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博 士 ( 医 学 ) 宮 城 島 拓 人 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 医 学 ) 宮 城 島 拓 人

学 位 論 文 題 名

ラ ッ ト 線 維 肉 腫 細 胞 株 の イ ン ス リ ン 様 成 長 因 子 H

/ マ ン ノ ー ス 6 リ ン 酸 受 容 体 に 関 す る 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

I研 究目的

  イ ン ス リ ン 様 成 長 因 子1I (IGFI[)/ マ ン ノ ー ス6リ ン 酸(Man―6―P)受 容 体 は , 単 一 の糖 蛋 白 質 で あり な が ら ,IGFHと り ソゾ ー ム 酵 素 のり ソ ゾ ー ム への 移 行 シ グ ナ ルで あ るMan

―6―Pの , 二っ の 異 な る りガ ン ド 結 合 部位 を 持 つ 多 機 能受 容 体 で あ る。IGFlIを り ガ ン ドと した結 合には 受容体 の糖 鎖が必 須であ るが, 糖鎖 の性状 にっい て詳し いことは知られておらず,

ま た 受 容 体 を 介 し た 作 用 機 作 に っ い て も 知 見 は 必 ず し も 一 定 し て い な い 。   本研究 は本 受容体 を強く 発現するラット線維肉腫細胞にっいて,低発現細胞との比較において,

本受 容 体 の 糖 鎖と IGFH結 合 の 関 連 を調 べ , このり ガンド が受 容体を 介して イノシ トール リン 脂質代 謝回転 を活性 化す ること を明ら かにし たも のであ る。

B実 験方 法 1)細胞 株の培 養

  ラ ッ ト 線 維 肉 腫細 胞 株(KMT―17)は , 北 大 癌 研病 理 よ り 供 与さ れ ,10%ウ シ 胎 仔 血 清を 含 む 培 地RPM1640に て , ラ ッ ト 線 維 芽 細 胞 株(NRK―49F) は ,5% 血 清 を 含 むDulbecco変 法Eagle培地 により 継代 培養し た。

2)受容 体の精 製

  酵母 変異株 よル ホスフ オマン ナンを 精製し ,弱 酸水解 により 得られ たり ン酸化オリゴ糖を固定 化し アフィ ニティ ーカラ ムと した。 このカ ラムを 用い て本受 容体を 精製し た。さらに精製受容体 に対 する家 兎抗体 を作製 した 。

3)受容 体のメ タボ リック ラベリ ング

  [35S] メチ オ ニ ン あ るい は[2 ̲3H] マ ンノ ー ス で 細 胞を30分 間 ラベ ル し , 完 全培 地 に 交 換し た後, 一定時 間チェ イス した。 その後 細胞を 界面 活性剤 で可溶 化し, 抗受容体抗体で免疫沈

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降 さ せ た 受 容 体 を ド デ シ ル 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 存 在 下で 電 気 泳 動 (SDS―PAGE) し ,オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ ― に よ っ て 受 容 体 を 検出 し た 。 ` ソニ カ マ イ シ ン処 理 は , 終 濃度2肛g/mlで2 時間 行 っ た 後 ,35Sラ ベ リン グ を 行 っ た。

4)受 容 体 糖 鎖の 解 離

35S標 識 細 胞か ら 免 疫 沈 降で 得 ら れ た 受容 体 を エ ン ド― ロ ―N― アセ チル グルコ サニミ ダーゼ (EndoH)で37℃,16時 間 処理 し た 。

5)糖 鎖 パ タ ーン の 解 析

  [2 ̲3H] マ ン ノ ー ス 標 識 細 胞 か らSDS―PAGEで 標 識 受 容 体 を 分 離 し , プ 口 ナ ー ゼE消 化 で 得 ら れ た 糖 ペ プ チ ド をConAカ ラ ム に よ り , 未 吸 着 ( 三 お よ び 四 分 岐 複 合 糖 鎖 ),10 mMa− メ チ ルグ ル コ シ ド 溶出 ( 二 分 岐 複合 糖 鎖 ) ,lOOmMa− メ チ ル マ ンノ シ ド 溶 出 ( 高マ ン ノー ス 型 糖 鎖 )画 分 に 分 画 し ,°H活 性 値 から 量 比 を 求 めた 。

