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博士(医学)吉田秀明 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)吉田秀明 学位論文題名

    A New Approach to Aortic Dissection:

Development of an Insertable Aortic Prosthesis

(大 動脈 解離 に対 する 新し いア プロ ―チ一経皮的に 大 動 脈 内 に 挿 入 ・ 移植 可 能 な 人 工 血 管 の 開 発 ― )

学位論文内容の要旨

  解離性大動脈瘤の外科治療成績は向上しつっあるか、重要臓器に合併障害を有する high risk症例ではなお手術侵襲の軽減が望まれる。大動脈解離では解離発生直後に entryを閉鎖すれば早期に解離腔が閉塞し、entry閉鎖がそのまま根治術となりうる 特性からヒントを得て、大動脈解離に対するまったく新しい治療方法を考案した。

即ち、経カテーテル的に人工血管を大動脈内腔にあてかうように移植しentryを閉鎖 する方法である。本法は、大動脈造影に引き続き迅速かっ低侵襲で大動脈解離のen− try閉鎖を行うことかでき、その後の解離の進展・大動脈の瘤化を防止することがで きるものと考える。

  本研 究は1)経 カテ ーテルに大動脈に挿入・移植可能な新しい人工血管(Shape memory Aortic Prosthesis:以下SAPとする)の開発2)カテーテルによる移植方法 の工夫3)無縫合移植実験(手術による)4)経カテーテル移植模擬実験(in vitro) 5)経カテーテル移植実験(i.n vivo)6)病態モデル犬への応用(胸部大動脈瘤・解離 性大動脈瘤)とすすみ、同時に長期観察を行い安全性と有効性を確認の後に、鴨床応 用で前述のhigh risk症例に適用することを目指した。

  経カテーテルに大動脈に挿入移植可能な人工血管は、◎変形・縮小が可能@大動脈 内で移動しなぃための拡張カを有する◎元の形状に復元する、という要件が必要であ った。このため、挿入型人工血管として、変態温度を30℃に設定した形状記憶合金 Ni−Ti合金(N.itinol)を ステ ン卜 とし たポ リウ レタ ンチ ュー ブを 作製し た。

  無縫 合移 植で のSAPの固定性・組織適合性を検討するために雑種成犬10頭を用 い 、手 術に より 大動 脈にSAPを 縫合 糸を 用い ずに 留置 した 。大 動脈 外径AとSAP の径Sの関係で3群に分けた。

I群 (S=A−lmm n=2)II群 ( S=A十 Imm n=ニ2)III群 (S=A十3mm ri=6)。 移植後 の大 動脈 造影 で、I群II群で はSAPの移動か確認された。III群 で は30日 か ら 最 高200日 日 で 移 動 や ス テ ン 卜 の 変 形 は 認め ら れ な か っ た 。 II工群の3頭(3〜llカ月観察犬)を犠牲死させ宿主大動脈の組織学的変化を検索

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した。ステン卜の圧着していた部分に圧痕と弾性線維層の圧縮を認めるものの弾性線 維 層 の 完 全 断 裂 等 は な く 、 ス テ ン 卜 圧 着 に よ る 障 害 は ご く 軽 度 で あ っ た。

  また 、同 様の 方法 で1年 観察 犬を3頭 作成 し、SAP移植部を観察したところ、移 動や移補部の癩化は認めなかったか、全例、仮性内膜か過剰に増殖し、90〜100%の 狹窄を来していた。

  次に、大腿動脈からカテーテルを用いてSAPを大動脈内に挿入・移植するための 方法と器具を考案した。その構成は、(l)catchi.ng catheter:上腕動脈(イヌでは総 頚動脈)から挿入し大腿動脈から引き出しSAPの中枢側を把持する。移植終了まで SAPを中枢側から支持する。

