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D.考察

  本事例は、 綿 という素材を通して、いくつかの視点から考察させる  ことで、産業革:命の進展にともなった資本主義の発達が及ぼす生活への影  響等の変化と、明治期の日本人に流れる変わらぬ心性に迫ろうとする。

  授業では、まず、資料①②により、輸入綿の増加と綿畑の減少という社  会的な変化をとらえさせる。次に、資料③により、その変化が、自給自足

経済から、商品経済への転換という形で生活に及ぼした影響を考察させ、

 現金収入を求めて女性が働きに出るという生活の変化に気付かせている。

 さらに、資料④⑤により、工場の増加やそれにともなう、女性の労働者の 増加について知ることで、これまで考察した、社会や生活の変化を事実的  に裏付けている。そして、資料⑤によって、かつては、貴重品であった木  綿が、資本主義の発達により、工業としての綿糸紡績生産量が急増し、輸  出に転じたこと等、短期間に、 綿 をめぐる、社会や生活の大きな変化  を考察させている。しかし、終末部で、資料⑦から、社会や生活が変化し  ても大きく変わることのない人間の心性に触れさせている。

  このように、本事例は、 綿 にまつわる日本人の愛着から、明治の時  代像の一面をイメージ豊かに描かせ、深化型授業として有効な学習を組織  している。

③並列深化型事例の考察

  並列深化型に分類できる事例は、3事例(NO.23 NO.67 NO.71)があげ  られる.ここでは、事例NO. 71郷土の人々の生活の変化を取り上げ、考  察を進める。

A.授業の設定

   新学期にあたって、歴史学習への興味をもたせることをねらいとし、

   指導要領の(8)近代日本の歩み の エ,生活の変化と近代文化の    形成 のなかにも位置つくものとして 郷土の人々の生活の変化 を    設定した。

一193一一

B.授業のねらい

   1.明治政府の近代化政策は、郷土沖縄についても推し進められたこと     を戸籍法の施行や学校教育の普及,交通・通信の発達などを通して     とらえさせるとともに、それにともなって郷土の人々の生活が変化     していったことを理解させる

   2.身近な具体的事例を調査し、学習することによって歴史学習への興     味と関心を培う

C.授業展開

発問 説明 教授学習活動 資料 生徒の回答もしくは職

1.明治19耽戸雛が施行され、醐県

でも戸三三漁されましたこの戸籍 T発附る

法の施行縄劒人々にどのような影響を P答える ・元武士の氏族以外は苗字がなかったから、新し

もたらしたか予想してみよう く考えなけ櫨ならなかった

・それまでは、誰であるか集落内でわかればよか

つたので醇など必要でなかった

・苗物代わり三号があった

・苗字に醒号筋とったものも多い 2.それまでは、みん醒号で呼びあってい

たようですね。では、屋号について調べて 丁關する

みたいことをあげてください P答える どんな屋号鮪るか

・屋号の麟はどうなっていたか

・屋号銘㈹られ舳来は何か なぜ、屋号秘要だったのか

3.そ凝はそれぞ枷トプで調べてみよ T指示する

P調べる

4.では、どん握号があ胤たか T発問する

一一一

^94一一

5.屋号の関係や由来はどうでしたか

6.なぜ、屋号が必要だったのだろう

7.戸籍法のほかにも近代化の波は、沖総に

押し寄せた そのもうひとつは学校教育で

す 資料は、明治13年に設けられた会話

伝習所で使われた教科書です。この学校は

のちに師範学校になりましたが、何か気付

くことはありますか

8.小学校の就学率はどうだったのかな

9.近代化は、交通や通信の発達にもあらわ

れました 資料から何がわかりますか

P答える

丁綱する P答える

T発問する P.答える

T翻する

P翻を聞く.

T資料提示する

T鯛する

P答える

T資料翫する T発問する P答える

T資縷示する

T鯛する

195

o

:倉当,前地重代6伊波屋,前伊書屋など、たく

さんあります。(調べた屋号一覧表を示す)

・屋号は、地形や方位,本家と分家の関係,本家

との位置関係などで付けられていたり、地名を

そのままとったものもある

・屋号でその人の住んでいる所や、親戚関係など

もわかる

。屋号は、今でも親しみこめて呼びあっている

昔の百姓たちが集落の人を呼び分けるために生

み出された生心の知恵だ

・沖縄の方言と共通語が並べて書かれている

・沖縄は、方言が強いから学校教育では、まず、

共通語教育から始まった

・のちに瞬範学校になったということは、共通語

を話せる先生をまず養成したということだ

。沖縄は、全国に比べて小学校ができたのも遅い

し、就学率も低いが、徐々に増加し、明治の興

頃に全国に近くなった

。みんな一般に貧しく、教育を受けるよりも家の

仕事を手伝うことの方が大切だったようだ

・海運では、商口会社や郵船会社が設立され、本

土との行き来や通信が楽にできるようになった

P答える ようだ

・沖縄の道路も整備され、島内の交通が便利にな

ってきている

・集落内が中心だった人々の生活範囲が広まって

いったようだ

資料①「沖縄封話」の表紙および、本文の一部

  ②学齢児童の就学率 『中学校指導細案歴史的分野』佐船夫翻治贈より   ③交通・通信の発達    同上書

D.考察

  本事例は、明治期の郷土(沖縄)を舞台とし、明治政府の近代化政策が 郷土の人々に与えた影響について考察させる。学習内容としては、〈戸籍  法の施行〉〈学校教育のはじまり〉〈交通・通信の発達〉が、並列的に提

示され、各々考察が進められている。〈戸籍法の施行〉では、苗字には、

戸籍法施行以前からある屋号からとったものが多いことから、屋号につい  ての調査活動を取り入れ、生徒の調査結果から、屋号の種類,由来,関係  等を明らかにしている。そして、屋号は、集落内での生活が中心であった 昔の郷土の百姓たちが集落の人を呼び分けるために生み出したすばらしい 生活文化として結論づけている。また、屋号は、現在でも親しみをこめて  呼びあわれ、その役割を果たしている等の事実から、生活に根ざして生み  出された文化は、社会が大きく変化しても変わらず生き続けることも認識  させようとする意図がみられる。〈学校教育のはじまり〉では、教師が提

示する資料をもとに考察が進められるが、いずれも、事実的な知識の理解  にとどまっている。  なぜ、沖縄で共通語教育が重視されたのか   学齢  児童の就学率が全国と沖縄では、なぜ大きく違っていたのか 等の発問に  よって、生徒の問題意識を焦点化させて考察を深めさせることにより、政  府の近代化政策の意図や郷土の人々の生活にリアルに迫り得る学習が組織  できると考える。〈交通・通信の発達〉においても同様の指摘ができる。

  このように、本事例は、前半部で、調査活動を取り入れることにより、