もつ場が形成されるのである。
そのために、教師は、子どもが他者と関係をもてる機会を保証するとともに子ど も問の対人関係を促進させていく必要がある。この具体的な場として、中学校の学 級では、子どもが、あまり緊張せずに気楽に課題に取り組め、グループ間のコミュ ニケーションが活発になる学級の生活班でグループワーク 実施することがよい。
このことにより、一人一人の子どもと小集団が結ばれることになり、小集団を媒介 として学級集団は・より軸なコミュニケーシ・.ン趣されるようになるのである・
本研究のグループワークは、そのための試みであり、グループワークでの活動を契 機として、孤立化傾向にあったCCS得点・L群の生徒における日常の学級生活で の対人関係が促進されてゆくことが確認された。
学級集団形成=
学級集団は、制度により与えられた集団であるが、学級での協働活動を媒介とし て、子どもに心理的に作用する集団とならなければならない。学級集団は、その内 部においていくつもの小集団から成立しているがゆえに、公式的集団としての側面
をもつ学級の生活班を基礎としながら、学級を形成していくことが必要になる。
この小集団は、学級生活における諸活動のなかで、自然に個性をもってくるが、
子どもに任せきりでは問題が起こることがある。それは、生活班での対人関係が深 まらないことや、仕事集団としての機能が果たせないなどの問題である。この問題 を解決するために、生活班を含めて学級内の小集団を開放させる協働の活動が必要 になるが、そのための一つの方略としてグループワークは意味をもつのである。し たがって、中学校において学級集団の要素である小集団の育成は、一人一人の子ど もに小集団への所属感を高める効果をもち、この所属感にもとづき学級集団はまと まりをもっことになるのである。
(2)課題
一人一人の子どもを大切にする、つまり個性の重視という教育観と、学級集団の 凝集性を高めていくことは、対立するかのようにみえる。
しかしながら、学級集団は、教師と子ども、子ども同士の相互作用を支える関係 の場であり、この関係は、学級集団のなかにおける人間関係が深く関与するので、
学級集団をまξめていくことは、個性を無視することではなく、個性が発揮される 場を保証ために教師がおこなう基礎作業であるということができる。そのために、
教師は学級の凝集性を高めていくことが必要である。
ところが、学級では、授業をはじめ多くの活動と時間的な制限があり、特別活動 の指導内容u)も多岐にわたるので凝集性を高める人間関係促進のためだけに授業
を割り当てることはできない状況がある。そこで、1学期に集中的に学級内の人間 関係を促進することが学級形成に効果的であるとして、本研禿では、グループワー クを1学期間に12回実施することを試みた。次に、グループワークを実施した学 級の結果より、今後の発展的課題を2点示すことにする。
課題1:1学期に実施したグループワークの効果が、その学級集団にどの程度継続 した効果をもつのかを明らかにすること。
課題2:グループワークの効果が、CCS得点・L群の生徒にだけ顕著な効果があ
り、1M群やH群にあまり効果がみられなかったことを明らかにすること。本節の最後に、グループワークの長所と短所を Table5−1にまとめることで、グ ループワークの効用と限界を示すことにしよう。
Table5一 1グループワークの長所と短所
長 暫 短 所
1.課題を遂行するために、否応なく話 さなければならないので、他者と話 すキッカケをつくり出すとともに、
他者への関心が深まる。
2.グループワークに熟練した教師でな くても取り組むことが可能である。
3.小集団を開放し、凝集性を高める。
4.課題に気楽に取り組むことができ、
言葉のやりとりが中心である。
5.教室内で身体接触なく簡単に行える。
1.教師の人間観が確立していないと、
技術主義に陥り、子どもがみえなくなる 可能性がある。
2.子どものフィードバックを大切にしない と、効果が半減する。
3.課題があるため、創造性が欠落する。
4.回数が多くなると、マンネリ化する。
5.人格的な交わりはない。
2 学級集団の形成過程と凝集性
(1)「学級の良さ」と「学級の思いで」
第3章までに学級のま「とまりは、いかにして形成されるかという問題について、
グループワークの実施による対人関係の促進とCCS得点から検証してきた。
本研究に先立ち、筆者は、学級集団の最終段階にあたる平成6年度の3月に調査 をおこなった。調査人数、調査対象は次の通りである。
埼玉県の同市内の中学校3校(第2章以降の研究に協力してもらった学校も含む)、
人数等の内訳は、Tabie5一 2に示した。調査の実施方法は、 C C S・PMSの予備調 査と同様におこなった。調査の内容は、a.「自分の所属する学級の良いところ」、
b.「学級で負い出に残ったこと」の2っである。この質問に対して、子どもに自由 筆記法で答えてもらった。
