ケース 8 ㈱アテーナホテルズ
2 経営理念
ーワンランク上をめざすアスリートのためにー スポーツを通じて地域再生づくり
3 経営組織
機能別組織
4 事業内容
(1) 施設概要
建坪 2,712M2 59部屋 定員200名 RC6階建
(2) 施設・サービスメニューコンセプト
「アテーナ淡路」では、4つのコンセプトでアスリートをケア&サポート。
チームとして、個人として、スキルと身体能力の向上、そして“勝ち”へのモチベーションをしっか りと支える。
① Athlete Meal Program スポーツ栄養学による競技別メニュー
② Facilities スポーツに特化した設備
③ Science スポーツ科学に基づくトレーニングサポート
④ Environment 温暖な気候・各競技場近接
(3) 主な設備内容
競技者に対し、ホテル側が提供できる設備は、常時、スポーツに没頭出来、時にリラックスできる シンプルで機能的な空間を提供することである。
クライミングウオール、必勝祈願神社、フィットネス設備、コンベンションホール、レストラン 24時間のコインランドリー、宴会場、等
5 企業成長の経過
1971年 当地に「旅館たていし」として創業
1989年 新館増築 名称を「ホテルタテイシ」に変更 1995年 阪神淡路大震災にて被災
2000年 国際環境規格ISO14001を日本のホテル旅館業で初めて取得 2002年 FIFAワールドカップ イングランドチームが淡路島にてキャンプ 2003年 NPO津名スポーツアシスト設立 スポーツ栄養学セミナー開催 兵庫県立佐野運動公園周辺等の清掃活動、環境保全活動を開始 2005年 10月 プレ国体
2006年 6月 「アテーナ淡路」グランドオープン 2006年 10月 のじぎく兵庫国体 障害者スポーツ大会
6 サービスモデル革新
(1)着想
① 空白な市場の把握
スポーツアイランド構想が進む淡路島。島内では多くの施設が整い、スポーツ環境はめざましく発 展している。また、「2002年FIFAワールドカップ」ではイングランドチームがキャンプ地とし、2006 年には「のじぎく兵庫国体」の開催地となるなど、内外の注目を集めている。
この素晴らしい環境の中で、アスリートスピリットを存分に発揮していただきたい。私どもはそんな 思いから、「ホテルタテイシ」を一新し、2006年6月、ギリシャの守護神でもある「アテーナ」より、
スポーツホテル「アテーナ淡路」を誕生させた。
② 新提供機能形成
目指すのはアスリートニーズに応えるサービスとホスピタリティの提供。日本初となるスポーツ大 会・合宿特化型ホテルに、期待して頂きたい。
(2)新サービスモデル
国内のスポーツ愛好家、学生、等の試合、合宿へのニーズを念頭において、以下の差別化に向けた 仕組と収益性確保に向けた仕組を形成して、事業の優位性形成に向かう。
① 差別化の仕組
以下の新サービスメニュー・設備開発を行っている。
ⅰ スポーツ栄養学に基づくアスリートメニューを提供
“その種目のために生まれてきたようなカラダづくり”こそアスリートの理想。その基本はカロリー や栄養素。種目やトレーニング内容に応じたメニューを用意。
ⅱ データ化で、効率的、効果的なトレーニングを可能に
食事内容等をデータ化し、個人とチームが自己管理とトレーニング計画に活用。目に見える数値によ り、ピンポイントで強みを伸ばし、弱みをカバーすることができる。
ⅲ 専門設備充実で、フィジカルからメンタルまでサポート
パソコン、プロジェクター、サッカーボード、等を常設した200 人収容のミーティングルームから、
フィットネススペース、さらには「必勝祈願神社」も敷地内に設置している。
ⅳ 近接する多彩な競技施設と温和な気候がアスリートの味方
兵庫県立佐野運動公園をはじめ、市立のグラウンドや武道館、体育館プールなどがすぐ近く。ウィン タースポーツ以外ならほとんどの種目に対応。雨が少なく温暖な気候がトレーニング効率を高める。
② 収益性確保の仕組
ⅰ 規模の経済
この規模で、収益性を確保するには、稼働率を高めにする必要がある。
また、チェーン展開することにより、規模の経済を享受可能。
ⅱ 範囲の経済・顧客接点での販売機会の専門特化
今回の新サービスは、通常のシティーホテルでの顧客のホテル認知、予約、チェックイン、滞在、
夕食、ルームサービス、設備利用、朝食、コンシエルジュサービス、会計、退出の
顧客接点の流れでの提供サービスを、スポーツホテルに専門特化して、a食事メニューの革新、b 施設利用の体系の革新、cスポーツ顧客グループ別(武道、野球、サッカー、等)への合宿、試 合向けの新サービス、等を実施。
ⅲ スピードの経済
専門特化したサービス内容について、迅速にサービス提供。
日々のサービス提供において、顧客グループ別に、提案型でカスタマイズしたかゆいところに手 の届くサービスをタイムリーに提供してきている。
ⅳ 集中化と外部化の経済
新連携支援の枠組みの中で、本企業実施の業務と外部専門企業との連携業務、専門機関の支援業 務について、集中化と外部化の経済の利益享受を想定。
ⅴ 囲い込みの経済
新サービスのスポーツジャーナリズムへの露出、中小企業支援メディアへの露出を図り、
新規顧客の獲得に努める。ブランド価値向上に努める。
また、リピーター化するための取組み、リピータ客へのサービスの深化、等により、顧客拡大を 図る。
(3)新サービス開発・供給システム形成
