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ーグリーン関数と多体問題 (4) 一

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(1)

近畿大学工学部研究報告 No40, 2006年,pp.159‑195 Research Reports of  the School of Engineering, 

Kinki University No40, 2006, pp.l59195

多体問題とグリーン関数との関係の研究

ーグリーン関数と多体問題 (4) 一

橋爪邦夫*、林田秀人**

S t u d i e s  o f  r e l a t i o n s  between many‑body problems  and Green f u n c t i o n s  

‑Green f u n c t i o n  and many‑body problems  ( 4 ) 一

Kunio HASHIZUME and H i d e t o  HAYASHIDA 

S y n o p s i s  

I n  t h i s  papeζnext s u b j e c t s  a r e . d i s c u s s e d .  

~

4 .  S t a t i s t i c a l  m a t r i x .  

~

5 .   R e l a t i o n  t o  quantum s t a t i s t i c a l   M e c h a n i c s .  

~

6 .   L i o u v i l l e ' s  t h e o r e m  i n  c l a s s i c a l  s t a t i s t i c a l  m e c h a n i c s .  

~

7 .   L i o u v i l l e ' s  theorem 

in 

quantum  S t a t i s t i c a l m e c h a n i c s  ( E q u a t i o n  o f m o t i o n  o f  d e n s i t y  o p e r a t o r ) .  

~4 統計行列

前節(~3)で我々は密度行列に就いて、その基礎的な 事柄を、理化学辞典(岩波書庖)と物理学辞典(培風 館)と

Zimann

の書物を主に参考にして、まとめて、

密度行列の理論の枠組みを構築する事を試みた。この 節(~4)では量子統計力学を念頭に置いて、同じ問題を

もう一度議論し直す事にする。

境界条件の明瞭な閉じた系の量子力学的状態は 1個 波動関数

t p ( q )

によって完全に記述される。ここに、 q は系を構成している粒子共の座標を代表している。波 動関数'P

( q )

は一般的には複素関数である。このように 系が 1個の波動関数によって表わされる状態に在ると きには、系は純粋状態であると言う。

今、 A佐)をその量子系の或る物理観測量に対応する

*近畿大学工学部建築学科

**海上保安大学校

量子力学的演算子としよう。状態

v

句)において観測し たときの物理観測量A伝)の期待値(平均値)は次のよ

うである。

( A )   =  J

'P*

句 M 句 ) 甲 信) d

q

( 9 7 )  

次に、或る大きな閉じた孤立系の中の部分系を考察 する。大きな系の全体としての波動関数を'P

( q

x )

とす る。 xは部分系の座標の組を表わし、 qは閉じた系の 残りの座標の組を表わす。

159 

最初に全系の波動関数が次のように書ける場合を考 える。

t p ( q . x )   = 

tpl 

( q )

'P

2 ( X )   ω8) 

この場合、系の二つの部分はそれぞれが独立で、あって、

Department ofArchitecture, SchoolofEngineering  Kinki University 

Japan Coast GuardAcademy 

(2)

互いに相互作用していない。故にこれ等の二つの部分 はそれぞれがそれだけで完全に記述される事が出来る。

そして今後も両部分に相互作用が無い限り、それ以後 の時刻にも(98)式の関係は保たれる。故に

l.f'

( q

x

t )  

= l.f'

¥ ( q

t ) 叱 ( x

t )

(9

ω 

である。もちろん、閉じた大きな孤立系の全体の状態 はこの形 l.f'

( q

x )

で完全に記述される。

次に、考察している系(部分系)が外部世界と相互 作用している場合を考えよう。もちろんこの場合、考 察している系(部分系)と外界とをたし合わせたもの が真に孤立した閉じた系となる。閉じた大きな系(全 世界)の全体としての波動関数 T は考察下の系(部分 系)の座標の組xと外部世界の座標の組qの両方に依 存する。故にそれは l.f'

( q

x )

である。一般的に言えば、

相互作用している二つの系においては、その閉じた大 きな孤立系の状態を完全に記述する全体としての波動 関数 V

x )

は存在する。全系は純粋状態である。しか し、 l.f'

( q

x )

はその系の各部分の状態を完全には決定し ない。部分系は固有の波動関数を持たない。部分系は 混合状態である。即ち、我々は部分系に対して一つの 状態関数向か)を指定できる立場には無い。故に、相 互作用の有る場合、 l.f'

{ q

x )

qだけの関数'I'

) { q )

x だけの関数l.f'2か)の積に分解される事は無い。

部分系が外界と相互作用するその仕方には次の三つ の場合が考えられる。

一つは、その部分系は正確に言えば孤立系では無い けれども、近似的にほとんど孤立系である場合である。

即ち、その部分系は外界との相互作用がある。外界と 相互作用している事が統計力学の数学的取り扱いでは 重要である。しかし、その相互作用は大変弱く、部分 系はそのエネノレギーが近似的に一定値Eの巨視的系 を構成している。こうして、この部分系は系中の粒子 数がN、体積がY、エネノレギーがEとE+d. (d.(E)  の間にある系となる。との部分系は考察する上では、

(N,V,E)の値が指定された孤立体系と看倣される。こ の様な体系の集まりは小正準集団(ミクロカノニカノレ アンサンプ、ノレ)を構成する。

二つ目は考察している部分系が、外界を温度 Tの熱 浴と看倣して、その外界である熱浴と熱平衡にある場 合である。この場合、系は外界との間で熱エネノレギー のやり取りを行い、系は平均温度 Tの周りで熱的に揺 らいでいる。しかし、系の粒子数N、体積V、平均温 度 Tは一定であり、系の粒子数、即ち物質の量が一定 に保たれているので系は閉じている。こうしてこの部 分系が取るエネルギー Eは近似的にのみ恒量となる。

この様に温度Tの熱浴と熱平衡にある閉じた系の熱 力学的状態は

( N

V

T )

で指定される。そして、この様

なそれぞれが温度Tの熱浴に接している体系の集ま りは正準集団(カノニカノレアンサンブ、ル)を構成する。

正準集団の場合、集団を構成するM個

(M

→∞)の 系の個々の系の取る固有状態(力学的状態 jは一般 に異なっている。こうして、集団中で/番目の固有状 態、或いは系のエネノレギー状態 EJが出現する確率乃 は幾らかと言う概念が成立する。これが正準集団にお ける或る物理観測量の集団平均を計算するのに必要な 概念である。

三つ目は考察している部分系が温度 T、化学ポテン シヤノレ(粒子一個あたりのギプスの自由エネルギー) μの外界と熱平衡にあり、系は外界と熱エネルギーの やり取りをするばかりでなく、外界を粒子源として、

