1 会社概要
(1)概要
①会社名 株式会社メディアラボ(Media Labo Co.,Ltd)
②住所 東京都立川市曙町2-32-8
③設立年 平成3年9月
④社長 代表取締役 長島 広幸
⑤資本金 10,000千円
⑥従業員数 45名
⑦主要取引先
コニカMG、NTT東日本、日立製作所、(株)SRA、インフォコム(株)、立川市、東京都市収 益事業組合、帝人ファーマ(株)、ニッセイ情報テクノロジー(株)、横河電機(株)、横河エンジ ニアリングサービス(株)、リコーシステム開発(株)、病院多数
(2)経営理念
我々は、ソフトウェアのプロフェショナルとしての自覚を持ち行動します。
我々は、社会が真に必要とする医療システムを提供します。
我々は、社会に貢献します。
(3)経営組織
① 国内
本社 機能別組織 九州オフィス
② 海外子会社
株式会社 グローバルラボ・サイゴン(Global Labo Saigon CO.,LTD)
日本市場のソフトウェア開発をオフショアで請け負うベトナムソフトウェア開発会社 1102 Saigon Riverside Office Center, 2A-4A
Ton Duc Thang street HoChiMinh City Vietnam
(4)事業内容・サービス
現状、以下のサービスを提供している。
① 病院情報システム
電子カルテ、画像情報システム(医用画像管理システム:PACS、総合画像検査支援システ ム:RIS)、部門システム、看護支援システム、オーダリング、予約
② 病院情報システム導入支援
③ 看護師シフト管理
④ インシデント管理
⑤ 預かり金管理
⑥ その他システム開発
(5)企業成長の経過
当社はSEだった長島社長が一人で創業し、受託開発から始めた会社である。
開発だけでなく企画、営業といった仕事を経験していたため、当初から協力会社を使うなど会社を成 長させるためのポイントは押さえていた。最初は画像処理関係の仕事を手掛けたが、これが医療関係 の仕事への第一歩であった。技術が売りで、新しい案件があると果敢にチャレンジし、業務アプリケ ーション開発から、データベースのミドルウェア、動画配信、音響システム、Webシステム、パソコ ン教室など幅広く手掛けていった。ある意味試行錯誤の期間を経て、医療関係のシステムに集中する ことに決め、パッケージソフトを開発した。
この医療情報システムは受注が好調で、当社の売上げの7割程度を占めるまでに成長した。
更なるチャレンジとして技術者不足解消やコスト削減のためにオフショア開発に取組んでいる。
2005年にはベトナムの活気あふれるところに惹かれ100%出資の現地法人を設立した。
現在は他社のオフショア案件を受注する体制も整えたところである。
(6)顧客満足と市場成果
① 顧客満足と市場成果の関係
ⅰ顧客満足は業務の選択と集中のプロセスで考えはじめ、最近では殆どのエンジニアが病院又はソフ ト販売メーカーと接点を持ち、顧客から直接評価を受けている。
ⅱ顧客の満足が自分達の満足・喜びにつながっている。
ⅲ会社の評判に心がけ、トラブルあればコスト抜きで処理に向かう体制出来ている。
ⅳ顧客からの要望に応じ可能な機能追加を行い、社員教育も行なっている。
ⅴ病院業務に特化しているため、業務ノウハウが蓄積できており、顧客の無理な要望にも応じられる。
② 従業員満足と顧客満足
ⅰ上がった利益を従業員に還元するにも限度があり、やりがいのある仕事、顧客との対話の中で顧客 が喜ぶ仕事を確保してきている。
ⅱ従業員の業務提案を可能な限り生かしてきている。
ⅲ社長が守りに入らず、常に攻めの気持ちで新規業務の開拓を行っている。
2 オフショア開発事業
(1)事業内容
①業務体制
現地に日本人マネージャーを置き、その下で自社パッケージソフトを開発している。
日本側で商品の企画、基本設計を行い、ベトナムで詳細設計等の開発を行っている。
開発単位で、日本人SEが適時現地に赴きプロジェクト管理をしている。
日本の開発に慣れてもらうために、ベトナム人SEに定期的に日本で仕事をしてもらうような体制も とっている。ドキュメントは日本語で現地通訳が翻訳する。
通訳が日本留学経験者であることもあり、大変優秀で開発に深く関与している。
② 業務陣容
現在は8名の体制で、日本から本社と九州支社からの管理対応を行っている。
エンジニア7名に通訳が1名いる。
エンジニアは、システムエンジニア2名、プログラマー5名。
ホーチミン工科大学など大卒7名である。
③ 使用技術と研修
ソフト開発の言語にはいくつかのものがあるが、当社はJAVAが中心である。