6) フ 口 ー サ イト メ ト リ ー

  細胞を 抗受 容体抗 体と反 応させ た後, 螢光 標識抗 家兎IgG抗体 を結合 させ ,抗体 強度を フ口ー サイ ト メ ー タ ーで 測 定 し た 。

7)細 胞 表 面 受容 体 とIGFIIの 結 合実 験

125T―IGFHと 細 胞 を4℃ ,16時 間 反 応 さ せ , 結 合 し たIGFIIの 放 射 活 性 を 測 定 し , Scatchard解 析 に よ り 細 胞 表 面 の 受 容 体 数 お よ び 解 離 定 数(Kd)を 求 め た 。 8)イ ノ シ ト ー ル リ ン 脂 質 特 異 的 ホ ス フ エ リ パ ー ゼ C( PLC)活 性 の 測 定   無 血 清 培 養 液 中 のKMT―17細 胞 (5x105)に ,IGFIIを 加 え ,37℃ で 一定 時 間 反 応 後, 氷 冷過 塩 素 酸 で 反応 を 停 止 し た 。遠 心 上 清 を 中和 後 , イ ノ シト ー ル‑1,4,5― 三 リン 酸(IP3) アッ セ イ シ ス テム(Amersham)に よ り 測 定 した 。

m結  果

1) IGFlI/Man―6宀P受容 体の精 製.

  ホ スフ ォオリ ゴマン ナンア フィニティーカラムを用いて,高収量,高純度で受容体を精製した。

ラ ッ ト 肝 お よ びNRK―49F細 胞 の 受 容 体 分 子 量 は250,000 (250K)で あ るの に 対 し ,KMT―l 7細胞 受容体 は240Kで あり10Kの違 いが見 ら. れた。

2) KMT−17細 胞とNRK―49F細胞 受容体 の糖鎖 構造 の比較

  ` ソニ カマイ シンで 両細胞 の受容 体の 糖鎖結 合を阻 害する と, 分子量 は共に225Kとなり,受容 体 の 蛋 白 質 部分 に は 分 子 量的 な 差 は な かっ た 。EndoHに よ る分 子 量 の変化 は両 者とも 同じ(10

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K)であったことから,両細胞の受容体分子量の相違は,糖鎖とくに複合型糖鎖の違いによる事 が示された。そこで,複合型糖鎖をConAのアフィニティーク口マトグラフィーによって検討 すると,NRK亠49F細胞の複合型糖鎖タイプは三および四分岐の高分岐化糖鎖が多いのに対し,

KMT−17細胞では複合型糖鎖のほぼ半分が二分岐構造であった。

3)KMT―17細胞の本受容体発現量およびりガンド結合能

  受容体抗体で調べた細 胞表面受容体の発現量は,KMT―17細胞ではNRK一49F細 胞に比較 し10倍以上高かった。IGFI[リガンドの結合でもKMT―17細胞の受容体数は細胞当たり7.3xl 05個であるのに対し,NRK―49F細胞では2.0Xl04個 であった。Kd値は,KMT―17細胞が1. 5nM,NRK―49F細 胞はO.6nMであ り,IGFuに 対す る結 合親 和 性はKMT―17細胞 で低かっ た。

4)ーKMT―17細胞のIGFII/Man一6―P受容体を介したPLCの活性化

  KMT‑―17細胞においてIGFIIは濃度依存的にIP。産生を促進し,lOnMで最大活性を示した。

そのIPヨ産生量はIGFH刺 激後15秒でピークに達する速やかな反応であり,PLCの活性化は抗 受容対抗体により特異的に抑制された。

IV考  案

  本受容体のIGFlI結合には,受容体に結合するアスパラギン糖鎖が必須であるとされるが,

糖鎖のタイプは知られていなかった。本研究において,ラット線維肉腫細胞(KMT―17)より 精製 したIGF II/Manー6―P受容体の分子量は,ラッ ト肝あるいは線維芽細胞(NRKー49 F)の受容体より10K小さく,その違いは糖鎖の違いによることが分かった。糖鎖分析によって,

KMT一17細胞の受容体の複 合型糖鎖はNRK―49F細胞に比 較して低分岐化糖鎖が多い ことが 明ら かと なり , 他方KMT一17細胞のIGF矼結合親和性はNRK−49F細胞より低かった 。これ らの結果は,IGF II/Man―6―P受容体の高分岐化複合型糖鎖が,受容体の親和性に大きく 寄与していることを強く示唆するものである。

