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福島県 港湾施設

ドキュメント内 震災(色校用).indd (ページ 36-40)

1 担当業務の概要

 土木職として、被災した緑地の復旧工事に関連する業務を担当し、設計・積算、工事監督業務等を行っ た。その中には、夏のレクリエーション一大スポットであり平成 13 年度環境省選定の日本の海水浴場 88 選にも選ばれた原釜尾浜海水浴場の緑地や、天皇が訪れたこともあり普段から多くの住民に利用されてい た松川浦大橋周辺の臨海緑地の災害復旧などがあった。

 海水浴場に関しては、震災の津波により浜砂が侵食されてしまったり、海水浴客が泳ぐ海域にがれきが 沈んでいたりと一般住民が利用することのできない状態となっていた。しかし、震災復興として優先的に 工事が進められたのは、津波や高潮から人命を守るための防波堤や防潮堤の構築、漁業や海運業を再開す るための岸壁や物揚場の復旧であった。そのため、震災から約6年経った今でも緑地はほとんど復旧がな されないままとなっていた。

 相馬市近郊ではここしか海水浴を楽しむことができる施設がないため震災前には毎年多くの海水浴客が 訪れていたが、震災以降相馬市周辺には海水浴場がなくなっていたため沿岸に住む人たちが海に触れる機 会が減少しているという声が多くあった。堤防など港湾工事の大部分が終盤を迎え、ようやく臨海緑地の 復旧工事を進めることができる状況となり、原釜尾浜海水浴場は平成 30 年度の一般供用を予定するなど、

住民が海に触れるための施設の開放が近づいている。

 これらを考えると、人命や産業のための防波堤や港の岸壁などのハード面としての復旧工事とは異なり、

住民が海を身近に感じることができる緑地復旧工事はソフト面での復興としてとても重要な事業であっ た。また、被災地を直接見ることで被害の規模の大きさを実感した。しかし、それ以上にその被害を現在 の形にまで復興させた福島県職員をはじめとした関係者の力に感銘を受け、自分自身の都職員としての役 割を見つめ直す良いきっかけとなった。(加藤 大地)

 私は、10 月〜 12 月の 3 か月、福島県相馬港湾建設事 務所に派遣職員として赴任しました。事務所では、主に 3 つの業務を担当しました。1 つ目は、漁港の公園緑地 の設計業務です。本業務は、東日本大震災で破壊された 松川浦漁港の遊歩道(図1)を復旧させるのが目的でした。

数量確認や起工時に使う書類の作成を行いました。2 つ 目は、工事の変更設計を行う準備です。東京都の派遣職 員が引き継いで担当している工事の変更設計を行うため、

図面の修正や数量の確認を行いました。3 つ目は、見積 りの徴収です。復旧班で担当しているテニスコート、野 球場等の積算用の見積りや、変更設計用の見積りをとり ました。(佐藤 大輔)

2 苦労したこと・工夫したこと

 担当した緑地工事は、被災前の状態に戻す「原形復旧」を基軸とする考え方で工事発注がなされていたが、

工事を進めていく中で原形復旧とすることができない条件や、より良い復旧方法を選択するべき内容が数 多く出てきた。設計変更により対応することになったが、変更後の内容は当初設計とは全く異なるものと なっていたため、施工途中で配属されてから現場を理解し変更設計書に反映させることに苦労した。

 緑地工事は施工範囲が広く工種も多いため現場を理解することにさえ苦労するものであったが、派遣期 図 1(10 月中旬、現在の松川浦漁港の遊歩道状況)

職員派遣

1

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

足を運び変更図面が現地と合致しているかを確認し、不明な点があれば受注者を巻き込み現場の理解に努

めた。その結果、工事着手から自分の派遣期間までの変更設計書を形にすることができた。(加藤 大地)

 私の担当した業務で最も苦労したのが公園緑地の設計業務です。工事を起工し今年度内に契約までしな ければならないというスケジュールであり、すぐにでも取り組まないと間に合わない状況でした。特に福 島県の様式に準じた起工書類一式を整えなければならなく、何が必要なのかを理解し、それは、どのくら い時間を必要とするのかの判断が難しく苦労しました。また、CADやその他システムが都で使用してい るシステムと異なっていたこともあり、作業になれるまで時間を要しました。設計業務を迅速に進めるた め、過去の設計書や過去の資料を参考にし、設計内容の検討をしていきました。過去の資料を見てもわか らない時には、係内の職員に過去の経緯や、検討方法などを聞くことや、係内の職員も派遣職員が多いの で別の係の職員に聞きました。そのため日頃から相談しやすい人間関係を築くように心がけました。また、

派遣期間は 3 か月であり、担当の入れ替わりが多いので、できるだけわかりやすい引き継ぎ書を作成する ことを心がけました。(佐藤 大輔)

