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第 2 章 エステル油中過熱・放電時のガス発生特性と

2.5.2 結果

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(5)実験手順

まず、部分放電試験同様の手順で試料油の調整を行う。続いた油中球対球電 極内部を窒素ガスで置換し、内部の空気を除去した。次に窒素ガスの圧力を用 いて油を油中球対球電極へ注入した。油を注入した後、電極容器内の油をバブ リングし、試料注入の際に微量に残存した空気成分を除去した。油を注入した 球対球電極を試験回路に接続し、高電圧を印加してアーク放電を20回発生させ る。その際、電流波形と電圧波形はすべて記録した。ガス発生量を求めるため に、放電前、放電後の絶縁油と上部空間のガスを採取し、ガスクロマトグラフ で分析した。

部分放電試験の際は、上部の空間を残さず、電極容器内を全て油で満たした が、アーク放電試験では、上部空間を一部残した。これはアーク放電では、発 生するガス量が多く、油中に全て溶解しないと考えられるため、油のみを計測 した場合、発生ガス量に大きな誤差を生じると考えたためである。ガス分析用 の試料は、油と上部空間のガスの両方を採取し、含まれるガス成分を合計し発 生ガス量を求めた。表2. 12に今回行った実験の条件を示す。

2. 12 アーク放電試験の実験条件

油種 Gap[mm] 印加電圧[kV] 放電回数

PFAE 0.25

16.0 20

18.0 20

20.0 20

FR3 0.25

17.0 20

19.0 20

21.0 20

MIDEL 0.25

17.0 21

19.0 20

21.5 20

鉱油 0.25

16.0 20

18.0 20

20.0 20

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2. 56 アーク放電試験における放電波形(PFAE)

印加電圧16kV-2

印加電圧18kV-9

印加電圧20kV-10

電圧(高電圧プローブ)

電圧(クリップ回路付分圧器)

電流

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2. 57 アーク放電試験における放電波形(FR3)

印加電圧17kV-6

印加電圧19kV-9

印加電圧21kV-14

電圧(高電圧プローブ)

電圧(クリップ回路付分圧器)

電流

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2. 58 アーク放電試験における放電波形(MIDEL)

印加電圧17kV-1

印加電圧19kV-15

印加電圧21.5kV-5

電圧(高電圧プローブ)

電圧(クリップ回路付分圧器)

電流

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2. 59 アーク放電試験における放電波形(鉱油)

印加電圧20kV-16 印加電圧16kV-12

印加電圧18kV-3

電圧(高電圧プローブ)

電圧(クリップ回路付分圧器)

電流

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図では、高電圧プローブ(緑色)と今回製作したクリップ回路付分圧器(赤色)で測 定した電圧波形および高周波 CT で測定した電流波形を示している。実験では、

1つの条件で20回放電させているが、そのうちの1 回の放電をそれぞれピック アップして示した。高電圧プローブおよび電流については、表示されている値 が実際の値であるが、クリップ回路付き分圧器の電圧値は、分圧後の値である ので、実際の値は、これを50倍した値が実際の値である。波形は、図 2. 53で 示した回路図のスイッチが閉となった直後、油中ギャップに高電圧がかかり、

ある時点で油中ギャップ間に放電が発生して電圧が降下している様子を示して いる。電圧が放電によって急激に降下したのと同時に、電流が流れアークが発 生している様子が示されている。高電圧プローブの波形は、電圧が降下してア ークが発生している最中に極性が逆(図ではプラス側)の電圧となっており、正確 に測定できていないことが分かる(図2. 58の印加電圧17kVと19kV等)。これに 対して今回製作したクリップ回路付き分圧器の電圧波形は、高電圧がかかって いる領域では、電圧がクリップされている(一定電圧となっている)が、クリップ が解除された後、高電圧プローブで、極性が逆になっていた領域に対しても、

極性が反転することなく正確な電圧値を示していることが分かる。

(2)油中アーク放電時の発生ガス

各試験におけるガス発生量を示す。値は放電 1 回あたりの発生量で油中ガス と上部ガス中のガス成分の合計量を20℃1atm時の体積[μl]で表している。各試 験の全体的なガス発生量は、同じレベルであった。各油種とも主要なガスは水 素で発生ガスの大部分を占めている。炭化水素ガスについては、C2H2、C2H4、 C2H6、CH4がそれぞれ発生しているがC2H2が最も多いことが特徴である。しか し、油種によって炭化水素ガスの生成比率は異なっており、PFAE と鉱油では、

水素に対する炭化水素ガスの比率が多いのに対して、FR3とMIDELでは少ない 傾向があること分かった。

CO、CO2 に関しては、ごく一部検出されているが、すべてではなく、印加電 圧との相関性もない。したがってこれは部分放電同様、エステル分子の分解に よって生成したものではなく、試験中の空気からの混入によるものと考えられ る。部分放電、アーク放電の両方で分解によるCO、CO2の発生が認められなか ったことから、放電によってエステル基自体の分解はあまり進まないと考えら れる。加熱試験では、エステル油のみでCO、CO2の発生が認められ、加熱によ る分解ではエステル基が分解することが確認された。放電では加熱とは全く違 う分解反応があり、エステル油の分解においても酸素を含むエステル基の分解 が進行しないため、CO、CO2が発生しないと考えられる。

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2. 60 アーク放電試験後の放電1回あたりのガス発生量 (20℃1atm時の体積[μl])