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アジア太平洋経済協力会議(APEC)

2.  国際機関及び各国の電子商取引政策動向

2.1  国際機関

2.1.6  アジア太平洋経済協力会議(APEC)

(1)概要 

名  称  アジア太平洋経済協力会議 

(APEC:Asia Pacific Economic Cooperation) 

設立年度  1989 年 1 月 

本  部  シンガポール  加盟国数  21 カ国 

活動目的  アジア・太平洋地域の国家間の経済協力のため、世界経済の挑戦に共同で対応し、

域内の財貨、用役、資本の移動を促進するための貿易、投資、経済成長および開 発などを推進する。 

EC 関連  政策 

‑ 1997 年 3 月、電子署名に関する法的、技術的構造について提言、1988 年電子 商取引活動の青写真の提案 

‑ 2001 年 10 月、2001 年 11 月にカタールで開かれる予定の WTO 閣僚会議まで、

EC に対する非関税措置を保護する意向を発表 

‑ その後、非関税措置を 2003 年まで延長することに各国が同意、認証国として の国際的な法的構造の構築活動に対する協力、消費者保護に関する同一の対応 の必要性を確認、各国の知的所有権保護に関する法的な整備状況を公開 URL  http://www.apecsec.org.sg 

 

APEC で電子商取引の論議が始まったのは、1997 年 11 月、カナダ・バンクーバーの「第 5 回 APEC 首脳会議」からである。この会議で発表された宣言文によって、初めて APEC レベルの電子商取引 ワーキングプログラムを開発することが決まった。この宣言文では、電子商取引の重要性を認識 し、ビジネス部門の中心的役割を強調する一方、APEC 加盟国が電子商取引を通じた利益を高める ことができるように一貫性ある法的規制をつくり、域内電子商取引促進のための広範囲な原則を 制定するとした。 

APEC での電子商取引論議と協力活動は、加盟国が電子商取引政策を推進するに当たり、政策面 での経験、有用な情報、模範事例などを共有し、政策・立法ガイドラインや勧告事項を提示する 作業に重点を置いて進められている。しかしながら、APEC は開放的地域主義89を標榜する非拘束 的協議体であるため、特定の問題の具体的な規則化作業や実質的な意見調停は成されていない。 

APEC における電子商取引についての主要論議と活動は、APEC 首脳会議(Economic Leaders)、 APEC 民間諮問委員会(ABAC:Business Advisory Council)、APEC ハイレベル会議(SOM)、貿易投 資委員会( CTI:Committee on Trade and Investment)、電子商取引運営グループ(ECSG:Electronic  Commerce Steering Group)、ワーキンググループ(Working Group)(11 個)など、多様な機構で 活発に進められている。 

       

89 開放的地域主義(open regionalism)というのは、APEC 域内の貿易‑投資の自由化を推進するにあたって、域 外に対する排他的な地域主義を止揚し、域内の貿易‑投資の自由化を通して域外国の自由化も推進させる効果を導 くことを意味する。 

このなかで、ECSG90は、APEC の電子商取引活動を継続的に支援し、APEC の「電子商取引に関す る活動の青写真(APEC Blueprint for Action on Electronic Commerce)」としてまとめられた作 業計画を履行する役割を果たしている。第 1 回会議を、1999 年 6 月、ニュージーランドのオーク ランドで開催し、以後、APEC フォーラムで電子商取引に関する本格的な施行方法を模索し、青写 真の作業計画・履行計画を検討した。以後、2000 年 7 月、タイ・バンコクで第 2 回会議を開き、

2001 年 3 月、オーストラリア・キャンベラで第 3 回 ECSG 会議、続いて 8 月に第 4 回 ECSG 会議(中 国・大連)を開催し、現在までに、8 回91、会議を開催した。 

 