 担当工事は尾浜海水浴場背後の緑地復旧が主目的であり、公園整備や景観検討についての経験が無かっ たことから、当然ながら業務遂行にあたり基本理解に苦労しました。港湾復旧担当の先輩職員から参考資 料をご紹介いただいて学習し、事業経緯を理解するところから始めました。

 また、担当工事の現場は事務所最寄りであり、頻繁に現場代理人と議論を重ねることで、これまでの復 旧の考え方を整理することに努めました。

 工夫したことは、緑地に設置するスツール(丸形イス)について、利用者の海岸眺望の視点を意識して 配置を決めていきました。福島県派遣での緑地復旧を通じ、公共事業は利用者の視点を第一に考え、景観 や周囲の自然環境との関連を熟慮することが重要であると学びました。(秋田 寛己)

    

 自分は前職の時に転勤には慣れているので新しい生活にはすぐ馴染めたが、やはり現在の職場と仕事の やり方、取り組み方が異なり、すり合わせが苦労した。しかも赴任期間が三ヶ月と短く仕事に慣れ、現場 を把握してからの時間が短く、打ち合わせ等が中途半端になってしまった。

 また、前任者との引継ぎの時間が 1 日しかない状況ですべてが引き継がれるわけではなく、知らない事や、

請負者との打合せ事項、関係機関との協議が途中までしか進んでいない等の状況もあったため ( 自分もそ の状況を残してきたわけですが・・・・) 新しく発生した協議事項を片付ける前に前任者の協議事項を確認し、

完結させるとういうひと手間が必要な事項があった。

 そのような状況であったため、担当現場では (2 年近い工期になっていたが ) 発注当初までさかのぼって 議事録等を整理しなおし、赴任期間に終わらせられる仕事を優先に片付けていくという方法にしてできる だけ後任者に中途半端な状況で引き継がないように工夫した。(村尾 亮)

 被災地の現場が抱える課題の一つに建設資材等のストックヤード確保がある。港湾、海岸及び漁港施設 等の復旧を進める過程では、土砂や石材等が大量に発生することがある。これらの発生材は、同工事や後 続工事で再利用できる可能性があるため、各施設背後の未復旧用地に一時的に仮置きされている場合が多

被災前の尾浜海水浴場 津波により被災 現在の整備状況(H29.1.18 時点)

技術系職員

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

技術系職員

内田 勝大、矢部 祐樹 藤井 元希、村尾  亮 佐藤 大輔、加藤 大地 山口 和也、秋田 寛己

(港湾局)

相馬港湾建設事務所

福島県 港湾施設

1 担当業務の概要

 土木職として、被災した緑地の復旧工事に関連する業務を担当し、設計・積算、工事監督業務等を行っ た。その中には、夏のレクリエーション一大スポットであり平成 13 年度環境省選定の日本の海水浴場 88 選にも選ばれた原釜尾浜海水浴場の緑地や、天皇が訪れたこともあり普段から多くの住民に利用されてい た松川浦大橋周辺の臨海緑地の災害復旧などがあった。

 海水浴場に関しては、震災の津波により浜砂が侵食されてしまったり、海水浴客が泳ぐ海域にがれきが 沈んでいたりと一般住民が利用することのできない状態となっていた。しかし、震災復興として優先的に 工事が進められたのは、津波や高潮から人命を守るための防波堤や防潮堤の構築、漁業や海運業を再開す るための岸壁や物揚場の復旧であった。そのため、震災から約6年経った今でも緑地はほとんど復旧がな されないままとなっていた。

 相馬市近郊ではここしか海水浴を楽しむことができる施設がないため震災前には毎年多くの海水浴客が 訪れていたが、震災以降相馬市周辺には海水浴場がなくなっていたため沿岸に住む人たちが海に触れる機 会が減少しているという声が多くあった。堤防など港湾工事の大部分が終盤を迎え、ようやく臨海緑地の 復旧工事を進めることができる状況となり、原釜尾浜海水浴場は平成 30 年度の一般供用を予定するなど、

住民が海に触れるための施設の開放が近づいている。

 これらを考えると、人命や産業のための防波堤や港の岸壁などのハード面としての復旧工事とは異なり、

住民が海を身近に感じることができる緑地復旧工事はソフト面での復興としてとても重要な事業であっ た。また、被災地を直接見ることで被害の規模の大きさを実感した。しかし、それ以上にその被害を現在 の形にまで復興させた福島県職員をはじめとした関係者の力に感銘を受け、自分自身の都職員としての役 割を見つめ直す良いきっかけとなった。(加藤 大地)

 私は、10 月〜 12 月の 3 か月、福島県相馬港湾建設事 務所に派遣職員として赴任しました。事務所では、主に 3 つの業務を担当しました。1 つ目は、漁港の公園緑地 の設計業務です。本業務は、東日本大震災で破壊された 松川浦漁港の遊歩道(図1)を復旧させるのが目的でした。

