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たものとする。また、万葉集に関しては収録された詠み人の階層の多様性、

名高い歌人名等が示されている。

 遣唐使に関しては、阿部仲磨呂や写真等の人物の行為を通して、大きな危 険をおかして、文物を摂取しようとした努力や苦心を知ろうとする内容が中 心となっている。

 平安初期の文化に関しては、この時期に最澄や空海による仏教の改革があ り、信仰としての仏教が貴族の間に広まったことが扱われる。

 国風文化の特色では、大陸文化を消化した日本的な文化の現れを扱う。内 容としては、貴族の風俗や住まい,代表的な絵画や絵巻物,かな文字の浸透 に伴う国文学の発達として、代表的な作者や作品名があげられる。また、浄 土信仰の広まりに伴った、阿弥陀仏像や阿弥陀堂の築造が扱われる。

【基層文化】

 貧窮問答歌や、延喜式による都への往復に要する日数等の資料や、地方の 農民の家の復元写真等から、税や労役を負担する農民たちの生活状態を考え るもの。収穫を増やすための農業技術の改善等g)努力をみるもの等が扱われ る。また、仏教の民衆へのひろまりが触れられる。

 国風文化に関連して、年中行事・儀式・迷信に縛られた貴族の日常生活、

浄土信仰の庶民への広がりなどが扱われる。

【物質文化】

 農民の生活に関連;して、鉄製の農具のひろまりが扱われる。

[近世]

〈江戸幕府と鎖国〉

【表層文化】

 幕府の学問奨励に関連して、儒学が学問の中心となったことおよび、さま ざまな学問の発達が扱われる。内容としては、朱子学,陽明学,歴史研究,

地理研究,日本の古典研究,数学等で、それぞれ代表的な学者,著作等があ

げられる。

 元禄文化は、 「上方を中心とする演劇、文学など特色ある文化(鰭書)」と して扱われる。内容としては、小説,浄瑠璃,歌舞伎,俳譜,浮世絵の版画

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等で、それぞれ代表的な作者名,作品等があげられる。また、俳譜の趣味な どの地方への広まりが取り上げられる。

【基層文化】

 武士・農民・町人の生活の具体相をみる。そのことにより、身分制度の確 立とともに「家」意識が社会のすみずみにまで浸透していったことや、農民 への厳しい支配および、この時代の基本的な社会の骨組みをとらえる内容が

示される。

 産業の発達に関連して、勧農策や技術の発達による農業生産の高まり,貨 幣経済や諸産業の発達による都市の町人の経済力の伸張等が扱われる。教科 書では、多くの図版を提示し、都市生活のありさまを描いている。また、こ の時期の郷土の産業や文化への視点として、「自由研究のページ」で新田開 発の例として、武蔵野のまいまいず井戸が紹介されている。

 これらは、元禄文化をささえた背景として取り扱われる。

【物質文化】

 農具の発明,改良に関して、備中ぐわ・千歯こき等に代表される農具が扱

われる。

〈(6)開国前の日本と世界〉

【表層文化】

 新しい思想では、国学と蘭学が扱われる。これらは、学問・思想面での近 代への準備として位置付けられている。教科書では、国学は、本居宣長の思 想と著作を中心に、蘭学は、前野良沢・杉田玄白の解体新書,伊能忠敬の日 本全図を扱う。さらに、「自由研究のページ」では、杉田彫塑に焦点をあて た人物学習が示されている。

 化政文化では、その背景として、藩校,私塾,寺子屋の発展による教育の 広がりを扱う。文化の内容としては、小説,和歌・俳譜,錦絵等で、代表的 な作者と作品があげられている。

【基層文化】

 ここでは、地方の生活文化が中心に扱われる。教科書では、アイヌの人々 の風俗や、地方の祭り、こどもの遊び、遊山をかねた寺社参詣等が図版等で

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示されている。

【物質文化】

 該当するものはない。

 以上が、52年版の古代と近世の範囲における文化史的内容のあらましで ある。44年版は、詳細かつ過密な内容で文化史をますます形式化してしま った。しかし、広義の文化概念と、郷土の文化遺産,歴史的景観の活用等か ら、文化の生活性,地域性への視点を理念としてもっていたことは、前項に おいて指摘した。この44年版が示した文化史の理念は、ある程度具体化さ れ、内容構成に反映されているといえる。

 星村平和氏は、「従前から、中学校歴史的分野の学習は広い意味での政治 史的学習とされてきた。しかし、実際の学習場面においては、政治組織や制 度など細かい事項中心の暗記学習に陥る傾向が強く、思考力の育成や、時代 像・歴史像の形成とは無縁の学習に流れるきらいがあった」〈tr..1.〉とし、わが 国の歴史の展開を政治中心でなく、社会の動きとの関連も重視して内容を構 成することの必要を説いている。そして、52年版で、「内容構成面の工夫 だけでなく、内容として、民俗学の成果の活用ををうたい、生活文化を取り 入れて、生徒に歴史を身近に感じさせようとした」〈注,〉点を評価している。

 それは、A−6表における、(6)開国前の日本と世界 の「エ.新しい 思想と地方の文化」の内容に最も顕著である。ここでは、学問・思想の新し

い動きと、教育・文化の広がりを背景:に花開いた化政文化が、表層文化とし

て扱われる。教科書の記述においては、内容の素材となる事象等は、44年

版では、学問や文化内容に関して抽象的に形容されたことばを含む詳細な記

述がなされていたことに比べて、かなり精選されていることに気付く。基層

文化に係る内容に関しては、44年版では、内容として位置付けられていな

かった。教科書記述においては、付け足し的にこのころから定着してきた庶

民の間でのさまざまな行事・しきたりや遊山をかねた寺社参詣を紹介してい

るにすぎない。それが、52年版では、「地方の生活文化について理解させ

る」ことをあげ、指導書において、「各地方の生活に根ざした衣食住,年中

行事,祭礼などをみていく」と、補足している。これは、生活文化は、生徒