3. 各国における電子商取引推進機関と推進プロジェクト
3.2 アジア・太平洋
3.2.7 オーストラリア
(1)推進機関
名称 Tradegate ECA
所在地 Level 6, 131 York Street, SYDNEY, NSW 2000, Australia URL http://www.tradegate.org.au/
組織概要 輸出入手続きのオンライン化から EDI の標準化まで電子商取引に関連する活動 を包括的に行う非営利組織
Tradegate は、企業メンバーによって構成される非営利団体で、オーストラリアにおける電子 商取引の促進のための幅広い活動を行っている。異なる業種のサプライチェーンを代表する企業
をメンバー企業として一箇所に集めることにより、オーストラリアにおける電子商取引の推進方 針の統一も図っている。
また、産業界そして政府に対し、電子商取引推進に関する顧問サービスも提供しており、電子 商取引推進戦略ポリシーの立案や、システム構築・導入など幅広い対応を行っている。Tradegate は、産業と政府との間に立ち、産業界における取り組みと政府規制とのバランスが取られるよう、
調整役としての役割を果たす。「特定の一機関が電子商取引に関する取り組みおよび規制をすべて 設定することはできない」という信念に基づき、国内外貿易に関わるあらゆる機関・団体・企業 を含めた合意形成を促進するための活動を行っている。
現在、オーストラリアにおいて Tradegate が共同で電子商取引推進活動を行っているのは、医 薬品、国内外運輸・運送、小売業、シニア産業などのセクターとなっており、Tradegate は幅広 いセクターにおいて活動を展開している。
Tradegate の活動目標は以下の 4 点にまとめられている。
• 実際に産業界でビジネスを行うメンバー企業を通じての電子商取引の推進
• 技術サプライヤーとユーザ企業との間の調整
• 電子商取引デモンストレーション・プログラムの管理
• 電子商取引を含めた IT 関連サービスの提供
Tradegate は、ISP として Connect Internet Solutions 社と契約を結んでおり、電子商取引サ ービスのプロバイダーとしても様々なサービス提供を行っている。例えばオーストラリア税関局 と独占契約を結んでおり、オーストラリア税関が取り扱う電子商取引を独占処理、年間 1,200 万 ドルの売上を計上している112。また Tradegate は、インターネット・ドメイン名システムの管理を 行う非営利団体である auDA(Australian Domain Administration)の創設メンバーであり、幅広 い活動を展開している。
(2)推進プロジェクト
プロジェクト オーストラリア税関局 Tradegate ソリューション
目標 オーストラリア税関局におけるすべての輸出入に関する電子商取引処理を行 う
期間 1989 年〜
1989 年、Tradegate は、オーストラリア税関より、税関ユーザーに対する電子ネットワーク・
サービスを提供する独占契約を受けた。これにより、税関における EDI とオンラインの両方の通 信がすべて Tradegate ハブを通り、税関に迅速に報告が行われるようになった。
112 Australian Financial Review, October 22, 2002
Tradegate によって、まず国内の列車を使った輸送における、国内輸出業者とコンテナー・ター ミナルとの間の電気通信処理が行われるようになった。これにより EDI および非 EDI メッセージ 間の変換や、インターネット上の EDI 通信、また中小企業向けのウェブ上通信などあらゆる種類 の通信がカバーされた。
輸出に関しては、ExportNet を介し、海運業社とその貿易業者を対象に、予約確認、運送指図、
見積為替手形、貨物運送状などの発行サービスが提供されている。Tradegate のビューロ・サー ビスにより、特に EDI を独自に導入することが不可能な中小業者が電子商取引を行えるようにな った。
輸入業務では、ImportNet により、海運業者から送信される電子商取引データである IDO(Import Delivery Order)を、中小輸入業者および通関業者が電子的処理ができるようになった。同ソリ ューションは、ExportNet と同様、インターネットベースの電子商取引メッセージング・システム で、中小企業にも導入が可能となっており、同時に EDI ユーザも使用が可能となっている。
さらに、電子支払機能も導入され、UN/EDIFACT を使った既存の EDI 処理ではなく、Tradegate インターネット・ウェブ型のビューロ・サービスを用い、非 EDI 電子商取引施設を持つユーザでも 使用可能となっている。
Tradegate のサービスを使用している主要なセクターは以下のようになっている。現在、輸出 入に関連した業務に携わる Tradegate 利用業者は 5 万社を超えると言われている。
• オーストラリア税関局
• 航空会社
• 海運会社
• 運送業者
• 鉄道会社
• 通関業者
• トラック運送業者
• 輸出入業者
• 倉庫業者
• 銀行・保険会社
しかし、すべての税関通信を一社が独占していることに対する産業界の反発やシステムの老朽 化などの問題点が指摘され、オーストラリア税関局は、輸出入に関する貨物管理を刷新する CMR
(Cargo Management Re‑engineering)プログラムを断行、すべてのレガシーシステムを ICS
(Integrated Cargo System)に完全入替えする計画を実行している。
現在、完全入替え作業は 2004 年 7 月 21 日に完了する計画となっており、同時に税関局による Tradegate との独占契約が解消となり、複数ベンダによるサービスが提供される。しかしながら 入替え作業は、当初の予定よりも長期化、コストも倍増するなど進行状況が良好でなく、税関局 は、2004 年 7 月の期限が守れない場合、既存の Tradegate レガシーシステムを継続使用する、と の発表を行っており、今後の動きに目が離せない状況となっている。