@pulli.ng ¥oire:@のcatching catheterを大腿動脈側から引き出すためのワイヤー。

大 腿 動 脈 か ら 挿 入 し catching catheterに 把 持 さ せ て 引 き 出 す 。

@delivery catheter:変形縮小させたSAPを先端に装填し大腿動脈から大動脈内 目的部位まで輸送する。

@pushing rod:目的 部位でSAPを輸送カテーテルから押し出す。本システムの特 徴は上腕動脈からの支持鉗子によりSAPを中枢側から支持することにある。これに より、犖にdeli.very catheterからSAPを押し出すだけでは血流に流されてしまう と ぃ う 危 険 を 回 避 で き 、 さ ら に 多 少 の 位 置 修 正 も 可 能 で あ る 。   まずin vitroで模擬実験を行い手技に慣れ、器具に多少の改良を加えた後に3頭の 犬 と1頭の 羊で1n vivo実 験を 行い 、胸 部大 動脈内 に経カテーテル的にSAPを移植 することに成功した。

  最後に、急性大動脈解離モデル犬に対しSAPを適用した。雑種成犬7頭を用いて、

手術でStanfordB型解離モデルを作成した。4頭か術中、術直後に死亡した。残り3 頭 に対 して 解離 作成 手術から2〜4時間後に、 SAPを大腿動脈からカテーテル法に より下行大動脈に挿入し、entry閉鎖を試みた。

  1頭を操作中の大動脈穿破により失ったが、2頭にSAPを移植することができた。

大 動脈 造影 で、 移植 前に見られた解離腔はSAP移植後には造影されず、entry閉鎖 が成された。

  解離モデルは、大動脈壁そのものに病変がなぃこと、著しぃ瘤化がなぃこと等で臨 床例と異なるか、発症直後の大動脈解離と血行力学的にはかなり近似している。大動 脈の拡張が殆ど認められない時点でSAPを迅速に適用することでその後の解離の進 展・大動脈の瘤化の防止に有効と考えられる。侵襲の大きぃ外科的処置を行うことな し に大 動脈 解離 に対 する 治療 を低 コス トで かつ安 全に 行う こと が可 能と なる 。 まとめ

1.形状記憶合金をステントに応用して経カテーテル的に大動脈内に移植可能な人工 血管SAP  (Shape memoryAortic Prosthesis)を作製した。

2.犬 大動 脈へ の移植 実験では大動脈外径より3 mm大きぃ径のSAPを用いれば固定 性良好で宿主大動脈に対する障害も軽微であった。′

3.大動脈内に移植するための新しぃ方法とカテーテルを開発し、カテーテル法のみ

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でSAPを胸部下行大動脈に移植することに成功した。

4.急性期StanfordB型解離モ デルに対 し本法を 応用し、非手術的entry閉鎖が可 能であることを示した。

5.長期の移補では仮性内膜増生により高度の狭窄をきたすため、数カ月程度の一時 的な適用が安全である。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

    A New Approach to Aortic Dissection:

Development of an Insertable Aortic Prosthesis

(大動脈解離に対する新しいアプローチ―経皮的に 大 動脈内に挿 入・移植可 能な人工血管の開発―)

目 的 : 解 離 性 大 動 脈 瘤 の 外 科 治 療 成 績 は 向 上 し つ っ あ るが 、 重要 臓 器 に 合 併 障 害 を 有 す る high risk 症 例 など で は、 な お侵 襲 の軽 減 が 望ま れ る 。 本 研 究 は 、 大 動 脈 解 離 で は 解 離 発 生 直 後 に entry を 閉 鎖 す れ ば 早 期 に 解 離 腔 が 閉 塞 し 、 そ の ま ま 根 治 術 と な り う る こ と から ヒ ント を 得 て 、 大 動 脈 解 離 の 迅 速 か つ 低 侵 襲 な 新 し い 治 療 方 法 を 考案 し 、動 物 実 験 に よ り 検 討 し た も の で あ る 。