系と外界との間で粒子のやり取りが行われる場合であ る。そして、粒子(物質)が外界から系へ入って来た り、出て行ったりするこの聞いた系(部分系)の化学 ポテンシャル(粒子一個当たりのギプスの自由エネル ギー)は粒子源としての外界の化学ポテンシヤノレ(粒 子一個当たりのギブスの自由エネノレギー)と等しい場 合である。この場合、系は平均温度 Tの周りで熱的に 揺らいでいるだけでなく、粒子数も平均粒子数Nの周 りで揺らいでいる。この様に一定の温度 T、化学ポテ ンシヤノレμを持った外界と接触している体積Y、平均 粒子数N の開いた部分系の熱力学的状態はい,V

T)で 指定される。そして、この様な体系の集まりは大正準 集団(グランドカノニカノレアンサンプル)を構成する。

大正準集団の場合、集団を構成する M 個 ( M→∞) の体系の個々の体系は一般的に異なる粒子数を持ち、

又その固有状態も異なっている。故に、大正準集団に おける或る物理観測量の集団平均を求めるためには、

体系が粒子数N で且つ量子状態j( 固有状態 EN

J

) に

見出される確率九Jは幾らかと言う概念が必要となる。

A { x )

を考察している部分系の或る物理観測量に対 応する量子力学的な演算子であるとしよう。 xは部分 系の座標の組を表わしている。部分系は座標の組 qで 記述される外部世界(外界)と相互作用しているもの とする。部分系と外界とをたし合わせたものが真に孤 立した閉じた系を構成している。この明瞭な境界条件 を持つ閉じた系は純粋状態であり、一つの全波動関数 を持つ。この全波動関数を l.f'

( q

x )

と書く。

量子力学に従えば、物理観測量 dか)の多数回の測定 結果の平均値(期待値)は次式による計算で与えられ る。

(3)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題(4)一

( A )  

f J ' f ' * ( q

x ) A か ) ' f ' 句

x )

命匂 (100)  期待値

( A )

は正確に言えば、時間tの関数である。し かし、我々が実際に実験室で物理量Aか)を測定すると きには、我々はその物理量の瞬間的値を測定している のでは無くて、注目している部分系のその物理量の時 間平均を測定しているのである。

例えば、容器に入った気体の圧力を例に取って考え てみよう。気体の示す圧力はそれを構成する多数の気 体分子が容器の壁に衝突する際の、単位時間に壁の単 位面積当たりに及ぼす分子共の運動量の変化の総和で ある。この圧力の大きさは時間の関数として激しく変 動している。分子共の衝突時間や分子運動の周期に比 較して十分長い時間に渡つての平均(長時間平均)が、

我々が観測する気体の圧力である。

外界 気相

( a )  T  座標q

"

N,V,T  座標x

t

夜相 部分系;(閉じた系)

( a ) 

T  座標q

外界 気相

図1

16 

ギプスが提唱した統計力学の基本仮定(公理)によ れば、巨視的に見れば同じで、一定の状態を示してい るが、微視的に見れば異なる状態に在る、同一構造の 多数の系(その個数M→∞)の集まり(統計集団) を考え、この統計集団の中から任意の一つの系を取り 出したとき、その一個の系に関する長時間平均が、或 る特定の時刻に作られたその統計集団に就いての、そ の物理量の集団平均で置き換える事が出来る。そして、

この集団平均の値は熱平衡状態においては、取り出し た系とその統計集団が作られた時刻に依存しない。

故に、外部世界と相互作用して熱平衡に有る部分系

の 或 る 物 理 観 測 量Aか)の巨視的な観測値

( A )

仰 は

A (

ωx

吟)の集団平均(ensembleaverage) 

μ ( A ) o 酎 …

P

外 界 気相 ga(T

p)

= μ 。

(化学ポテンシヤノレ) (b)  μ,T  座標q

1

1自由開放面粒子のやり取りがある。

μ,V

T座標x 液相 gL(T

p)

f‑lL  (化学ポテンシヤノレ)

i部分系(開いた系)

熱 平 衡 で は ん

= μ ! L l 叩)

外 界 i座標ql

︑ ︐ e ' '

' o  

z︐ ︐

被相 P,μt"V,T 座標x

自由開放面 粒子のやり取りがある。

P,μb,T 

部分系(開いた系)

熱 平 衡 で は 向

= μ

.1

( = μ )

、単位質量当たりの気体│液体の (化学ポテンシヤノレ)

Jギブスの自由エネノレギー

(4)

心像を明らかにする為に一つの例を示そう。図1は 断熱壁で固まれた容器の中に入った純粋物質の液相と 気相から成る一成分二相系の閉じた孤立体系である。

液相(liquidphase)を座標の組xを持つ部分系とし、

気相(gasphase)を座標の組qを持つ外部世界で、ある と考える。図1(a)では部分系と外界との境が透熱壁で 隔てられており、部分系は温度 Tの外部世界と熱平衡 にある閉じた系と成っていて、部分系の熱力学的状態 は

( N

V

T )

で指定される。

他方、図1(b)では部分系と外界との境は自由解放面 となっており、境界面を通して部分系と外界との間で 物質粒子のやり取りが行われている。部分系は聞いた 系と成っており、部分系は化学ポテンシヤノレ(粒子一 個当たりのギブスの自由エネノレギー)がμ、温度 Tの 外部世界と熱平衡にある。部分系の熱力学的状態は

V

T )

で指定される。

物理観測量Aか)の平均値(期待値)を計算する(100) 式は純粋に量子力学の式である。しかし、我々が考察

している1023個もの粒子から成り、温度Tの外部世界 と熱平衡にあり、巨視的には或る一定の状態にある体 系(部分系)においては、その系の或る物理量Aか)の 測定値はその様な部分系の統計集団の集団平均を示す。

そして、その値は(100)式の平均値(期待値)に一致す ると考えてよい。故に我々は(100)式を次の様に書く。

( μ め A )

o

最初に純粋に量子カ学的に考察する。

A

か)は考えて いる部分系の変数共xにのみ作用するところの種々の 物理観測量を代表する或る物理量の対応する演算子で ある。そして、この部分系を含む真に閉じた孤立系の 全波動関数を

¥ f ' ( q

x )

とする。孤立系の考えている状態 の、その時刻における、その物理観測量の平均値(期 待値)は(100)式で与えられる。

(A) ~

f f ¥ f '

o

x μ か ) 甲 信

x )

dq [(100)式] (102)  (102)式の計算を進める。

= f J [ 神 ) ¥ f ' " ~μ)\f'(1ι孔pdq

(103) 

ここで、記法[...1‑可の意味は演算子 Aか)が変数xの みに作用した後にどをxで置き換える事を意味して いる。式の変形を続ける。

= f い 刈 ¥ f ' " ( q  

x ' )

lP

( q

L=x

d x  

f [ A ( x ) ρ ( x j ) i h s

但.し、ここでは

(104)  (105) 

ρ

( x

,x') 

=  J

lP" 

