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学級での社会的地位の自己認知尺度

第 1 章 社会的地位の自己認知尺度の項目選択過程

第1節 学級での社会的地位の自己認知尺度

項目の選定 河村(1999)の「学校生活満足度尺度」を参考に,図2及び表1の構造を念 頭に置いて質問項目を選定した。

選定した質問項目は以下のとおりである。

質問項目

A1 私はクラスの中で存在感が薄かったと思う

A2 私はクラスやクラブの活動の内容について,自分で主張したと思う

A3 私のクラスでは,いろいろな問題の解決にあたって,クラスメートから自分に意見 を求められたと思う

A4 私は仲の良いグループの中では中心的なメンバーだったと思う A5 私のクラスでは,私の要求になんでも応じてくれたと思う A6 私はクラスでよくみんなから注目されるように行動をしたと思う A7 私のクラスは私の他のクラスの友人を気に入ってくれたと思う A8 私はクラスの活動について,自分が中心になって決めたと思う A9 私のクラスは私の言い分を聞いて行動をしてくれたと思う

A10 私はいやと思うときに,クラスメートにいやとはっきり言ったと思う A11 私はクラスのみんなにとって必要とされていなかったと思う

A12 私はクラスで役割を分担していたと思う

A13 私の事を大切にしてくれる人はクラスにいなかったと思う A14 私の意見はクラスのみんなの決定を左右する事ができたと思う

A15 私はよくクラスのみんなの前で特技やパフォーマンスなどを披露させられたと思 う

A16 私はクラスのみんなを引っ張っていく事ができたと思う A17 私は自分の気持ちを理解してくれる人がクラスにいたと思う A18 私はクラスのみんなから愛されていたと思う

A19 私は頑張ったのに,クラスの誰からも褒められなかったと思う A20 私はクラスのみんなを喜ばせるために,努力したと思う

A21 私はいつも優秀なクラスメートに比べられて,勝てないとクラスのみんなに思わ れていたと思う

A22 私はいくら頑張ってもクラスのみんなから認められていない気がしたと思う A23 私はクラスのみんなから無視されるような事があったと思う

A24 私は休みの時間にクラスメートと一緒にいるより一人でいたかったと思う A25 私はクラスメートから耐え切れないほどの悪ふざけをされた事があったと思う A26 自分の本音や悩みを話せる親しい友人がクラスにいたと思う

A27 私はクラスの中で孤立感を覚える事があったと思う

A28 私はクラスの中でグループのリーダーに選ばれるために努力していたと思う A29 私はクラスにいるときや部活をしているとき,不安や緊張を覚える事があったと 思う

A30 私はクラスメートから「すごい人だ」と思われたかったと思う

A31 私は頭がいい,人柄がいい,運動ができるなどのある一面でクラスのみんなに認 められていたと思う

A32 私と一緒にいるときクラスのみんなが楽しいと感じるように努力したと思う A33 私はクラスや部活でからかわれたり,馬鹿にされたりするような事があったと思 う

A34 私はクラスメートにどう思われても気にしなかったと思う

A35 私は授業中に発言をしたり先生の質問に答えたりするとき,冷やかされる事があ ったと思う

A36 私はクラスで目立つ行動をしなかったと思う

A37 私はクラスで班を作るときなど,よけ者にされた事があったと思う A38 私はクラスのみんなに注目されるのがいやだったと思う

A39 私は自分で頑張っているのにクラスの中で浮いていると感じる事があったと思う A40 私はクラスメートが困るとき,助けようとしたと思う

A41 クラスのみんなで話が弾んでいるときに,私が割り込むと気まずい空気になった と思う

A42 私はクラスメートみんなにかわいがってほしかったと思う

A43 私が何か困っているとき,クラスの誰かが助けてくれた事があったと思う A44 私はクラスで自分のよいところをアピールしたと思う

A45 私は自分自身の持つ力ではなく,自分の身の回りの持つ力でクラスメートから認 められていると思う

A46 私は自分から進んでではなく,クラスメートに褒められたいから行動したと思う

因子分析

学級での社会的地位の自己認知尺度の全46項目に対して因子数指定なしで因子分析(主 因子法,プロマックス回転)を行った。その結果,スクリープロットを参考にして因子数が 4つだと判断し,因子数を4と指定して再び探索的因子分析を行った。その結果,因子負 荷量.45以下の8項目(A11,A7,A46,A25,A44,A9,A12,A42)を削除して再び因 子分析を行った。このような操作を3回繰り返し,さらに因子負荷量.45以下の3項目(A19,

A24,A45)を削除し,再び分析を行った。その結果,解釈可能な4因子35項目が抽出さ

れた。その後4つ下位尺度に対して信頼性検定を行い,十分なα係数の値が得られたため,

削除可能な項目を検討した(SPSSにおいてα係数を計算する際のオプション「項目を削 除したときの尺度」を参考にした)。その結果,削除可能な3項目(A43,A40,A30)を 削除した。最後は被調査者の負担を軽減するため,十分なα係数の値が得られるのを前提 として,内容的に重なりのある 11項目(A5,A31,A20,A4,A2,A32,A18,A3,A23,

