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経済協力開発機構(OECD)

2.  国際機関及び各国の電子商取引政策動向

2.1  国際機関

2.1.1  経済協力開発機構(OECD)

(1)概要 

名  称  経済協力開発機構(OECD:Organization for  Economic Co‑operation and Development 

設立年度  1961 年 9 月 

本  部  パリ(フランス)  加盟国数  30 カ国 

活動目的  経済協力を通して世界の経済成長や発展途上国の援助、自由貿易拡大に寄与すべ く設立された。 

EC 関連  政策 

‑ 1980 年「私生活保護および個人データの国家間送信に関するガイドライン」 

‑ 1985 年 4 月「国家間データ送信についての宣言文」 

‑ 1992 年 11 月「情報システムの安全性に関するガイドライン」 

‑ 1997 年「暗号政策ガイドライン」 

‑ 1999 年「1999 年、グローバルにネットワークされた社会での認証概要」 

‑ 1999 年 12 月「電子商取引の消費者保護のための OECD ガイドライン」 

‑ 2002 年 7 月「情報システムおよびネットワークセキュリティ指針」

URL  http://www.oecd.org    

電子商取引についての OECD の論議は、すでに 1980 年代から進められ、1994 年以降、電子商取 引の応用についての論議が本格化している73。OECD は、1997 年にフィンランドのトゥルクで電子 商取引促進のための政府民間合同国際会議を開催し、1998 年にはオタワで電子商取引閣僚会議を 開催して、電子商取引関連閣僚宣言を採択した。その後続措置として 1999 年に実務級会議である 電子商取引パリフォーラムを開催し、2001 年、電子商取引に関する新興市場経済フォーラムを開 催して、主要な問題点についての論議を進めている。 

OECD における電子商取引論議は、3 つの大きな軸を中心に論議されている。すなわち、①有線 通信網、CATV 網、TV、コードレス通信、衛星通信など、インターネット基盤施設を中心とした情 報通信インフラ、②個人情報保護、市場アプローチ、情報利用価格、租税など、電子商取引にか かわる公共政策、法律、制度など社会的インフラ、そして③ネットワーク内の技術的標準やセキ ュリティ、認証、代金決済などの主要な技術を構成要素とした技術インフラなどを、その論議の 内容として含んでいる74。また、最近の情報通信技術の発達とインターネットの商用化によって、

インターネット電子商取引が急速に広がっており、これを支える全世界的な法的・制度的枠組み

       

73 OECD における電子商取引論議は、その背景として、情報通信技術の発達とインターネットの商用化にともない、

電子商取引(electronic commerce)が急速に拡大し、それを支える世界的な法的、制度的枠組みの必要性が高ま った結果、OECD の主要論議課題として浮上してきたといえる。 

74 ニューラウンドと電子商取引、法務部、2001 年 1 月 

の必要性が高まっていて、OECD など、国際機関の主要論議テーマとして浮上している75。  一方、OECD 傘下の多くの委員会のなかで、電子商取引を含む情報通信関連問題を主に論議して いる委員会は、科学・技術・産業局(Directorate for Science, Technology and Industry; DSTI)

傘下の情報コンピューター通信政策委員会(Information, Computer and Communications Policy; 

ICCP ) で あ る 。 ま た ICCP は 、 ① 通 信 情 報 サ ー ビ ス 政 策 作 業 部 会 ( Working Party on  Telecommunication and Information Service Policy; WPTISP)、②情報経済作業部会(Working  Party on Information Economy; WPIE)、③情報セキュリティ・プライバシー作業部会(Working  Party on Information Security and Privacy; WPISP)、④情報社会指標作業部会(Working Party  on Indicators for the Information Society; WPIIS)など、4 つの下部実行グループで構成さ れ、電子商取引についての作業の中核として活動している。 

このほかにも OECD 内部で電子商取引関連作業を行っている組職として、食糧・農業・水産業局

(Directorate for Food, Agriculture and Fisheries)、貿易局(Trade Directorate; ECH)、金 融・財政・企業局(Directorate for Financial, Fiscal and Enterprise Affaires; DAFFE)な どがあるが、まだ基礎的な段階に過ぎない76。 

 

(2)電子商取引の主要問題点別、OECD 論議の経過 

(ⅰ)課税 

OECD の電子商取引上の租税論議は、1997 年 11 月、フィンランド・トゥルク会議で、各加 盟国政府と民間企業の代表者たちが、全世界的な電子商取引が租税制度に与える影響につい ての論議を始めたことにより本格化した。その後、1998 年 10 月、カナダ・オタワ閣僚会議 の際、電子商取引課税体系の基本原則を承認し、電子商取引を既存取引と比べて不利になら ない租税対象にしなければならないと宣言した。また、電子商取引課税の基本原則として、

