1 会社概要
会社名: 株式会社メディヴァ 代表取締役: 大石佳能子
本社所在地: 東京都世田谷区用賀 2-32-18-301 設立: 平成12年6月
資本金: 1億5,800万円
株主: 大石佳能子、東急不動産、他
2 事業の思い(着想、経営理念)
本企業は、2000年6月に「患者視点での医療変革」を目指して、マッキンゼー・アンド・カンパ ニー出身のコンサルタントと医師が共同で設立。
また、本企業は「医療サービスのあるべき姿」を追求している。「よりよい医療サービスを受けたい」、 という患者の思いと、「よりよい医療を提供したい」、という医師の思いを実現し、経営的にも成功さ せることが(株)メディヴァの使命。上記を実現するために、(株)メディヴァは医療界と医療界外の ノウハウ、ネットワークを融合させる。
3 事業概要
(1) 新規開業支援
(2) 診療所経営サポート
(3) 病院コンサルティング
(4) 病・診・患連携システム
(5) メディカル・プロデュース&コンサルティング
4 病・診・患連携システムの内容
平成13年度経済産業省補正予算(MEDIS)受託事業(下記①及び②)として、病診連携、患者と の情報連携システムを開発。医療機関のニーズに合わせ、低コストで、導入しやすく、医療的・経営 的効果が高いシステムを提供。
①メディメール(医療機関間情報共有化システム)
複数の医療機関の間で、患者のカルテ・画像を共有化するためのシステム。
データセンターを介して、セキュリティが確保された安全なネットワークを構築し、電子カルテ、電 子画像システムの有無、および導入機種に関わらず、情報の共有化が可能(インターネットのみのド クターも参加可)。
②オープンカルテ(診患間情報共有化システム)
患者がインターネットを通して自分のカルテにアクセスし、フィードバックを返すことのできるシ ステム。患者が自分の病状を理解する、経過を記録するなどのために使用できる。また、患者に医療 機関としての自信とオープンな姿勢を伝える手段として、患者増に非常に有効な手だてとなる。平成 13年グッドデザイン賞受賞。
③ メディカルSNS
本企業のASPサービスで、インターネット上で構築するコミュニティー空間の一つで、信頼性の 高いネットワーク実現のために、実名と参加者同士の紹介・承認によるネットワークを実現している。
本企業で運営する「Medi−wa」をはじめとして、専門職同士などの専用コミュニティーを作成 可能。
5 新規開業支援の内容
(1) 開業支援のコンセプト
①定量的なデータと客観的な判断
定量的なデータと分析を重視し、マクロ情報(患者調査、住民基本台帳)の詳細な分析に加え、
現地ヒアリングによる競合調査や損益分岐シミューレション、開業後資金繰りシミュレーションを実 施し、検査機器一つ一つの購入までその採算性に踏み込んで判断。
②明確なコンセプトに基づく「売り」のある開業
先生ご自身の思いやスキルを棚卸し、同時に医療界のトレンドを押さえることで、開業時のコンセ プトを明確にし、「家庭医型グループ開業」「病児保育併設ファミリークリニック」「婦人科健診自由診 療」「痛みと癒しの整形外科」といった、売りを作り込む。
③他分野の事業者との幅広い提携
医療界出身ではないコアメンバーの成り立ちを活かし、病院とビジネス界との提携プランを構築。
例えば、コールセンターと組んだ労働コンサルティング、地域中核病院へのIT導入と連携の強化、
地方紙・地域コミュニティへのマーケティングルート確保などである。
(2) 開業支援のフロー
開業支援のフローは、企画・調査から開始して、建築要件定義・行政申請までを含む、開業までの 必要な支援すべてとなる。特に最初の企画・調査と開業直前から開業後のマーケティングに力を入れ ており、市場ニーズとマッチした病院の差別化された強みの「売り」を作り上げる。
第1フェーズ 企画調査 医師の開業の構想の棚卸し
第2フェーズ 施設開発 立地・市場調査 資金計画・調達 第3フェーズ 作り込み 建築・内装 人事・採用 IT設計・導入
第4フェーズ マーケティング・患者獲得 行政機関への申請 マーケティング 第5フェーズ 開業
6 成功事例の2ケースのポイント
次に、新規開業に成功したと本企業が考えている病院、クリニックの成功のポイントについてのヒ
アリング結果を以下に紹介。
事例1 A クリニックの成功の要因
<概要>
① 23:30までの夜間透析とCT、カラードップラーエコーの導入
② 電子カルテ、画像診断システムで完全電子化を行い、カルテ開示も実施
③ 透析は早期に集患に成功、外来患者も獲得
<成功の要因>
① 情報の開示(オープンカルテ)=診療の品質管理
単に患者参加型とか患者指向型ではなく、医療の品質管理を指向することが目的であり、医療のコ ンプライアンスを保持