( q

x ' ) ¥ f ' ( q

, 

x } i

(106) 

と置いている。 (106)式では左右の式で変数x,x'の 並び順を逆にしてある。

p ( x

,x')を 系 の 密 度 行 列 (densi ty ma x)と言う。 ρ

( x

,x')はxを行

x '

を列の要 素とする無限次元の行列である。その定義式より、

p ( x

,x')=ρ" 

( x '

x )  

(107) 

は明らかである。転置共役行列(アジョイジト行列) が元の行列と等しいので、密度行列はエノレミート行列 である。エノレミート行列の対角要素は実数である。密 度行列(density matrix)の対角要素を書こう。

p ( x

x ) =  J ¥ f ' " ( q

x ) ¥ f ' ( q

x } i q 

(108) 

p ( x , x )

は部分系において、部分系の粒子をxと

x + d x

の聞に見出す確率密度を表わしている。(105)式は物理 観測量Aか)の平均値(期待値)で、あった。故に、

μ

かルかx'

) L

=xは物理観測量Aか)を観測したときの

色々な値を得る確率密度に比例する量である。又、

μ

ャルかx'

'=xdxは系の物理観測量がAか)なる値を取

る確率に比例する量である。

(105)式 の 結 果 よ り 、 密 度 行 列 (density matrix) 

p ( x

,x')が分かれば、それを用いて本質的に波 動関数を持たない混合状態にある部分系の任意の物理 観測量Aか)の平均値(期待値)を計算する事が出来る 事が分かる。 (106)式によれば dqに渡る積分が実行さ れているので、密度行列は外界の座標共qを含まず、

部分系の座標共x. x'のみを含む。しかし、その定義 式から分かる様に本質では閉じた系全体(全世界)の 状態

v 仏 x )

に依存している。全世界の粒子の初期条件 及びその他の境界条件を完全に知り、それ等の粒子の 運動方程式を同時に解く事はもちろん出来ない。故に、

我々にはρ

( x

,x')を具体的にどうやって求めるかと言 う疑問は依然として残っている。

さて、もう一度基礎へ戻って考えて見ょう。

境界条件の明瞭な閉じた孤立系は時間の各瞬間にお いて、或る1つの明瞭な状態を持っており、その状態 は状態空間に張る 1個の状態ベクトル

I

lP)によって記 述されている。状態ベクトルは状態空間中でのその方 向が物理的意味を持つのであり、その大きさは意味を 持たない。我々は状態ベクトル

I

lP)を1に規格化して 置く事にする。

(lP

l

lP) = 1  (109)  今、我々はこの大きな閉じた孤立系の中の部分系を考

(5)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題 (4)‑ 163 

察するために、この閉じた系を部分系とそれを取り巻 く閉じた系の残りの部分(外部世界,外界)との2つ の部分に分けて考える。

考察下の部分系の座標の組をx、部分系に属する或 る物理観測量(力学変数)の対応する演算子共を

A ( x )

とする。以前は付けなかったがここでは演算子には山 型の記号《を付けて置く。又、閉じた系の残りの部分の 座標の組を q、それに属する或る物理観測量(力学変 数)の対応する演算子共を

3 i ( q )

とする。演算子えか)と

8

句)とは互いに交換するものとする。もちろん、部分 系と外部世界とは互いに相互作用しており、部分系と 外部世界とを合わせたものが真に孤立した系(全世界) を構成している。全世界に所属する一般の或る物理観 測量(力学変数)の対応する演算子共

e ( x

q )

は両力学 変数を合わせたものの関数として表わされる。

e ( x

q ) : :   e 刷物)}

(110) 

次に、第2の力学系である部分系のみから成る孤立 力学系を考える。この力学系の或る物理観測量(力学 変数)の対応する演算子共は

A

か)のみである。更に又、

第3の力学系である外界のみから成る孤立力学系を考 える。この力学系の或る物理観測量(力学変数)の対 応する演算子共は

3 i ( q )

のみである。

孤立部分系のケットベクトル

I x ' )

は物理観測量(力 学変数)演算子去の固有ベクトノレである。

I x ' )

=ピ

I x ' )

︐ ︐ ︐ ︑ EA ' A Br

(111)式をもう少し詳しく書けば、Sを部分系の粒子数 とLて

正=まl23・・・まs (112)  x' =x~玄~X~ … X~ (113) 

( x l x ' )

叩 ど

( x )

三向心(x1'X2,・・,玄

s )

At  

E a

EA

' k

PO

S H

 

M  

一 一

である。

次に、孤立外界のケットベクト川

q ' )

は物理観測量

(力学変数)演算子

d

の固有ベクトノレである。

q l

  q ' )  

q ' l  q ' )  

(115) 

(115)式をもう少し詳しく書けば、 tを外界の粒子数と して、

q = ゐ

lq2q3

… 弘

(116) q' = q~q~q~.. .q~ (117) 

( q l q ド η ( q )

V州 叫(ql,q2',q・ ,)

  r r o ( q j   -q~)

(118) 

である。

次に、 2個のケットベクトノレの積

I x ) l q )

を考える。

次式が成立している。

わ ) I q )

x ' l x ) l q )   q l x ) l q )   =  q ' l x ) l q )  

(119)  (120)  ゆえに、ケットベクトノレの積

I x ) 1  q )

は物理観測量(力 学変数)の対応する演算子去と

d

の同時固有ベクトノレ であり、部分系と外部世界とを合わせた真に孤立した 全世界のケットベクトノレでもある。我々は

I x ) l q )  = l q ) l x )   =  I x

q )  

(121) 

と書く。 (114)式と(118)式とから、

( x

q l x '

q ' )  

=

O(XI

-x~)白ô(qj -q~)

(122) 

である。(121)式と(122)式を少しばかり詳しく表示し てみよう。 (121)式は次のようである。

IXl玄υ, …,XS)lql,qυ…,q,)= Iql,q2'・‑・,q,

1 )

玄l'ら・.,Xs)

=IXlX22"九.一.