プログラムレベルは日本人と変わらないか、むしろそれ以上であるが、全体の仕様を理解する能力は やや劣る。研修は OJT 中心で、はじめは初歩的な仕事を与え、それがクリアできれば次のステップ の仕事を与えている。外資系会社でオフショア開発中心の仕事をやってきて、当社へ転職してきた者 が多い。そのため技術はあるが、反面、全体をマネジメントする力は弱い。
(2)生産工程間分業
今回のオフショア開発の意義は、本研究でのフレームワークに即して言えば、自社のソフトウェア 開発上の機能連鎖・チェーンの形成において、ベトナムでの人件費格差を活用して、自社のベトナム 子会社にその詳細設計等の機能を生産工程間分業の形で補完的に分担させて、内外の自社グループ企 業間でこの統合業務について、組織の壁を串刺しにした円滑な業務プロセス連携を行うためのグロー バル最適化に向けた仕組を形成して、優位性を形成している。
3 事業上の課題
(1) 技術志向の強いベトナム人技術者
多くのベトナム人技術者はシステムの全体像を理解しようとし、仕様書通りに作ることが可能とな っている。テクノロジーに興味があるので、新しい技術を覚える欲求は強い。同じ事をずっとやらせ るとモチベーションが上がらないので、仕事の与え方には配慮している。
(2) コミュニケーション
開発基準(方法・手順)を日本のスタンダードにあわせて運用しているが、阿吽の呼吸を要求する ことは難しい。
ベトナム人社員は何回でも同じ質問をしてくるが、省略せずに丁寧に一から説明することが必要。
プライドが高いので決して頭ごなしに怒ってはいけない。
(3) ベトナムのインフラが弱い。
都市でありながらも瞬電や停電が多い。通信インフラも弱い部分があるので、十分な速度を確保し ようとすると費用が相当高くなる。また、都市部の家賃が高額である。ただし、IT投資には国を挙げ て積極的であるため、これらは次第に解消されていくだろう。
4 今後の展開
他社のオフショア開発受注を拡大したり、現地で自社パッケージソフトを販売したりしようと思っ
ているが、そのためのコネクションを早く築きたいと考えている。
また、ベトナムの経済成長率は高く、今後、給料も上昇していくので、人件費格差メリットも長く は続かないので、早くベトナム市場に自社製品を売りたい。
5 東アジア・グローバル経営
(1)海外進出の背景・動機
自社のソフト開発の需要の高まりの中で、SEやプログラマー等の慢性的な人材不足の問題や、低 コスト要請の高まり等から日本だけでの開発に限界を感じていた。
これらの問題を解消するために、海外への進出を考えていたが、社長の知人でベトナムへ進出した企 業があり、2004年12月からベトナムでのソフト開発を検討し始めた。
2005年1月にホーチミンを訪問し、空港からタクシーに乗って中心部へ行く間に、車窓から感じた ベトナム社会の活気で、進出を決めた。
当社は海外進出の経験がなく、ベトナム投資に関する情報も持ち合わせていなかったが、中小機構の 国際化支援アドバイザーなどから何度もアドバイスを受ける一方、積極的にベトナムを訪問し、ベト ナムのITエンジニアの確保や質など、オフショア開発の可能性を探った。
投資申請から許可までは、非常に円滑かつ短期間で進み、2005年3月にはGlobal Laboを設立、ホ ーチミン市内1区Ton Duc Thang通りのSaigon Riverside Office Centerに進出した。
IT産業の進出は、ベトナムでは他の産業よりも優遇されており、早期に許認可も下り、短期間の内に 進出できたのである。
(2) 親・子会社関係と連携する組織能力
ソフト開発を海外で生産工程間分業を行う場合、現地企業に委託する場合と自社の子会社に業務委 託する場合があるが、本企業は、上記の自社の100%子会社に業務委託している。
本企業は親企業と子会社とも社長が共通で、知識・ノウハウ、業務方式は、自社・親会社のやり方 で統一でき、本社と子会社の間で連携する組織能力・業務ルーティーンが形成されてきている。これ には自社でのパッケージ開発等の安定的な業務発注量が必要になるが、ベトナムでもこのやり方での 業務管理に目途が立ってきている。
(3) 現地従業員満足・地域文化への対応
テクノロジーに興味があるので、新しい技術を覚える欲求は強い。同じ事をずっとやらせるとモチ ベーションが上がらないので、仕事の与え方には配慮している。
ベトナム人社員は何回でも同じ質問をしてくるが、省略せずに丁寧に説明することが必要。
プライドが高いので決して頭ごなしに怒ってはいけない。
また、受注が来たとき、ベトナムでは日本よりも納期を長く見積もる。これはベトナム人が残業を 嫌うためである。勿論、仕事が終わらないときは責任をもって残業をする者もいる。
しかしベトナムのエンジニアはキャリアアップのため、仕事後に日本語や英語習得に学校に通うも のも多い。加えて、翻訳・通訳時間も必要なので、余裕をもった納期設定が必要である。