② 最新機器の導入=高機能な医療を実現
CT を導入し、高機能医療技術を用いた高い診療レベルの医療を家庭医が日常的な症状を対象に行 う。「CTを撮ってください」等の問い合わせは頻繁
③ 口コミや情報交換が活発なコミュニティーに立地
④ 「データに基く診療」の実施=個々の患者様にあった治療
⑤ 社会への貢献=地域活動への貢献
各地域にて料理教室や・学習会を開催し、患者様の心のケアから病気、疾患に対する正しい理解 と知識を持って頂くことに寄与。
⑥ 一般外来と予約外来の実施
⑦ 23:30までの透析=透析患者への社会復帰
⑧ 充実したスタッフ
事例2 B 診療所の成功の要因
<概要>
①郊外の新興マンション群におけるマンション敷地内診療所
②呼吸器科の女性医師が、広く研鑽を積み、内科〜小児科に幅広く対応
③駅から徒歩10分と離れた場所にありながら、早期に患者増を実現し、半年で黒字化
<成功の要因>
① 駅前にこだわらず、駅から遠いが十分に周辺住民を見込めるエリアを探し出し、競合となる診療 所の少ない開業を実現
② 内装を温かく癒しの空間とし、家庭的な雰囲気を演出。待合室やトイレの広さは十分確保
③ 開業当初は、保母さん出身の受付などを採用し、子供への気配りにも配慮
④ あえて院内薬局を採用し、収支は悪化するが、患者サービスには寄与
⑤ 開業前に市場調査を実施し、見込み患者数と合うような物件の条件を確保。結果収支の確保を早 期に実現
⑥ レセコン一体型の電子カルテ(小規模)を採用し、スタッフ数をぎりぎりまで詰める一方で、職 種にこだわらず少人数でチームワークよく動ける、組織を作ることができたこと
7 病院・診療所の新規開業成功のポイント
本企業がこれまでのコンサルティング実績から内科、小児科等の病院・診療所の新規開業成功の主 なポイントを以下のようにまとめている。
(1)立地条件では、主に1Fや駅前、街道沿いの目立つ所で駐車場完備し、周辺環境の良い所選定。
(2)施設では、待合室をゆったり取り、患者の居心地の良さに配慮したレイアウトにする。
(3)医療機器では、最新の医療機器を意識して、クリニックの売りになるようにする。
(4)スタッフはクリニックの顔であり、電話応対、受付応対などの接遇に努める。採用段階から人 当りの良さを意識し、人材育成に努める。
(5)経営のあり方では、開業は経営者になることであり、経営意識が重要になる。若い内の開業は 資金的にも無理が利くが、50代の開業の場合はリスクを小さくした方がベター。
8 本研究のフレームワークから見た評価
本企業は、2000年6月に「患者視点での医療変革」を目指して、マッキンゼー・アンド・カンパ ニー出身のコンサルタントと医師が共同で設立し、「医療サービスのあるべき姿」を追求している。具 体的には「よりよい医療サービスを受けたい」という患者の思いと、「よりよい医療を提供したい」と いう医師の思いを実現し、経営的にも成功させることが本企業の使命であるとしている。これを実現 するために、医療界と医療界外のノウハウ、ネットワークを融合させることを強みとしている。
このような着想の下、本企業は、日本で最先端の成功する良質の新規病院開業支援、また、既 存病院の経営改革支援、等を行っているが、その支援メニューも多彩で、既に述べた①メディメール
(医療機関間情報共有化システム)、②オープンカルテ(診患間情報共有化システム)を経済産業省の 補助事業として開発運用し、また、新規に③メディカルSNSも提供している。
特に、新設の成功する病院・クリニックの支援フローを確立しており、その手順は、①企画調査(医 師の開業の構想の棚卸し)、②施設開発(立地・市場調査、資金計画・調達)、③作り込み(建築・内 装、人事・採用、IT設計・導入)、④マーケティング・患者獲得(行政機関への申請、マーケティン グ)、⑤開業、のフェーズを設けて支援している。中でも最初の「企画・調査」と「開業」直前から「開 業」後のマーケティングに力を入れており、市場ニーズとマッチした病院の差別化された強みである 病院の「売り」を作り上げることに注力して、サービス供給上の優位性を構築している。
これは本研究の全体フレームワークと対応しており、小型の病院システムの特定の地域での立地選 定までを含めた、フロントオフィスでの顧客満足・感動確保とバックオフィスでの効率的な事業運営を 目指して、部門の壁を串刺した業務プロセス連携を行うための全体最適化に向けた開発、設計のフレ ームワークとなっている。
いずれにしても、日本の医療制度改革と連動しているこのような既存病院の経営改革支援、優良な 新規病院の成功する開業支援への取組は、今後の少子高齢化社会を乗り切っていくために必要なコン サルティングサービスであり、このようなコンセプトを生かした新規の病院開業、また、既存病院の 経営改革がなされることが期待されている。