(12幻)式は次のようでで、ある。2

(X

l

, X

2

,・", X

S

, ql , q2'・・・, q, lx~品" .,x~ , q~ , q~,・・・, q~)

= 白

O(XI

-x~)白δ(qj ‑ q J

座標

x ( =

玄l'X2,,,,XS)' Q(=ql,q2'…,q,)は連続変数で、あ るので、 (122)式又は(124)式より

日 I x

q ) d x d q ( x

q l x '

q ' )  

(6)

=日日!日

δ(Xj ‑

X~)t! a ( q j  ‑ q~)

=|x;Ar ・,x~ , q; , q;,…, q~)

= I x '

q ' )  

(125) 

である。ゆえに、

f f l x

q ) d x d q ( x

q l   = 

(126)  となる。或いは、それをもう少し詳しく書くと、

S f ‑ . .   f f I

Xt

X2

, . . ,

XS'

ql)

喜 久 宮 内

J

( x

t

x

2,…みqt,q2'・.,qll=1  (127)  である。この式は基礎ケット

I x

q )

の完備性と言われる ものである。

全世界の状態を表わす状態ベクトノレ

I

¥{J)の表現(代 表)を得るために、基礎ブラ

( x

q l

を基底に取った表示 を採用しょう。

( x

q l

¥{J) =¥{J

( x

q )  

(128) 

ゆえに、

H (

¥{J

l x

q ) d x d q ( x

q l

¥{J) 

H

¥{J

* ( x

q ) P ( x

q ) d x d q  = 

1  (131) 

f f

¥{J

. ( x

q )

¥{J

( x

q } d x d q  

= 1  (132)  を得る。これは状態関数の規格化条件である。

状態空間中に 2個の状態ベクト川¥{J)と

│ φ )

を考え

る。任意の状態ベクト川

φ )

の状態ベクトノレ

I

¥{J)への 斜影ベクトル(projection)は

¥{J)(

φ )

で与えられる。ゆえに、演算子

れ) = I

¥{J)(¥{J

(133) 

(134) 

は斜影演算子(projectionoperator)と呼ばれる。

l

i

'i')2 

= I

¥{J)(¥{J

I

¥{J)(¥{J

I  = I

¥{J)(¥{J

=1I'i')  (135) 

ゆえに、それは

R..I.'i')  ‑=R "'I'i')  (136)  の性質を持つ。基礎ケットベクトル

I x

q )

を基底に取っ

¥{J

( x

q )

は状態ベクトル

I

¥{J)に対応する状態関数であ たときの、斜影演算子(projectionoperator)恥 の 行

る。 列表現を求めて置こう。

次に、上の表示の基底プラ

( x

q l

に共役虚な基礎ケッ

( x

q l l i

'i'

) l x '

q ' )  

( x

q l

¥{J)(qJ

l x '

q ' )  

トベクトル

I x

q )

を基底に取って、状態ベクトノレ│叫に 共役虚なプラベクトル(叫の表現(代表)を得ょう。

(¥{J

l x

q )  

(129) 

である。

(¥{J

l x

q )  =  ( x

q l  

¥{J) 

qJ

. ( x

q )  

(130) 

(129)式の真ん中の式の上付きのーと右辺の式の*印 は共役複素数を取る事を意味している。

次に、(126)式もしくは(127)式の完備性を(109)式の 規格化条件へ適用しよう。

(叫¥{J)

(qJ

l f f l   x

q )

d q ( x

q l l

¥{J)

= qJ

( x

q )

qJ

. ( x '

q ' )  

(137)  となる。

x

q

及び

x '

q '

は演算子元

q

の連続固有値で あるので、行列表現と言い、(137)式に対してはそれを 斜影演算子不,)の行列表示のx,q行、 x',q'列成分と言 う言葉を使うとしても、それは普通の行列のように 2 次元に並べて記述できる訳ではない。それは普通の行 列の持つ一般的性質(ディラック参照)を具備すると 言う意味で行列なのである。

系が状態ベクトノレ

I

¥{J)で指定される状態に在るとき、

その系の或る物理観測量(力学変数)

A

の対応する演 算子を

A

とすれば、 Aの測定を多数回行ったとき得ら

(7)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題(4)一 165 

れる総ての測定結果の平均値(期待値とも言う。 )

( A )  

( A )  

( ¥ { i I A I

¥fl)  (138)  である。但し、 1¥fl)は規格化されているものとする。

(138)式へ基礎ケットベクトノレ

I x

q )

の完備性を表わ す式の(126)式もしくは(127)式を適用しよう。次のよ

うになる。

( A )  

= (¥fl

I A I  

¥fl) 

= (¥fl 

1  t r f l   x '

q ' ) d

x'

d q ' (

x',

q ' l } A   t r f

い,似

d q ( x

q l l

¥fl) 

H  H 

(¥fl

l x '

q ' ) (

x',

q ' I A l x

q ) ( X

q l

¥fl)ゐ 可 制q

= H H

¥flヤ,

q 怜刈 A I x

q )

¥fl

( x

q )

' d q ' d x d q

H  H

¥fl* (X', 

q ' ) A ( x '

, 

q ' ; x

, 

q )

¥fl

( x

, 

q )

' d q ' d x d q

(140) 

H  H

¥fl

( X

q

}P*(x'

q 初 ( x '

q ' ; x

q )

' d q ' d x d q

(141)  但し、我々はここで、

A ( x '

q ' ; x

q ) = =  ( X '

q ' I A l x

q )  

(142) 

と置いている。

A ( x '

q ' ; x

q )

は基礎ケットベクトノレ

I x

q )

を基底に取ったときの演算子

A

の行列表示の ど,q'行x,q列成分である。

(138)式中の演算子

A

は部分系と外部世界とを合わ せたところの全世界に所属する一般的な或る物理観測

x

, 

q )   = 

X ) I   q )   = 

q ) 1  x )  

(121)式] (144) 

で、あった。

え ( x ) x

q )

=lq)Â{X~X) (x',

q ' I A { x )  

( q 怜廿(x)

であるので、 (142)式は次の様になる。

A { x '

q ' ; x

q )  

== 

( X '

q ' I A ( x ) X

q )  

=  ( X ' I A ( X ) X ) ( q ' l q )  

=  ( x ' I A

{x

) X ) o ( q '  ‑ q )  

=  A ( x '

x ) o ( q '  ‑ q )  

但し、我々はここで、

A{x',x) 冨 (x'IÂ(x~x)

(145)  (146) 

(147)  (148) 

(149)  と置いている。

A ( x '

x )

は(110)式の直ぐ下で第 2の力 学系として導入した孤立部分系のケツトベクトル

I x )

を基底として表示した部分系の演算子えか)の行列表 示のど行x列成分である。

我々が、今、注目する部分系の変数の組xにのみ作 用するところの物理観測量(力学変数)

A

の平均値(期 待値)を求めるには、 (148)式を(141)式へ代入して計 算を続ければ良い。次のように続く。

( A )   =  H  H

¥fl

( X

q )

¥fl*(x'

q ' ) A ( x '

x ) o { q '  ‑q ) ぬ可 d x d q

H  f

¥fl

( X

q )

¥fl*{x'

q

)A(x'

x } d x ' d x d q  

=  f f   A ( x '

x ) 付 ( x '

)¥fl

( x

, 

q ) d q )

' d x

=

日 A { x '

ゆ か

x ' )

命ゐ'

(150)  (151)  量(力学変数) Aの対応する演算子を表わしていた。 但し、我々はここで、

ゆえに、それは

A ( x

q )

