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通行止め発生確率とそのモデル化

5. 高速道路を対象とした地震時機能的フラジリティ関数の構築と震災間比較

5.3. 通行止め状況と計測震度との関係の分析

5.3.2. 通行止め発生確率とそのモデル化

予測モデル 20)の第一段階は,地震後の機能停止確率を機能的フラジリティ関数として予測するも のである.通行止めの有無を計測震度Iに対する二項反応(通行止めなし:0,通行止めあり:1の二 値)と捉え,Iの関数としたロジットモデルとして通行止め発生確率p(I)を次式で評価する.

   

00 11

exp 1 exp

b b I

p I b b I

  

   (5.1)

通行止めデータを用いて最尤推定法を適用し,Newton法を用いた反復計算によりパラメータb0b1の収束値を求める.

この方法に基づき,各地震における通行止めに関する機能的フラジリティ関数のパラメータを求 めた.これらの結果と適合度に関する結果を表 5.2に示し,機能的フラジリティ関数を図 5.5(b)~図 5.8(b)の青線(Case1)および青破線(Case2)でそれぞれ示す.参考までに図 5.5(a)~図 5.8(a)から得られ た計測震度別の通行止め発生確率(=計測震度別の通行止めありの区間数/計測震度別のデータ総数)

0 20 40 60 80 100 120

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Frequency

JMA seismic intensity

No suspension (low seismic intensity area) No suspension

Suspension

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Frequency

JMA seismic intensity

No suspension (low seismic intensity area) No suspension

Suspension

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Suspension ratio

JMA seismic intensity

Obs: Case 1 Obs: Case 2 Model: Case 1 Model: Case 2

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Suspension ratio

JMA seismic intensity

Obs: Case 1 Obs: Case 2 Model: Case 1 Model: Case 2

142

を図 5.5(b)~図 5.8(b)に赤四角(Case1)および白抜き赤四角(Case2)で示す.

Case1では,震度2.8~3.5程度から通行止めが出始め,震度3.7~4.4で通行止め発生確率50%,震

度4.8~5.6でほぼ100%に達している.すべての地震においてモデルの適合度を表す尤度比は0.8以

上,的中率は0.9以上となっており,実測値とモデルはよく適合している.

一方,Case2では震度1.3~2.4程度から通行止めが出始め,震度3.7~4.0で通行止め発生確率50%,

震度5.2~6.6でほぼ100%に達している.Case1と比べて0.5~1.0程度低い震度で曲線が立ち上がり,

低震度領域では過大評価の傾向を示す.尤度比は0.30~0.66,的中率は0.77~0.88であり,Case1よ りも全体的に低下している.低震度ほど面積は広くなり(図 5.2,図 5.3 参照),施設の震度曝露量 が多くなる(図 5.5~図 5.8参照)ことから,Case2のような機能的フラジリティ関数は,被害を大 きく過大評価することにつながる.これを避けるには,機能的フラジリティ関数を構築する際に,

Case1のように低震度領域の「被害なし」のデータを十分に加えることが重要である.

表 5.2 ロジットモデルのパラメータと適合度 Case 1:低震度領域を含む,Case 2:低震度領域を除外

2011 Tohoku EQ 2016 Kumamoto EQ 2018 Osaka EQ 2018 Hokkaido EQ All 4 earthquakes

Case 1 Case 2 Case 1 Case 2 Case 1 Case 2 Case 1 Case 2 Case 1 Case 2

b0 -18.84 -11.45 -13.68 -11.13 -13.19 -11.88 -11.09 -6.85 -14.67 -10.77

b1 4.69 3.03 3.33 2.74 3.56 3.26 2.55 1.73 3.69 2.82

Average 4.02 3.78 4.11 4.06 3.71 3.65 4.35 3.97 3.98 3.82

Std. deviation 0.39 0.60 0.55 0.66 0.51 0.56 0.71 1.05 0.49 0.64

MacFadden ρ2 0.89 0.66 0.88 0.30 0.81 0.57 0.82 0.35 0.85 0.50

Hit ratio 0.97 0.88 0.96 0.77 0.93 0.87 0.97 0.78 0.96 0.83

143

図 5.5~図 5.8に見られるように,被災事例のデータが蓄積されつつあるが,高震度領域について は依然としてデータ数が少ない状況である.そこで,データ不足による分析結果の不安定さを回避す ることを狙いとして,図 5.9に各地震の被災事例を統合した場合(全4地震と表記)を示す.図 5.9 の結果には各地震の特徴が混在しているため,参考値扱いではあるが,近年の地震における全体的な 通行止めの傾向を表すベンチマークとしての意味を持たせている.

(a) 通行止め区分と震度との関係

(b) 通行止め発生率と機能的フラジリティ関数 図5.9 通行止めの有無と震度との関係(全4地震)

Case 1:低震度領域を含む,Case 2:低震度領域を除外 赤四角・白抜き赤四角:実測値,青線・青破線:ロジットモデル

0 50 100 150 200 250 300 350 400

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Frequency

JMA seismic intensity

No suspension (low seismic intensity area) No suspension

Suspension

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0

Suspension ratio

JMA seismic intensity

Obs: Case 1 Obs: Case 2 Model: Case 1 Model: Case 2

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