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第 3 章 インタビュー番組の談話分析に基づく日中ポライトネスの対照研究

3.7 日本語教育への示唆

ここで、本章の結果・考察に基づき、日本語教育に対する示唆を述べる。中国の初級学 習者には日本語のポライトネス・ストラテジーの特徴を基礎知識として提示すると共に、

どのようなストラテジーが具体的にどの文脈で使えるのかを示した上で、それらのストラ テジーを使用するための言語運用能力を育成することが必要があると考える。また、中上 級の学習者に対話する双方の上下・親疎関係を考慮させた上で、会話の文脈に応じて、学 習過程で個々に習得してきた文法とストラテジーを有効に統合し、正しく使用することが、

23ここのポライト/インポライトを「会話を通して構築された、聞き手が話し手の発話行為に 対する評価であり、快/不快という感情に関わるフェイスに関するもの」と考える。

24川口他(1996)は何の表現意図を持てほめる行為を行うかという視点で、「ほめ」を「実質ほ め」と「形式ほめ」に分類している。「実質ほめ」とは相手自身、相手に関する物事などについ て心から高く評価を表現したいときのものである。「形式ほめ」とはほめること自体に表現 の意図はなく、別の表現意図のために行う「ほめ」のことである。

今後のコミュニケーション教育において重要であると考える。

本章では、B&L のポライトネス理論に基づき、インタビュー番組を分析資料として、日中 両言語における各ポライトネス・ストラテジーの特徴や主な表現形式を明らかにした。し かし、データの量や質(「インタビュー」という会話の本質上陳述・質問という発話行為が 多く、依頼・断り等の他の発話行為は殆どなかった)が限定されていたため、今回観察でき なかったストラテジーもあった。より多様なデータを収集して、ストラテジーを観察して いくことが今後の課題である。

文化による言語の相違点が出るのは、文法的なカテゴリーよりむしろ、人間関係が重要な 要素となる言語のパフォーマンスにおいてではないだろうか。この意味で実際の言語使用を 前提としている談話分析の枠組みで試みる対照分析の意義は大きい。今後、談話資料を一層 充実させ、談話分析の観点による日中両言語のポライトネスの特徴を究明していきたいと思 う。

次章では,アンケート調査を行い、対人関係における日中ポライトネスの意識上の差異 について考察していく。