博士(医学)秋田久美 学,位論文題名
The kappa opioid agonistUー 50,488H antagonlZeSreSplratory ● ●
efreCtSOfmuopioidreCeptoragonlStSlnCOnSCiouSratS. ゛Muオ ピ オ イ ド 作 用 薬 に よ っ て 誘 導 さ れ る 呼 吸 抑 制 作 用 に 対 す る kappaオ ピ イ ド 作 用 薬U―50,488Hの 影 響
学位論文内容の要旨
1研 究 目 的
ア ヘ ン ル カ ロ イ ド に 代 表 さ れ る オ ピ オ イ ド 系 鎮 痛剤 は 紀 元 前 よ り 臨 床 使 用 さ れ て い る 薬 物 で は あ る が 、 呼 吸 抑 制 作 用 や 循 環 抑 制作 用 を 十 分 に 排 除 で き な い た め 、 今 も 特 異 的 に 鎮 痛 効 果 の み を 得 る こ と が で きる 薬 剤 や よ り 安 全 な 投 与 法 の 開 発 が 望 ま れ て い る 。 オ ピ オ イ ド 受 容 体 は 、 多 彩 な 生 物 活 性 を 有 す るmu、 kappa、deltaに 大 き く 分 類 さ れ る が 、 鎮 痛 発 現 規 序や 中 枢 性 呼 吸 調 節 機 構 に お い て 各 々 が ど の 様 な 役 割 を 担 っ て い る か は 明 確 で は な い 。 本 研 究 で はmu受 容 体 作 用 薬 とkappa受 容 体 作 用 薬 の 呼 吸 へ の 影 響 を 同 定 す る と 共 に 、muとkappa 受 容 体 間 の 相 互 関 係 に つ い て 覚 醒 非 拘 束 状 態 の ラ ッ ト に お い て 検 討 し た 。
II対 象 と 方 法
対象として雄Splague‑Dawleyラット(体重350し400g)を用いた。実験前日にKetamine hydrochlorideとxylazineの混合液(各々70mg瓜g、6mぴ【g、i.m.)による麻酔下で、ラッ ト の尾 動脈 と外 頚静脈とにポリエチレン製カニューレを挿入した。外頚静脈に挿入し た カニ ュー レの 先端は上大静脈に位置させた。さらに側脳室内への薬物投与のために 右側脳室にカニューレを差込み接着剤で頭蓋に固定した。
外頚静脈カニューレはrnjCm卿Bducerからmu16Channelr閲Drderに連結して胸腔内圧の 変 化 を 記 録 し 、1分 間 の 胸 腔内 圧 変 動 頻 度 を 呼 吸 数 と し た 。 尾 動 脈 カ ニ ュ ー レ は
cardiovascular analyzerと連結した別のtransducerに接続し、動脈圧と心拍数の測定と記 録 に 用い ら れ た。 ま た、 同 カ ニュ ー レよ り 動 脈血300ulを 採 取し 動 脈 血中pH、P02 (Pa02)、PC02 (PaC02)を測定し た。循環 血漿量減 少を防ぐため、動脈血採取後速やか に同量の5%ブドウ糖液を外頚静脈カニューレより投与した。
Muオピオイド作用薬はmorphine sulfateとH)―Alaz,N‑Methyl‑Phe4,Gly−ol] (DAMGO)、 kappa受容体作用薬してU‑50,488H、kappa受容体拮抗薬としてnor‑ bina|ロ0phmne(nor‐ BN11を 用 い た。 薬 物は 全 て生 理的食塩 水(生食 )に溶解 し必要量が5mとなるよ う調 製 さ れ 、 ラ ッ ト の 側 脳 室 ヘ 投 与 し た 。 対 照 薬 は 同 量 の 生 食 と し た 。 全 経 過 を 通 じ ラ ッ ト は ホ ー ム ケ ー ジ の 中 で 自 由 に 運 動 で き る 状 態に あ った 。 脚MGO投 与前 に 動 脈圧 ・ 心拍 数 ・ 呼吸 数 を測 定 し 動脈 血 の採取を 行い、投 与後は60 分 まで経過 を観察し た。コン ト口ール 群には同 量の生食を投与した。同様にM0rphi賦 に ついても 投与後120分 まで測定 した。Nor.BNIはU―50,488Hの15分前に投与した。
データーはandy虹SOfv面卸cefbrrepea他dn忙asumで処理し、有意差はNewm卸‐Keul.S 幟tで検定した。
III結 果
1)DAMGO (0.6、1.2、2.5、10nmol)をラッ トに投与 すると、 有意に動脈 血pH、Pa02 は低 下し、Pa(ニ く)2は上 昇した。 これらの 作用は10分以 内に発現し投与後30分まで 持続 し、用量 依存性を 示した。