A29,A21)を削除し,最終的には21項目が選定された。(表2)。

第一因子に含まれていた9項目は,「A8 私はクラスの活動について,自分が中心にな って決めたと思う」(.833),「A6 私はクラスでよくみんなから注目されるように行動を したと思う」(.786),「A28 私はクラスの中でグループのリーダーに選ばれるために努力 していたと思う」(.699)などの項目から構成されており,学級での社会的地位の自己認知 に対して,自分からの顕示が高く,他者からの承認も高い内容の項目が高い負荷量を示し ていた。そこで「自他共に全面的承認を感じる地位」因子と命名した。

第二因子に含まれていた7項目は,「A27 私はクラスの中で孤立感を覚える事があった と思う」(.682),「A39 私は自分で頑張っているのにクラスの中で浮いていると感じる事 があったと思う」(.682),「A37 私はクラスで班を作るときなど,よけ者にされた事があ ったと思う」(.632)などの項目から構成されており,学級での社会的地位の自己認知に対 して,自分からの顕示が高く,他者からの承認が低い内容の項目が高い負荷量を示してい た。そこで「浮遊感・他者からの排斥を感じる地位」因子と命名した。

第三因子に含まれていた3項目は,「A26 自分の本音や悩みを話せる親しい友人がクラ スにいたと思う」(.833),「A17 私は自分の気持ちを理解してくれる人がクラスにいたと 思う」(.876)などの項目から構成されており,学級での社会的地位の自己認知に対して,

他者からの承認のみ高い内容の項目が高い負荷量を示していた。そこで「共感者による承 認を感じる地位」因子と命名した。

2 学級での社会的地位の自己認知尺度の因子分析結果

第四因子に含まれていた2項目は,「A34 私はクラスメートにどう思われても気にしな かったと思う」(.753),「A10 私はいやと思うときに,クラスメートにいやとはっきり言 ったと思う」(.538)などの項目から構成されており,学級での社会的地位の自己認知に対 して,自分からの顕示のみ低い内容の項目が高い負荷量を示していた。そこで「部外者自 認的地位」因子と命名した。

項目内容 F1 F2 F3 F4 共通性

A8私はクラスの活動について、自分が中心になって決めたと思う .833 -.038 -.040 -.027 .683 A6私はクラスでよくみんなから注目されるように行動をしたと思う .786 .088 .039 -.112 .592 A16私はクラスのみんなを引っ張っていくことができたと思う .724 -.156 -.044 .031 .607 A15私はよくクラスのみんなの前で特技やパフォーマンスなどを披露

させられたと思う .701 .216 .120 .082 .509

A28私はクラスの中でグループのリーダーに選ばれるために努力して

いたと思う .699 .183 .041 .007 .453

A36私はクラスで目立つ行動をしなかったと思う -.693 -.096 .015 .010 .435 A38私はクラスのみんなに注目されるのがいやだったと思う -.656 .110 .153 -.043 .431 A14私の意見はクラスのみんなの決定を左右することができたと思う .648 -.051 .064 .031 .495 A1私はクラスの中で存在感が薄かったと思う -.629 .280 .024 -.030 .590 A41クラスのみんなで話が弾んでいるときに、私が割り込むと気まず

い空気になったと思う -.091 .690 .090 -.047 .498

A27私はクラスの中で孤立感を覚えることがあったと思う -.114 .682 -.016 -.023 .557 A39私は自分で頑張っているのにクラスの中で浮いていると感じるこ

とがあったと思う .116 .682 .031 -.089 .456

A35私は授業中に発言をしたり先生の質問に答えたりするとき、冷や

かされることがあったと思う .174 .676 .098 .160 .331

A37私はクラスで班を作るときなど、よけ者にされたことがあったと

思う -.107 .632 -.018 .178 .413

A33私はクラスや部活でからかわれたり、馬鹿にされたりするような

ことがあったと思う .151 .591 -.162 -.169 .509

A22私はいくら頑張ってもクラスのみんなから認められていない気が

したと思う -.027 .574 -.234 -.008 .528

A17私は自分の気持ちを理解してくれる人がクラスにいたと思う .060 -.024 .876 -.151 .798 A26自分の本音や悩みを話せる親しい友人がクラスにいたと思う -.022 .096 .833 .056 .636 A13私のことを大切にしてくれる人はクラスにいなかったと思う .052 .191 -.611 -.070 .518 A34私はクラスメートにどう思われても気にしなかったと思う .001 -.002 -.157 .753 .543 A10私はいやと思うときに、クラスメートにいやとはっきり言ったと

思う .054 .078 .208 .538 .358

因子間相関

F1:自他とも承認され・全面的承認を感じる地位 -.344 .404 .156

F2:浮遊感・他者からの排斥を感じる地位 -.457 -.363

F3:共感者による承認を感じる地位 .207

F4:部外者自認的地位

自他とも承認され・全面的承認を感じる地位(α=.900)

浮遊感・他者からの排斥を感じる地位(α=.835)

共感者による承認を感じる地位(α=.817)

部外者自認的地位(α=.553)