3.4.1 活用上必要な設備改修
科博本館の改修工事では、博物館としての機能を維持するために、高齢者や身障者への 対応や室内環境の向上に必要な設備改修は不可欠であった。
本項では、科博本館で行われた設備改修のうち、「昇降設備」、「空調設備」、「照明設備」
に着目し、実施された工事手法の内容と設置個所について述べる。
➀ 昇降設備
改修前の科博本館には、事務棟と中央ホール回廊の東側に各 1 基、計 2 基のエレベータ ーが設置されていた。改修後の来場者の増加が見込まれたため、新たに 2 基のエレベータ ーが増設された。(図 3-57、58)
設置個所は、中央ホールと事務棟の接続部とし、中央階段奥南側の、事務室がエレベー ター用のシャフトに改修された。廊下に面する 2 室分の壁面および、1 階から 3 階の各階の 床スラブは解体・撤去された。設置するエレベーターは、シャフト上部に機械室を必要と しない機械室レス式のエレベーターを採用し、機械はシャフト内に設置された15。これに より、屋外に機械室を新設する必要がなくなったため、外観が維持された。
既設の 2 基のエレベーターは、4 階を機械室とし、地下 1 階から 3 階までを可動域として いたが、改修工事で会議室が屋上階に増築されたために、エレベーターを 4 階まで稼働さ せる必要が生じた。そのため、機械室の床スラブを解体・撤去し、機械室レス式のエレベ ーターに更新して、地下 1 階から 4 階までの昇降を可能にした。
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図 3-57 新設エレベーター設置位置 2 階平面図(改修後 2 階平面図に筆者加筆)
図 3-58 新設エレベーター
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② 空調設備
改修前の展示室及び講堂には空気供給による空調方式、事務室には冷媒を利用した空調 方式が採用されていた。改修後、展示室には室内ダクト吹き出し方式、事務室には冷媒を 利用した空調方式を採用した。
地下 1~3 階の展示室には、室内ダクト吹き出し方式が採用されている。室内 3 箇所には空 調機械室が設置されており、ダクトは、左右に 2 本ずつ計 4 本が入口中央を避けた壁面沿い に配置され、側面の吹出口により空調が行われている。ダクトは天井から吊り下げられてお り、吊り下げ金物は天井及び梁に固定されている。(図 3-59、60)。3 階展示室は、ダクト方 式と天井からの吹き出し方式を併用したため、ダクトの貫通部の他に、天井には吹き出し用 の開口部が設置された(図 3-61)。
講堂は、空気供給による室内吹き出し方式を採用したため、正面及び背面の壁面に吹き 出し用の開口部が設置されている(図 3-62、63)。
事務室は、カセット型や天井吊り下げ式の空調機が設置されており、吊金物は天井に固 定され、配管用の貫通孔が壁面や天井面に設置された(図 3-64)。
図 3-59 展示室内空調機械室及びダクト設置位置(改修後 2 階平面図に筆者加筆)