第 2 章 逐条解説
8. 第 6 条(ソース形式以外でのコンベイ)第 1 〜 2 パラグラフ
8.4. 関連法令等
x GPLv2 3条
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【第1パラグラフc項の適用場面がGPLv2と比べて厳格化された理由】
この条項は GPLv2 第3条第1パラグラフc項に相当するものであるが、GPLv2は 非商業的な配布に限っているのみであった。GPLv3 はそれに加えて、「非定常的」
(occasionally)という文言が加えられている。そのため、c項の方法を利用できる場合
がGPLv2 よりも限定されている(非商業的なだけでなく、非定常的でもなければなら
ない)。
c項の適用範囲に厳しい制限が付されている理由を、以下の配布チェーンを用いて 説明する。
X
Y
Z
b 項による一次配布者
受領者
c項による二次配布者
この配布チェーンにおいて、(複数の)Z は、Y から提供された申出書の写しをもと に、Xに対し対応ソースの配付を請求することが可能となる。
例えば、XがLinuxのディストリビュータで、中間のYがLinuxをベースとしたシ ステムインテグレータの場合、Yがc項を根拠としてオブジェクトコードのみを配布し たとする。そうすると、多数のZからの対応ソース配布の要求がXに対してなされる 可能性があり、Xはb項に基づいてZに対して対応ソースの配付義務を負うことになる。
その結果、Y自身が GPL プログラムを用いてソフトウェア・ビジネスを行っているに も関わらず、Yは対応ソースの配付作業に伴う負担を免れ、その負担をXに押し付ける ことになる。このような状況は、全体のサプライチェーンを見た場合、不公平であると 考えられる。
上記の事情はGPLv2とGPLv3とで同じであるが、インターネットの普及に伴って、
非商業的な活動であってもウェブサイトを運営することが容易になってきた。
そこで、GPLv3では、「非商業的」とはいえ「定常的」に配布を行うのであれば、そ
れなりの義務(すなわち、対応ソースの提供義務)を課すべきであろうという考えから、
c項の方法を利用できる場合を「非商業的」であることに加え「非定常的」でもなけれ ばならないという条件を加重したものと考えられる(もちろん、この場合に Y は改め てb項に従う配布を行うこと、つまり、Yの配付する申出書に、Xに対してではなく、
Y宛てにソースコードを請求すると記載することは可能である)。
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なお、組込み機器の流通経路における卸や販売店、あるいは中古品販売業者は、一見 すると上図のYに当たり、非商業的という要件を欠くために、c 項の適用を受けず、b 項に基づいて対応ソースの配付義務を負うかのように思われるかもしれない。しかし、
これらの流通業者にはGPLv3は適用されないから、そのような心配は無用である。な ぜなら、流通業者は単に組込み機器を譲渡しているに過ぎず、著作権者の許諾を要する ような行為は行っていない。したがって、「プロパゲート」(第0条第6パラグラフ)に 当たる行為を行っていないから、GPLv3 の適用を受けることはない(第 9 条)からで ある。
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