(福祉保健局)
保健福祉部 地域医療課
医療復興等
福島県
1 担当業務の概要
福島第一原子力発電所の事故による避難指示区域等の設 定により、多くの住民が避難を余儀なくされた双葉郡等に おいて、医療等提供体制を再構築することが主な業務であ り、その検討の場である「双葉郡等避難地域の医療等提供 体制検討会」(以下「検討会」という。)の事務局を担当し ました。双葉郡とは、福島県の東部に位置し、広野町、楢 葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村 のことで、今なお多くの住民が避難し、地域社会全体に空 白が生じるなど、深刻な被害が続いている地域です。
この地域では、震災前に稼働していた二次医療機関は6 病院ありましたが、震災後、現在稼働しているのは1病院(広 野町にある高野病院)であり、その他の病院は再開する見 込みすら立っていません。また、救急医療を担う病院もす べて休止している状況です。
この検討会は、平成 27 年9月に国、県、地元市町村及 び関係団体を構成メンバーとして設置され、双葉郡等に必 要な医療等提供体制を検討するなかで、住民帰還を促進し、
帰還した住民や廃炉・除染作業員の安心や健康を確保する
ため、二次救急拠点である「ふたば医療センター(仮称)」(以下「医療センター」という。)の整備が喫 緊の課題とされ、その整備計画の策定を進めてきました。昨年の9月にはその整備内容を知事記者会見で 公表することができ、また検討会の1年間の検討結果を、中間報告として取りまとめることができました。
2ヶ月に1回のハイペースで検討会を開催し、怒涛のような半年間の中である一定の成果を収めることが でき、「一丁上がり」と言いたいところでしたが、やっとスタート地点に立てただけで、すべてはこれか ら始まるのだと思いました。
※市町村からの聞き取った情報(平成26年4月1日時点の住民登録数)を基に原子力被災者生活支援チームが集計。 広野町 伊達市
いわき市
楢葉町 福島第二 原子力発電所 大熊町 浪江町
富岡町 双葉町 川俣町
20km
福島第一 原子力発電所
避難指示区域の概念図
帰還困難区域 居住制限区域 避難指示解除準備区域 旧避難指示区域 解除日 : 田村市(平成26年4月1日)
: 川内村(平成26年10月1日)
(平成28年6月14日)
: 楢葉町(平成27年9月5日)
: 葛尾村(平成28年6月12日)
:南相馬市(平成28年7月12日) 避難指示を解除する区域 凡例
田村市
参考1
葛尾村
川内村 南相馬市 飯舘村
(平成29年3月31日解除)
※平成28年6月17日原災本部決定済
川俣町山木屋地区
(平成29年3月31日解除)
避難指示区域の概念図(経済産業省 HP)
第 6 回双葉郡等避難地域の医療等提供体制検討会の様子
技術系職員
職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣
事務系職員
業務概要
福島県保健福祉部は主に県内の保健・医療・福祉分野に関する職務を担当しており、組織構成は表のと おりです。平成28年度における保健福祉部の施策は、次の6つの基本目標ごとに、福島県復興計画や人 口減少・高齢化対策を総合的に進めるための「ふくしま創生総合戦略」の着実な実行を目指しながら、本 県の保健・医療・福祉を取り巻く課題の解決に向けて、積極的かつ効果的な事業の展開を図ることとして います。
1 復興へ向けた保健・医療・福祉の推進 2 全国に誇れる健康長寿の県づくり 3 地域医療の再生と最先端医療の推進
4 日本一安心して子どもを生み育てられる環境づくり 5 ともにいきいき暮らせる福祉社会の推進
6 誰もが安全で安心できる生活の確保
私が所属する地域医療課は、県民の一人ひとりが生涯を通じて各ライフステージや疾病に応じた医療 サービスを等しく享受できるよう、次の事項を基本とした施策を重点的に推進しています。
1 医療提供体制の整備充実 2 救急医療体制の強化 3 歯科医療の確保
4 地域医療再生基金事業等の推進 5 移植医療の推進
課の体制は、平成 28 年4月1日現在、
管理職として、課長、主幹2名(地域医 療担当)・(医療政策担当)、ラインとして は、医療復興担当ラインに主任主査2名
(うち1名が著者)、主査1名、主事4名、
医務救急担当ラインに主任主査1名、主 査1名、副主査2名、主事2名、専門員 1名(愛知県派遣)、医療相談員1名、臓 器移植推進財団コーディネーター2名と なっています。
保健福祉部 地域医療課
医療復興等
福島県
■平成28年度 福島県保健福祉部の組織
◆本庁機関 ◆保健福祉事務所
◆その他出先機関
介護保険室
(保健福祉総室)
(生活福祉総室)
社会福祉課 福祉監査課 高齢福祉課
障がい福祉課 保健福祉総務課 国民健康保険課
(健康衛生総室)
健康増進課 県民健康調査課 地域医療課
児童家庭課 薬務課
<こども未来局>
こども・青少年政策課 子育て支援課 食品生活衛生課
医療人材対策室
県北保健福祉事務所
(県北保健所)
県中保健福祉事務所
(県中保健所)
県南保健福祉事務所
(県南保健所)
