2. 国際機関及び各国の電子商取引政策動向
2.1 国際機関
2.1.2 電子商取引に関する世界ビジネス会議(GBDe)
名 称 電子商取引に関する世界ビジネス会議(GBDe) 設立年度 1999 年 本 部 ブリュッセル(ベルギー) 加盟社数 39 社
活動目的 電子商取引の世界的な発展に関わる課題を年次総会で討議、その結果を政策提言 として各国政府、国際機関に提出する。
これにより官民の対話を行っていく。
EC 関連 政策提案
2001 年 第 1 回総会(フランス、パリ)
2001 年 第 2 回総会(米国、マイアミ)
2001 年 第 3 回総会(日本、東京)
2002 年 第 4 回総会(ベルギー、ブリュッセル)
2003 年 第 5 回総会(米国、ニューヨーク)
URL http://www.GBDe.org/
電子商取引に関する世界ビジネス会議(GBDe:Global Business Dialogue on Electronic Commerce)は、1998 年に欧州委員会(EC:European Commission)のマルティン・バンゲマン(Martin Bangemann)委員長が世界のビジネスリーダーに、世界的な通信問題を議論する円卓会議への参加
83 電子商取引における消費者保護の国際的な動向、韓国電子取引振興院、2003 年 3 月
84 OECD における電子商取引に関する主要論議と示唆する点、ETRI、2002 年 11 月
を呼びかけたことがきっかけとなり設立された。民間、公的機関で電子商取引が発展していく上 での課題として、①税制(Taxation)、②関税(Tariffs)、③知的財産権(IPR:Intellectual Property Right)、④暗号化(Encryption)、⑤認証(Authentication)、⑥データ保護(Data Protection)、
⑦責任・義務(Liability)を挙げ、これらの問題に関する議論や共通ルールの構築に取り組んで いる。
2003 年 11 月現在、アジア、オセアニア、北米、欧州、アフリカなど世界各国から 39 社が加盟 している。日本からは、電通、富士通、富士ゼロックス、NTT データ通信、日立、松下電器、三 井物産などが参加しており、2003 年は富士通が地域共同副議長として運営委員会のメンバーとな っている。また、韓国からも LG 社と KT 社が参加している。
GBDe では 1999 年以来、政策提言をまとめる総会を毎年開催している。第 1 回総会(1999 年)
〜第 4 回総会(2002 年)における提言書の内容は下記の通りとなっている。
年(開催地) 概要
1999 年(パリ) 以下の 9 つの分野に関して、電子商取引の世界的なルールは民間 主導で行うべきであると提言。
①認証・セキュリティ ⑥裁判管轄権
②消費者保護 ⑦責任・義務
③コンテンツ・商用通信 ⑧個人情報保護
④情報インフラ ⑨税・関税
⑤知的財産権
2000 年(マイアミ) 以下の 9 つの分野におけるガイドラインを提言。
①個人データ保護 ⑥税制
②裁判外紛争解決法(ADR) ⑦デジタル・デバイド
③トラストマーク ⑧サイバー・セキュリティ
④知的財産権 ⑨権利擁護
⑤貿易
2001 年(東京) 以下の 11 分野におけるガイドラインを提言。①消費者信頼では、
「GBDe 個人データプライバシー保護ガイドライン」「ADR」「トラス トマーク」と 3 分野にわたって提言するなど、消費者信頼に重点 を置いた提言となっている。
①消費者信頼 ⑥デジタル・ブリッジ
②通信と放送の融合 ⑦電子政府
(コンバージェンス) ⑧知的財産権
③文化的多様性 ⑨インターネット決済
④サイバー倫理 ⑩税制
⑤サイバー・セキュリティ ⑪貿易・WTO
2002 年(ブリュッセル) 以下の 9 つの分野におけるガイドラインを提言。2002 年の第 4 回 総会では、ADR とプライバシーの 2 点が議論の中心となっており、
第 3 回総会に引き続き、消費者信頼に重点が置かれた提言となっ ている。
①有害コンテンツの規制 ⑥電子政府
②消費者信頼 ⑦知的財産権
③コンバージェンス ⑧税制
④サイバーセキュリティ ⑨貿易・WTO
