第 4 章 家庭レベル
第 2 節 保護者の養育態度と子どもの家庭での社会的地位の自己認知
統制だけ高い権威主義的養育態度は,協調性の性格特性を育てると考えられる。これは 中道・中澤(2003)の「権威主義的態度の親を持つ子どもは他者からの働きかけに対して 攻撃的な反応を示す傾向が強い」とは違った結果が見られた。保護者の権威主義的養育態 度は保護者が正しいと思う事を子どもに押し付け,子どもの意に沿う愛情表現を示さない 養育態度であり,子どもが保護者に対して威厳を感じ,保護者の言う通りに行動するか,
逆に反発して他者に対して攻撃てきな反応になるかと推測できる。前者の子どもは社会的 規範を守り,協調性のある性格特性が育つが,後者の子どもは他者からの自分への働きか けに対し応答的な行動モデルを獲得できず攻撃的な傾向を示す外向的の性格特性が育つと 考えられる。
結果と考察 1.保護者の諸属性
保護者の所属性について,養育態度パターンで分類したところ,HH型(応答性と統制 の両方が高い)が133名,HL型(応答性だけが高い)が83名,LH型(統制性だけが高 い)が61名,LL型(応答性と統制の両方が低い)が100名である。性別と年齢で分類し たところ,女性269名,男性106名,不明2名であり,30代以下259名,40代以上118 名である。
2.保護者の養育態度パターンによる子どもの家庭での社会的地位の自己認知の差 保護者の養育態度パターンによる家庭での社会的地位の自己認知各因子得点の差につい て1要因分散分析を行った。その結果「家族愛的地位」,「家族排斥的地位」における養育 態度パターンの差が見られたが,「家族承認希求的地位」における養育態度パターンの差が 見られなかった事が分かった(図40,図41)。
① 家族愛的地位
図40 家族愛的地位における養育態度パターンの差
図 40 より,養育態度パターンによって家族愛的地位の得点差について,1要因分散 分析を検討した結果,F(3,373)=3.891, p=.009で有意であった。そこで多重比較を行った 結果,HH 型(権威的養育態度)がHL 型(許容的養育態度)より得点が高く(p=.046)
LL 型(無関心的養育態度)より得点が高い(p=.012)事が分かった。つまり保護者の子 どもの意図・欲求に気付き,愛情のある言語的・身体的表現を用いて,子どもの意図をで きる限り充足させようとする行動と,子どもの意志とは関係なく,親が子どもにとって良 いと思う行動を決定し,それを強制する行動の二つの行動を増やす事は,前者の行動だけ を増やす事や二つの行動ともしない事より,子どもは家族からの愛情を感じる事が言える。
1 2 3 4 5
HH HL LH LL
家 族 愛 的 地 位 得 点
② 家族排斥的地位
図41 家族排斥的地位における養育態度パターンの差
図 41 より,養育態度パターンによって家族排斥的地位の得点差について,1要因分散 分析を検討した結果,F(3,373)=4.165, p=.006で有意であった。そこで多重比較を行った 結果,有意な差が見られ,HH型(権威的養育態度)がLL型(無関心的養育態度)より 得点が低い(p=.003)事が分かった。つまり保護者の子どもの意図・欲求に気付き,愛情 のある言語的・身体的表現を用いて,子どもの意図をできる限り充足させようとする行動 と,子どもの意志とは関係なく,親が子どもにとって良いと思う行動を決定し,それを強 制する行動の二つの行動を増やす事は,二つの行動ともしない事より,子どもは家族から の排斥を感じなくなる事が言える。
以上より,応答性・統制両方高い権威的養育態度は子どもが家族からの愛を高く認知し,
家族からの排斥を低く認知する。また応答性だけが高い許容的養育態度と応答性・統制両 方低い無関心的養育態度は子どもが家族からの愛を低く認知し,無関心的養育態度は子ど もが家族からの排斥を高く認知する。つまり,保護者が社会的規範を教えずに,子どもの 意に沿って愛情表現ばっかり示す養育態度は逆に子どもが家族からの愛を低く感じてしま う事が分かった。そのため,保護者の養育態度は応答性も統制も両方発揮した方が望まし いと思われる。
1 2 3 4 5
HH HL LH LL
家 族 排 斥 的 地 位 得 点