材 料 と 方 法 : 挿 入 型 人 工 血 管 と し て 、 変 態 温 度 を 摂 氏 30 度 に 設 定 し た 形 状 記 憶 合 金 (Nitinol) を ステ ン トと し たポ リ ウレ タ ンチ ュ ー ブを 作 製 し 、 予 備 実 験 と し て 雑 種 成 犬 10 頭 を 用 い て 無 縫 合 移 植 実 験 を 行 な い 、 移 植 後 の 固 定 性 、 組 織 適 合 性 を 検 討 し た 。 次 に 、 経カ テ ーテ ル 移 植 実 験 を ま ず in vitro で 行 な い 、 器 具 や 手 技 の 改良 を 加え た 後 に、 雑 種 成 犬 3 頭 と 羊 1 頭 を 用 い て in vivo 実 験 を 行 ナ ょ っ た 。 最 後 に 、 StanfordB 型 解 離 モ デ ル を 手 術 的 に 作 製 し 、 耐 術 の 雑 種 成 犬 3 頭 に 対 し 本 法 を 適 用 し た 。 な お 、 経 カ テ ー テ ル 移 植 方 法 お よ び 器 具 は 独 自 に 開 発 し た も の で あ る 。

結 果 : 適 切 な サ イ ズ ( 大 動 脈 外 径 十 3 mm) の 人 工 血 管 を 移 植 す れ ば 大 動 脈 内 で ズ レ や 移 動 が な く 、 大 動 脈 壁 に 対 す る 障 害 も 輕 微 で あ っ た 。 長 期 移 植 で は 仮 性 内 膜 の 増 生 に よ り 狭 窄 を 来 た す た め 、 3 箇 月 程 度 の 一 時 的 適 用 が 安 全 と 考 え ら れ た 。 ま た 、 経 カ テ ー テル に 本人 工 血 管 を 胸 部 下 行 大 動 脈 に 移 植 す る こ と に 成 功 し た 。 さ ら に本 法 によ り , StanfordB 型 大 動 脈 解 離 の entry 閉 鎖 が 経 皮 的 に 可 能で あ るこ と が示 さ れ た 。

考 察 : 本 研 究 の ま ず 第 一 の 課 題 は 、 人 工 血 管 を 経 皮 的 に大 動 脈に 移 植 す る こ と が 可 能 か ど う か 、 と い う こ と で あ る が 、 人 工 血管 を ステ ン ト

田 藤

安 加

授 授

教 教

査 査

主 副

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を組み込んだ設計としたことと、移植方法の工夫により克服すること ができた。ただし、ポリウレタンは器質化に乏しいため長期移植には 不向きである。今後は、より器質化に優れた素材を用いるなどの改良 が必要である。解離モデルは、大動脈壁自体に病変がないこと、著し い瘤化がないこと等で臨床例と異なるが、発生直後の大動脈解離と血 行力学的に近似している。このように大動脈の拡張が著明でない時点 で本法を適用することにより、解離の進展、大動脈の瘤化が抑止でき ると考えられる。っまり、侵襲の大きぃ外科的処置を行なうことなく 大動脈解離に対する治療を低コストで迅速かつ安全に行なうことが可 能となる。

   口頭発表にあたり加藤教授より、本人工血管の生体に対する生着 性、とくにポリウレタンは器質化に乏しいことから長期間の移植には 難点があると思われること、現時点では移植期間が3 箇月程度に制限 されるが、臨床応用は具体的にどのような症例を想定しているか、宮 坂教授より、経皮的移植が可能なサイズ,ステントに金属を用いてい るが磁場の影響を受けるかどうか、北畠教授より、移植する人工血管 のサイズ決定の具体的方法、StanfordB 型解離の場合、手術しなくて もよい症例があるが、本法の優位性t まいかなる点か、生体に対する適 合性の問題、について質問がなされたが、申請者はおおむね適切な回 答をした。また、副査である加藤教授、宮坂教授には個別に審査を受 け合格と判定された。

   以上本研究;ま、経皮的に大動脈内に移植可能な人工血管とその方法

を独自に開発し、もって大動脈解離症例に対する迅速かっ低侵襲な治

療の可能性を動物実験により示したものである。よって医学博士の学

位授与に充分値するものと判定された。

参照

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