① 新連携によるサービス開発
平成19年2月、本企業は自社をコア企業とする新連携事業の認定を受け、スポーツホテルの事業 化に必要な以下のプログラム開発を行い、本サービスの事業化に成功を収めつつある。
ここでは、新連携事業のメカニズム・事業内容を紹介して、外部資源活用での提供機能の組合せ創 造のプロセスを記述していく。
ⅰ 事業計画の概要
a. 本事業は、大きく以下の2つの事業を核としている。
第一は「スポーツ合宿大会特化型ホテル事業」という新しい事業コンセプトに基づいたホテル事 業の展開」
第二は「アスリート・ミール・プログラム」というスポーツ栄養学に基づいたアスリート向けの
食事の提供事業の展開」
b. スポーツ合宿、大会宿泊に特化し、土曜日・春休み・夏休み・大学生の長期休暇の稼働率を高 める。
ⅱ 連携体の構成・外部協力機関 a 連体形の構成
コア企業【㈱アテーナホテルズ】:ホテルの全国展開 アスリート向け新商材・サービスの販売チャンネル スポーツ合宿・大会特化型ホテルの運営ノウハウ
連携企業【㈱フェス】:アスリート・ミール・プログラムの推進 スポーツ栄養学に基づくアスリート・ミール・プログラムの開発 9采弁当、ロジスティックのノウハウ
b 外部協力団体等
【早稲田大学】:スポーツ情報提供
【㈱タイム】:ミールマーケティング
【NPO淡路島スポーツアシスト】:指導者情報提供
ⅲ 連携の特徴
スポーツ合宿、大会特化型のホテルの運営ノウハウを有するコア企業とスポーツ栄養学に基づく食 事メニューを開発する企業との連携。
ⅳ 新事業
スポーツ合宿、大会特化型ホテル事業とその顧客向けにスポーツ栄養学及び食育の観点からの“ア スリートのための食”の提供事業。
ⅴ 市場性
建築設計も独自の“スポーツコンセプトホテル仕様”とするなど、ホテルビジネスの新業態。
② 地域資源活用プログラム(観光資源)の活用
また、平成19年12月、本企業は地域資源活用プログラムにおける観光資源の活用のジャンルで、
兵庫県淡路市地域を対象とする事業認定を受けている。
これでの対象事業は、新連携支援に加え、以下の2点である。
ⅰ 淡路佐野運動公園とスポーツホテルのノウハウを活用した日本初、トップアスリート養成のため のスポーツコンシェルジュサービス
ⅱ スポーツ大会等のコーディネートサービスの提供
③ 新サービス提供における経営管理の基本
顧客経験価値最大化を考え、そのためにも高いレベルの施設整備を行う。
他方、損益・資金・財務管理を行って、健全経営を目指す。会社の経営目標としては、顧客の享受す る経験価値の最大化と事業効率の両立である。
④ 空間設計
前の旅館、ビジネスホテルでの経験・ノウハウを、本サービスホテルの空間設計・各施設に十分埋
めこんでいる。例えば、室内のベット仕様、広間の床の畳とカーペットの両用化、窓・扉を 天井の高さまで広げる、等の対応を行っている。
お客様が、エントランス、床、等でイメージを一新し、各室の使い勝手で満足してもらう。
⑤ サービス・プログラム開発
2006年オープンまでの10年間で、お客様のニーズを聞き出して、その経験・ノウハウをサービス ホテルの新サービスに生かして、プログラム開発し、実行してきている。
今後、客層の多様化に応じて、新サービス開発に取組んでいく。
⑥ マーケティング活動
市場としては、関西圏中心で考えている。
スポーツを中心とするが、学校の文化部、企業の社内研修もターゲットとしている。
企業向けには、ビジネスアスリート研修として、メンタルトレーニング・自己啓発・目標管理をイメ ージしたプログラムを考えている。
⑦ 従業員・専門スタッフ開発
現場の従業員については、スポーツ教育を行っている。
また、将来的には、スポーツ選手の雇用を念頭に置いた、スポーツマンのセカンドキャリアを作るこ とを考えている。サッカーJのビッセル神戸のリタイヤ選手を活用している。
⑧ 全体最適に向けた仕組形成と生産性向上に向けて
ⅰ 新サービスの意義
通常のシティーホテルでは、顧客は、ホテル認知、予約、チェックイン、滞在、夕食、ルームサー ビス、設備利用、朝食、コンシエルジュサービス、会計、退出の顧客接点の流れでの提供サービスを 購入し、ホテル側は売上を計上。
今回のケースでは、本企業がコア企業となり、連携企業の参加、関係機関の支援を得て、外部資源 活用のメカニズムで新提供機能・サービスの組合せ創造を行っている。
具体的には、スポーツホテルに専門特化して、顧客接点でのサービスメニューを競技者向けに、a 食事メニューの革新、b施設利用の体系の革新、cスポーツ顧客グループへの合宿、試合向けの新サ ービス、等を実施。
ⅱ 連携体の最適化に向けた取組み
本ケースでは、本企業がコア企業となって外部資源活用のメカニズムで新提供機能・サービスの組 合せ創造を行って、事業展開している。
具体的には、当事者間でこの新サービスの開発・提供に際し、顧客情報を共有して主体間の壁を串 刺す業務プロセス形成のための仕組を形成して、その最適化を図っている。
この仕組の成功のためには、その連携の補完性、適合性、コミットメント(WIN―WINの関係)
が満たされる必要があるが、これを新連携支援のメカニズムの中で担保している。
ⅲ 生産性向上に向けた効果
このような仕組が担保されて、バーチャルな企業体として新サービス提供することにより、従来よ り、高付加価値で施設の稼働率も高められ、結果として生産性向上につながる。