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第 12 条(他者の自由の放棄の禁止)

ドキュメント内 GPLv3 逐条解説 (ページ 137-140)

第 2 章 逐条解説

15. 第 12 条(他者の自由の放棄の禁止)

12. No Surrender of Othersʹ Freedom. 

If conditions are imposed on you (whether by court order, agreement or otherwise) that  contradict the conditions of this License, they do not excuse you from the conditions of  this License. If you cannot convey a covered work so as to satisfy simultaneously your  obligations under this License and any other pertinent obligations, then as a consequence  you may not convey it at all. For example, if you agree to terms that obligate you to collect  a royalty for further conveying from those to whom you convey the Program, the only  way you could satisfy both those terms and this License would be to refrain entirely from  conveying the Program. 

 

(訳) 

12. 他者の自由の放棄の禁止 

本許諾書と矛盾する条件があなたに課せられた場合(裁判所による命令、契約、その他 を問わない)でも、あなたは本許諾書の義務を免れることはできない。本許諾書上の義務 と他の義務の両方をともに満たすような形で対象著作物をコンベイすることができない場 合、あなたは、当該著作物をコンベイすることは一切許されない。例えば、あなたが、あ なたから対象著作物をコンベイされた者がさらにコンベイをする行為に対してロイヤルティ を徴求する義務を負う条項に同意していた場合、当該条項と本許諾書の両方の要求を充足 しうる唯一の方法は、本プログラムのコンベイを完全に中止することである。 

 

15.1. 概要

本条は、GPLv3プログラムの配布者がGPLv3と矛盾する義務を負っている場合の扱いを

定めている。 

 

15.2. 条文内容

GPLv3プログラムの配布者が第三者との間の契約でGPLv3と矛盾する条件を課されてい

る場合でも、GPLv3の義務を免れることはできない。第三者との契約とGPLv3の定める条 件の両方を満足できない場合は、GPLv3プログラムの配付を中止する他ない。 

「GPLv3 と矛盾する条件」の例としては、X がプログラムの創作者すなわち著作権者Y

からプログラムの著作権ライセンスを受け(サブライセンス権付き)、そのプログラムを

GPLv3のもとで配付するに際して、Xの顧客Zからロイヤリティを徴収する義務を負う場

合が挙げられる。この場合、ロイヤリティを徴収しなければX・Y間の契約に違反すること になるが、ロイヤリティを徴収するとGPLv3 第10 条で定められた「本許諾書が規定する

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以上の追加的制限を課してはならない」旨の条件に違反することになる。 

他の例としては、第三者から守秘義務を課せられた情報を使用してGPLv3プログラムを 改変し、そのオブジェクトコードを配付した場合、ソースコードを提供すれば守秘義務に 違反し、ソースコードを提供しなければGPLv3に違反することになる。 

 

本条のような定めがなくとも、GPLv3に違反すれば第8条に基づいてライセンスが終了 し、以後、GPLv3プログラムを配付することはできなくなるが、本条の目的は、GPLが約 束する自由(コピーレフトの 4 つの自由)を受領者に完全に与えないような配付を未然に 防止することにある。 

本条のタイトル ”No Surrender of Othersʹ Freedom”(他者の自由の放棄の禁止)は、こ の目的を意味している。 

 

15.3. GPLv2との異同

本条は、GPLv2第7条と同旨の規定である。 

GPLv2では4つのパラグラフで構成されていたが、GPLv3では第1パラグラフの表現が

改訂された他、第2〜4パラグラフに相当する規定は設けられなかった。 

GPLv3の第1パラグラフは、FSFの従来の解釈を明文化するよう改訂されたものである83。  GPLv2第7条第2パラグラフは、準拠法国の裁判所によりGPLv2第7条の一部が無効な いし執行不能(invalid or unenforceable)な場合でも、本条の残りの部分は適用されるよう 意図されている旨を述べていた。この定めは、一般の契約書でも規定されることが多くあ る。この規定がない場合、裁判所は、本条すべてを有効とするかあるいは本条すべてを無 効と判断することになろう。そこで、GPLv3 においては、この規定を設けない方がすべて の条項を有効と判断される可能性が高まると考え(裁判所は本条すべてを無効と判断する ことを避けようとするであろうという期待)84、GPLv3では規定されなかった。 

GPLv2第7条第3パラグラフおよび第4パラグラフについては、実質的な条件を含んで

いないことから、必要ではないとの理由でGPLv3では規定されなかった85。 

以上から、本条に関しては、GPLv2とGPLv3の実質的な差異はないものといえる。 

 

15.4. 関連法令等

83ディスカッションドラフト第1版解説解説2.13項 

84ディスカッションドラフト第1版解説解説2.13項 

85ディスカッションドラフト第1版解説解説2.13項およびディスカッションドラフト第2 版解説・脚注93 

‐ 127 ‐  x GPLv2 7条 

‐ 128 ‐ 

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