と一般的に書けるものである。

次に我々は、或る物理観測量(力学変数)Aが閉じ た真に孤立した全世界の中の注目する部分系にのみ所 属する場合を考察する。このとき、

A  =  A ( x )  

(143)  である。 xは部分系の座標の組を表わしている。(1

2

1) 式より、

ρ

( x

x ' ) = =   f

¥fl* {x',

q )

¥fl

( X

, 

q ) d

q  [(106)式] (152)  と置いている。

p ( x

,x')は既に以前の(106)式で導入済 み の 量 で あ り 、 そ れ は 部 分 系 の 密 度 行 列(density matrix)と言われるものである。

p ( x

,x')は外界の変数 の組qに渡って積分を取っているので、座標の組qを 含まず、部分系の座標の組x,x'のみを含む。しかし、

それは全系の波動関数 ¥fl

{ x

q )

を用いて定義されてい るので、本質においては系全体(全世界)の状態に依 存している量である。

(8)

(149)式, (151)式を眺めれば分かるように、部分系 の物理観測量(力学変数)Aは、そして、その対応す る演算子

A { x )

は、ここでは、孤立部分系の基礎ケット ベクトノレ

/ x )

を基底にとって表示した 1個の行列表示

A { x '

x )

で表わされている。

(151)式は更に次のように続く。

( A )  

=

A { x ' x ル か , x 加改'

=  J [ A p l . . / i x '  

=  T r [ A p ]  

(153)  (154) 

[ A p L . . x '

は行列

A=A{x'

,ゆと

p

p { x

x ' )

の乗算の標準 的規則で得られた積行列

Ap

の対角成分

x '

x '

列であ り、

T r [ A p ]

はその積行列の跡(trace,対角成分の和) である。

既に、 (107)式の所で説明したように、密度行列 (densi ty matrix)の 定 義 式 [(106)式](152)式より、

密度行列の転置共役行列は元の密度行列に等しく、

p ( x

,x')

=  p * ( x '

x )  

[ (107)式] (155)  であるので、密度行列(density matrix)はエノレミート 行列である。又、密度行歩旬か,x')の跡(trace,対角和) は1である。それは(152)式と(132)式とより証明され る。

D

レ ] = J  p ( x

x

=  J J

'f'

* { x

q )

'f'

{ x

q ) d qdx= 

1  (156)  ところで、元の行列Uのエルミート共役行列(転置 共役行列、アジョイント行列)

u +

が、元の行列 Uの 逆行列

u ‑

1に等しいとき、即ち、

u +  

U‑ (157)  のとき、元の行列をユニタリー行列(unitary matrix) 

と言う。

U+U=1)  UU'=1 (158)  である。

エルミート行列Aとは、行列Aのエルミート共役行 列(転置共役行列、アジョイント行列)A+が自分自 身と等しいような行列である。

A+ 

A  (159)  ヱノレミート行列

A

をユニタリ一行列

U

で、

行列の跡(trace)は任意の他の表示へのユニタリ一 変換の下では不変である。

(154)式の部分系の物理観測量(力学変数)

A

の対 応する演算子

A

か)の行列表現

A { x '

x )

はエルミート行 列である。又、密度行列

p { x

,x')もエノレミート行列であ る。ゆえに、 (154)式の行列Aとpを、或いは、積行 列

Ap

を、我々の最も都合の良い表示へとユニタリ一 変換したとしても(154)式はいまだに真である。

(108)式で既に説明したように、密度行ヂ旬

( x

,x')の 対角成分

p { x

x )  

f

'f'

* ( q

x )

'f'

( q

x ) d

S I

'f'

( q

x f 々

[(108)式] (161)  (162)  は、全世界の座標q,xの内、考察している部分系の座 標x以外の他の総ての付随的変数qに渡って平均した 後の、 xの場所での部分系の粒子を見出す確率密度を 与えている。これは通常のボルン解釈によるものであ る。

ここで、我々は少々話を前へ戻して、 (138)式と (97) 式との関係を議論して置こう。

( A )  = 

('f'

I A I  

'f')  [(138)式] (163) 

( A )  

'f'*か凶か)'f'

( x ) d x [ 

(97)式] (164)  閉じた孤立系が状態ベクトル

I

'f')で指定される状態に 在るとき、その系の或る物理観測量(力学変数) Aの 対応する演算子を A とすれば、 Aの測定を多数回行っ たとき得られる総ての測定結果の平均値(期待値とも 言う。)

( A )

( A )  

= ('f'

I A I  

'f')  [(138)式、 (163)式] (165)  である。但し、

I

'f')は規格化されているものとする。

ディラック (Dirac)は上述の一般的仮定を置く事によ って理論を物理的に解釈する基礎を与えた。ここでは、

xを閉じた全系の座標の組を表わすものとしておく。

(126)式又は(127)式より、

S l x ) d x ( x l  

(166) 

UAU‑= A'  (160)  が成立している。 (166)式を(165)式へ適用しよう。次 の様に変換(ユニタリ一変換)したとき得られる行列 の様に成る。

A '

は再びエノレミート行列である。

(9)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題(4)一 167 

( A )  = 

(¥f'

I A I

¥f')  [ (138)式、 (163)式、(165)式]

~

(¥f'

f か l i

x

材(令

x l ド │ ド A f l 川 ド x

ピ吟,う)

M

,て(令

x

ど巾,

=日(¥f'1

x ) ( x I A I  

x'

) ( x ' l  

¥f')政改'

=日¥f'.か

X x I A I

x')¥f'(ど)ゐゐ'

J J

¥f'

. ( x ) A ( x ; x ' )

¥f'

( x ' )

批'd

x '

但.し、ここで、

A ( x ;

x')

=  ( x I A l x ' )  

(167)  (168) 

(169)  と置いている。

A ( x

メ)は基礎ケットベクトノレ

I x ' )

を基 底に取ったときの演算子

A

の行列表示のx行x'列成 分である。

去│ど)= 

x ' l x ' )  

(ピ│去 =

( x ' l

x' 

[(111)式] (170)  (171) 

であった。ここで、もしも、(167)式中のい怖いうが

( x I A l x ' )   = え ( x X x l ど )

A ( x ) 8 か ‑ x , )

(172) 

であるならば、 (167)式、(168)式は次の様に続く。

( A )  

= (¥f'

I A I  

¥f')  [(138)式、 (163)式、(165)式]

J J

¥f'

‑ ( x X x I A I

x')¥f'(x')

d x '

[(167)式]

J J

¥f'‑か

μ

かめ

I

x')¥f'ヤ

} d x d x '

=  J J

¥f'

‑ ( x )

えか知か‑x')¥f' (x')ゐゐ'

f  \f'-か)Âか)~か)dx

[(97)式] (173) 