2)Morphine (20、30nmol)の 投 与 に て もDAMGOと 同 様 な 変 化 が 観 察 さ れ た 。 3)U‑50,488H (20、200nmol)を 投 与 して も 呼吸 状 態 に有 意 な変化 は認めら れなか っ た 。 ま た 、 nor‑BNI (25nmol)投 与 で も 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。 4)DAMGO (2.5nmol)投 与15分 前 にU‑50,488H (200nmole)で前 投 与し た 群 では 、 pH、Pa2は 有 意 に 高 く 、Pa02の 上 昇 も 抑 え ら れ た 。U‐50,488H(200nnめ1) は m0中 M驚 ( 30nmol) の pH、 Pa02、 PaC02へ の 影 響 も 同 様 に 抑 制 し た 。 5)Nor‐BNI(25nmol)を投 与した後 にU―50,488H(200nmol)とDAMGO(2.5nmol冫 を15分 間 隔 で投 与 した ラ ッ ト群 では 聊M〔めに対 するU50,488Hの 拮抗作用 は認めら れ ず 、 聊 媾 |Goに よ る 有 意 なpH、Pa02の 低 下 とPa〔p2の 上 昇 が 誘 導 さ れ た 。
IV考 察
次々 に開 発さ れるmuオ ピオ イド 受容 体作用 薬の 性状 を詳 細に 研究 するうちに、中 枢 性鎮 痛効 果や 呼吸 抑制 効果 など 多彩 な薬理 作用 に関 与す ると 考え られるmu受容体 は 単一 では なく 複数 のサ ブタ イプ に分 類でき るの では ない かと ぃう 仮説が検討され 始めた、。実際、delta受容体作用薬とmorphineを合わせて投与するとmorphineの鎮痛作 用 は減 弱し 、呼 吸抑 制の みが 認め られ たと報告され、mu受容体のうちdelta受容体作 用 薬と も結 合可能なサブタイプ(mul)が痛覚伝達機構に影響し、delta受容体作用薬と 結 合で きな いサ プタ イプ(mu2)が呼 吸調 節に関与すると推論されている。一方、呼吸 調 節機 構に おけ るkappa受 容体 作用 薬の 役割やkappa‑mu受容体間の関係は明らかにな っていない。
本研 究で はmuとkappa受 容体 リガ ンド の呼吸調節系への影響と両者の相互作用を、
従 来行 われ てき た呼 吸数 の変 化ば かり でなく 動脈 血ガ ス分 析結 果や 同時に生じる循 環 系 へ の 影 響 を 合 わせ て評価 した 。そ の結 果、 選択 的mu受容 体作 用薬DAMGOは非 麻 酔下ラットにおいて呼吸抑制効果を惹起しその効果はmorphineと同様であった。一方、
選 択的kappa受容体リガンドであるU‑50,488Hとnor‑BNIそれ自身はラットの呼吸循環 系 に何 等影 響を 及ぽ さな かっ た。 これ らの結 果は 、麻 薬系 鎮痛 剤に おいて生じる呼 吸 抑制 作用 がmu受容 体を 介し て誘 導さ れると ぃう 過去 の報 告と 一致 するばかりでな く 、kappa受容体 作用 が中 枢性 呼吸 調節 機構では直接的には重要な役割を果さない事 を 明 ら か に し た 。 しか しなが ら、 前投 与さ れたU‑50,488HはDAMGOやmorphineの 呼 吸抑制作用に対し拮抗作用を示した。さらにこのU―50,488Hのmu受容体作用薬の呼吸 抑 制効 果に 与え る影 響がnor‑BNIの 前投 与によってブロックされたことから、拮抗作 用 はmu受容 体部 位で の薬 物の 競合 など によって生じるのではなくkappa受容体を活性 化させることで発現すると解釈された。
V結 語
U‑50,488Hはmuオピオイド受容体呼吸抑制作用に対する拮抗作用を有し、この拮抗 作 用はkappa受容 体を 介す るも のと 考え られ た。
学位論文審査の要旨 主査 教授 川上義和 副査 教授 斎藤秀哉 副査 教授 劔物 修
学 位 論 文 題 名
The kappa opioid agonistU →50 ,488H antagonlzesrespiratory effeCtS0fmuopioidreCeptoragonlStSlnCOnSC10uSratS .
