天平文化の特色を学ばせようとする事例では、6事例あげられる。NO.1年 置、天平文化の内容を調べ、前代文化との比較を通してその特徴を明らかに する。さらに、なぜ、そのような文化が形成されたのかを当時の社会的背景 との関連から考えさせることで、天平文化の性格をとらえさせようとしてい
る。
NO.21 NO.79 NO.87では、天平文化を生み出した背景を主な素材としてい る。NO.21は、大仏造営の事情,郷土の甲府・国分寺跡の調査.この時代の 代表的文化財,万葉歌の内容,記紀編纂の事情,NO.79は、奈良時代の寺院 建立の事情,仏像・絵画の特徴,正倉院,記紀の成立事情,NO.87は、正倉 院御物,遣唐使の実態,奈良仏教,万葉集を素材にとっている。それらの考 察をもとに、天平文化の特色をつかませようとしている。
NO.78は、大仏,東大寺・国分寺を素材とし、その造営の事情を考えさせ ることを通して、政治と深く結びついて発展し、力をもってきたこの時代の 仏教を理解させようとしている。
NO.97は、遣唐使を通して、当時の口早関係を理解させ、その影響として の天平文化の内容を視覚教材でまとめることで、特色をとらえさせようとし
ている。
国風文化の特色を学ばせようとする事例は、6事例あげられる。NO.!5で は、摂関政治などの政治的背景から、貴族中心の文化をイメージさせ、その 中で、女性を中心としたかな文学や、浄土思想に基づいた浄土教が広まった 理由を考えさせることによって、国風文化の特色を理解させようとする。
NO.28では、遣唐使廃止に代表される対外関係の変化,貴族の生活や日本 の風土について考えさせることを通して、かな文字考案に代表される国風文 化の特色を理解させようとする。
NO.41 NO.69 NO.98は、遣唐使廃止,文学の国風化,末法思想,貴族の生 活等から、この時代の文化の具体相を探らせることを通して、国風文化の特 色をつかませようとしている。
NO.84は、岩手県遠野市での実践である。地域の特性を生かして、岩手県
南部に残る優雅な地名・名称,平泉の文化財を素材としている。資料として
「平泉文化史跡図」,河出書房新社「中尊寺」を活用することにより、平泉 文化を探らせ、中央文化との関連や、仏教的・貴族的傾向をとらえさせよう
とする。
中世においては、鎌倉文化と室町文化の特色をとらえさせようとする事例が 中心となる。鎌倉時代の文化の特色を学ばせる事例としては、5事例があげ られる。NO.99では、仏教に焦点を当てている。鎌倉仏教の教祖たちの思想
・著作を素材とし、既成仏教との相違や、武士や庶民に広まった理由などを 探らせることにより、鎌倉仏教の特色をつかませようとしている。
NO.14 NO。88は、鎌倉文化をトータルにとらえさせようとしている。 NO
.14では、鎌倉仏教と平安仏教の相違から、この時代の社会情勢の変化をつ かませる。それが反映された作品として、「平家物語」を素材にとり、その 内容から鎌倉時代の文化をイメージさせようとする。さらに、鎌倉文化の代 表的な建築・彫刻・絵画の写真等を通して、共通した特徴を具体的にとらえ させようとする。NO.88では、彫刻・文学・絵画や鎌倉仏教を素材とし、前 代文化との相違・新しい動き・仏教思想の変化等の視点から考察させ、鎌倉 文化の特色をとらえさせようとしている。NO.100は、「平家物語」を素材と
し、内容から時代の特徴を理解さぜる。さらに、文学・建築・芸術等の作品 に、その反映をとらえさせ、鎌倉文化の特色をつかませようとする。
室町時代の文化を学ばせる事例としては、7事例あげられる。 NO.13 NO
.22NO.6!NO.102は、室町時代を代表する文化に素材を求めた事例である。
NO.13は、「太平記」 「お伽草子」の内容,狂言から民衆の意識の文化への 反映を 禅宗が影響した文化の内容から、東:山文化の特色等をとらえさせよ うとしている。NO.22は、金閣・銀閣の建築様式から公武の融合, 水墨画
・庭園・茶の湯・生け花等から文化全般の基底への禅宗の影響, 能の起源 と芸術的昇華の過程から庶民文化の支配層への取り入れ, 和歌の衰退と連 歌の発達から文化の享受層の広範な広まり等、室町文化の特色を多様にとら
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えさせようとしている。NO.61は、金閣・銀閣・大泉院石庭・東求堂書院造
