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ケース 18   高丸工業㈱

3  経営組織     機能別組織

4  事業内容

(1)  ロボット

搬送ロボット、溶接ロボット、バリ取りロボット、その他 (2)  自動溶接装置

マニピュレーター、専用溶接冶具、溶接ポジショナー、その他 (3)  その他

生産技術業務

5  企業成長の経過

1963年 創業者  高丸  純亮(よしあき)が尼崎市稲葉荘に設計事務所、高丸工業所を開設 1967年5月 高丸工業株式会社設立、尼崎市尾浜市に自動機械  製造工場を開設する 1985年 高丸  正  2代目代表取締役に就任、ロボット関連事業を本格稼動行う 1995年 兵庫県新産業創造プログラムに認定

1998年 尼崎市中小企業技術開発助成金認定、ゴルフボール回収ロボットの開発を行う 1999年 長洲工場開設、ロボットシステムの元受受注の本格化マルチチャンバー、真空焼入

炉、連続焼入炉の製造開始。

2000年 ロボットメンテナンス事業開始、科学技術振興事業団独創的研究成果育成事業に 選定、東京大学工学系研究科精密機械工学研究室及び、東北大学情報科学研究科知 能ロボティクス研究室のサポートを受け、産業用ロボットクライアント・サーバー システムの開発をする

2001年 (財)ひょうご中小企業活性化センターから投資、RTB(ロボットテクノロジービジネ

ス)を開始する

2004年 1号商品ジェットトーチ、2号商品ジェットガン、3号商品ピアスガンを完成し、

自社商品展示会を開催し、交際ウェルディングショーに出展する。

ジェットトーチを25台出荷、ジェットガンを3台出荷する(いづれも10月末現 在)。また関西経済連合会次世代ロボット推進会議重点プロジェクトに選定される 2006年   新連携支援対象企業の認定

6  サービスモデル革新

(1)着想

①  本企業の能力

本企業は、国内外で10 社を数えるすべてのロボットメーカーの協力会社として、産業用ロボット システムの設計・制作を手がけてきた。系列取引が尊重されるロボット業界において、同社のよう にすべてのロボットメーカーと取引のある企業は他に例を見ない。

この特異的な位置にあったことによって、社長によれば、各社のロボットを客観的に比較判断で きる唯一の立場でユーザー側の視点で事業を推進することが可能になり、最適なロボットを用いた、

最適なロボットシステムを創造し、供給できるようになったという。

②  産業ロボット市場低迷の要因

日本はロボット大国であるが、近年の稼働台数の推移を見てみると2000年をピークに頭打ちとな り減少に転じている。この理由について社長によれば、大企業についてはロボットがいきわたり、

新規需要よりも買い替え需要に移っていること。そして、溶接、塗装、マテハン以外に新たな用途 開発がなされていないことにあると分析する。また、中小企業にロボットが浸透していないことだ。

そしてこのことはますます、大企業と中小企業との間の生産効率のギャップを広げることになると 警笛を鳴らす。

③  低調な中小企業のロボット導入の要因

中小企業への導入を拒んでいる理由として、社長によれば、メーカー側の問題としては、現状のロ ボットは大手ユーザー向けに作っており少量多品種に対応していないこと。中小企業側の問題とし ては、中小企業の経営者が投資効果を認識していないこと。製造スタッフがロボットを活用した生 産技術に精通していないこと。そして、ロボットを扱うオペレーターが不足していることを挙げる。

④  空白な市場の認識と新提供機能化

従来のロボット販売は、ユーザーがロボットメーカーに直接発注していた。しかし、初めて産業用

ロボットを導入しようとする会社にとって、どのメーカーのロボットを採用するかは悩ましい選択で、

現実には各メーカーのロボット特性を知った上で決められるケースはほとんどなく、導入してみたも のの使いものにならずユーザーが泣き寝入りしていたケースも多かったという。

  そこで至った結論はロボットはロボットメーカーが売るべきではないということ。そこで、客観的 な立場で判断できる関係企業で連携を組み、メーカーとユーザーの間に立ってコンサルティングし、

適切なロボット選定・導入支援、メンテナンス支援を行う仕組みを考えた。

(2)  新サービスモデル

  当初は、国内の中小製造企業を顧客ターゲットとして、以下の差別化した仕組と収益性確保のメカ ニズムを導入している。

①  差別化の仕組

差別化の仕組としては、まず、商社が導入コンサルタントとして、ロボットを導入する時のイニシ ャルコストやランニングコスト、それらの投資に対するその後の効果をふまえ各企業に最適なロボッ トを提案する。高丸工業はロボットの性能を最大限に引き出すための生産方法を誘導し、メンテナン ス会社がロボット導入後のオペレート教育やその後のメンテナンスなどを担当するというものを考え た。

②  収益性確保の仕組

ⅰ  統合した付加価値形成の仕組

このロボット供給のバリューチェーンの全体をコア企業を主体とする企業グループで統合管理す ることにより、この間で発生する付加価値を獲得できるようになる。

ⅱ  規模の経済

受注量の拡大に応じ、売上額、収益額、収益性も拡大すると見込まれる。

ⅲ  範囲の経済

    コンピューター業界におけるマイクロソフトの立場に向けて発展することを目指す。

ⅳ  スピードの経済

    連携グループ内のオペレーターは、ロボットメーカー7 社のロボットを扱えるので、顧客のニー ズに即応できる。

ⅴ  集中化と外部化の経済

    本企業がコアの企業となって、関連する企業との連携・ネットワーク化を行って、顧客に対し、

統合化された垂直統合的な提供機能の連鎖が可能となった。

ⅵ  囲い込みの経済(ブランド形成等)

    どこのメーカーのロボットも扱えるというブランドを目指す。

    将来、ロボット業界におけるマイクロソフトのようなブランドになることを目指している。

(3)  ロボットソリューションサービスの事業化(新サービス開発)

本企業をコア企業とする新連携の仕組により、日本で初めての中小製造企業向けのロボットソリュ ーションサービスの事業化が実現し、成果を上げつつあるが、このサービスモデル革新の形成プロセ スを、新連携事業の流れに即して見て行こう。