会津保健福祉事務所
(会津保健所)
南会津保健福祉事務所
(南会津保健所)
相双保健福祉事務所
(相双保健所)
相双保健福祉事務所いわき出張所
(相双保健所いわき出張所)
障がい者総合福祉センター 精神保健福祉センター
衛生研究所 環境医学研究所 食肉衛生検査所 総合衛生学院
南会津相談室 県中支所 会津支所
中央児童相談所
県中児童相談所 白河相談室
南相馬相談室 若松乳児院
福島学園
女性のための相談支援センター 浜児童相談所
総合療育センター 大笹生学園 郡山光風学園 会津児童相談所
職員派遣
第 1 部
職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣
大隅 一暢
(福祉保健局)
保健福祉部 地域医療課
医療復興等
福島県
1 担当業務の概要
福島第一原子力発電所の事故による避難指示区域等の設 定により、多くの住民が避難を余儀なくされた双葉郡等に おいて、医療等提供体制を再構築することが主な業務であ り、その検討の場である「双葉郡等避難地域の医療等提供 体制検討会」(以下「検討会」という。)の事務局を担当し ました。双葉郡とは、福島県の東部に位置し、広野町、楢 葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村 のことで、今なお多くの住民が避難し、地域社会全体に空 白が生じるなど、深刻な被害が続いている地域です。
この地域では、震災前に稼働していた二次医療機関は6 病院ありましたが、震災後、現在稼働しているのは1病院(広 野町にある高野病院)であり、その他の病院は再開する見 込みすら立っていません。また、救急医療を担う病院もす べて休止している状況です。
この検討会は、平成 27 年9月に国、県、地元市町村及 び関係団体を構成メンバーとして設置され、双葉郡等に必 要な医療等提供体制を検討するなかで、住民帰還を促進し、
帰還した住民や廃炉・除染作業員の安心や健康を確保する
ため、二次救急拠点である「ふたば医療センター(仮称)」(以下「医療センター」という。)の整備が喫 緊の課題とされ、その整備計画の策定を進めてきました。昨年の9月にはその整備内容を知事記者会見で 公表することができ、また検討会の1年間の検討結果を、中間報告として取りまとめることができました。
2ヶ月に1回のハイペースで検討会を開催し、怒涛のような半年間の中である一定の成果を収めることが でき、「一丁上がり」と言いたいところでしたが、やっとスタート地点に立てただけで、すべてはこれか ら始まるのだと思いました。
※市町村からの聞き取った情報(平成26年4月1日時点の住民登録数)を基に原子力被災者生活支援チームが集計。
広野町 伊達市
いわき市
楢葉町 福島第二 原子力発電所 大熊町 浪江町
富岡町 双葉町 川俣町
20km
福島第一 原子力発電所
避難指示区域の概念図
帰還困難区域 居住制限区域 避難指示解除準備区域 旧避難指示区域 解除日 : 田村市(平成26年4月1日)
: 川内村(平成26年10月1日)
(平成28年6月14日)
: 楢葉町(平成27年9月5日)
: 葛尾村(平成28年6月12日)
:南相馬市(平成28年7月12日)
避難指示を解除する区域 凡例
田村市
参考1
葛尾村
川内村 南相馬市 飯舘村
(平成29年3月31日解除)
※平成28年6月17日原災本部決定済
川俣町山木屋地区
(平成29年3月31日解除)
避難指示区域の概念図(経済産業省 HP)
第 6 回双葉郡等避難地域の医療等提供体制検討会の様子
技術系職員
職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣
事務系職員
案の定、10 月に入ると中間報告完成の安堵感などは過去のものとなり、平成 30 年4月の医療センター 開設をめざし、その準備委員会に参画したり、医療センター運営に必須の多目的ヘリの運航事業を構築し たりするなど慌ただしい日々を過ごすことになりました。
また、県内外の避難者に対して、福島県内の復興に向けた動 きや、本県で安心して暮らすための環境整備や生活支援等に関 する情報等を継続的に提供している「ふくしまの今がわかる新 聞」に、双葉郡の8町村において再開、新たに開院した医療機 関の情報を取りまとめ掲載しました。慌ただしい日々の中で、
直接的に避難者への情報提供をする業務は、「東京から来て、ほ んの少しは避難されている方々のお役に立てているのかもしれ ないな。」という実感がわいた機会でもありました。
年末には、高野病院の院長が急死されたという訃報が飛び込 んできました。高野病院とは、広野町にある民間病院で、震災 後は双葉郡で唯一稼働してきた病院として、地域の医療を支え てきました。院長はその病院の唯一の常勤医師であり、その死 により、高野病院が存続の岐路に立つという問題が発生しまし た。もちろん、県において双葉郡等の医療提供体制を所管する のは、自分が配属されている部署であるため、新年早々から高 野病院の診療体制確保という問題に直面することとなりました。
2 苦労したこと・工夫したこと