・雪舟の山水画・能舞台・能面・洛中洛外図・風俗図屏風等の写真資料から 東山文化の特徴をとらえさせようとする。さらに、政治的・社会的背景にも 着目させ、時代を反映した文化の特色として、理解を深めさせようとしてい る。NO.102も、室町時代の代表的な文化を列挙し、写真資料や、謡曲のテー プ等、視聴覚教材を活用することで、この時代の文化の特色を具体的にとら えさせようとしている。
NO.46は、平安・鎌倉・室町の文化財を素材とし、特色の変化から、文化 の広まりをとらえさせ、その変化は、庶民の台頭を基礎としていることに気 付かせ、室町時代の文化の特色としてとらえさせようとしている。さらに、
郷土教材「梅若塚伝説」により、具体的にあとづけさせ、民衆文化の「伝統 文化」への発展を理解させようとする。
NO.40は、沖縄における実践で、現在伝承してきている沖縄文化のルーツ を探る。ここでは、15・16世紀の沖縄の海外交流を素材としている。資 料「15・16世紀ごろの沖縄の貿易図」 「貿易船・進貢船の模型」 「万国 津梁鐘とその鐘銘」「首里城正殿とその周辺の写真集」等から、海外貿易の 沖縄文化への影響を探らせている。さらに、資料「民家のヒンプンの写真」
「織物の主産地図」「沖縄の芸能の分類表」から、海外文化の影響を受けた 沖縄文化の特色をとらえさようとしている。
近世においては、安土桃山文化・元禄文化・化政文化の特色をとらえさせ る事例が中心となる。
安土桃山文化の特色を学ばせようとする事例は、6事例あげられる。文化 の内容に素材をとった事例は、NO.11 NO.73 NO.104である。 NO.11は、屏風 絵の写真,狩野山崎・永徳の作品の鑑賞させることで、文化的特徴をとらえ
させようとする。さらに、茶の湯を例にとり、東山文化との違いに気付かせ ようとしている。NO.73では、生徒が調べてきた安土桃山文化の内容を素材 とし、特徴,ルネサンスとの共通点,この時期の郷土の文化財等を考えさせ ることによって、文化的特色をとらえさせようとしている。NO.104では、障
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壁画,茶の湯・生け花等の発達を素材として、安土桃山文化の特色をつかま せようとしている。
NO.3は、桃山時代全体のイメージから、桃山文化の内容を予想させ、桃山 文化の代表的作品を資料によって分析させることを通して、その特色を発見 的に検証させようとしている。
NO.29では、新興大名の生活様式や意識,豪商の巨大な富等を素材とし、
その表れとしての、大阪城や西本願寺書院の写真等から、桃山文化の特色を とらえさせようとする。また、その背景となる南蛮文化について、現代に国 語化しているポルトガル語を素材にとり、伝来の経緯や、当時の異国趣味・
豪壮華麗さを好む風潮のなかで、生活文化として定着してきたものを具体的 にとらえさせようとしている。
NO.109は、信長・秀吉という、当時の為政者を素材とし、その性格の文化 への表れを代表的文化遺産のなかに見いださせることによって、安土桃山文 化の特色をとらえさせようとする。
江戸時代の文化の特色を学ばせようとする事例は、8事例があげられる。
NO.7NO.42 NO.91 NO.111は、文化の内容から、その特色をとらえさせよう とする事例である。NO.7は、 「東海道五十三次」,「南総里見八犬伝」,小 林一茶の俳句,浮世絵,川柳・狂歌等、化政文化の代表的作品を素材とし、
その内容的特徴をとらえさせる。さらに、著者や作者に対する幕府の弾圧の 意図を考えさせることにより、政治的・社会的背景を反映した文化としての 特色をとらえさせようとしている。 NO.42は、渡辺町山下の「一掃百態」
を素材とし、当時の寺子屋において、一斉授業が行なわれていたことに気付 かせる。そして、それがなぜ可能となったかを探らせることにより、商業出 版の普及等、社会的技術の進歩をとらえさせる。さらに、北斎・歌麿の浮世 絵版画と、元禄文化の尾形光琳筆「紅梅白梅図屏風」を比べさせることによ り、化政文化の大衆性を具体的にとらえさせようとしている。 NO.9!は、
化政文化の内容を素材とし、元禄文化の内容と比較させることにより、その
特徴をとらえさせようとしている。 NO.111は、江戸時代の文学作品や、浄
瑠璃・歌舞伎の内容,絵画・工芸・建築の発達などの説明を通して、元禄文
ドキュメント内
文化史学習の方法論的考察 : 中学校社会科歴史を事例として
(ページ 118-121)