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家庭での社会的地位の自己認知尺度

第 1 章 社会的地位の自己認知尺度の項目選択過程

第2節 家庭での社会的地位の自己認知尺度

項目の選定 草田・岡堂(1993)の「家族機能測定尺度」を参考に,図2及び表1の構造 を念頭に置いて質問項目を選定した。

選定した質問項目は以下のとおりである。

質問項目

B1 私は家族では存在感が薄かったと思う

B2 私は家族の休日の過ごし方について,自分で主張したと思う

B3 私の家族では,いろいろな問題の解決にあたって,私の意見も聞いてくれたと思う B4 私は家族で,中心的なメンバーだったと思う

B5 私の家族は,他の子どもが持っているものをなんでも買ってくれたと思う B6 私は家族でよくみんなから注目されるように行動をしたと思う

B7 私の家族は私の友たちを気に入ってくれたと思う

B8 私の家族では,私が中心になって物事を決めていたと思う B9 私の家族は私の言い分を聞いて行動をしてくれたと思う B10 私はいやと思うときに,家族にいやとはっきり言ったと思う B11 私は家族にとって必要とされていなかったと思う

B12 私は家で家事を分担していたと思う

B13 私の事を大切にしてくれる人は家族にいなかったと思う B14 私の意見は家族の決定を左右する事ができたと思う

B15 私はよく家族の前で特技やパフォーマンスなどを披露させられたと思う B16 私は家族を引っ張っていく事ができたと思う

B17 私は自分の気持ちを理解してくれる人が家族にいたと思う B18 私は家族から愛されていたと思う

B19 私は頑張ったのに,家族の誰からも褒められなかったと思う B20 私は家族を喜ばせるために,努力したと思う

B21 私はいつも優秀な兄弟やいとこに比べられて,勝てないと家族に思われていたと 思う

B22 私はいくら頑張っても家族から認められていない気がしたと思う B23 私は家族から無視されるような事があったと思う

B24 私は休みの日に家族と一緒にいるより一人でいたかったと思う

B25 私は家族から耐え切れないほどの厳しいしつけを受けた事があったと思う B26 自分の本音や悩みを話せる親しい家族がいたと思う

B27 私は家で孤立感を覚える事があったと思う

B28 私は家族の中で発言力を強くする努力をしていたと思う

B29 私は家にいる時や家族の前で行動をしているとき,不安や緊張を覚える事があっ たと思う

B30 私は家族から「すごい子だ」と思われたかったと思う

B31 私は頭がいい,人柄がいい,運動ができるなどのある一面で家族に認められてい たと思う

B32 私と一緒にいるとき家族が楽しいと感じるように努力したと思う

B33 私は家族の中でからかわれたり,馬鹿にされたりするような事があったと思う B34 私は家族にどう思われても気にしなかったと思う

B35 私は家族の中で自分が発言をしたとき,冷やかされる事があったと思う

B36 私は家族の前で目立つ行動をしなかったと思う B37 私は家族の中でよけ者にされた事があったと思う B38 私は家族に注目されるのがいやだったと思う

B39 私は自分で頑張っているのに家族で浮いていると感じる事があったと思う B40 私は家族の誰かが困るとき,助けようとしたと思う

B41 家族で話が弾んでいるときに,私が割り込むと気まずい空気になったと思う B42 私は家族のみんなにかわいがってほしかったと思う

B43 私が何か困っているときに,家族の誰かが助けてくれたと思う B44 私は家族で自分のよいところをアピールしたと思う

B45 私は自分が家族に名誉や利益を与えているから家族から認められていると思う B46 私は自分から進んでではなく,家族に褒められたいから行動したと思う 因子分析

家庭での社会的地位の自己認知尺度の全 46 項目に対して因子数指定なしで因子分析

(主因子法,プロマックス回転)を行った。その結果,スクリープロットを参考にして4因 子解が妥当だと判断した。そこで因子数を4と指定して探索的因子分析を再度行った。そ の結果,因子負荷量.45以下の14項目(B24,B28,B7,B10,B3,B44,B4,B5,B16,

B15,B2,B32,B20,B31)を削除して再び因子分析を行った。このような操作を 2 回

繰り返しで因子負荷量.45以下の5項目(B14,B36,B38,B22,B6)を削除し,再び因 子分析を行った結果,3因子の可能性が高くなり,因子数を3と指定して再び因子分析を 行った。さらに,因子負荷量.45 以下の 6 項目(B45,B1,B8,B21,B12,B11)を削 除して再び分析を行った。その結果,解釈可能な3因子21項目が抽出された(表3)。