こうして、 (138)式[163]式]と(97)式[(164)式]との関 係が明らかになった。

シッフ(Schiff)の量子力学第3版より例を幾つか拾 って置こう。運動量演算子九に就いては、

(xiW)=46 か寸

位置の演算子去に就いては、

( x l x l x ' )  

x

δ

か ‑ x ' )

(174) 

(175) 

一次元調和振動子のハミノレトニアン演算子に就いては、

hd̲1  .¥ 

( x I H l x ' )   =  ‑ ; m  

~2

o ( x

ーど

) + E K X 2 5 ( x x ' )

(176) 

である。

もう一度始めに返って見ると、我々は最初、境界条 件の明瞭な閉じた孤立系を念頭に置いた。この系は純 粋状態で、あって、時間の各瞬間において1つの明瞭な 状態ベクトル

I

¥f')を持っている。次に、我々はこの大 きな閉じた孤立系の中の部分系を考察するために、こ の閉じた系を部分系とそれを取り巻く閉じた系の残り の部分(外部世界、外界)との 2つの部分に分けて考 える。部分系の座標の組をx、外界の座標の組を qと する。部分系と外界とはもちろん相互作用している。

部分系と外界はそれぞれが混合状態であってそれ等は 明瞭な状態ベクトルを有しない。

次に、我々は第2の力学系である部分系のみを取り 出した関じた孤立系を思い浮かべる。閉じた孤立系で あるからもちろんこの系は純粋状態であって1つの状 態ベクトノレを持っている。この閉じた孤立部分系の任 意の或る物理観測量(力学変数)Aの固有ベクトノレの 完全系の組を│りとする。

A I κ) 

4 . 1

V/

n )  

(177) 

次に、第3の力学系として外界のみを取り出した閉 じた孤立系を思い浮かべる。閉じた孤立系であるので もちろんそれは純粋状態であり、 1つの状態ベクトル を持っている。この系(外界)の或る物理観測量(力 学変数)企の固有ベクトノレの完全系の組を│引とする。

B

I

) = B │ μ 凡 )

│りと│仇)の規格直交性より、

(V/

m  I 

V/

n )  

= o

m n  

( ψ

μ 同 ) =

v

である。これは

f l x ) d x ( x l  = 

J

l q ) d q ( q l  

= 1  の関係、を利用すると、

(178) 

(179)  (180) 

(181)  (182) 

(10)

(V'

m l f l x ) 命 令 1 1 れ) =  f (

V'

m l x ) ( x l

V'

n ) d x  

V'

: ( X } P

n

か)ゐ=ル

(183) 

( 叫 f I q ) d q ( q 1 1 仇 )

f ( ι I q ) ( q l り d q

=  f 

<P;

旬以句) d

q=

ι

(184)

でもある。

ケットベクトル│りと│仇)を、それぞれの系のブラ ベクトノレの完全な組である基礎プラベクト川

x l

( q l

を表示に選んで表現する(代表を作り上げる)と、

xとqは連続的に変化し、それぞれ、

である。

( x l

V'

m )   =

( x ) ( q l  

<p

p )  

<p

p ( q )  

(185)  (186) 

(177)式と(178)式より、 2個のケットベクトノレの積

│れ1)引に就いて、

A I  

V'

m ) 1

仇)

=  A m l  

V'

m ) 1 丸 )

(187) 

.

8

1

1 )

仇)

=  B p l

V'

m ) 1

仇) (188) 

A E I

V'

m ) l

<P

p )   =  A m B p l

V'

m ) 1

仇) (189) 

.

8 A !

V'

m ) 1

仇)

=  A m B p l  

V'

m ) 1 め )

(190) 

である。演算子

A

8

は可換である。 (187)式と(188) 式から分かる様に、又は演算子の可換性より、ケット ベクトノレの積

l

V'

m ) 1

引 は 演 算 子

A

8

の同時固有ベ クトノレである。又、積│れ

1 )

引は部分系と外部世界と を合わせた真に孤立した全世界のケットベクトルで、も ある。我々は

l

V'

m ) 1 ι )  = 1 同 I

V'

m )   =  1 

V'

m '

cp'

μ )  

(191) 

と書く。

さて、今、我々は閉じた孤立系(全世界)の状態ケ ツトベクト川ll')をケツトlV'

m )

と│引を基底ケツト

に取って 2重級数として展開して書く。

I  ¥ ! ' )   = ヱ ヱ ル

lV'mcp'μ ( 1 9 2 )

(119)式、(120)式、(121)式を参照しながら、基礎プラ (x, qト•

( x l ( q l

を基底に取った表示で(192)式を表現す る (x

q表示で書く)と、

( x

q l ¥ ! ' )  =  2 : L a m p( x

q l

V'

m

cp'

μ )  

L 2 :

a

m μ

( x l ( q l l  

V'

m ) 1  

,pc

μ )  

=LLa

mμ

( x l

V'"

) ( q l

<p

p )  

(193) 

2 : 2 :

a

m p

V'

m ( x )

( q )

(194) 

m μ  

こうして、状態関数

¥ ! ' ( x , q )

=

エ エ ル れ ( x } < P p ( q )

(195) 

m μ  

を得る。

状態ケットベクトル(192)式に対応するプラベクト ノレは、

( ¥ } ' I  

LL μ( ; α

V'm,<P (196)  である。

: a

p

a

mμの共役複素数である。再びここで、

(119)式、 (120)式、 (121)式を参照しながら、基礎ケッ ト

I x

q ) =  I x ) l q )

を基底に取った表示で、(195)式を表現 してみよう。

(ll'

l x

q )  

LL μ( ; α

V'

m

,<P

p l  x

q )  

m μ  

こうして、

2 : L a :

μ(V'

m l (

I l x ) l q )

= L L a : .

μ(V'

m l x ) 仇 I q )

=LL

α

V':

) < P ; ( q )

m μ  

ll'

* ( x , q )

LL : a : .

μ

( x } < P ; ( q )

m μ  

を得る。

(197)  (198) 

(199) 

状態ケットベクトル

I ¥ } ' )

の規格化条件(109)式へ (192)式と(196)式を用いて、(179)式、 (180)式、 (191) 式等を適用すると、

2 : : 2 : l a m p I

1  (200) 

m μ  

(11)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題(4) 169 

を得る。

(134)式の斜影演算子(projectionoperator)

'1')は (192)式と(196)式を用いると次の様に成る。

れ)

'1')('1' 

= エ エ ル I

If/m'ψμ

) L L a ; v (

lf/

m

lP

m μ  

= ヱ エ ル I

lf/

m ) 1 ι ) L L a ; v ( κ I (

仇│

=LLL ヱ

α

m p a :v 

If/

m ) (  

If/

~

lP

p ) (

} I

(201)  (105)式に現れ、(106)式で定義されるところの、そ して又、 (151)式に現れ、(152)式で定義されるところ の、部分系の密度行列(density matrix)ρ

