1−4−4図 「太郎がバイオリンを〔」「花子が ピアノを〔=コ」の問題で,分化した動 詞「ひく」を使うことのできた翻合の年 齢による変化
oo 1
50
1 一 4 一22St 楽器の演奏についての動詞の分化の諸水準
水 準
A
B
C
B,
B,
Ci C2 D E
「吹く」「ひく」
「たたくjの 動詞のうち,
使綱できた動 詞の数
3
3
3
2
2
1
o
F o
6問の問題中 当該の動詞を 圧しく使用で きた数
6
〈6
一般動詞「な らす」「する1
「やる」を使
う
まったく使 わない
tt
〈6 使 う
$4 使わない
$4
使 う
$2 o
n
全問使う
o
1
特 徴
3種の特殊動詞をすべて習得し,すべて正し く使い分けられる
3種の動詞を習得しているが,まだ完全に分 化せず,誤った結合をつくる
3種の動詞を習得していてそれを使うが,あ る楽器の場合,「ならす」「する」「やる」を 使う
2種の特殊動詞を習得していて,それを,ど れにもあてはめて使う
2種の特殊動詞と一般動詞「ならすJ「する」
Fやる」を使う
1種類の特殊動詞と一般動詞「ならす」「す る」「やる」を使う
すべて一般動詞「ならす」「する」「やる」で 表す
構文がつくれない 1−4 一23Pt 楽器の演嚢についての動詞の分化
の各水準の幼児の割合
1−4−24衷 1)水準の幼児の反応
ド「・一・歳クラ・
ウロ ユ コ
ABBCCD鶏F
卜嚢ロ人 %
4e 38. 83 13 12. 62 18 17.47 2 1. 94 13 12. 62 7 6. 80 2 1.9硅 8 7. 77
103
5〜6歳クラス 人 %
69 56. 10 13 10. 57 21 17.07 2 1. 62 11 8. 94 7 5. 69
0 0 0 0
123
f;吹く h;ひく t;たたく N;ならす Y;やる
S;する
*;〜で遊ぶ
#;動詞が わからない O;文がわから ない
D
水
準
反応の型 ハふ木たパ ピ
1 イ モ いオア ニ リ
カえ琴こソノ
f Ns N N N N
f f NNNN
f N NT NYN f fY Y YY s f y y y¥
f f YNYY
f f s s s s h h h S h S
NN tNNN
NN t tNN
f * * * * *
墨継副.
人
数
23111111111 11
86 纂1童 幼児の構文の習得と動詞の分化
個人差があり,ここで扱っている三つの特殊動詞を完全に習得したA水準の幼児が,4〜5歳クラ スで38.8%,5〜6歳クラスで56.1%いる一方,まったく習得していないか,もしくは一つ程度習 得しているD水準以下の幼児が,4〜5歳クラスで16.5%,5〜6歳クラスで5.7%いることがわ
かる。
この諸水準のうち,B、は,それに属する26人中,23名が, B 2の「花子が木琴を〔」の問 題で,「ひく」と反応し,それのみが誤りであったものであった。
この諸水準の中で,動詞の習得過程として興味をひくのは,D水準の幼児の反応である。 D水準 に属する!4名の反応を分析してみると,1−4−24表のようになる。この蓑をみるとわかるように,
この水準の幼児の反臨で支配的位置を占めているのは,「ならす」「やる」「する」という,まだ特 殊化されていない,どの楽器にも,あるいは他の対象にもあてはめられ,利用できる一般動詞であ る。しかし,少数の楽器(特にハーモ=カ,ふえ)に,特殊動詞(吹く)が使われている。しかも,
この水準が,動詞がより分化したB,A水準への移行の過渡期であると考えると,幼児のこの種の 対象の特性と結びついた特殊な動詞の習得は,次のように,まず,(1)のように楽器全体のクラスと
「する」「やる」「ならす」などとのシンタグマが形成され,それを利用して他動詞構文の文を使っ て,並体が楽器を演奏する行為を表現することを習得したのち,②のように,分化していくのでは ないかと予想される。Dの水準は,ここでいう(2)の状態に対応していると思われるのである。とす るとEの水準はα)に対癒するわけだが,このE水準に属す幼児が2名で,残念ながら数が少なく,
十分説得力をもたない。しかし参考までに,その2名の反応を1−4−24表の下に示す。
(1)
@ :g,や6, /
(2)
o鵜焦 灘H讃る }
以上,「吹く一たたく一ひく」の使い分けについての調査結果の記述を終えた。しかし,上述し た動詞の分化過程をどう考えるかということは,本章の中で重要な意味をもつので,この間題につ いて,次節であらためて討論しよう。
H吹く}{
第3項・「ある」「いる」の識別
臼本語においては,存在を示す動詞「ある」「いる」は,一般に,動作の主体(主語)が,①物 や主体的に移動しない生物(植物のたぐい)であるか,②動物(人聞を含む)であるかによって使 い分けられる。
