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分析項目の定義

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第 3 章 調査方

3.2 分析項目の定義

本研究でいう依頼に対する断りとは、依頼を受けた後から、その話題が終了するま での断る側がとる一連の言語行動である。つまり、断りの過程に見られる断りの前後 に、断る側がどのような発話をするかの言語行動が含まている。カノックワン(1997, p. 26)によると、談話の中から見る断りとは、依頼を受けた後に断る側が取る言語行 動で、その会話が終わるまで、もしくは全く別の話題に移る直前までを指す。また、

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断り談話の開始は、施(2007, pp. 26-27)に従って、「前置き」40、「見込の確認」41など の依頼発話までの依頼側の会話展開に関わる依頼発話のいずれかが現れた場合、「依頼 に関する最初の発話」とする。そして、その「依頼に関する最初の発話」を「断り談話 の開始」とする。

第 2 章(節 2.4.2)で述べたように、全体的な断りの分析では 3 つの段階に分けて分 析していくが、施(2007)、吉田(2015)のそれぞれの分析方法を補完するために両者 を併用した新たな枠組みを提案する。

1)断り発話に至るまでの段階(断り前の段階/pre-refusal stage)

分析の対象は依頼を受けてから「1 回目の断り」に至るまでの言語行動を指す(吉田 2015, p. 56)。

2)断り成立までの段階、すなわち、1回目の断りと 2 回目以降の断り(やり取りの段 階/negotiation stage)

断り成立までの段階とは、「最初の依頼に関する発話が現れた時」から、断りへの依 頼側による「最初の了解を示す発話」が発せられたところまでのやり取りである(施 2007, pp. 27-28)。施(2007)は「断りへの了解を示す発話」、つまり、断りの受諾が見ら れた場合、断りが成立したと見なす。

3)断り成立後の段階(断り後の段階/post-refusal stage)

最初の「断りへの了解を示す」発話が現れた直後から「断り談話」が終わるまでの やり取りである。断り談話が終わるとなる発話とは施(2007, p. 27)の定義では依頼に ついての話題が終わった直後に、他の話題に展開したり、または「じゃ、またね」とか

「バイバイ」などのような直接に会話の終了を示す発話に入る場合もある。しかし、

「じゃ、またね」とか「お疲れ様」のような発話は、依頼用件と直接関係がないため、

本調査の断り談話の分析対象からは省くことにする。

この段階の分析は施(2007)では行われたが、吉田(2015)では行われなかった。具 体的な会話例は以下のとおりである。

40 「あのー、ちょっと聞いてくれんけ、聞いてほしいことあるって。」、「あの、今日お願い あるんやけど。」というような依頼発話に入る前の準備としての発話である。

41 依頼可能性の確認として「依頼に踏み切る前に相手が依頼を引き受ける可能性や相手が依 頼を実行する支障の有無を確認する発話」である(施 2007, p. 120)。例えば「あのーちょっ と明日暇だったりする?」「○○, ehmm..eemh dinten-dinten enjing bade ka mana?〖ええと、ええ と、明日どこかへ行きますか?〗」

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会話例 3-1 JNS-F04(本研究で得た資料から抜粋)42 発話文

番号 話者 発話内容

1 A あのー、あのねなんか先生から(うん)学会のアルバイトみたいな、

頼まれとって、それが明日ねんて。← 断り談話の開始 2 B うーん。

3 A で、それ、(引き受けたやけど)そう、あたしが。

4 B ○○が?

5 A すごいやろう〈笑〉。

6 B うん、すごいな。

7 A でも、なんか用事できてて(あら)、そう。

8 A そう、急やけど代ってくれん?← 依頼発話

9 B 学会のアルバイトかー。← 断り発話に至るまでの段階

10 A うん。

11 B

えーまじか、やってあげたいけど、ちょっと明日私も用事があっ て...代わってあげれんわ。。← 1 回目の断り(【ためらい】+

【願望】+【理由】+【不可】

12 A そっか、そうだめ?

13 B だめかな〈笑)。← 2 回目の断り(【不可】)

14 B え、その予定って、あー予定ができてしまったんか。

15 A そう。

16 B だから、あれ、先生から頼まれたんかそれ。

17 A そう。

18 B 誰先生から頼まれた?

19 A ○〇先生。

20 B そっか。

21 A うん、どうしよう。

22 B どうしよう〈笑〉。

23 B えーー、無理、えーーごめん、今日、え明日は行けんもん。← 3 回目の断り(【ためらい】+【不可】+【不可】)

24 A 駄目?色々断られて。

25 B あそうなん、○○とかは暇そうだから〈笑〉。← 4 回目の断り(【代 案提示】)

26 A ハハハ○○暇かもしれんな、だめか、そっか、じゃ、違う人にやっ てみるよ。← 断りの受諾

27 B うん、大変やな、ごめんね。← 断り成立後の段階 28 A うん、なんで引き受けたんやろね。

29 B 頑張れ。← 断り談話の閉始

上記のように、本調査でいう「断り」談話というのは、全体的な会話において最初 の依頼に関する最初の発話が現れてから、依頼についての話題が終わるまでの相互行 為のやり取りをいう。会話例 3-1 が示すように、発話番号 8A は「そう、急やけど代っ てくれん?」と依頼発話が表出される。そして、発話発話番号 9B は「学会のアルバイ

42 Aは「依頼側」、Bは「断る側」を示している。

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トかー」という発話は 1 回目の断りが表出する前に見られる断りに至るまでの最初の 発話である。そして、発話番号 11B から 25B は断りのやり取りの段階であり、発話番 号 26A が出現した時点で、断り意図が相手に受け入れられ、断りへの了解を示す発話 が見られた場合、断りが成立したと見なす。その後のやり取りで見られる 27B の発話 は断り成立後の段階になる。

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