  IGFH刺激による本受容体のシグナル伝達にっいては,用いた細胞が異なるためか,統一した 見解に至っていない。マ ウス3T3細胞では本受容体はG蛋白質(Gi2)を介して細胞外カルシ ウムの取り込みを亢進することが,またラット腎尿細管細胞膜では本受容体を介したPLCの活 性化が知られている。本研究において,KMTー17細胞は,結合親和性の低い受容体が大量に発 現しており, IGF亜のシグナルは,KMT―17細胞受容体を介してイノシトールリン厨旨質代謝回 転を亢進する事が明らかとなった。これらの知見が本細胞の特性とどう関連するか,今後の検討

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課題であろう。

V結  語

  ラ ッ ト 線 維 肉 腫 細 胞 株 に お け るIGFI[/Man−6―P受 容 体 の 性 状 に っ い て , ラ ッ ト 線 維 芽 細胞 との 比 較に おい て 検討 し, 以 下の 結果 を 得た 。

1. 本 受容 体は , ホス ホマ ン ナン アフ ィ ニテ ィー ク 口マ トに よ り高 収量 高 純度 で精 製 し得 た。

2, 両 細胞 の受 容 体蛋 白サ イ ズに 差は 認 めら れな かっ たが,線維肉腫細 胞受容体は糖鎖含量 も,

高分 岐複 合 型糖 鎖の 割 合も 低か っ た。

3。 ラ ット 線維 肉 腫細 胞はIGF IIとの 結 合親 和性 の低 い受容体を大量に 発現していた。従っ て,

受 容 体 の り ガ ン ド 結 合 能 に は , 高 分 岐 複 合 型 糖 鎖 が 寄 与 す る こ と が 強 く 示 唆 さ れ た 。 4. 線 維 肉 腫 細 胞 で は ,IGFuの 刺 激 は , 本 受 容 体 を 介 し てPLCを 活 性 化 する こと に よっ て情 報伝 達さ れ るこ とが 示 され た。

学位論文審査の要旨

I研究 目 的

  イ ン ス リ ン 様 成 長 因 子H(IGF II) / マ ン ノ ー ス6リ ン 酸 (Manー6―P) 受 容 体 は , 単 一 の 糖 蛋 白 質 で あ り な が ら ,IGFHと り ソ ゾ ― ム酵 素の り ソゾ ーム ヘ の移 行シ グ ナル であ るMan

‑6―Pの , 二 っ の 異 な る り ガ ン ド 結 合 部 位 を 持 つ 多 機 能 受 容 体 で あ る 。IGFHを り ガ ン ド と し た結 合に は 受容 体の 糖 鎖が必須で あるが,糖鎖の性状 にっいて詳しいこ とは知られておら ず,

ま た 受 容 体 を 介 し た 作 用 機 作 に っ い て も 知 見 は 必 ず し も 一 定 し て い な い 。   本研 究で は 本受 容体 を 強く発現す るラット線維肉腫細 胞にっいて,低発 現細胞との比較に おい て ,本 受容 体 の糖 鎖とIGFII結 合能 との 関 連を 検索 し ,さ らに 線 維肉 腫細 胞 にお ける 本 受容 体 の 細胞 情報 伝 達系 への 関 与を 検討 し た。

保 雄

   

   

崎 橋

宮 石

授 授

教 教

査 査

主 副

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n実験方法

1)細胞 株 :ラ ット 線維 肉腫細胞株(KMT―17)は北大癌研病理より,ラット 線維芽細胞株 (NRK一49F)は国立衛生研究所細胞バンクより供与された。

2)受容体の精製:酵母変異株より得られたりン酸化オリゴ糖を固定化しアフィニティーカラム と し , 本 受 容 体 を 精 製 し た 。 さ ら に 精 製 受 容 体 に 対 す る 家 兎 抗 体 を 作 製 し た 。 3)受容体のメタボリックラベリング:[°5S]メチオニンあるいは[2‑'H]マンノースで細 胞をラベルし,一定時間チェイスLた。抗受容体抗体で免疫沈降させた受容体をドデシル硫酸ナ 卜 リウ ム 存在 下で 電気 泳動(SDS―PAGE)し,オrトラジオグラフィーによっ て検出した。

さらにツ二カマイシンにより糖鎖結合を阻害して検討した。

4)受 容体糖鎖の解離:35S標識細 胞から免疫沈降で得られた受容体をエンドーロ‑N一アセチ ルダルコサニミダーゼH (EndoH)で処理した。

5)糖 鎖パ夕―ンの解析:[2一 H]マンノース標識細胞から 免疫沈降,SDS−PAGEで標識 受容 体を分離し,プロナーゼE消 化で得られた糖ペプチドをConAカラムにより未吸着(三お よび 四分岐複合糖鎖),lOnMd− メチルグルコシド溶出(二分岐複合糖鎖),lOOmMdーメチ ルマ ンノシド溶出(高マンノース 型糖鎖)画分に分画し,゜H活性値から量比を求めた。