( x

,x')は、純 粋状態で波動関数を持つ或る真に孤立した全世界の中 の、本質的に波動関数を持たない混合状態にある或る 部分系の任意の物理観測量(力学変数)の平均値(期 待値とも言う。)を計算するときに(105)式又は(151) 式の形で使われるもので、ある。即ち、部分系の密度行 列(density matrix)ρ

( x

,x')が分かれば、部分系の任意 の物理観測量(力学変数)の平均値が求められるので ある。 ρ(x,x')の展開式は次のようである。

p ( x

,x')= 

j

'l'

* ( x '

q )

'I'

( x

q ) d q 

[(106)式, (152)式]

=  j (

'I'

l x '

q ) ( X

q l

'l'

) d q  

(202) 

=LL

α

: v  

(lf/

1ど)(仇

I q ) L L a m

μ

( x l

lf/

m ) (q l

lP

p  ) d q  

[ (193)式と(197)式を使用した。]

=LLLL α ;

( x l

lf/

m ) (

If/

n  I  x

,) 

(仇

I q ) ( q l

lP

p ) d q

=  LLLLa:va

Ill

P ( x l

lf/

m ) (

I x ' ) (

I S l q ) d q ( q l l

=  LLLLa:va m

μ

( x l

lf/

m ) (

I x ' ) (

lP

v  I

[何故ならば、

S l q ) d q ( q l

= 1だからである。]

=  L L L L a : v a m p ( x l

lf/

m ) ( κ I x ' ) O   p v

m  n μ v  

=~~(苧;ん}XIVF.)(VF,Iど)

(203) 

= い │

(204) 

ここで、

と置こう。

P m n  

== 

L a m p a ;

μ  μ 

(205) 

注意 ここで、(58)式をも参照して置くと良い。(58) 式は量子力学系の最も一般的な状態である混合状態を 表わす密度行列(8)式に関わるものであり叫によって 統計力学が考慮、されている。

部分系の密度行列(density matrix) 

p ( x

,X')の要素 ρ

m n

の値は、 (192)式で閉じた孤立系(全世界)の状態 ケットベクトノレ1'1')を 2重級数として展開して記した ときの、基底ケットベクト刈 If/m'rp

μ )

I

lf/

m ) 1

りの選ひ、

方で異なる値を持つ。│れ)と│引はそれぞれ(問式 と(178)式で定義されるものである。

(203)式より、我々は

p ( x

x

,)= 

L L

P.刷れ

( x ) v F ; ( x

,)

=  L L

lf/

m ( x ) p

糊ば ( x

,) を得る。又、 (204)式より、

バ ザ ) = ( x l { 界ル

IVF

.)(VF.I~x')

=(xl{~努羽手 p|W仇ω 仰 'm)Pμ山 p

( x I T l x ' )  

f

尋る。イ旦し、 ここで、

ふ = LLl

lf/

m ) P m n (

lf/

n l  

(206)  (207) 

(208) 

(209) 

(210)  なる演算子を導入している。[(59)式も参照せよ。]

演 算 子

b

は デ ィ ラ ッ ク (Dirac)の 密 度 演 算 子 (density operator)と呼ばれるものである。 (207)式 [ (206)式]と(210)式は類似した式形をしている。(210) 式は明らかに積分演算子である。 (207)式[(206)式]で

れか~;(x,) を積分演算子と読み替えて、関数If/'こ対し て、

If/

m ( X W ; ( x ' ) e

lf/ 

=

( x X J  

If/

: v d x ' )  

If/* 

e lf/m(x~;(.ど) =  q 

If/*lf/

m

dx

レ ; ( x

) 

(211) 

(212)  の様に演算するもの考えれば、 (207)式[(206)式]の

(12)

pか,x')は(210)式に類似した演算子となる。こうして、

(210)式はディラック (Dirac)表 示 で は 、 密 度 行 列 (densi ty  matrix)ρ

( x

,x')が 密 度 演 算 子 (density operator) 

p

となる事を示している。[(9)式の下の説 明も参照せよ。]

次に、上述のディラックの密度演算子ゑ[(210)式]

のもう 1つ別の表現を求めて置こう。初めに(178)式を 思い出して置く。ケットベクトノレの組│引は第3の閉 じた力学系として定義したところの外界系の或る物理 観測量(力学変数)

B

の固有ベクトノレの完全系で、あっ た。次に、(177)式を思い出して置く。この場合、ケッ トベクトノレの組│りは第2の閉じた力学系として定義 されたところの部分系の或る物理観測量(力学変数) dの固有ベクトノレの完全系である。我々は(192)式で 全世界の状態ケットベクトノレ

I

¥}')を│りと│引を用 いて2重級数として展開して表現した。(196)式はデュ アノレ空間における状態ケ、yトベクトノレ/¥}')(192)式に 対応するプラベクトル(叫の展開式である。 (201)式で 我々は斜影演算子(projectoperator)恥を(192)式

と(196)式を用いて表現した。

斜影演算子れ)の外界の固有ケットベクトル組│九) を基底に取ったときの行列要素の対角和を作る。

Ilf/m,qJ

p )  

I

1 )

引を基底に取ったのではない事に 注意せよ。)

芝(ι~~仇)=玄(ι1 ¥ } ' ) ( ¥ } '  1 仇 )

[(凶式参照]

=ヱ(仇|ヱエエヱamp.a;ル~)(

If/

I X  

qJ

p . ) (

I } ι )

[ (201)式を使用した。]

= ヱ エ ヱ ヱ 玄 a m

μ

. a : v ' {lf/m)(κ|仏|引い~.I札)

=  L L L L L a m p . a :

v' {lf/

m ) (

lf/

1 } >

}l}l'O

=~~(~α; 十 )(κ|

(213) 

= z p W v 仇 仰

m (214) 

L L l

lf/

m )

ρ (lf/

n I 

(215) 

[ (205)式を使用した。]

(215)式と(210)式を比較しよう。こうして、我々はデ ィラック(Dirac)の密度演算子(densityoperator) 

に対する、 (210)式とは異なる、もう 1つ別の表現を得 た。

p= ヱ(仇~収

(216) 

(205)式 の 下 で 述 べ た よ う に 、 (215)式 中 の ρmFZG

a ; p

の値は

I ¥ } ' )

を 2重級数として展開した

μ 

ときの基底ケットIlf/

m )

と!引の選び方で異なる値を 持つ。そして、それ等はそれぞれ(177)式と(178)式で 定義されたものであった。

(216)式の表現を得たところで、改めて(152)式 [ (106)式 ] で 定 義 し た 密 度 行 列 (density matrix)ρ

( x

,x')を考えてみよう。

p ( x

x )  

J

'l'*(

) ¥ } ' ( x

q ) d q

[(106) (152)式]

=  J  d q ( x

q l ¥ } ' ) ( ¥ } ' l x

( x l J   d q ( q l ¥ } ' ) ( ¥ } ' l q ) /

x')  (217) 