したがって,ふつう,
第4飾 調査の結柔(2) 87
そこにサルがいる。
あそこに花がある。
といっても,
そこにサルがある。
あそこに花がいる。
とはいわない。
しかし,前に述べたように,紀俳半島南部(和歌山,三重)にかぎって,その地域の方言として,
人が主語の時でも,「ある」が使われる。例えば,「オットー アルカ?!(お父さんいるか?)とい うように。これは,「ある」という語は,古くは,「(人が)いる」という意味をもっていたものが,
ぷ他の地域では,その意味がなくなり,紀伊半島にのみ保たれたものといわれる。
* 困立国語研究所 日本言語地図,第二集,日本言語地図解説,昭42年参照。
とすると,この地域で育ち,ことばを習得していく子どもたちは,共通語の作用を受けながらも,
なお,その地域の方言の作用を受け,「ある」「いる」の識別が,より困難であることが,当然のこ とながら予測される。このテストの中に,「ある邊「いる」の識別,分化を調べる課題を入れ,かつ,
祁歌山県の幼稚園児を被一三群の中に含めたのは,
1−4−25表 「Cl庭にネコが〔=コ」に対する反応
ク ラ ス 4〜5歳クラス児 5〜6歳クラス児
謎墜」 鯨
京都 和歌葭 東京 京都 翻歌霞います(いる)
% あるいていま す % すわっていま す % あります
(ある) % おります
きます
%
%
横文ができな い % わからない。
テストぜず %
33
91. 67
0
o
33
89. 19 1 2. 70
0
2e
66. 67
0
o
1 0
2. 77
5
!6. 67
o o
1 1 2. 77 2, 70
1 3. 33
0
o o o
1 2 4
2. 77 5. 41 13. 33
40 38 33
100. 00 97. 43 75. 00 0 0 0
o o 3
6.8王
e o 6
13. 63
o
o
o
1 2. 56
1 2. 27
0
o
o
o
o
o
7 2
1 ・2
計 36 37 30 40 39 44
88 第1車 幼児の構文の習得と動詞の分化
1) 「ある」「いるiの区:別のある言語体系の下で育っている子ども(東京,京都)が,幼稚園期 まで,これらの区別をどの程度習得しているのか,
を調べるとともに,
2)上の予測を,具体的事実で確認する ためであった。
「ある」「いる」の区別的使用を要求している各3問の課題に対する幼児の反応は,1−4・一25表
〜1−4−30表に示すとおりである。
1−4−26表 「C4 庭にイヌが〔==コ」に対する反応
クラ刈
4〜5歳クラス 5〜6歳クラス愈≧こ攣」鯨
京都 蒲歌山 棄京 京都 和歌山います(いる)
% ないています % すわっていま す % たっています % ほえています
おいています
%
あります %
かってありま す % つないであり ます % おります
いります
%
%
構文ができな い % わからない。
テストしない%
3e
83. 33
0
1 2, 77
1 2. 77
1 2. 77
30
81. 08 1 2. 70
0
o
o
19
63. 33
0
o
o
o
o 1 0
2. 70
o
o
o
2 7
5. 41 23. 33
0 0
1 0
2. 70
o o
1 0
2. 77
o
o
o o o
2 2 4 5. 56 5. 41 13. 33
4e
100. 00
0
o
o
e
38 9Z 43
0
o
o
o
31
70. 45
0
1 2. 27
0
1 2. 27
o o o
o
e
o
o
o
o
8
18. 18
1 2. 27
0
o
o
1 2. 56
0
1 2. 27
0
o
o
o
o
o
1 2. 27
一nyE rmggmLnt一一一igmnv99一一.mtLrm一
第4節 調査の結果(2) 89
1−4−27表 ℃6 庭に花子がE=コ」に対する反慮
クラ刈
4〜5歳クラス 5〜6歳クラス鵬一遡」
東京 京都 和歌由 東京 京都 和歌山います(いる)
fo}Efo あるいていま す % たっています % あそんでいま す % あります %o
30 28 22
83. 33 75. 68 73. 33 0 1 1 2. 70 3. 33
2 2 1 5. 55 5. 41 3. 33 1 1 1 2. 78 2. 70 3. 33
o o o
おります
きます
でます
いります
%%%%
樽文ができな い % わからない。
テストせず %
o
o
o
1 2. 78
0
1 2. 70
エ
2. 70
0
3 3
1Qu◎
o o o
2 3 4 5. 55 8. 11 13. 33
39 34 32
97. 50 87. 18 7e. 45 0 1 2 2. 56 4. 54
1 3 5
2. 50 Z69 IL 36 0 1 0 2. 56
o o 2
4. 54