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山田 和史

ドキュメント内 震災(色校用).indd (ページ 190-195)

公益財団法人福島県文化振興財団  遺跡調査部

埋蔵文化財

福島県

楢葉町大谷上ノ原遺跡の調査 伊達市沼ヶ入遺跡の掘立柱建物跡ほったてばしらたてものあと ほりきり

伊達市上ノ台館跡の堀切

技術系職員

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣 派遣先部署の概要

公益財団法人福島県文化振興財団(以下、福島県財団)の業務概要

 県民文化の振興に資するため、福島県文化センター(福島県文化会館・福島県歴史資料館)と福島県文 化財センター白河館(愛称「まほろん」)の文化施設の管理運営、文化団体等への助成・顕彰、県内の埋 蔵文化財の発掘調査等の多様性のある事業を行っている。

遺跡調査部の業務概要

 遺跡調査部は、職員 32 名と契約職員 12 名他からなり、福島県教育委員会からの委託を受け、福島県 内における埋蔵文化財の記録保存のため、県内市町村埋蔵文化財調査等への技術協力(県内市町村から要 請のあった試掘・確認調査、発掘調査等への技術協力)、埋蔵文化財調査事業(遺跡分布調査、遺跡発掘 調査、資料整備及び報告書の作成)、文化財センター整備事業(出土品の整理・梱包搬送等業務、文化財デー タ入力等業務、出土品の劣化防止等業務)などの業務を行っている。特に埋蔵文化財調査事業では復興に 関連した発掘調査件数が増加し、山形県、栃木県、東京都の各財団から3名の出向職員の応援により、集 中的に調査を実施して、道路や農地の早期復興に努めている。

平成 28 年度の埋蔵文化財発掘調査事業  

 埋蔵文化財の発掘調査事業では、一般国道 115 号相馬福島道路建設地内(伊達市沼ヶ入遺跡・上ノ台館 跡、桑折町川原田遺跡・新宿遺跡ほか)、ほ場整備事業予定地内金沢・右田海老地区(南相馬市谷地中遺跡・

桶師屋遺跡)、県道浪江鹿島線予定地内(南相馬市植松 C 遺跡)、阿武隈川上流河川改修事業建設予定地内(須 賀川市高木遺跡)、会津縦貫南道路建設予定地内(下郷町瀧ノ入遺跡)、常磐自動車道ならはスマートイン ターチェンジ建設予定地内(楢葉町大谷上ノ原遺跡)の調査が実施された。

 詳細は福島県財団の HP( http://www.culture.fks.ed.jp/iseki/index.html)を参照いただきたい。

公益財団法人福島県文化振興財団 遺跡調査部

埋蔵文化財

福島県

遺跡調査部組織図

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

監理団体職員派遣

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1 担当業務の概要

 出向2年目となった今年度は遺跡調査部調査課調査事業グループ4班に配属となり、楢葉町に所在する 大谷上ノ原遺跡の埋蔵文化財発掘調査と報告書の作成を担当した。また、臨時的に沼ヶ入遺跡、上ノ台館跡、

新宿遺跡、桶師屋遺跡、高木遺跡の調査にも従事した。

楢葉町大谷上ノ原遺跡の埋蔵文化財発掘調査

 常磐自動車道ならはスマートインターチェンジ建設に伴って実施された。平成 27 年9月に避難指示が 解除されたばかりの楢葉町にとって、スマート IC の建設は町の復興の加速化につながる事業の一つである。

この設置により期待される整備効果や社会便益は、復興支援、地域活性化、救急医療活動の支援、災害対応、

渋滞緩和などがあり、平成 30 年度末の供用開始を目指して事業が進められている。

 大谷上ノ原遺跡は過去に常磐自動車道本線やならはパーキングエリア建設に係る調査が4回にわたり実 施され、旧石器時代の石器集中部や縄文・古代の集落跡が発見された。5次調査にあたる今年度の調査区 は常磐自動車道上り線のならは PA 東側に隣接し、調査面積は 1,700㎡、調査期間は平成 28 年5月〜 10 月末の6ヵ月間、福島県財団職員2名、出向職員1名、作業員約 10 名で発掘調査を実施した。

 調査の結果、後期旧石器時代の石器集中部1ヵ所、縄文時代以降の土坑などが確認された。調査終了後は、

遺物の整理作業や報告書作成作業を実施し、3月末の刊行を予定している。

伊達市沼ヶ入遺跡・上ノ台館跡、桑折町新宿遺跡などの埋蔵文化財発掘調査

 沼ヶ入遺跡、上ノ台館跡、新宿遺跡は一般国道 115 号相馬福島道路建設に伴う調査である。相馬福島道 路は相馬市と福島市を繋ぐ主要路線だが、現道は急な勾配やカーブが多く、交通上の課題が残されている。