Mu オピオイド作用薬によって誘導される呼吸抑制作用に対する
kappa オピイド作用薬U −50 ,488H の影響
目 的: オ ピ オイ ド 系鎮 痛 剤 は鎮 痛 作用 ば かり でなく呼 吸抑制作 用や循環抑 制作用 な ど 多 彩な 生 物学 的 活 性を 有 す るが 、 最近 こ れらの薬 理作用と オピオイド 受容体の タ イ プ との 関 連に つ い ての 研 究 が発 展 した 。 中枢性鎮 痛作用と 呼吸抑制作 用を惹起 す る と 考え ら れて いるmuオピ オイド受 容体アゴ ニストとdeltaオピオイ ド受容体ア ゴ ニ ス ト の呼 吸 への 影響とそ の相互関 係は概に 報告され ているが 、kappaオピオイ ド受 容 体アゴニ ストの呼 吸調節に おける役 割について はこれま で報告さ れていなかった。
本 論文 で は 、muオピ オ イ ド受 容 体ア ゴ ニ スト(DAMGO、morphine)、kappaオピオ イ ド 受容体ア ゴニスト(U‑50,488H)、kappa受容体アンタゴニスト(nor‑BNI)を非麻酔状態 ラ ッ ト の側 脳 室に 投与して 、muとkappa受容 体によっ て生じる 呼吸調節 への影響を 解 析 す る と と も に 、 両 受 容 体 間 の 相 互 作 用 に つ い て も 検 討 し た 。 結 果 :DAMGOやmorphineを 投 与 する と ラ ット で 動脈 血pHとPa02の 低下 とPaC02の 有 意 な 上昇 が 認め ら れ 、muア ゴニ ス トで 呼 吸抑 制作用が 生じる事 が確認され た。ま た 、その作 用は用量 依存性を 示した。 一方、U‐50,488Hとnor‐BNIはラットの呼吸状 態 に 何 の 影 響 も 与 え な か っ た 。 し か し 、U.50,488Hを前 投 与し た ラ ット 群 では nWGOとmorphineの 呼吸 へ の 影響 は 抑 えら れ 、呼 吸 調 節機 構 の中 で はkappa受容体 ア ゴ ニ ス ト がmu受 容 体 ア ゴ ニ ス ト の 対 す る 拮 抗 作 用 を 有 す る こ と が 示 さ れ た 。 続 いて 、 こ の拮抗 作用がkappa受 容体の薬 理作用と して生じ るか否か を論じるた め norIBNIを 用いた実 験を行っ た.はじ めにnor・BNI前 投与でkappa受容 体をブロックし
てからU‑50,488Hを投与すると、DAIVJGOによってラットに明らかな呼吸抑制が誘導 され、DAMGOの呼吸作用に対するU‑50,488Hの拮抗作用は発現しなかった。このこ とからU‑50,488Hの拮抗作用はmu受容体部位での薬物競合によって生じるのではな く 、kappa受 容体 を 介す るU‑50,488Hの薬理作用 のーつであ ると考えら れた。
結論:Kappaオピオイド受容体アゴニストはmuオピオイド受容体によって誘導され る呼吸抑制効果に対し、 kappa受容体を介する作用をもって拮抗することが推察され た。
口頭発表にあたり、劔持教授より1)投与した麻酔剤のオピオイド受容体への影 響について、2) sig maおよびepsilon受容体と呼吸との関係について、斎藤(秀)教 授より1)各薬剤投与後の呼吸数の変化について、2)nor‑B NIの作用時間について 質 問 が あ り 、 申 請 者 は ど の 質 問 に も 妥 当 に 答 え た よ う に 思 う 。 また、斎藤(秀)教授、剱持教授に個別に審査をしていただき、合格との御返事 をぃただぃている。
これまでkappaオピオイド受容体の呼吸調節機構での作用については全く研究され ておらず、本論文がkappa受容体の呼吸への影響ばかりでなくmu‑k appa受容体間の相 互作用の存在を確認し、その機序についても解析を試みたことは意義あるものと考 え ら れ た 。 よ っ て 、 本 論 文 は 博 士 ( 医 学 ) に 相 当 す る も の と 認 め た 。