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第 3 章 土器川流域における危機管理対策検討の取組

3.2 検討プロセスの実践(場の合意形成プロセス,主体関与プロセス)

3.2.1 検討プロセス実践の概要

(1)検討会および WS の開催概要

土器川における大規模水害対策検討の取組について,2013(平成25)年度から2016(平 成28)年度の4年間において実施した検討の流れを図3. 6に示す.また,各年度のWS開催 概要を表3. 1(1),表3. 1(2),表3. 1(3)に示す.

図3.6 大規模水害対策検討の流れ

平成28年度

(2016年)

平成27年度

(2015年)

平成26年度

(2014年)

平成25年度

(2013年)

事務局:香川大学 四国危機管理 教育・研究・地域連携推進機構 事務局:香川河川国道事務所

年次

ワークショップ 検討会 香川地域継続検討協議会

協議会 事前アンケート

模擬ワークショップ

第1回 ワークショップ

第2回 ワークショップ

第3回 ワークショップ

事後アンケート

準備会 5月

7月

8月

10月

5月

第1回 検討会 広域住民WS

広域水害対策検討会

第2回 検討会

「とりまとめ書(素案)」

12月

2月

事前調整会議 地区行政WS 6月

第1回 検討部会 10月

第2回 検討部会 12月

地区水害対策検討会 第1回 検討会

第2回 検討会 8月

3月

「行動計画書

(素案)」

事前説明会 地区住民WS 7月

第1回 ワークショップ

第2回 ワークショップ

第3回 ワークショップ 8月

11月

12月

第3回 検討会

地区水害対策検討会(継続)

10月

第4回 検討会 2月

「行動計画書

(H27修正素案)」

事後アンケート

地区住民WS(継続)

事前説明会 10月

第4回 ワークショップ

第5回 ワークショップ 11月

1月

第5回 検討会

第6回 検討会 11月

2月 ワークショップ

結果報告

協議会

協議会

WS勉強会 事前ヒアリング

(住民アイデア に関する)

事前アンケート WS勉強会

事後アンケート 事前アンケート

(対策案に 関する)

事後アンケート

(タイムライン に関する)

「とりまとめ書

(案)」

「行動計画書

(案)」

協議会

「行動計画書

(H27修正案)」

「行動計画書

(H28修正案)」

地区水害対策検討会(継続)

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表3.1(1) WS開催概要(H25広域住民WS)

目的 気候変動に起因する大規模水害の適応策検討のための地域住民の意 見集約(大規模水害対策の目標と戦略,今後の方向性とりまとめ)

開催回数・時期 模擬WS 1回(H25年5月),WS 3回(H25年7月,8月,10月)

開催

対象エリア 土器川流域(丸亀市,坂出市,善通寺市,宇多津町,琴平町,まんの う町)

ファシリテーター 1名(香川大学教員)

参加人数 112名(進行者,記録者を含む)

テーブル数 14テーブル

テーブルスタッフ テーブル進行:14名(香川県防災士会)

テーブル記録:28名(流域自治体など)

表3.1(2) WS開催概要(H26地区行政WS)

目的 大規模水害に対する具体的な対策案の検討のための地域行政の意見 集約(大規模水害対策のアクションプラン作成)

開催回数・時期 事前調整会議 1回(H26年6月),WS 2回(H26年10月,12月)

開催

対象エリア 土器川モデル地区(丸亀市土器町東・北)

ファシリテーター 1名(香川大学教員)

参加人数 34名(進行者,記録者を含む)

テーブル数 3テーブル

テーブルスタッフ テーブル進行:3名(丸亀市職員:危機管理課,建設課)

テーブル記録:6名(丸亀市職員,国土交通省職員)

表 3.1(3) WS開催概要(H27~H28地区住民WS)

目的 大規模水害に対する具体的な対策案の検討のための地域住民の意見 集約(大規模水害対策のアクションプラン作成)

開催回数・時期 事前説明会2回(H27年7月,H28年10月),WS5回(H27年8 月,11月,12月,H28年11月,H29年1月)開催

対象エリア 土器川モデル地区(丸亀市土器町東・北)

ファシリテーター 1名(香川大学教員)

参加人数 H27年度:49名 H28年度:28名(進行者,記録者を含む)

テーブル数 H27年度:5テーブル H28年度:3テーブル テーブルスタッフ テーブル進行:5~3名(香川県防災士会)

テーブル記録:10~6名(流域自治体など)

2013(平成25)年度には,模擬WS 1回,WS 3回(3市3町から住民69名参加),検討 会2回を開催し,「土器川における大規模水災害に適応した対策検討とりまとめ書(案)(以 下「とりまとめ書(案)と略記)」を作成した.この広域住民WSの主な特徴は,①上・中・

下流域の氾濫特性や地域特性が異なる地域から住民および行政が集まっていること,②テー ブル数が多いこと,③テーブル数に応じて多くのスタッフを必要とすること,④専門的情報

(気候変動,水害特性・河川特性,防災活動など)を必要とすることなどである.

