3. 各国における電子商取引推進機関と推進プロジェクト
3.1 北米
3.1.1 米国
(1)推進機関
名称 RosettaNet
所在地 1851 E. First St., Suite 1050, Santa Ana, CA 92705 USA URL http://www.rosettanet.org
組織概要 企業間電子商取引における標準化に取り組む民間コンソーシアム
概要
RosettaNet は、500 以上の国際大手通信関連企業をメンバーに擁する、非営利の民間コンソー シアムであり、1998 年に設立された。活動の主要目的は、B2B の基盤となる標準規約の設定であ り、XML をベースに、取引に使用される製品コードやビジネスプロセスなどの制定を行っている。
IT 業界における企業間ビジネスプロセス電子化を進め、業界全体でのサプライチェーンの効率化 を図っている。また企業間電子商取引におけるシステム間接続インターフェースや用語などの標 準化も進めている。メンバー企業は、情報技術、エレクトロニクス・コンポーネント、半導体製造 業、電気通信、ソリューション・プロバイダーなど、多岐に渡っている。
RosettaNet は、米国における大 手企業・団体が多く参加しており、
現在、米ハイテク産業において最 も影響力の大きい組織の 1 つと見 られている。RosettaNet で制定さ れた標準をよりグローバルなサプ ライチェーン構築のための国際標 準とするため、世界中の企業・団体 に対し RosettaNet への参加を促 し、各国における提携組織の発足 を呼びかけている。
既に日本、韓国、台湾、シンガポールなどにおいて RosettaNet の現地組織が設立され、2003 年 9 月には中国がこれに加わるなど、アジア各国で RosettaNet を中心とした電子ビジネス標準化 が進んでいる。また欧州、南米においても提携組織が設立され、国や地域の枠を超えた世界的な 活動となっている。500 を超える国際的な RosettaNet メンバー組織のうち、63%がアジア地域を
RosettaNet 提携組織分布図
拠点としており、37%が北南米、欧州となっている(上図参照99)。
これまでの経緯
以下に RosettaNet の主要な活動をまとめた。
1998 年
• RosettaNett グローバル・コンソーシアム結成
• RosettaNet アメリカ発足
• IT 委員会発足
1999 年 • EC(エレクトロニクス・コンポーネンツ)委員会発足
• RosettaNet 欧州発足
2000 年
• PIP(Partner Interface Process)提携機関が 16 機関を記録
• RosettaNet ジャパン発足
• RosettaNet 台湾発足
• 半導体製造業委員会発足
• RosettaNet シンガポール発足 2001 年
• RosettaNett 韓国発足
• ソリューション・プロバイダー委員会発足
• PIP 提携が 38 機関を記録
2002 年
• RosettaNett マレーシア発足
• UCC(Uniform Code Council)と合併
• PIP 提携が 53 機関を記録
• RNIF100(RosettaNet Implementation Framework)バージョン 2.0 リリース 2003 年
• RosettaNett フィリピン発足
• 電気通信委員会発足
• RNTD101(RosettaNet Technical Dictionary)バージョン 3.0 リリース
(2)推進プロジェクト
プロジェクト PIP(Partner Interface Process)
目標 B2B ビジネスプロセスを規定するインターフェース 期間 1998 年〜
RosettaNet は、その核心ともいえる、PIP(Partner Interface Process)と呼ばれる B2B イン ターフェースを開発、PIP 導入企業は世界規模で浸透している。PIP は、製品発注の際に提供する 情報、通信方法、発注確認の返答など、サプライチェーン内の企業間でやり取りされる B2B ビジ ネスプロセスを規定するもので、企業間のビジネスプロセスを以下の 7 つの工程に分類している。
1. 取引先製品とサービス管理 2. 製品情報
99 Annual Sumamry Report 2002/2003, RosettaNet
http://www.rosettanet.org/rosettanet/Doc/0/6CA862VN341KH1QV5ASQEEBM31/RosettaNet+Annual+Sumary6‑2‑03 .pdf
100 通信プロトコル、電子署名、認証などインターネットを介して通信を実現するために必要な技術要件を規定。
101 製品カテゴリ、製品毎に属性等を定義。
3. 受発注管理 4. 在庫管理
5. マーケティング情報管理 6. サービスとサポート 7. 製造管理
サプライチェーンにおける 2 社間で発生する様々なやり取りが、PIP によって場面ごとに種類 分け、定義が行われ、それぞれに番号が付けられている。以下に RosettaNet のメンバーである Intel 社による卸業者との取引の際の RosettaNet PIP 使用例を示す。Intel は、RosettaNet PIP によって、バックエンドのコンピュータ間のインタラクションを標準化し、多くの手作業による 入力作業をなくしている。同プロセスにおいて、決定や変更などの管理業務は人為的に行われる ものの、取引情報処理はシステム自体が行う。
顧客 RosettaNet PIP 業者
購入:買手は ERP102システムに
て発注書を作成 3A4(発注書要求) カスタマー・サービス:売主は ERP システムで発注書を受領 買手は ERP で発注書変更を受
領 3A7(発注書更新の通知) 売主は ERP に発注書変更を入 力
買手は ERP に発注書変更の要
求を入力 3A8(発注書変更要求) 売主は ERP で発注書変更の要 求を受領
荷受業務:買手は ERP で積荷
書類を受領 3B2(出荷通知) 倉庫:倉庫は ERP で出荷書類 を作成
買手は ERP で請求書受領 3C3(請求書通知) 貸方は ERP で請求書を発行 財務:会計士は ERP で支払勧
告を行う 3C6(送金勧告の通知) 貸方は ERP で支払勧告を受領 出典: RosettaNet , ComputerWorld, August 11, 2003
http://www.computerworld.com/managementtopics/ebusiness/story/0,10801,83809,00.html
2002 年 8 月、製品コードや生産者識別コード標準を発行し北米における標準化を目標とする団 体である UCC(Uniform Code Council)103が RosettaNet を合併吸収し、RosettaNet は UCC の下部 組織となった。両社合併により、今後、B2B 標準規格の共同開発が行われることとなった。UCC は小売および食品雑貨業界を中心に、バーコードの設定・管理を行っており、両者は 1998 年以来、
標準規格を導入する際の手順を統一するためのプロジェクトで協力関係にあった。両社合併の主 な目的は、XML ベースの標準規格の各業界における普及活動を通じて、両者が統一的なアーキテ クチャ環境を構築すること、とされている。
102 Enterprise Resource Planning
103 北米で活動を展開する標準化団体で、UCCnet を運営。UCCnet はインターネットを使った商品情報交換に関連 する活動を支援し、商品、取引先の情報を登録する GLOBALregistry の機能を提供する。