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第5章 性能確認・操舵トルク特性がドライバの操舵に及ぼす影響

5.4 実験結果

図5-14が示すように,バラツキが小さく,操舵が滑らかな順序はCase #3<Case #2<Case #4

<Case#1となり,Case #3が最も滑らかに操舵できたことを示している.

図 5-14 コース#2走行時の操舵の滑らかさ評価結果

(3)%MVCの時系列再現性による評価結果

コース#2における,長橈側主根伸筋の%MVCの時系列データを図5-15に示す.

各操舵トルク特性について走行を実施したが,図5-15は,ひとつの操舵トルク特性におけ る5回の走行の時系列データである.各走行回の%MVCは図5-15に示すように,バラツキ を持つが,滑らかな操舵が可能な場合は,各回のバラツキが小さくなると考えられる.そ こで各回の相関係数を算出し,操舵の再現性の評価を試みた.

その結果,図5-16に示すように,Case#3が最も再現性が高く,安定した操舵が可能であ ることを示している.

図 5-15 %MVC時系列データの例

図 5-16 操舵の再現性,安定性評価

5.4.2 操舵応答の評価結果

図5-17にコース#1走行時の操舵角変動の結果を示す.若干Case#4の変動や変動の偏差 が大きいように見受けられるが,各操舵トルク特性による大きな違いは見られない.

図 5-17 操舵角変動

図5-18に示すように,走行時の操舵操作区間に分けた場合,Sect.2である左旋回から右旋 回に至る区間の変動が大きく,全体の操舵角変動に大きく寄与していることがわかる.さ らに,大きく舵を切るこのSect.2の区間での各操舵トルク特性の違いは小さい.反対にSect.1 である直進から切り込む操舵の区間ではCase#3,Case#4 の緩やかな非線形性を持つ操舵ト ルク特性の変動が小さい.しかしSect.3の右旋回から直進に戻る,戻し操舵の区間では明ら

かにCase#4の変動が大きい.この結果は,操舵操作に応じた操舵トルク特性が存在するこ

とを示唆している.すなわち,切り戻し操舵では,操舵トルクのヒステリシスにより操舵 トルクが軽減されるため,切り込み操舵より軽い力で操舵できる特性が求められるなどが

考えられる.なお,ヨー角速度応答は操舵角応答に依存しており,定量評価の傾向が同じ であり,この評価は操舵角だけを掲載する.

図5-18 操舵角変動 各操舵区間の変動

5.4.3 主観評価結果

主観評価評点の集計を表5-1に示す.

コース#1の評点は各操舵トルク特性の差が小さいため,コース#2の走行においては一対 評価を実施した.一対評価の評点では操舵トルク特性Case#3の評点を1として正規化した 値を算出した.図5-19に結果を示す.いずれもCase#1,Case#3の評点が高い.さらに評価 コメントでもCase#1を好む実験参加者が多くおり,筋負担,操舵の滑らかさ,操舵の変動 などの客観的データから,操舵しやすい特性とみられるCase#3より高い評価を得られる場 合があった.したがって,運転の楽しさ,操作している楽しさを考える時,単に操舵しや すい,負担が少ないなどの評価とは異なる“何か”が必要であると考えられる.

表5-1 主観評価評点集計結果 Coures #1

Case # Case #1 Case #2 Case #3 Case #4

Score 14.3 13.4 14.5 13.7

Normalized score 0.99 0.92 1 0.94

Coures #2 Pair comparison

Comparison # #1-#3 #2-#3 #4-#3 Reference score Case #3 6.40 6.78 6.66

Score #1,#2,#4 6.58 4.64 5.38

Normaized #n/#3 1.03 0.68 0.81

Case # Case #1 Case #2 Case #3 Case #4

Normalized score 1.03 0.68 1 0.81

図5-19 主観評価評点