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2014(平成26)年度には,事前調整会議1回,検討部会2回(丸亀市職員 20名参加),

検討会 2 回を開催し,「土器川モデル地区における「水害に強いまちづくり」のためのアク ションプラン【行動計画書(案)】(以下「行動計画書(案)」と略記)」を作成した.

2015(平成27)年度には,事前説明会1回,WS 3回(住民32名参加),検討会2回を 開催し,「行動計画書(H27修正案)」を作成した.

2016(平成28)年度には,事前説明会1回,WS 2回(住民16名参加),検討会2回を 開催し,「行動計画書(H28修正案)」を作成した.

平成25~28年度に実施した一連の検討成果である「とりまとめ書(案)」,「行動計画書

(案)(H27 修正案)(H28 修正案)」を,DCP 協議会において報告することにより,香 川地域全体での情報共有を図っている.

WS検討の場は,上記のようなDCPの検討成果を得るための場であるとともに,地域連携 体制を強化するための場としても機能するものであり,特徴的な役割として,以下に示す「地 域防災ステークホルダーによる進行体制」「ファシリテーション技術の習得(人材育成)」

「信頼関係の構築」が挙げられる.

(2)地域防災ステークホルダーによる進行体制

WS 検討を実施するにあたっては,地域行政と地域住民が連携して主体的に取り組み,河 川管理者や防災の専門家が支援する「香川型DCP検討方式」の枠組みを実践するための新た なWS進行体制を提案した.この広域・地区住民WSにおける新たなWS進行体制は,専門 的スキルを持つファシリテーターによる全体進行のもとで,地域に精通した防災士(テーブ ル進行:地域防災リーダーとしての位置付け)や,自治体職員(テーブル記録:地域行政担 当者としての位置付け)の地域防災ステークホルダーがテーブル進行・記録を行う体制とし た.

写真3.1 地域防災ステークホルダーによる進行体制(例示:H27第 1回 WS)

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(3)ファシリテーション技術の習得(人材育成)

防災士と自治体職員がテーブル進行・記録を行うためには,ファシリテーション技術が必 要になることから,平成25年度,平成27年度,平成28年度ともに,第1回WSの開催前 にはWS勉強会1回,各WS開催当日には事前・事後ミーティングを企画・実施し,円滑な テーブル進行・記録が行えるように体制の充実を図った.

WS 勉強会では,テーブル運営(進行・記録・補助)のポイント,アイスブレイク技術,

カードを用いた意見集約の扱い方など,基本的なファシリテーション技術を習得するととも に,実際に体験WSを行い,カードを用いたテーブル進行・記録の仕方を学習した.

図 3.7 WS勉強会でのファシリテーション技術の取得(例示:H28WS勉強会資料)

(4)住民と行政の信頼関係の構築

地域防災ステークホルダーによるWS進行体制でWSを繰り返し実施することにより,WS 検討の場が WS進行スキルの学習の場としてだけではなく,地域住民と地域行政が信頼関係 を構築する場としても機能した.

また,信頼関係構築の一手段として,顔写真入りの自己紹介カードをWS参加者,WS進 行者,および事務局の全員が各自手書きで作成し,WS開催時は会場に掲示し,WS終了時に 参加者アルバムとして参加者全員に配布した.自己紹介カードは,WS 関係者間の継続的な 信頼関係づくりのきっかけの一つとして期待される.

図3. 8 自己紹介カード(例示:H28WSでの記入)

テーブル進行の分担

意見カードの種類

参加者 :意見・情報を出します。

①意見を提供 (黄カードに自分で記入)

②上記の補足発言 (進行者が必要な場合)

進行者 :テーブル進行を行います。

①参加者の意見を抽出 (黄カードに記入を促す)

②参加者の補足発言を促す (上記の補足説明、必要な場合)

③事務局の補足情報の共有 (必要な場合)

記録者 :意見を記録ます。

②参加者の補足発言を記録 (白カードに記入)

③事務局の補足情報を記録 (水色カードに記入)

④意見カード(黄・白・水色)のグルーピングを記録 (ピンクカードに記入、可能な場合)

補助者 :カードを模造紙に貼り付けます。

①②③④カードを模造紙に整理しながら貼り付けます。

①意見 ②発言(補足) ③事務局等 ④キーワード

必要な場合 必要な場合 可能な場合

(参加者の記入) (記録者の記入) (記録者の記入) (記録者の記入)

※写真の貼り付け

※参加シールの貼り付け

(事前説明会、第4回、

第5回)

※記入できたカードは掲示

※今日の閉会前にも記入

※第5回ワークショップ 終了後に参加者アルバム として全員に配布

・氏名

・所属

・血液型

・誕生日

・生まれた所と自慢

・今住んでいる所と自慢

・最近、気になること ・災害、防災で困っている こと

写真 貼り付け

・今年の台風(他地域での 水害も含む)で感じたこと、

行動したこと

こんな不安? こまった事?

1 カードの書き方は?

2 カードの紹介の順番(発言の順番)は?

3 テーブル進行での時間は?

4 記録の仕方は?

5 模造紙の張り方は?

6 “困った君”の対応は?

困ったとき?わからないとき?

三角の赤旗をあげます。

スタッフが駆けつけます!

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