九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
店頭における販促を目的とするPOPの訴求表現に関す る研究 : 従来型POPとデジタル型POPの媒体比較をと おして
鄒, 晨燕
http://hdl.handle.net/2324/2236242
出版情報:九州大学, 2018, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
店頭における販促を目的とする POP の 訴求表現に関する研究
―従来型
POP
とデジタル型POP
の媒体比較をとおして―Design Expression of POP Advertising for Sales Promotion
-Comparing Previous POP and Digital POP Advertising-
鄒 晨燕
ZOU CHENYAN
2019 年 3 月
1
目次
序論 ... 3
1.研究背景 ... 3
2.POP広告の定義と役割 ... 5
3.店頭POPの訴求表現 ... 8
4. 店頭POP広告の実務的課題 ... 9
5. 従来型POP広告に関する先行研究 ... 10
6. デジタル型POP広告に関する研究 ... 12
7.POP広告研究に関する課題の整理 ... 13
8. 研究目的 ... 14
9. 研究方法 ... 15
10. 本研究の位置づけ ... 15
11.研究の構成 ... 16
第1章 GMS・スーパーにおける販促施策 ... 18
1.1 小売の市場規模と販売方式 ... 18
1.2 GMS・スーパーにおける販促手法の整理 ... 20
1.3 店頭販促の現状 ... 22
1.4 GMS・スーパーにおける販促の課題 ... 24
第2章 POP広告と店頭コミュニケーション ... 26
2.1 マーケティング環境の変化と店頭コミュニケーションの重要性 ... 26
2.2 コミュニケーションと伝達プロセス ... 27
2.2.1コミュニケーションの定義 ... 27
2.2.2コミュニケーションの構成要素及び伝達プロセス ... 28
2.3 POP広告のメッセージ情報と訴求対象 ... 30
2.4 五感を刺激する店頭コミュニケーション... 31
第3章 従来型店頭POP広告の適切な訴求表現 ... 34
3.1 本章の目的と概要 ... 34
3.2 予備調査 ... 34
3.2.1 調査概要 ... 35
3.2.2 調査結果 ... 35
3.3 仮説設計 ... 37
3.4 実験 ... 40
3.4.1 実験準備 ... 40
3.4.2 実験概要 ... 42
3.4.3 実験結果 ... 43
2
3.5 考察 ... 47
3.6 本章のまとめ ... 49
第4章 デジタル型POPコンテンツの五感への訴求表現 ... 50
4.1 本章の目的と概要... 50
4.2 デジタル型 POP と消費者間の双方向コミュニケーション ... 50
4.3 五感表現フレーム ... 52
4.4 カテゴリに適用した五感表現フレーム ... 54
4.5 実験 ... 58
4.5.1 フレームの事前理解確認 ... 58
4.5.2 実験概要 ... 58
4.5.3 結果 ... 60
4.6 考察 ... 65
4.7 本章のまとめ ... 66
結論 ... 68
1 各章の総括 ... 68
2 結論 ... 69
2.1 従来型POPの訴求表現(訴求文言及びデザイン要素) ... 69
2.2 デジタル型POPの五感への訴求表現 ... 71
2.3 店頭POPにおける訴求表現 ... 73
3 実務的な示唆 ... 74
4 研究の限界および残された課題 ... 74
5 おわりに ... 75
謝辞 ... 77
参考文献 ... 78
引用文献 ... 87
参考ウェブページ ... 90
付録1 ... 91
付録2 ... 97
付録 3 ... 120
キーワード:従来型 POP、デジタル型 POP、訴求表現
3
序論
1.研究背景
近年、購買環境に大きな変化がみられる。従来の消費者セグメンテーションが崩壊し、
これまでの販促活動では十分に対応しきれないターゲットの多様性が生じたことから1、 情報の提供側の視点を固持するのではなく、ユーザーの行動や体験も視点に取り入れた 販促施策が求められる2。そのため、消費者を基点としたショッパー・マーケティング3 が浸透するなかで、従来の販促ツールによる情報提供や店員による接客だけでなく、来 店者の聴覚や嗅覚などの感覚に働きかけ、これまでにない店頭体験を提供することで、
商品需要を喚起させる「五感マーケティング」4の有効性に対する認識も高まりつつあ る。
店頭にくる約大半の人は店に来てから初めて買うものを判断する、いわゆる非計画購 買5である。流通経済研究所が 1992 年に実施した調査結果によると、その割合は約 70.8%であり、他の業態に比べて、特にスーパーにおける非計画購買率が高いことが明
1 財団法人店舗システム協会監修(2005 年)『科学する店舗』東京経済新報社
2 環境の変化に伴い、多くの企業において商品やサービスなどに対するキャンペーン活動はデジタルを軸として組み立てられるように なってきたが、コアな価値観や考え方はいまだに従来型の広告キャンペーンをベースとしており、それによって引き起こされる課題の 対策のひとつとしてユーザー視点の重要性が述べられている。(村上知紀(2013)『デジタル・クリエイティビティーこれからの広告に必 要な創造性』, 株式会社翔泳社,p16)また、中村(2016)もこのような潮流のなかどう変化に対応していくべきかについて述べてい る。(中村博(2016)「ショッパー行動の新たな変化とマーケティング対応」『流通情報』第 520 号,pp4-5)