子どもの回答をもとに、大学院生5名により、KJ法にかけて内容を整理した。そ
の結果をTdele5−3、 Tabte5−4と惣.5−1、鞠.5−2に示してみよう。
Table5一 2被調査者の内訳
学校・学年 学級数 男子 女子 合計
A中学校 1年生 B中学校 2年生 B中学校 1年生 C中学校 1年生
3
36
556 45 117 76
45 57 117 93
101 112 234 169
Table5一 3 「自分の所属する学級の良いところ」の内容分類と延べ人数
内 容 延べ人数
明るい・楽しい・おもしろい 仲良し親切・優しい
団結力・協力性・向上心 静か・けじめ・まじめ 行事rその他
なし
395 97 19 14633 14 16
Ttthle5一 4 「学級で思い出に残ったこと」の内容分類と延べ人数
内 容 延べ人数
合唱コンクール 球技会体育祭
旅行行事学級生活全般 行事一般なし
153 78 195 80 50 44 36
i結力、協力性、向上心
(20.説)
行事、その弛なし
静か一ナじめ、真面目(L醐a脳)
{4. 6%)
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〟E.kcaswssgxxxxxxxx
吹ппр唐奄堰Ci/1,IIII,IIIIi,1111i・ljll/1/ll//1111/lil/ i
■明るい、楽しい、おもしろい 黙親切、優しい
□団結力、協力性、向上心
□静か、けじめ、真面目
□行事、その他
嚢なし明るい、楽しい、おもしろい
く54. on)
{13. 5%)
鞠5−1 Q1「あなたの学級の良いところは何ですか?」
なし
行事一般(5・7%)
(6.90/p!)((
学級生活
(7. ge/,)
!k
o%)
置合唱
黙体育祭
□旅行行事
□学級生活
□行事一般 難なし
旅行行事
(12. 6D/o)
体育祭 (30. 60/e)
(12. 30/e)
Fig.5−2 Q 2「学級で思い出に残ったことは何ですか?」
Fig.5−1から、中学生の子どもにとって、 明るい・楽しい・おもしろい・仲良 し・団結力・協力性・向上心 など感じることが学級の良いところであることが分
かる。
子どもが感じる学級の雰囲気とでもいうべきこれらのことが、どのように形成さ れるかといえば、Eg5−2 にみられるように、学級のまとまりを必要とする合唱・
球技会・体育祭の合計が66.9%にも及ぶところがら、学級での協働をともなう活動が 主たる要因になっていることが明らかである。この学年末・3月における生徒の実 態から、子どもは 仲良し・団結力・協力性 など、学級のまとまりを「良さ」と みていること、授業よ.りも協働の活動をともなう行事の方が学級形成に与える髭響 が強いことが分かる。
ところが、学級において大きな行事が行われるのは主に2学期以降であり、1学 期には学級をまとめる行事は期待できない。それゆえに担任が、1学期にどのよう な方法でどのように学級をまとめるかがポイントであるといえよう。この意味にお いて、1学期にグループワークを実施したことは、その後の学級単位の活動で生徒 がまとまり、学級意識を持つことに関連するので効果があるといえよう。このこと は、グループワークの実施に伴い行われた調査からも支持することができる。
(2)協働活動を通しての凝集性
Ttzble5−3、 Table5−4でみてきたように、学級集団としてのまとまりは、学級の
「.良さ」とも関連し、行事が大きな影響を与えていることが明らかになった。
鞠.1一一1で示されたように、凝集性の要因である、対人魅力と課題遂行は一体の ものである。別の言い方をすれば、子どもは、他者と協働活動を行うことで他者理 解が深まり、他者とかかわるキッカケをつかむことになるということである。
このことは、学級全体で取り組む行事が成功すれば、学級の凝集性は高いものに なり、その後も継続して、学級の「良さ」として子どもに深い印象を与えるという ことを意味する。これは、先に述べた平成6年の3月における調査からも明らかに なったことである。この予備調査における1年生14学級のCCS得点をTtzble5−5 に示すことにする。
Ttthle5一 5から分かるように、各学級における凝集性は、異なるものである。この 内、平均値より高い得点を示す学級は、行事において何らかの成果をおさめた学級 であるか、行事に向かっての熱心な取り組みがあった学級であることが、調査協力 校の教員より報告されている。Table5−4でみた、 合唱コンクール・球技会・体育 祭 などが、このことに該当しているとみて良い。
しかしながら、他方では、Table5−3、 Tabje5−4ともに、 「なし」と回答した生徒 もいることに着目したい。このように回答した生徒が、どの子どもなのかは調査が 無記名で実施されたために分からないが、単純に計算するならば学級の良さを感じ