=  ( x l

β

I x ' )  

(209)式も参照] (218) 

但し、 (218)式中の密度演算子(density operator) 

p

J  d q ( q l ¥ } ' ) ( ¥ } ' l q )  

(219) 

であって、 (216)式中で、

(

μ

( q l

1

仇 ) = I q )  

(220) 

の場合に相当している。

(105)式に現れ、(106)式で定義されるところの、そ して又、(151)式に現れ、 (152)式で定義されるところ の、部分系の密度行列(der tymatrix)ρ

( x

,x')は、

(206)式 [(203)式, (207)式]に見られる通り、基底関 数系れか)とばか)により展開されている。或いは又、

それは(208)式 [(204)式]から見られる通り、基底ケッ トベクトノレの組│りと基底ブラベクトノレの組

( v / " f

に より展開されていると看倣される事も出来る。そして、

(13)

多体問題とグリーン関数との関係の研究ーグリーン関数と多体問題 (4)一 171 

それ等の展開の展開係数がρ刷である。我々はここで、

展開係数ρ刷の持つ性質をまとめて置く。

(205)式の定義より、無限次元の行列ρ =

い ' m n )

に就 いて、

付 ' n m ) ・ = ( ~anpa~μ) ヤベ

ヤ ル ) = い ' m n )= 

(221) 

である。転置共役行列(アジョイント行列、エルミー ト共役行列) p+が元の行列pに等しいので、行列 ρ=(ρ刷)は無限次元のエノレミート行列である。

又、 (205)式の定義より、

P :

=

ρmm

エルル μ μ   = L l a m p r

o

(222)  であるので、行列p =

( p

脚)の対角成分はE値 判 ) で ある。

(205)式の定義と(200)式とから、

L P m m = ヱ ヱ ル ペ μ = L L l a m μ 1

2

1  (223)  ゆえに

L P m m  

= 1  (224)  を得る。

(210)式をもう 1度書こうo

L L l v r m ) P m n ( v r n l  

(210)式] (225) 

演算子ゑはディラック(Dirac)の密度演算子(density  operator)と呼ばれるものであった。ケットベクトルの 組│りは第2の閉じた力学系として定義されたところ の部分系(座標の組x)の、或る物理観測量(力学変 数)Aの固有ベクトノレの完全系の組であった。

デ ィ ラ ッ ク (Dirac)の 密 度 演 算 子 (density operator) 

T

はエルミート演算子である。

証明は次のようである。

ケットベクトルの組10/)は上記の部分系(座標の組

x)の上述とは別の或る物理観測量(力学変数)A'の 固有ベクトルの完全系の組であるとする。

A 同 = . 4 ;

1

句 )

(226) 

又、(司│の組は対応するブラベクトノレの組で、ある。デ ィラック密度演算子

b

の行列表示は、基礎プラベクト ノレの組側と基礎ケツトベクトノレの組│りを用いて次 の様に書ける。なお、ここで、はディラックの密度演算 子β [(225)式]とその行列表示とは同じ文字ふで表 現されているので注意せよ。

ふ=仇

I T I O j ) )

注 行 列 表 示

= ( 何 │ 岡 山

セ 手 刷

他方、 (227)式の転置共役行列(アジョイント行列、エ ルミート共役行列)かは

ふ+仇 IÞI~r)

注 行 列 表 示

=((句|岡山(仇I~り)

= ( 界 ( O j

11 

v r m ) ル(州 J r

= ( 詩 作 ; "

O j  ) P n m ( O I I κ } J  

=(~~州凡.(vr.IOj)

= ( 似 { I 苓│叫ん

n

J }

司 ( ( I T I O j) )  

= P  

(228) 

こうして、転置共役行列戸が元の行列

b

に等しい事 が証明されデ、イラックの密度演算子のエノレミート性が 証明された。

t+ =ρ  (229)  (106)式、 (107)式、 (206)式、 (209)式を思い出そう。

(14)

p ( X , . r )

がエノレミート行列であるのは、上で、│司)

= l x

l)

, 

(

1

=  ( X j l

の特別の場合である。

確率保存則

T r ド 1 =L P m m  = 1  

(230) 

が成立している。

証明は次の様である。

ディラックの密度演算子

T

[(225)式]の行列表示 は(227)式であった。

ふ = 仇 I T l e

j)) 

=(お(司│叫ん(州))

[(227)式 ] 側

=  L L L L P m " . P m . ,,

' l / m ) (

'I/". I

' l /   ' m ) ( ' 1 / , ,

=  L L L L P m n ' P m " ん m . l ' l / m ) ( 仇 │

= ぉ ( ~>_'P.,.)vr.)(κ|

(235) 

ディラックの密度演算子の 2乗戸の行列表示は、基礎 ブラベクトノレ(司│と基礎ケットベクトル│りを用いて、

次の様に書ける。なお、

l e

j)の定義は包26)式である。

β

物 │ 針 。 j ) )  

注 行 列 表 示

ゆえに行列の対角和(跡 ト ー trace)は次の = 

[(O,I{~~( ~>_,p<. ) v r . ) (

I } I

1

( 別

様になる。 ¥  、 / 

T r [ t ]   = 玄 ( e l I T I 句 )

行列の対角成分は次の様である。

=LL L : ( 司 │ 叫 ん , , ( 則 的 )

=LLP

L ( 削り倒' l / m )

=  ~~p_(vr.l{抑制~vr.)

=  L L P m , , ( ' l / l n ' l / m )  

=LLP

d

m n

= 玄 P m m= 1  

(224)式] (232) 

次式が成り立っている。

T r [ p

] = ヱ エ I P m n l

2 (233) 

証明は次の様である

初めに、ディラックの密度演算子

b

の定義式を今一 度思い出して置く。

L : L :

I

' l / m ) P m ケ

(210)式] (234) 

この定義を使用すると

Y

は次のように計算される。

ゑ2 セ手|叫ん (vr<I}{~~lvr.,)ρ.'. ( v r .l } 

何 l t 2 l e   l )

( 似 倒 句 引 │ 慎(  手 P ‑ ' P . . )   仇ω )(μμ 州川 (ν仇州 v仇刈~I

=  ~~( ~>-'P.,.}司1 ' l / m ) ( 則的

=界( ~Po<P<.}仇|仰1 ' l / m )

行列の対角和(跡、トレース、trace)は次の様になる。

T r [ p

] = 乞 ( e

l

t l

2

1 弓 )

=界平(~p_'P.,. } v r .  

1

0 ) ( 0

v r . )  

~~(~Pm<P.,. } v r .l {) ( 0 ,   I } I v r . )  

=  ~~(~p_,p<. } v r . l v r . )  

=界(~p-'P<'f'.

=  L L P m n ' P '

= L L P i

P " m

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