第一因子に含まれていた9項目は,「B25 私は家族から耐え切れないほどの厳しいしつ けを受けた事があったと思う」(.715),「B39 私は自分で頑張っているのに家族で浮いて いると感じる事があったと思う」(.599)などの項目から構成されており,家庭での社会的 地位の自己認知に対して,他者からの承認のみ低い内容の項目が高い負荷量を示していた。

そこで「家族からの浮遊感・排斥を感じる地位」因子と命名した。

第二因子に含まれていた8項目は,「B26 自分の本音や悩みを話せる親しい家族がいた と思う」(.904),「B43 私が何か困っているときに,家族の誰かが助けてくれたと思う」

(.783)などの項目から構成されており,家庭での社会的地位の自己認知に対して,自分 からの顕示が高く,他者からの承認も高い内容の項目が高い負荷量を示していた。そこで

「家族愛を感じる地位」因子と命名した。

第三因子に含まれていた4項目は,「B30 私は家族から「すごい子だ」と思われたかっ たと思う」(.709),「B46 私は自分から進んでではなく,家族に褒められたいから行動し たと思う」(.517)などの項目から構成されており,家庭での社会的地位の自己認知に対し て,自分からの顕示のみ高い内容の項目が高い負荷量を示していた。そこで「承認希求的 地位」因子と命名した。

3 家庭での社会的地位の自己認知尺度因子分析結果

因子間相関係数は,「家族からの浮遊感・排斥を感じる地位」と「家族愛を感じる地位」

項目内容 F1 F2 F3 共通性

家 族 か ら の 浮 遊 感 を 感 じ る 地 位 ( α = . 8 9 1 )

B35私は家族の中で自分が発言をしたとき、冷やかされることが

あったと思う .860 .253 .076 .563

B37私は家族の中でよけ者にされたことがあったと思う .769 -.040 -.224 .663 B25私は家族から耐え切れないほどの厳しいしつけを受けたことが

あったと思う .715 -.029 -.018 .536

B33私は家族の中でからかわれたり、馬鹿にされたりするようなこ

とがあったと思う .694 .085 .146 .456

B41家族で話が弾んでいるときに、私が割り込むと気まずい空気に

なったと思う .692 .062 -.260 .471

B23私は家族から無視されるようなことがあったと思う .613 -.087 -.177 .471 B39私は自分で頑張っているのに家族で浮いていると感じることが

あったと思う .599 -.271 .085 .631

B29私は家にいる時や家族の前で行動をしているとき、不安や緊張

を覚えることがあったと思う .527 -.246 .179 .521

B27私は家で孤立感を覚えることがあったと思う .525 -.214 .117 .467 家 族 愛 を 感 じ る 地 位 ( α = . 8 9 3 )

B26自分の本音や悩みを話せる親しい家族がいたと思う .097 .904 .071 .752 B17私は自分の気持ちを理解してくれる人が家族にいたと思う -.012 .865 -.025 .753 B18私は家族から愛されていたと思う -.026 .822 -.006 .701 B43私が何か困っているときに、家族の誰かが助けてくれたと思う -.010 .783 .051 .640 B40私は家族の誰かが困るとき、助けようとしたと思う .120 .597 .150 .343 B19私は頑張ったのに、家族の誰からも褒められなかったと思う .214 -.547 .198 .489 B9私の家族は私の言い分を聞いて行動をしてくれたと思う -.009 .534 -.035 .285 B13私のことを大切にしてくれる人は家族にいなかったと思う .293 -.456 .021 .452 承 認 希 求 的 な 地 位 ( α = . 6 9 5 )

B30私は家族から「すごい子だ」と思われたかったと思う -.007 -.009 .709 .500 B42私は家族のみんなにかわいがってほしかったと思う .019 .194 .657 .514 B46私は自分から進んでではなく、家族に褒められたいから行動し

たと思う .127 .095 .517 .304

B34私は家族にどう思われても気にしなかったと思う .170 .174 -.508 .239 因子間相関

F1:家族からの浮遊感を感じる地位 -.600 .059

F2:家族愛を感じる地位 .184

F3:承認希求的な地位

はr=-.600,「家族からの浮遊感・排斥を感じる地位」と「承認希求的地位」はr=.059,

「承認希求的地位」と「家族愛を感じる地位」はr=.184 となり,「家族からの浮遊感・

排斥を感じる地位」因子と「家族愛を感じる地位」因子とは高い負の相関が見られた。

家庭での社会的地位の自己認知尺度の下位尺度について,信頼性検定(Cronbach の α 係数を求めた)を行った結果,第一因子「家族からの浮遊感・排斥を感じる地位」でα=.891,

第二因子「家族愛を感じる地位」で α=.893,第三因子「承認希求的な地位」で α=.695 であった。そこで家庭での社会的地位の自己認知尺度の3つ下位尺度には内的整合性があ る事が確認された。

脚注:本章は,金(2015b)の内容を再構成したものである。