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第 9 条(著作物の受領等に関する承諾の不要性)

ドキュメント内 GPLv3 逐条解説 (ページ 113-116)

第 2 章 逐条解説

12. 第 9 条(著作物の受領等に関する承諾の不要性)

9. Acceptance Not Required for Having Copies. 

You are not required to accept this License in order to receive or run a copy of the  Program. Ancillary propagation of a covered work occurring solely as a consequence of  using peer‐to‐peer transmission to receive a copy likewise does not require acceptance. 

However, nothing other than this License grants you permission to propagate or modify  any covered work. These actions infringe copyright if you do not accept this License. 

Therefore, by modifying or propagating a covered work, you indicate your acceptance of  this License to do so. 

 

(訳) 

9. 著作物の受領等に関する承諾の不要性 

本プログラムの受領又は実行については、本許諾書の承諾を必要としない。ピア・ツー・

ピア伝送を使用して本プログラムを受領することに伴って生ずる対象著作物のプロパゲー トについても、同様に承諾を必要としない。しかしながら、あなたに対して対象著作物の プロパゲート又は改変を許諾するものは、本許諾書をおいて他にない。これらの行為は、

本許諾書を承諾しない限り、著作権を侵害することとなる。したがって、対象著作物を改 変又はプロパゲートすることにより、あなたは当該行為を行うために本許諾書を承諾する 旨の意思表示したことになる。   

   

12.1. 概要

本条は、GPLv3プログラムを受領あるいは実行する限りでは、GPLv3の条件に従うこと

を承諾する必要はないこと、および、GPLv3 プログラムをプロパゲートまたは改変するた

めにはGPLv3の条件に従うことを承諾する必要があることを定めている。 

 

12.2. 条文内容

第1に、GPLv3プログラムを受領あるいは実行する限りでは、GPLv3の条件に従うこと

を承諾する必要はない。 

FSFは、プログラムを実行する権利は何人にも認められるべきである、いわば天賦の権利 と考えているからである。そのため、受領したプログラムを実行することについては、著 作権者の許諾は不要であり、したがって著作権を根拠とするライセンスであるGPLv3を承 諾する必要もないのである。 

また、GPLv3 プログラムを受領するためにピア・ツー・ピア伝送を使った結果としての

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み生ずる付随的なプロパゲートについても、同様に承諾を必要としない。ピア・ツー・ピ ア伝送を用いてGPLv3プログラムを受信する場合、ピア・ツー・ピア伝送のソフトウェア によっては、そのキャッシュが受領者のコンピュータ(ノード)に残っている間は、他の コンピュータからの要求に応じてGPLv3プログラムのコピーがそれら他のコンピュータに 送信される。したがって、受領者のコンピュータ上でGPLv3プログラムが公衆送信可能な 状態にあるといえ、プロパゲートに当たることになる。公衆送信権・公衆送信可能化権も プロパゲートに含まれるからである。そのため、このような規定が設けられている。 

 

第2に、GPLv3プログラムを改変あるいはプロパゲートするためにはGPLv3を承諾しな

ければならない。GPLv3を承諾する、すなわち著作権者からGPLv3に基づく許諾を受けな

い限り、GPLv3プログラムのプロパゲートや改変は著作権を侵害することになる。 

改変については、改変後のプログラムを外部に配布する場合も、社内用途で使用してい るにとどまる場合も、いずれもGPLv3 の承諾が必要である。本条は、改変を内部的なもの に限定していないからである。したがって、例えば企業Aが他者から受領したGPLv3 プロ グラムを改変して社内で使用していたとする。この場合に、企業Aが同社の保有する特許権

がGPLv3プログラムにより侵害されていることを理由として特許侵害訴訟を提起した場合、

第10条第3パラグラフの特許非係争義務に違反することになり、企業Aに対するGPLv3ラ イセンスが終了してしまう(第8条第1パラグラフ)。そのため、企業Aは、以後改変した GPLv3プログラムの使用を中止せざるを得なくなる可能性がある74。 

GPLv3を承諾するためには、その旨の明示的な意思表示は特に必要とされておらず、GPLv3

プログラムの改変またはプロパゲートという行為を行うことにより、GPLv3 を承諾したも のとみなされる75。 

 

12.3. GPLv2との異同

74ライセンスの終了により改変したプログラムの使用を中止しなければならないかどうか は、第8条の”terminate”の効果に関わる。 

わが国の民法についていうと、第8条の”terminate”が民法545条1項と同様のもので あるとすると、ライセンス契約(GPLv3)は遡及的に無効となり(つまり、改変について も初めから許諾がなされていなかったことになり)、改変行為が著作権(翻案権)侵害に 当たることになる。したがって、企業Aは、改変後のプログラムの使用を中止しなけれ ばならなくなる。 

これに対し、第8条の”terminate”が賃貸借契約の解除に関する民法620条と同様に、「解 除は、将来に向かってのみその効力を生ずる」ものであると解するならば、既に実施済の 改変については解除の効力は及ばず、かつGPLv3は何らの条件を課するプログラムを使 用(実行)できることを認めているので、企業Aは、改変後のプログラムの使用を継続 できることになる。 

75民法526条参照 

‐ 103 ‐ 

GPLv3 プログラムの受領にピア・ツー・ピア伝送を用いた結果としてのみ発生するプロ

パゲートはGPLv3 の承諾を必要としない、という規定が追加された。ピア・ツー・ピア伝 送の普及に対応するため追加されたものである76。 

 

12.4. 参考

本条の考え方は、商用ソフトウェアのエンドユーザ契約書と好対照をなす。商用ソフト ウェアのエンドユーザ契約書においては、通常、エンドユーザによるプログラムの実行行 為につき使用権を許諾する構成となっており、プログラムを実行することはエンドユーザ 契約書の条件を受諾したことになると規定されている。これに対して、本条では、プログ ラムの実行行為にはGPLv3の承諾は不要とされているのである。 

したがって、GPLv3プログラムのエンドユーザで単にプログラムを実行するだけの者は、

GPLv3の定める義務(第10条第3パラグラフの特許非係争義務など)を負うことなくプロ

グラムを使用できる。 

企業ユーザの視点からは、企業がGPLv3プログラムをエンドユーザの立場で改変せずに 自社内で使用するだけであれば、その企業はGPLv3の適用を受けない(GPLv3の定める義 務を負わない)。しかし、そのプログラムを社外に配付したり、あるいは改変すれば、GPLv3 の条件に同意したことになる。したがって、プログラムを改変した場合は特許非係争義務 を負い、配付した場合はさらにソースコードの提供義務や特許ライセンス義務なども負う ことになる。 

 

12.5. 関連法令等

x 民法526条 

76ディスカッションドラフト第1版解説及びOpinion on Bit Torrent Propagationにそ の旨記載されている。 

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