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KJ 法により得られた結果には,問題点及びその解決策が含まれている.これは,

先程,丸山の例を出したようにKJ 法を用いることで「縫い目のない世界」が現出す るために,結果にそれら問題点と解決策というのが両方同時に含まれているのである.

そこで,これらの一連性及び繋がりを示すことでKJ 法により分析された結果を整理 する.まずは,ここでは得られた結果の間における関連性を次に示す.

77 図25 各シンボルの関連性

一つ目の,「社会の推進力は人々の声である」に対しては,バイオマス政策などの大 きなプロジェクトにおいては,プロジェクトにより社会が動かされるのではなく,人々 によってプロジェクトや社会が動いていくということがいえる.これを実現するため には社会・行政が聞く耳を持つということと人々が声をあげるということである.そ のためには,行政も市民などからの意見に対する取り組み方に更なる努力をする必要 が求められる.また,意見を述べたい人も,皆で本当に伝えたい内容は何かを吟味し,

何をどのようにどうしてほしいのか,そして自分たちは何ができるのかしっかりと考 える必要がある.そのためにも,結果として得られた「市民全体で共有して勉強しよ う」ということが重要になってくる.

つまり,意見を述べる側,聞く側,実施する行政やサポートする産業などを含めて 関係各者,市民全体で勉強会‘場’を開くことが求められるのである.実際にこれらを行 うには,どのような形式で開催するのかなど考慮すべき点は多く存在する.また,そ

78 のような“場”でどのように合意形成を得ていくのかも問題である.しかし,当事者間 に本当に取り組みたいという姿勢があるのならば結果として得られた「目的を達成す るためには覚悟が必要である」ということを念頭に置かねばならない.

現在の地球規模での気候変動や低炭素社会への実現,一次産業である農業・漁業の 衰退など,今まさに,真剣に取り組まなければいけないという機運が高まり国民の間 に生まれてきている.地域においてもその姿勢があれば,あとは「覚悟」を持つだけ である.そして,市民全体で取り組むという「姿勢」と「覚悟」で臨むことでまずは,

「バイオマス政策は新たな農業のあり方を創造する」(言い換えると,新たな農業の在 り方を皆で創造していく)ことが必要である.

加賀市におけるバイオマス政策の最初の主軸となるのは堆肥作り,つまり「農業」

である.我々人間にとって重要な課題である「食の問題」では食料自給率の低下や食 品の安全問題があり,「エネルギー問題」としては,石油の枯渇や石油価格の高騰があ る.これらは,地域の農業に更なる打撃をあたえており解決が望まれる緊急課題であ るともいえる.その課題に取り組むためにも「市場の開拓者の気持ちで挑む」が必要 ではないだろうか.つまり,今までの取り組み方ではいろいろな弊害がありひずみが 生まれているためこのような問題が生じているといえるからである.だからこそ国策 としてバイオマス・ニッポン創造戦略が閣議決定されたのである.そこで,ベンチャ ー精神として新規参入者の気持ちで,我々が率先して道を切り開いていくのだ,とい うパイオニア精神で望むのである.忽那ら(1999)によると「挑戦とは,他と違うこと をすることである.結果的に可能性の先端を広げる」と述べている.挑戦することに より「バイオマス政策は都市計画でもある」というように,加賀市全体が住みよく「環 境」と「経済」がうまく流れる循環型社会と低炭素社会へと繋がっていくと考えられ る.

4.6. 4 章まとめ

本章では,意識調査により得られたデータはバイオマス政策に関するものとしてグ ルーピングすることは可能であったが,その内容は発散して互いにばらばらの状態で あった.しかし,KJ 法を用いたことで,それらを収束させ互いに意味を持たせるこ とで「縫い目のない世界」を創造することが可能となった.そして,バイオマス政策 の関係者における様々な立場からの意見もKJ法により集約することができた.それ らの結果は,「社会の推進力は人々の声である」「市民全体で共有して勉強しよう」「目 的を達成するためには覚悟が必要である」「バイオマス政策は新たな農業のあり方を創 造する」「市場の開拓者の気持ちで挑む」「バイオマス政策は都市計画でもある」とし て得ることができ,問題点の解決策も言及することができた.これは,地域で実施さ れているバイオマス政策の黎明期の問題や課題,現状をよく表しており,単純にバイ

79 オマスを利活用するということがバイオマスタウンの目的ではなく,バイオマスの利 活用を通じた循環型社会の形成の必要性を示す結果である.特に,得られた結果に対 して関連性を示せたことで,問題点やその解決策に対して優先順位を設けることがで き事業を計画的に実行することが可能となり,進行状況を明示できる.言葉だけでな く図示することで,関係者や一般市民へ構想に対する理解を促進させることにも繋が ると思われる.

これはKJ 法という創造的技法が,バイオマス政策という様々な利害関係者が関わ るプロジェクトにおいて最適な手法であるだけでなく,循環型社会の構築といった技 術的な分野や社会的な分野の両方にわたり課題を解決することが政策の進展には必要 であることを示している.特に,先行研究で酒井 (2005)が指摘していたように,

総合戦略の目的や目標に鑑みて政策を推進させるためには,地域の実情に即した様々 な課題を克服する必要があるとしており,社会全体で考えていかねばならない重要な 問題であるという点に対しては,加賀市のバイオマスタウン全体に関わる地域の仕組 みや問題を示しており,一人一人が,地域の政策に携わる必要と共にバイオマス資源 のリサイクルだけでなく都市計画といった加賀市全体に注目する重要性を示している.

また,先行研究ではバイオマスタウンに対してKJ法を使用した分析例はみられない が,本研究で構造化したことでより詳しく問題や課題を明らかにすることができた.

これにより,進捗状況や実態をより詳細に明示化することが可能になった

一方,KJ 法以外の手法で同様の結果が得られたのかどうかであるが,テキストマ イニングなどに代表される名詞や前後の単語のつながりを検索し重みづけをしていき 収集するような他の手法を用いた場合であると,「バイオマス政策は都市計画でもある」

というものが一番上の階層まで残らないと予想されるからである(忽那ら 1999)(那 須川 2001).また,このような手法では,一般的にインプットされる情報が大量に必 要であり,しかも,その重要度は前後の単語のつながりや出現頻度や回数などが主流 である.このシンボルは,下の階層にステーションの設置場所の問題点を含んでおり,

これらに関して言及した人は非常に少なかった.そのために,このような情報が少な いラベルではノイズとして処理されるまたは,見落とされてしまう恐れが生じる.し かしながらKJ法では,そのような一見して見落とされてしまうような情報でも他の 情報と同様に同列に扱い処理していくため,このような創造性のあるシンボルを得る ことができたのである.また,階層構造をもつ KJ法では,階層が違う者同士は決し てグルーピングされない.そのため,少数意見でも重要度の高いあるいは階層構造の 上位概念のものは,本研究のシンボルのように的確に「データをして語らしめた」事 例となった.

今後は,本研究で得られた結果を実行するという,さらなる実践的な研究を行う必 要がある.そこでの課題としてまずは,皆で考える“場”を構築し,そこでの合意形成 を図ることから始めることが必要である.それこそ創造的な「新しい価値を生み出す

80 過程」といえる.

なお,本章における分析は,加賀市バイオマス政策を議論する加賀市バイオマス利 用推進協議会の平成19年度事業報告(2008年6月6日)で「加賀市バイオマスタウ ン構想に関する市民意識基礎調査の結果について」という題目で報告を行い,参加者 に対して今後の政策に関する推進課題として問題意識の共有と議論を行った.