6)フローサイトメトリ−:細胞を抗受容体抗体次いで螢光標識抗家兎抗体を結合させ,螢光強 度をフローサイトメーターで測定した。

7)細 胞表面受容体とIGF IIの結 合実験:|25IGFHを用いたScatchard解析により細胞表面 の受容体数および解離定数(Kd)を求めた。

8)イ ノシト―ルリン脂質特異的ホ スフォリパーゼC(PLC)活性の測定:IGF II刺激に伴う,

PLCの 活性 化を 細 胞内 イノシトール‑1,4,5― 三リン酸(IPヨ)の変動によ り検討した。

m結果ならびに考察

  ホスフエオリゴマンナンアフィニティ一カラムを用いて,受容体を精製し得た。ラット肝およ びNRK―49F細胞 の 受容体分子量は250,000(250K)であるのに対し ,KMT―17細胞受容体 は240Kであり10Kの違いが見られた。両細胞の分子量の違いを明らかにするため,ツ二カマイ シンにより受容体の糖鎖結合を阻害すると,分子量は共に225Kとなり,受容体の蛋白質部分に は分子量的な 差はなかった。EndoHによる 分子量の変化は両者とも同じ(10K)であったこと から,両細胞の受容体分子両の相違は,糖鎖とくに複合型糖鎖の違いによる事が示された。そこ で,複合型糖 鎖をConAアフィニティーク ロマトによって検討すると,NRKー49F細胞の複合

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型糖 鎖 夕 イ プ は高 分 岐 化 糖 鎖が 多 い の に 対 し,KMT―17細 胞では 複合 型糖鎖 のほぼ 半分が 低分 岐 構 造 で あ り ,KMT―17細 胞 の 本 受 容 体 の 細 胞 内 プ口 セ シ ン グ はNRK―49F細 胞 と は異 な っ ている 事が明 らかと なっ た。さ らに, この複 合糖鎖 パタ ーンの 違いが 分子量 の差になっている可 能性が 示唆さ れた。

  抗 受 容 体 抗 体 を 用 い た 細 胞 表 面 受 容 体 の 発 現 量 の 検 索で は ,KMT―17細 胞で はNRK−49F 細 胞 に 比 較 し10倍 以 上 多 く ,IGFIIリ ガ ン ド の 結 合 で もKMT−17細 胞の 受 容 体 数 はNRKー49 F細 胞 の35倍 も 多 か っ た 。一 方 ,IGFHに 対 す る結 合 親 和 性 はKMTー17細 胞 で 低 か った 。 こ れ らの 結 果 か らKMT―17細 胞 に は 糖 鎖パ タ ー ン の 異な る分子 量の低 い本 受容体 が多量 に発現 して いる 事が 明らか にな り,糖 鎖パタ ーンと りガン ド結 合能と の関係 では,IGFIIは高分 岐複合 型糖 鎖に富 む受容 体と高 い親 和性を 有する 事が示 唆され た。

  本 受 容 体 を 高 発 現 し て い るKMT―17細 胞 に お い て ,IGFII刺 激 に 伴うPLCの変 化 を 検 討 す ると , IGF皿 は 濃 度 依存 的 にIPヨ産 生 を 促 進 し, さら にIPヨはIGFII一刺激 後15秒で ピー クに 達する 速やか な反応 を示 した。 これらの反応は抗受容体抗体によって特異的に抑制された事から,

KMT←17細 胞で は,本 受容体 を介し たイノ シト ールlJン 脂質代 謝回 転の亢 進が明 らかと なっ た。

こ れ ら の 知 見 が 本 細 胞 の 特 性 と ど う 関 連 す る の か は , 今 後 の 検 討 課 題 と 考 え ら れ た 。   以 上 , 本 研究 所 は , ラ ット 線 維 肉 腫 細胞 株 に お い て, 糖 鎖 パ 夕 一 ンの異 なるIGF JI/Man― 6―P受 容 体 が高 発 現 さ れ ている 事を見 いだし ,本 受容体 とイノ シト| ルリン 脂質 代謝回 転との 関与を 明らか にし, さら にりガ ンド結 合に必 須と言 われ ている 本受容 体の糖 鎖構造とりガンド結 合能と の関係 を検討 した もので あり, 博士( 医学) の学 位論文 として 妥当な ものと判断される。

参照

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