・二次災害防止及び応急復旧活動関係) ライフライン,交通輸送等の関係機関(総務省,厚生労働省,経済産業省,国土交通省等)は,復旧に当た り,可能な限り地区別の復旧予定時期の目安を明示するものとする. (第2 編 各災害に共通する対策編 第 3 章 災害復旧・復興 第 2 節 迅速な原状復旧の進め方 1 被災施 設の復旧等) 自らの身の安全は自らが守るのが防災の基本であり,国民は,その自覚を持ち,食料・飲料水等の備蓄など, 平常時より災害に対する備えを心がけるとともに,発災時には自らの身の安全を守るように行動することが重 要である.また,災害時には,初期消火を行う,近隣の負傷者及び避難行動要支援者を助ける,避難場所や避難 所で自ら活動する,あるいは国,公共機関,地方公共団体等が行っている防災活動に協力するなど防災への寄 与に努めることが求められる. (第2 編 各災害に共通する対策編 第 1 章 災害予防 第 3 節 国民の防災活動の促進 1 防災思想の普及, 徹底)

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参考文献

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図 1.1  南海トラフ巨大地震の震度分布と被害想定 1)
図 1.3  レジリエンスモデルの概念図 7)
図 2.6  頻出語を用いた自己組織化マップ
図 2.9  2 紙の「停電」の共起ネットワーク(二重四角枠は主題を表す語群)
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参照

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