数量確認や起工時に使う書類の作成を行いました。2 つ 目は、工事の変更設計を行う準備です。東京都の派遣職 員が引き継いで担当している工事の変更設計を行うため、

図面の修正や数量の確認を行いました。3 つ目は、見積 りの徴収です。復旧班で担当しているテニスコート、野 球場等の積算用の見積りや、変更設計用の見積りをとり ました。(佐藤 大輔)

2 苦労したこと・工夫したこと

 担当した緑地工事は、被災前の状態に戻す「原形復旧」を基軸とする考え方で工事発注がなされていたが、

工事を進めていく中で原形復旧とすることができない条件や、より良い復旧方法を選択するべき内容が数 多く出てきた。設計変更により対応することになったが、変更後の内容は当初設計とは全く異なるものと なっていたため、施工途中で配属されてから現場を理解し変更設計書に反映させることに苦労した。

 緑地工事は施工範囲が広く工種も多いため現場を理解することにさえ苦労するものであったが、派遣期 図 1(10 月中旬、現在の松川浦漁港の遊歩道状況)

職員派遣

1

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

足を運び変更図面が現地と合致しているかを確認し、不明な点があれば受注者を巻き込み現場の理解に努

めた。その結果、工事着手から自分の派遣期間までの変更設計書を形にすることができた。(加藤 大地)

 私の担当した業務で最も苦労したのが公園緑地の設計業務です。工事を起工し今年度内に契約までしな ければならないというスケジュールであり、すぐにでも取り組まないと間に合わない状況でした。特に福 島県の様式に準じた起工書類一式を整えなければならなく、何が必要なのかを理解し、それは、どのくら い時間を必要とするのかの判断が難しく苦労しました。また、CADやその他システムが都で使用してい るシステムと異なっていたこともあり、作業になれるまで時間を要しました。設計業務を迅速に進めるた め、過去の設計書や過去の資料を参考にし、設計内容の検討をしていきました。過去の資料を見てもわか らない時には、係内の職員に過去の経緯や、検討方法などを聞くことや、係内の職員も派遣職員が多いの で別の係の職員に聞きました。そのため日頃から相談しやすい人間関係を築くように心がけました。また、

派遣期間は 3 か月であり、担当の入れ替わりが多いので、できるだけわかりやすい引き継ぎ書を作成する ことを心がけました。(佐藤 大輔)

 担当工事は尾浜海水浴場背後の緑地復旧が主目的であり、公園整備や景観検討についての経験が無かっ たことから、当然ながら業務遂行にあたり基本理解に苦労しました。港湾復旧担当の先輩職員から参考資 料をご紹介いただいて学習し、事業経緯を理解するところから始めました。

 また、担当工事の現場は事務所最寄りであり、頻繁に現場代理人と議論を重ねることで、これまでの復 旧の考え方を整理することに努めました。

 工夫したことは、緑地に設置するスツール(丸形イス)について、利用者の海岸眺望の視点を意識して 配置を決めていきました。福島県派遣での緑地復旧を通じ、公共事業は利用者の視点を第一に考え、景観 や周囲の自然環境との関連を熟慮することが重要であると学びました。(秋田 寛己)

    

 自分は前職の時に転勤には慣れているので新しい生活にはすぐ馴染めたが、やはり現在の職場と仕事の やり方、取り組み方が異なり、すり合わせが苦労した。しかも赴任期間が三ヶ月と短く仕事に慣れ、現場 を把握してからの時間が短く、打ち合わせ等が中途半端になってしまった。

 また、前任者との引継ぎの時間が 1 日しかない状況ですべてが引き継がれるわけではなく、知らない事や、

請負者との打合せ事項、関係機関との協議が途中までしか進んでいない等の状況もあったため ( 自分もそ の状況を残してきたわけですが・・・・) 新しく発生した協議事項を片付ける前に前任者の協議事項を確認し、

完結させるとういうひと手間が必要な事項があった。

 そのような状況であったため、担当現場では (2 年近い工期になっていたが ) 発注当初までさかのぼって 議事録等を整理しなおし、赴任期間に終わらせられる仕事を優先に片付けていくという方法にしてできる だけ後任者に中途半端な状況で引き継がないように工夫した。(村尾 亮)

 被災地の現場が抱える課題の一つに建設資材等のストックヤード確保がある。港湾、海岸及び漁港施設 等の復旧を進める過程では、土砂や石材等が大量に発生することがある。これらの発生材は、同工事や後 続工事で再利用できる可能性があるため、各施設背後の未復旧用地に一時的に仮置きされている場合が多

被災前の尾浜海水浴場 津波により被災 現在の整備状況(H29.1.18 時点)

ドキュメント内 震災(色校用).indd (ページ 36-40)