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第 8 条(ライセンスの終了)

ドキュメント内 GPLv3 逐条解説 (ページ 108-113)

第 2 章 逐条解説

11. 第 8 条(ライセンスの終了)

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たに供与されたライセンスは、(a)当該著作権者が当該ライセンスを明示的かつ確定的に 終了させるまでの間は、暫定的に回復するものとし、(b)違反行為の中止後60日以内に、

当該著作権者があなたに対して合理的な手段で違反の事実を告知しなかった場合は、恒久 的に回復するものとする。 

(第3パラグラフ) 

さらに、ある著作権者があなたに対して合理的な手段で違反の事実を告知した場合にお いて、それが本許諾書の違反(いかなる著作物に関するものであるかを問わない)に関す る当該著作権者からの最初の告知であり、かつ当該告知受領後30日以内に違反を是正した 場合は、当該著作権者からあなたに供与されたライセンスは、恒久的に回復するものとす る。 

(第4パラグラフ) 

本条に基づいてあなたの権利が消滅した場合でも、本許諾書に基づいてあなたから複製 物又は権利を受領または承継した者に対する許諾は、消滅しないものとする。あなたの権 利が消滅し、恒久的に回復されないこととなった場合、同一のライセンス対象に対する新 たなライセンスを本第10条に基づいて取得することもできなくなる。 

   

11.1. 概要

本条は、GPLv3に違反する行為を行った場合のライセンスの終了について定めている。 

また、本条所定の要件を満たした場合には、違反により自動的に終了したライセンスが 暫定的あるいは恒久的に復活することが定められている。 

 

11.2. 条文内容

11.2.1. 第1パラグラフ

GPLv3プログラムをGPLv3に明示的に規定されている方法以外でプロパゲートし、また

は改変しようと試みた場合には、GPLv3に基づく権利が自動的に終了する。 

したがって、本パラグラフに該当した場合は、以後受領したGPLv3プログラムを再配布 したり改変することはできなくなる。 

ただし、受領したプログラムを改変せず受領したときの内容のままで社内で使用し続け ることは、この場合でも可能である。プログラムを実行する行為については、GPLv3 の受 諾が不要とされているからである(第9条)。 

いまだGPLv3に違反する行為を実際に行っておらず、それを試みようとした段階で本パ

ラグラフに該当するとされている点には注意が必要である。実際にどのような行為がこの

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試み(any attempt)に該当するかはケースバイケースで判断される問題である。 

なお、対象となる権利には、第11条第3パラグラフに基づき許諾される特許ライセンス も含まれる。 

 

11.2.2. 第2パラグラフ

第1パラグラフに基づきライセンスが自動的に終了した場合でも、違反行為をすべて停 止した場合には、次の区分に応じて、ライセンスが暫定的または恒久的に回復され得る。 

 

(a)暫定的回復 

著作権者がライセンスを明示的かつ確定的に終了させるまでの間は暫定的に回復さ れる。 

(b)恒久的回復 

違反行為の中止後 60日以内に、著作権者が合理的な手段により違反の事実を告知 しなかった場合には、恒久的に回復される。 

 

ただし、ライセンスの暫定的/恒久的回復は、個々の著作権者毎にその要件が判断され る。例えば、受領したプログラムがAが著作権を保有する部分とBが著作権を保有する部 分からなっている場合、Aとの関係ではライセンスが恒久的に回復したが、Bとの関係では ライセンスが確定的に終了したという場合もあり得る。 

著作権者の立場から見れば、違反者に対して、違反行為中止後60日が経過する前に違反 の事実を警告しておけば、ライセンスの恒久的回復を阻止でき、暫定的回復の状態にする ことができる。そのうえで、違反行為中止後60日以内の間であれば、いつでも合理的な手 段により違反の事実を告知することで、確定的にライセンスを終了させることができる。 

 

GPLv2 には本パラグラフに相当する条項は存在しない。そのため、違反者は、違反行為

をすべて停止したとしてもそれだけでは自動的に終了したライセンスは回復せず、回復さ せるためには、GPLv2 プログラムのすべての著作権者の同意を個別に得る必要がある。こ れは、著作権者が多数にのぼる場合には現実的には不可能であり、うっかり違反してしまっ た違反者には酷な結果となる(違反行為は必ずしも確信犯的になされるわけではなく、ラ イセンスの内容を十分理解していないことが原因の場合も少なくない)。 