土地勘のない組織、自分のことを誰も知らない組織、そのような中での業務でしたが、東京都職員とし て今まで自分が培ってきた知識や経験をフル稼働することで、何とか業務を円滑に進めることができたの ではないかと思っています。しかし、その陰には、県庁職員の方々のご助言やご支援があったことは言う までもありません。
工夫したことは、前述したように初めての組織であり、土地勘もない組織でしたので、「その土地を知り、
その人を知る。」といった姿勢を大切にしました。
「ふくしまの今がわかる新聞」
(第 51 号平成 29 年 1 月 12 日発行)
福島県観光交流課主催「福島県観光キャンペーン コンプリートしたことを物語る「福島県観光キャ
職員派遣
第 1 部
職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣
今一番感じていることは、復興へのスピードが加速しているということです。政府の『原子力災害からの復興の加速に向けて』(平成 27 年6月 12 日原子力災害対策本部)では、避難指示解除準備区域・居住 制限区域は、遅くとも事故から6年後(平成 29 年3月)までに避難指示を解除できるよう、環境整備を 加速するとされていましたが、帰還困難区域についても、政府方針(『帰還困難区域の取扱いに関する考 え方』(平成 28 年 8 月 31 日原子力災害対策本部))により、5 年を目途に、線量の低下状況も踏まえて 避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す「復興拠点」を、各市町村の実情に応じて適切な範囲 で設定し、整備することが示されました。双葉郡は、復興が進んでいる地域、ようやく解除になる地域、
これからも避難指示が続く地域とそれぞれステージが違った地域を抱えることになります。それぞれのス テージに応じて、しっかりと支援していかなければなりませんが、これらの動きに、県行政が追い付いて いくのが精一杯だという感じを正直受けています。復興への業務量に対し職員数が足りているとは思えま せん。「人的支援では本当に助かっています。」という県職員の方々からの声を聞くたびに、今後も都から 可能な範囲で、福島県への人的支援を行っていければと思います。
3 印象的なエピソード
東京を離れる昨年の3月末、最後の出勤日のことでした。東京都立府中療育センター事務室(派遣元職場)
で挨拶を終え、そのまま福島へ旅立つ自分を、事務室職員のみなさんがわざわざ外まで出て来られ、神経 坂を登る自分の姿が見えなくなるまで手を振って見送っていただいた−まるで今生の別れのように(笑)
−その光景が、今でも昨日のように思い出されます。
そして、福島に赴任して2ヶ月後の6月。検討会が終了した後、ある委員の方が事務局である自分に「人 が住む地域には3つのものが必要です。働く場所、教育、医療。その医療の分野で、放射能災害で避難指 示となった区域に人を帰還させるために、その区域に病院を建てるという歴史上類を見ないことを我々は していこうとしています。一緒にがんばりましょう。」と声をかけていただいたことがありました。その 言葉に、ここが医療分野での復興の最前線であり、この場所にいる機会を得られたこと、そしてこの場所で、
微力ながら復興支援に貢献できることに感謝すら覚え、身が引き締まる思いがしました。
また、1月から本格的に動き出した「高野病院の診療体制確保」の問題では、高野病院への支援の輪が 全国に広がっていることや、復興大臣や厚生労働大臣が高野病院の支援について言及するなど国政レベル でも注目されているニュースを目にしたことは、あらためて福島県の復興が今でも全国的に注目されてい ることを知るとともに、自分が全国的に関心を持たれている場で業務に身を置き、東京にいてはできない 貴重な経験をさせていただいているのだということを再認識した出来事でもありました。
仕事上で、初対面の方々への挨拶や初めてメールを送信する際には、「この4月に東京都から自治法派遣 で赴任しました…」というフレーズを用いていました。すると、先方から「そうでしたか!大隅キャップ(※)
は東京都から応援に来て頂いた方なのですね!当課も東京都からこれまでに何名もの職員の方にお世話に なりました!今でも毎年同窓会を開いています(笑)」という返信をいただいたことがありました。
また、仕事柄、保健福祉部の部長(都でいえは局長)、政策監(都でいえば総務部長)さらに、総務部 政策監(都でいえば総務局総務部長)とも一席をご一緒させていただく機会が多く、その度に「東京都か らの派遣職員はとても優秀だ」「自ら進んで福島に来てくれているので志も高い」と言っていただいたこ ともありました。
県職員の方々からこのように言っていただけることは、都職員として誇らしく、本当にうれしく思い、
今までの東京都派遣職員の方々が県庁組織で奮闘し、組織に馴染み、築き上げてきた信頼関係に基づく賜 物だと思いました。
※福島県庁では係制廃止に伴い、旧係長級職員の職制は「主任主査」となりました。その呼称が「キャップ」であり、
県職員の方々から自分は「おおすみキャップ!」と呼ばれていました。