3. 各国における電子商取引推進機関と推進プロジェクト
3.1 北米
3.1.2 カナダ
世界標準化に向けた動き
2002 年、ECCC は、UCC(Uniform Code Council)と共に、商品コードの国際標準設定を目的に 欧州を中心に活動を行う EAN(European Article Number)International105にメンバー参加する ことになった。カナダを代表する ECCC が、北米標準統一を目標とする UCC と共に、欧州を代表す る EAN のメンバーになったことにより、消費財サプライチェーンにおけるバーコード世界標準に 一歩近づいた形となった。
EAN International と UCC、ECCC は、1997 年よりパートナーシップを組んでおり、EAN.UCC System106の共同管理を行ってきた。ECCC、UCC、EAN が共同で標準化に向けた活動を展開すること により、EAN.UCC System が国際標準としてほぼ公式に認定されたこととなり、北米における消費 財サプライチェーン間におけるデータおよび製品登録方法、データ同期化の標準化が行われ、サ プライチェーン同士の情報交換が効率的に行われるものと見られいてる。
今回の統合で、EAN International は、世界 101 カ国において 99 のメンバー機関を擁し、100 万以上のメンバー企業を擁することとなった107。同時に、UCC と EAN は今後も「国際標準管理プ ロセス(GSMP: Global Standards Management Process)」の共同管理を継続して行い、GSMP は、
EAN.USS System による標準開発の支援を行う。UCC と ECCC が公式にパートナーシップを組んだこ とにより、GSMP によってすでに進められていた国際標準プロトコルがさらに強化され、サプライ チェーン管理に欠かすことのできない製品認識、情報送信技術が世界規模で標準化されると産業 界における期待が高まっている。
コンサルティング会社の A・T・キアニー社(A.T. Kearney)によると、米国の食料雑貨産業に おいて、年間約 8,700 万ドルが手作業によるデータ入力ミスによる損失を計上しているという108。 カナダにおいても同様の問題が多発しているといい、カナダにおける約 30 の大手小売業者は、流 通パートナー業者に対し ECCnet の導入を義務付けるなど、データ電子化の動きが浸透しつつある。
今後、データ電子化が進むことにより状況改善が図られるものとして注目を浴びている。
105 1977 年に欧州で発足した商品コード標準化推進団体。本部はベルギーのブリュッセル。バーコード標準化の 他、EANCOM(流通業用国際標準 EDI)や GLN(Global Location Number)の開発、生鮮食品の追跡管理システムの 研究など幅広い活動を展開。日本は 1978 年に加盟。
106 EAN.UCC System は、バーコード、EDI トランザクション・セット、XML スキーム、サプライチェーン管理ソリ ューション等の標準化を行う。同システムを通じ、UCC と EAN International は、最も精度の高い製品認識サー ビスを提供している。EAN.UCC System を導入している小売業者は 100 万社以上と言われている。
107 Uniform Code Council and electronic Commerce Council of Canada Join EAN International , Business Wire, December 16, 2002
108 Paperless repository presses forward , Computing Canada, July 18, 2003
(2)推進プロジェクト
プロジェクト GTIN 2005 Sunrise
目標 北米における電子商取引用商品コードの統一(14 桁)
期間 2005 年 1 月 1 日まで
ECCC が行った最近の大型プロジェクトとしては、「GTIN Sunrise 2005」が挙げられる。同プロ ジェクトは、北米の ECCC および UCC 加盟企業すべてが 14 桁の標準バーコードで統一する、とい うもので、2005 年 1 月 1 日を締切日として一斉導入を行う計画である。
今まで上記にも記載したように、各国において標準機関によって作成された複数の標準が同時 に使用されており、国際標準が存在しないため、各地で頻繁に問題が発生していた。これらの問 題を解消するため、現時点で最長の 14 桁のバーコードを世界標準として導入、これを GTIN(Global Trade Item Number)と呼び、各国・各産業セクターにおいて浸透させることが同プロジェクトの 目的となっている。GTIN の導入により、現在使用されている以下のようなバーコードが同期化さ れ、シームレスなデータ交換が可能になる。
• UCC‑12
• EAN/UCC‑13
• SCC‑14(Shipping Case Codes)
• RSS(Reduced Space Symbology)(14 桁)
• EAN/UCC‑8
これまでの経緯を説明すると、北米では 1973 年に UPC(Universal Product Code)がバーコー ド標準となり、以来、同標準が北米で使用されていた。UPC は、13 桁の番号を使用する欧州のEAN‑13 のシステムを踏襲する形を取っていたが、2 つのシステムは微妙に異なっており、欧州の業者が 製品を北米に出荷する際、UPC バーコードを追加するなど手間がかかっていた。
一方、米国で導入されているスキャナーは欧州製品のバーコードを読み取ることができたため、
米国業者にとっては特に問題は生じていなかったが、世界標準に近づけるため、欧州と北米にお けるバーコード標準プログラムである「GTIN Sunrise 2005」プログラムの発足となった。
GTIN 統一により、データ同期化が簡素化され、電子商取引の機能がさらに拡大されるものと見 られている。例えば、無線 IC タグ(RFID: Radio Frequency Identification)などの技術導入が 促進されると見られており、産業界における期待が高まっている。
出典:The 2005 Sunrise Data for North American Retailers, ECCC, Oct. 2002
図 3‑1 Sunrise 2005 で統一されるバーコード
しかしながら、スーパーの産業団体である GMA(Grocery Manufacturers of America)も指摘 しているように109、より完全な形態での電子商取引体制を整えるためには、最終的にはバーコー ドを 24 桁まで延長する必要があるとの認識が産業界ではなされている。そのためより長期的な展 望を持って今回の Sunrise プロジェクトに望むよう GMA は会員業者に対して警告を発している。