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第 3 章 デュッセルドルフの日本人エクスパトリエイト・コミュニティの特徴と変容

3.4 日本人組織

3.4.1 日本クラブ

先述のように日本クラブのもとになったのは、1954年2 月18日に大使を含む21人 の企業派遣者が集まり行われた第1回日本人会である。この会は5時間にも及び①今後 の会の運営、称号、会費等、②書記官による日独の現況説明や今後の情報伝達方法の検 討、③自己紹介・大使館への要望などが話し合われた(中川 2014)。そして、1964年1 月に日本クラブ発足の会が開かれ、同年4月には「会員相互間の親睦」を目的に社団と して登録される。当時63の法人会員、683名の個人会員を記録している(高木 2006)。

また、表3-5が示すように初代会長は三井物産から選出され、現在に至るまで日本の大 手企業駐在員が会長を務め、創設から企業が中心的役割を担っている(デュッセルドル フ日本クラブ創立50周年記念誌編集委員会 2014)。

日本クラブの運営の会則36によると「クラブの会長は、日本企業派遣者が務め、任期 は3年」で「運営委員会は、会長、副会長、及び運営委員で構成し、運営に関する必要 事項を決議する。会長は、日本企業の駐在員が務める」とあり、駐在員が日本クラブ運 営に大きく関わっている。

36 デュッセルドルフ日本クラブ会則

http://www.jc-duesseldorf.de/images/pdf/administration/2016_kaisoku.pdf 2017年9月25日 閲覧。

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表3-5 日本クラブ会長の変遷(1964年~2013年)

出典:デュッセルドルフ日本クラブ『ラインの流れ』(2014)より筆者作成。

1960年代には、日本人父母の日本語による教育への願いから、「日本人会」が中心に なり、週1-2回の国語授業を中心とした補習授業を行った。そして 1969年に「日本人 会」は「日本クラブ」へと変更され、1971年に設置された「デュッセルドルフ日本人学 校開設推進委員会」にも関わる。1971 年日本人学校開校後、2005年までは、学校の運 動会も日本クラブ共催で行われた(デュッセルドルフ日本人学校 2016)。

1976 年には会則改正が行われ、クラブの目的を発足当初の目的であった「会員相互 間の親睦」から、「日独間・国際親善及び文化交流の促進」に変更し、入会資格も日本 人のみから、「入会資格は日本人であることが条件とならない」を追加したものになり

(デュッセルドルフ日本クラブ創立50周年記念誌編集委員会 2014:44)、国籍を問わ ず誰でも入会できるようになった37。それまでは、「日本人のみ」ということで、Cohen

37 夫がドイツ人であるZさんは1997年当時、夫が日本企業の駐在員でないという理由で 日本クラブに入会できなかったと話す(2018年5月2日インタビュー)が、2018年時

代 所属 期間 代 所属 期間

初代 三井物産 1964 第19代 三菱商事 1984-7 第2代 三菱商事 1965 第20代 三井物産 1988 第3代 八幡製鉄 1966 第21代 三菱商事 1989-90 第4代 三菱商事 1967 第22代 三井物産 1991 第5代 三井物産 1968 第23代 日商岩井 1991 第6代 三菱商事 1969 第24代 三井物産 1992-3 第7代 三菱商事 1970 第25代 三菱商事 1994

第8代 新日鉄 1971 第26代 住友商事 1995

第9代 三井物産 1972 第27代 三菱商事 1996-8 第10代 三菱商事 1973 第28代 三井物産 1999 第11代 三井物産 1974 第29代 三和銀行 2000 第12代 三菱商事 1975-6 第30代 三菱商事 2001-2 第13代 東京銀行 1977 第31代 三井物産 2003 第14代 三菱商事 1977-9 第32代 三井物産 2003-6 第15代 三井物産 1980 第33代 三菱商事 2006-8 第16代 東京銀行 1981 第34代 三井物産 2009-10 第17代 三井物産 1982 第35代 三菱商事 2011-2

第18代 丸紅 1983 第36代 三井物産 2013

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の述べるようにホスト社会に対して「排他的」な一面(第2章2.4参照)も持っていた と言える。

日本クラブの会員の推移をみるとバブルの1991年1992年の頃は個人会員が6,000人 台、法人会員が400近くで一番多く、その後減少を続け、1990年代後半には個人会員数

が5,000人台になる(図3 -8・表3-6参照)が、日本クラブ入会金や年会費38が高額なこ

ともあり影響を受けたからである(R さん)。今までは当然のように企業は法人会員に なり、駐在員家族も個人会員になっていたが、企業は、経費節減の為、日本クラブのメ ンバー登録をやめるようになった。日本クラブのスタッフの R さんは次のように語っ た。

R:1990年頃から会社が締め始め、それまでは日本の会社もお金を出していて、会

社は皆こちらでは法人会員になっていました。バブル崩壊後は、(会社の出費や経 費を)締められるところから締めるということでしょう。

2016年の個人会員数は3,533名(表3-6)、法人会員数は234(図3-8)で、デュッセ ルドルフ日本商工会議所代表の Y さんによると、近年は、個人会員数は 3,500 名前後

(表3-6)で安定している(Yさん)。

表3-6 日本クラブ個人会員数推移

出典:高木(2006:408)『日本人会報』により筆者作成

点では、個人会員として駐在員以外の日本人も入会している。

38日本クラブの法人入会金は、250ユーロ、年会費は、社員数によって37-270ユーロであ る。

http://www.jcduesseldorf.de/images/pdf/administration/2017_uneikisoku.pdf 2017年9月25日 閲覧。

年 個人会員数(人) 年 個人会員数(人)

1964 683 1992 6,672

1968 1,039 1996 5,737

1972 1,883 2000 5,268

1976 2,958 2004 4,693

1980 3,559 2014 4,100

1984 4,485 2015 3,616

1988 5,377 2016 3,553

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日本クラブは「日本デー」を含む年間100ほどの各種催し39(小旅行や講演会等)を 実施している。生活部、文化部、運動部、娯楽部、図書部、広報部などの部があり、前 述の毎年5月開催の「日本デー」は文化部が中心に行われ、年2回春秋のソフトボール 大会40は、運動部が主催する。また、様々な同好会(運動系、コーラス、生け花、着物、

太鼓、囲碁、将棋、ブリッジ、ダンスなど)がある。そのほかに1997年から駐在員の 子どもを中心としたプレイグループ「ちびっこ集まぁれ!」41なども催されているが、活 動はすべて、ドイツ永住者や長期滞在邦人のボランティアにより成り立っている。

このように日本クラブは、創設時から会長は、日本企業の駐在員である。2017年時点 で個人会員の中には、現地日本人永住者やドイツ人なども居るが、駐在員が主要構成員 である法人会員がベースとなっており、日本クラブ運営維持は、日本人エクスパトリエ イト・コミュニティと深く関わっている。