(2)APEC の電子商取引活動  

(ⅰ)電子署名、認証  

1997 年 3 月、APEC 電気通信推進グループ(APEC Telecommunications Working Group)は、

オーストラリア、日本、香港、中国、韓国、シンガポール、台湾、アメリカの代表者たちで 構成された「公開キー認証対策グループ(Public Key Authentication Task Group)」を設置 し、電子署名に関する法的、技術的構造についての提言を行った。また、同委員会内に「 APEC 電子認証実務グループ(APEC Electronic Authentication Task Group)」を設置し、国際的 な認証国としての法的構造を構築するために活動している UNCITRAL に対して助言した。 

 

(ⅱ)電子商取引での貿易円滑化のための行動計画 

APEC 電子商取引運営グループ(APEC Electronic Commerce Steering Group)は、第 5 回 ECSG 会議で、APEC 貿易投資委員会(CTI)代表が貿易円滑化のための行動計画(TFAP)およ び ECSG の役割に関する報告をし、APEC 電子商取引運営グループは、ペーパーレス貿易の実 現とシンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などの提案を反映した「電子 商取引における具体的な貿易円滑化のための行動および措置」を採択した。 

一方、第 6 回会議で、アメリカは、電子商取引における貿易円滑化のための行動および措 置に関わる活動をしている TEL、税関手続小委員会(SCCP)、ビジネス関係者の移動に関する 非公式専門家グループ( IEGBM)など、関連協議団体と協力して貿易円滑化のための行動計画 について論議する必要性があると提起した。 

 

(ⅲ)税制 

2001 年 10 月と 2001 年 11 月にカタールで開催される予定の WTO 閣僚会議まで、電子商取 引についての非関税措置を維持する意向を発表した。その後、同非課税措置を 2003 年まで延 期することに各国が同意している。 

 

(ⅳ)消費者保護 

APEC 電子商取引運営グループは、2000 年に電子商取引と消費者保護という議題で研究会を        

90 1999 年 2 月、APEC ハイレベル会議で電子商取引運営グループ(ECSG)が設立された。 

91 第 5 回会議(メキシコ・メキシコシティ、2002 年 2 月)、第 6 回会議(メキシコ・アカプルコ、2002 年 8 月) 第 7 回会議(タイ・チェンマイ、2003 年 2 月)、第 8 回会議(タイ・プーケット、2003 年 8 月)が開催された。 

開催し、APEC による消費者保護の統一構造の必要性を確認した。2002 年から APEC 電子商取 引消費者保護報告書および消費者保護ガイドライン作業が進められ、2002 年 2 月に開催され た第 5 回 ECSG 会議で、ニュージーランドとアメリカは APEC 電子商取引消費者保護に関する 最終報告書とオンライン消費者保護ガイドラインをそれぞれ説明した。各加盟国は同報告書 とガイドラインの価値を高く評価し、SOM III と APEC 閣僚会議に提出することにして消費者 保護関連の 2 年間の作業を終了した。 

 

(ⅴ)個人情報の保護  

2002 年 8 月、アメリカは、APEC 加盟国を対象に政策経験の共有と今後の作業課題究明のた めのアンケート調査を実施し、このアンケート調査結果をもとに、今後の APEC 個人情報保護 勧告案を作成することにした。また、2003 年に個人情報保護ワークショップを開催すること で合意した。 

 

(ⅵ)ペーパーレス貿易実現のための個別行動計画  

APEC 事務局は、第 6 回 ECSG 会議で、ペーパーレス貿易実現のための個別行動計画(IAPs)

の履行報告書で、各国の計画提出状況(加盟 12 カ国)、ウェブサイト登録計画、今後の措置 などを報告し、IAP を提出しない国に対しては閣僚会議(AMM)までに提出することを要求し た。これに対し、各加盟国はすでに提出した IAP 内容を再確認し、2002 年 10 月までに IAP ウェブサイトに登録することにした。また、シンガポールは電子原産地証明書の発給および 送信を、オーストラリア、ニュージーランドは電子検疫証明書の送信を、台湾はペーパーレ ス貿易分野での貿易円滑化のための行動および措置を、それぞれ発表した。 

これに対し、ECSG は、アメリカ、オーストラリア、台湾、シンガポールなどで小グループ を構成し、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などの提案を反映した 電子商取引での貿易円滑化行動および措置を作成し、採択した。