⑤デジタル・デバイドの解消 出典:GBDe の資料をもとに作成
(1)2003 年の主な動き 第 5 回年次総会
GBDe は 2003 年 11 月に第 5 回年次総会を開催し、メンバー企業の減少に直面しながらも、2002 年以来行っている各国政府や民間企業への啓蒙活動を中心とした報告を行った。特に 2003 年には カイロ、クアラルンプール、オスロなど世界各国で 44 回もの啓蒙イベントを開催するなど、国際 的な活動を積極展開している。
また、第 5 回年次総会の公式提案書は、前頁で挙げたような従来の 9〜11 の分野でのガイドラ インを提言するという方式ではなく、2003 年の成果を報告するとともに、「インターネットの展 望」と「消費者信頼の構築」という 2 つの分野に絞り込んだ内容となっている。
第 5 回年次総会の提言書は以下のような内容となっている。
・ ビジネス・リーダーシップ:グローバリゼーションが進む現在、世界の企業がリーダー シップを発揮して各国の政府や消費者と協力して情報社会に対応するよう主唱。
・ 法規制のパッチワーク化の回避:地域的な法規制の格差が電子商取引の可能性や情報社
会の成長を妨げないように呼びかける。
・ ブロードバンド・ビジョンの統一:ブロードバンドによるインターネット・アクセスは デジタル時代を構成する重要な要素であるとの認識で一致。
・ 環境の変化への対応:ドットコム崩壊の影響は 2003 年も続いており、経済環境は依然と して厳しい。GBDe は、再編作業部会(Restructuring Task Force)の設立を検討中。
・ 運営面:メンバー企業の減少や予算が前年に比べてほぼ半減という厳しい状況のなか、
44 件もの啓蒙イベントを実施。
・ 画期的な達成:ADR のガイドラインに関して、世界最大の消費者団体である国際消費者 機構(Consumers International)との合意を達成。
・ 協力関係の拡大:APEC 内の APEC TEL 及び電子商取引推進グループとの提携関係を達成。
またアラブ ICT ビジネスフォーラム(ABFICT)との協力関係も結んだ。
・ 重点項目:2003 年は特に、ブロードバンド、サイバーセキュリティ、インターネット支 払いに重点を置いた。
インターネットの未来
GBDe は、インターネットの将来においてはブロードバンドの普及が重要であるとの共通認識を 持ち、ブロードバンドの現状と課題を示した上で、政府、企業、消費者に向けてそれぞれ提案を している。また、ブロードバンド先進国である韓国、カナダ、米国、欧州(ベルギー)の現状を 紹介している。
さらに、サイバーセキュリティ対策における提案として、①各政府は重要なインフラを維持し、
電子政府などを通じて確実な公的サービスを提供すること、②サイバーセキュリティを強化する には、企業経営者らによる組織化されたリーダーシップの確立が重要である、③政府と業界はサ イバーセキュリティにおける連携を図るとともに、企業はサイバーセキュリティに関する情報を 共有すべきである、④あらゆる国の人々や産業が電子商取引や電子政府の恩恵を受けられるよう、
世界的に適切なレベルのセキュリティが構築されるべきである、などを挙げている。
また今回、GBDe は、電子商取引に新たな側面を与える要素として、RFID(電子認証タグ)の展 望を議論している。
消費者信頼の構築
今回の提案書では、消費者信頼を構築する案件として、インターネット支払い、スパム・メー ル、ADR を取り上げている。インターネット支払いにおいては、①安全で確実な認証制度を構築 するには官民の協力が必要である、②電子商取引に関する法規制が各国でばらついており、電子 商取引が発展する上で障害となっている。各国政府は協力してこれらを統一整備する必要がある、
③但し、電子商取引を世界レベルに引き上げる前に、各国内で政府、地方自治体による体制作り が必要とされる、としている。スパム・メールについては、業界による自主規制・自主努力を訴 えるとともに、政府による法整備を要請している。最後に、ADR ガイドラインに関して、国際消 費者団体との合意に達したことを受け、同ガイドラインの普及を推進している。