中立性、効率性、確実性、単純性、効果性、公正性、予測可能性が明確に打ち出された。 

OECD は、2002 年末までに国際電子商取引上の課税についての主要争点に合意し、2003 年 6 月までに課税指針を出すことにした。OECD は、それまで加盟国間で課税方式に関して異なる 意見の出ていた B2C 取引での顧客居住地確認方法と、課税手続き簡素化などの争点について、

12 月末までに合意案をつくることにした。B2B 取引に関して、OECD は、購入者である事業者 が、供給者から消費税(付加価値税)を預かり、自分の事業所の所在国に、供給者の代わり に納めるようにするということで合意した。B2C 取引に関しては、消費税は、消費者が主に 居住する国で課税するが、供給者が消費地国に事業者登録をし、該当国に税金を納めること にすることで、OECD 内部で合意した状態である。 

これに関して、事業者の負担を最小化できるようにする 3 種類の租税徴収方法が論議され ている。まずその 1 つは、バーテックスモデルである「クレジットカード取引を利用した徴 収方法」。これは、カード会社が共同で別の取引転換会社をつくり、電子商取引企業の事業者 登録を代行し、クレジットカード会社で入力されたカード所有者の情報を根拠に消費税管轄 国を把握して、カード決済額に含まれた消費税を分離して個別の国に納める方式である。2        

75 OECD における電子商取引に関する主要論議と示唆する点、ETRI、2002 年 11 月 

76 e‑ビジネスでの国際協力についての論議動向および対応方案、韓国電算院、2001 年 12 月 

つ目は、IBM の「世界登録機構を通じた徴収方法」で、国家間の合意をもとに世界登録機構 をつくり、この機構が、全世界の事業者の事業者登録事項を管理しながら、消費地国に信頼 できる第 3 者を置き、事業者の税金納付を代行するようにする方式だ。3 つ目は、タックス ウェアの「電子的消費税支払い方法」で、アメリカのノースキャロライナ、ミシガン、カン ザスなど 4 州で使っているものであり、バーテックスのデータベースに各国の物品コードや 消費税率などを保存し、顧客が商品を選択すると同時に各国の消費税率によって消費税額を 自動的に計算し、販売者の代わりに定期的に税務当局に申告と税金納付をする方式である。 

国際的な電子商取引をする企業は、この 3 種類の方式のうち、どの方式が採択されても、

消費税徴収のためのソフトウェアを設置しなければならず、事業者登録業務および消費税納 付を代行するようになる会社や機構に代行手数料を払わなければならないなど、費用負担が 増える77。 

 

(ⅱ)電子署名 

OECD は、1998 年 10 月、カナダ・オタワ閣僚会議で、電子商取引の安全性および信頼性確 保のための電子商取引認証の重要性を強調し、電子署名技術およびその他の認証メカニズム の活用を促進するため、さまざまな行動指針を提示する「電子商取引のための認証に関する 閣僚宣言(Ministerial Declaration on Authentication for Electronic Commerce)」の採 択を承認した。この認証宣言は、ICCP 小委員会(1998 年 3 月)および ICCP セキュリティ・

プライバシー保護専門家グループ会議( 1998 年 5 月)での草案検討と ICCP 実行委員会(1998 年 9 月)の採択を経て、同年 10 月、オタワ閣僚会議で承認するに至ったものである。 

この認証宣言は 4 つの内容を含んでいる。第 1 に、他の国家の電子認証に対して差別しな い。第 2 に、認証技術と認証メカニズムの開発努力を奨励し、電子商取引のための認証技術 と認証メカニズムの利用を促進する。第 3 に、必要な部分については 1996 年の UNCITRAL の モデル法の条項との相関性を肯定的に検討しながら、情報通信技術と電子認証メカニズムの 利用において障害になる可能性のある現行法・政策の技術と媒体に特定された規則を改正す る。第 4 に、政府の対国民サービス関連プログラムを強化するために電子認証技術を継続し て活用し、全世界的な電子商取引を促進するために事業者・産業界・利用者代表とともに認 証技術とメカニズムに関する国際的レベルの努力を継続的に行うという内容である。 

オタワ閣僚会議では、認証宣言以外にも、電子署名および認証に関わる OECD 加盟国の法律 および政策動向と、公共部門および民間部門の国際活動などについて、OECD/DSTI/ICCP/セキ ュリティ・プライバシー専門家グループが調査した報告書「全世界的ネットワーク社会での 認証・証明方法リスト」を発表した78。 

 

(ⅲ)情報保護とプライバシー 

OECD の個人情報保護問題に関する論議は、主に ICCP と同委員会傘下の WPISP で行われて いる。OECD は、1980 年、個人情報の収集と管理に関する国際的な合意を導き出し、個人情報        

77 国際電子商取引上の 「課税」に関する OECD の方針、情報通信政策研究院、2002 年 9 月 

78 OECD オタワ電子商取引閣僚会議の主要争点および対応方案、韓国電算院、2000 年 8 月