また、ライセンスの暫定的・恒久的回復という手法は、自主的に違反状態を是正するこ と(ソースコードの提供など)の動機付けともなり、紛争を法廷に持ち込むことなくGPLv3 の遵守を実現するのに有効な方法であるといえる。 

 

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11.2.3. 第3パラグラフ

本パラグラフは、GPLv3 に違反する行為を行ったのが初めての場合に、より緩やかな条 件でライセンスが恒久的に回復しうるようにするための特則である。 

すなわち、ある著作権者から違反の通知を受けたのが初回の場合には、通知受領後30日 以内に違反を正すことによりライセンスを恒久的に回復することができる。 

したがって、仮に通知後30日以内に著作権者がライセンス終了を明示的に通知してきた としても、違反が初回の場合は、その期間内に是正措置を講ずることで、ライセンスの終 了という事態を回避できる。 

違反が初回かどうかは、個々の著作権者毎に判断される。例えば、違反者の受領したプ ログラムがAが著作権を保有する部分XとBが著作権を保有する部分Yからなっている場 合、Aからの通知は初めてであったが、Bからは以前に他のプログラムに関してGPLv3違 反の通知がなされたことがあったという場合、Aとの関係では初回の通知だが、Bとの関係 では2 回目の通知ということになる。したがって、プログラムXについては、本パラグラ フに基づいてライセンスを恒久的に回復できるが、プログラムYについては、第2パラグ ラフに基づいて決せられることになる。 

 

11.2.4. 第4パラグラフ

第 1 パラグラフに基づくライセンスの自動的終了の効果として、次の2 点が規定されて いる。 

第 1 に、違反者に対するライセンスの終了によっても、違反者の下流の受領者に対する ライセンスは終了しないこととされている。 

例えば、違反者が上流の配布者から受領したプログラムを改変し、自社で使用するとと もに、その改変したプログラムを配付しているとする。この場合、上流の配布者から違反 者に対するライセンスは終了するから、違反者は改変したプログラムを使用できなくなる。

しかし、違反者が下流の受領者に対して与えたライセンスはなお有効に存続するから、下 流の受領者は、違反者が著作権を保有する部分、すなわち違反者が改変した部分も含めて プログラムを従前どおり使用し続けることができる。 

違反者の下流の受領者に対するライセンスは、プログラムの著作権だけでなく、第11条 に基づく特許ライセンスも含まれる。 

第 2 に、違反者に対するライセンスが恒久的に終了した場合、同じプログラムについて 第10条に従って再度新たにライセンスを取得することは許されない。 

仮にこの規定がない場合、違反者がライセンスを失ったとしても、再度同じプログラム を誰かから入手すれば、違反者は、第10条に基づいて再びライセンスを取得し直すことが できる。FOSSはサーバ上に公開されていて何人も自由に無償でダウンロードできるものが

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多く、同一のプログラムを再度入手することが容易なため、上記の方法でライセンスを再 取得できるとすれば、本条の規定がほとんど無意味になってしまう。 

そこで、このような抜け道を防ぐために、再度同じプログラムを受領しても新たにライ センスを取得することができないことを明文化したものである。 

 

11.3. GPLv2との異同

違反によってライセンスが自動的に終了することはGPLv2でも同様である。 

第2パラグラフと第3パラグラフはGPLv3で新設された規定で、暫定的または恒久的回 復の規定を新設し、うっかりした違反者によるライセンス回復のための負担軽減や自主的 な是正措置が講ぜられることを図っている。 

なお、第4パラグラフの第2の点(第10条に従って新たなライセンスを受領する資格を 失うこと)については、起草者によると、GPLv2 においては黙示的に規定されていた内容 を明確化したものである73。GPLv2において抜け道になり得る可能性が指摘されていた点 について、明文の規定を設けて対処したものと考えられる。 

 

11.4. 参考

GPLv3 のドラフト検討過程においては、うっかりした違反者にとって酷な結果にならな

いようにとの配慮から、自動終了という構成ではなく、著作権者の選択による終了という 方法が検討されていたが、最終版では自動終了という構成が採用された。もっとも、暫定 的または恒久的回復措置を設けることにより、著作権者の選択による終了という構成と実 質的には同等のものとなっている。 

 

11.5. 関連法令等

x GPLv2 4条 

73ディスカッションドラフト第1版解説にその旨記載されている。 

ドキュメント内 GPLv3 逐条解説 (ページ 108-113)