そのため、高速かつ安全に走行できる復興支援道路として緊急整備が進められている。この他、桶師屋遺 跡は津波により浸水した農地の復旧に伴う調査、高木遺跡は阿武隈川の河川改修に係る調査で、いずれも 古墳時代や中世の集落跡が発見されている。それぞれ、表土掘削や遺構測量などの調査業務を行った。

公益財団法人

東京都スポーツ文化事業団

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楢葉町大谷上ノ原遺跡の調査 伊達市沼ヶ入遺跡の掘立柱建物跡ほったてばしらたてものあと ほりきり

伊達市上ノ台館跡の堀切

技術系職員

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

2 苦労したこと・工夫したこと

作業員の確保

 遺跡の発掘調査は重機を使った土木工事と異なり、人の手による細かな作業が要求される。震災以前は、

調査地域を対象に作業員の募集を行い、必要数の人員を確保できていた。しかし、楢葉町は半年前に避難 指示が解除されたばかりで、帰還者は全町民の1割程度であり、応募者が1名であった。対象を隣の広野 町にも広げて、ようやく 10 名の作業員が集まった。楢葉町のみならず、被災地での作業員の確保に関し ては、来年度以降も直面する課題と考えられる。

少人数+小型重機での調査

 1,700㎡の調査を 10 名で実施するのは厳しい条件である。特に、旧石器時代の調査は硬いローム質の 土を 40cm ほど掘り下げる必要がある。そこで、福島県財団の担当者と相談し、石器が出土した周辺につ いては人力掘削、その他の範囲は小型重機による掘削を試みた。重機による掘削は重機のバケットにより ローム質土を 1 〜 5cm 程度の薄さですき取っていく作業である。幸い、重機のオペレーターが熟練して いたおかげで、高い精度で掘削が進み、2cm 程度の石器であれば見つけることができた。これにより、人 力掘削による範囲を最小限に絞り、予定期間内に調査を終了することができた。

安全衛生管理       

 常時心掛けているが、現場の安全衛生管理は徹底した。特に、現場は高速道路に面しているため、道具 やシート類の飛散防止措置に努めた。また、発掘経験のある作業員が少なかったため、道具の扱い方、特 に唐とうぐわ鍬や鋤じょれん簾など刃先を研いだものの扱い、重機の稼働時には近づかない、ヘルメットの着用、準備体操 を怠らない、現場内には深い穴があることから歩行に注意する、ブルーシートの上は歩かない、通勤時の 安全運転などの注意喚起を行った。熱中症対策では、定期的な休憩を設け、水分補給を促した。

 結果として、事故や怪我のない安全な現場運営ができた。

桑折町新宿遺跡の調査 南相馬市桶師屋遺跡の調査 須賀川市高木遺跡の調査

小型重機でのすき取り作業 安全衛生講習

職員派遣 監理団体職員派遣 現地事務所 職員座談会 熊本地震への対応 任期付職員派遣

監理団体職員派遣

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3 印象的なエピソード

 調査がはじまって間もなく、土を削っていると1点目の石器が出土した。発掘経験のない作業員の方々 は、初めて遺物を目にした瞬間であり、土の中から遺物が出土することに驚いていた。雨天の待機時には、

出土した石器を前にして、約2万年前頃の旧石器時代の人達が作ったものだと説明すると、その技術の高 さにさらに驚いていた。調査期間を通じて地元の埋蔵文化財に興味を持っていただけたことが、うれしかっ た。作業員の中には避難先のいわき市から来ていた方や、地元の復興のためにと応募してきた 20 代の方 もいた。暑い中で調査に従事していただき、作業員の方々には、感謝しかない。

4 今後の事業に活かせること・活かしたいこと

 福島県への出向で得た全国的なつながりは今後の事業に役立つと感じている。福島県財団職員、県教育 庁文化財課、南相馬市教育委員会、楢葉町教育委員会、須賀川市教育委員会、福島市教育委員会、地元の 作業員の方々、福島県へ派遣された北海道、山梨県、神戸市、鳥取県などの職員との交流や情報交換も行 うことができた。また、臨時的ではあったが、福島県内の多くの遺跡の調査を経験できた。基本的な調査 方法は変わらないが、遺跡の性格や内容に応じて調査方針が異なってくるため、場合に応じた対処法を学 べた点は、都内での調査にも活かせる。

 宮城県、岩手県の復興に係る調査は収束に向かっているが、福島県に関しては原発災害の影響もあって、

これから本格化するという感がある。復興調査に現地で関わった者として、被災地での復興・復旧の経験 を語り継いでいくことが重要である。震災を風化させないよう、情報発信を続けていきたい。

 出向期間中は福島県財団職員の皆様から多大なる配慮を頂いた。調査現場では、調査員として多くのこ とを学ばせていただいた。今後も福島県の復興・復旧のため、支援と交流を継続し、連携を深めていきたい。

石器が見つかった瞬間   出土した「ナイフ形石器」 石器の出土状況

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