3 ショッパー・マーケティングとは、売場価値及びブランド価値を高めるためにショッパーの購買行動を理解し、ショッパーの購買モ ード(来店・立ち寄り・検討)を高め、購買に至らせる全てのマーケティング活動のことである。(中村博(2013)「コンシューマーか らショッパーへーTesco, Nestle, Dunnhumbyのショッパー・マーケティングの取り組みー」『明日の食品産業』通巻 436 号, pp27-31)
また、守口(2013)や寺本(2013)がその必要性や将来的展開について述べている。
4 「五感マーケティング」とは、従来のマーケティングが「合理性」や「データ」などに基づいたものに対し、より感性的な視点で、
消費者の購買行動に対して感性(五感)を考慮したメッセージを訴えかけることによって、隠れているニーズを引き出すことができる と指摘している。(椎塚久雄,2013)
5 非計画購買は、想起購買、関連購買、条件購買、衝動購買の4つの下位分類をもつと考えられる。「想起購買」とは、店頭での情報(商 品自体・POP 広告等)によって、潜在化していた購買意図や商品の必要性を思い出すことによって購買にいたる場合を指し、「関連購買」
とは、購入された他の商品との関連性から店頭でその必要性が認識され購買にいたる場合を指す。また、来店時に明確な購買意図はない ものの、価格やその他の条件が整えば購入使用とする場合を「条件購買」とよぶ。衝動購買とは、上記 3 つの分類にあてはまらないもの を指し、例えば、商品の新奇性、思い付き、気分といったものによって購買される場合を意味する。(和田充夫・日本マーケティング協会 (2005)『マーケティング用語辞典』日本経済新聞社)
4
らかとなった6。このことから、商品の使用シーンや顕在メリットなどを情報として消 費者に提示しておかなければ、商品ニーズに気付かず、しばらくすると忘れてしまうこ ともあるため7、棚前で情報を提示するPOPツールは重要な役割を果たしているといえ る。
2016 年度のPOP広告費は 2,415 億円(前年比 101.4%)であり、商品を魅力的にみ せるためのデジタル系POPを中心に、商品特徴や使用メリットなどの付加情報を提供 する「説明型POP」が増加してきている。さらに、ECとの差別化を狙った「体験でき る売場」を演出するためのPOPも増えており、デジタル機器を使用した制作費の高い POPと、紙などの素材を工夫して使用することで安価に制作したPOPの二極化が近年 の傾向としてみられる8。
これまでのGMS9やスーパーでは、紙素材のPOPが主流であったが、近年ではそれ に加え、商品のプロモーション映像を流す小型モニターの増加がみられる。このような デジタル系POPが増加する背景には、主体となるデジタルサイネージの小型化やタブ レット端末の普及が影響しているとおもわれる。デジタルサイネージはこれまで屋外広 告や電子掲示板としての位置づけが強いイメージであったが、ネットワーク経由でリア ルタイムなコンテンツ配信やキネクトセンサーで通行人の動きを感知してインタクテ ィブに反応できるなど、これまでの紙素材のPOPでは実現できなかった幅広い訴求表 現が可能であり、生産量の増加や様式の充実などより多様な利用目的に対応できるよう になった。そこで、本研究ではこれまで紙素材を主とした POPとデジタル系 POP の インストア媒体としての特徴と訴求表現の違いに着目した。
これまでのPOP研究に関しては学術・実務界から多く議論されてきているが、POP を通して発信されるメッセージやその表現についてはあまり言及されてきていないの が現状である。POP は他の店頭ツールと異なり、中身のコンテンツ内容を臨機応変に 変えることができるため、企画制作のコントロールがしやすく、効果検証しやすいなど の特徴がある。そのため、研究を通して得られた成果をすぐに制作現場に反映できるな ど実務的な意義を持つ。
そこで、本研究では紙素材を主とした「従来型POP」と電子POPを主としたデジタ
6 大槻博(1980)「スーパーと消費者行動」『消費と流通』第 4 巻第 2 号、pp37-45
大槻博(1982)「衝動買いはなぜ起こるのかー小売業態別にみる」『消費と流通』第 6 巻第 4 号、pp153-160
7 一般社団法人リテール AI 研究会(2018)『リアル店舗の逆襲―対アマゾンの AI 戦略―』日経 BP 社
8 電通メディアイノベーションラボ(2018)『情報メディア白書 2018』ダイヤモンド社
9 総合スーパー(GMS:General Merchandise Store の略)は、衣食住に関わる生活に必要な商品を総合的に品揃えし、セルフ・サービス 方式を採用する小売業態。ローコスト・オペレーションに基づく低価格・大量販売に特徴がある。一般にスーパーと呼ばれる小売業態の 中では比較的小型の専門スーパー(食品スーパーや衣料品スーパーなど)と区別した名称であり、GMS と略称されることもある。(和田充 夫・日本マーケティング協会(2005)『マーケティング用語辞典』日本経済新聞社)
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ルデバイスを用いて映像や音声等のコンテンツ情報を配信し、消費者の各感覚に訴求す る「デジタル型POP」の 2 種類にPOPを分類し、それぞれの効果的な訴求表現につい て論じる。
2.POP 広告の定義と役割
POP広告とは「Point of Purchase Advertising」の略で、購買時点における広告メデ ィアを指しており、ブランドを知らせる役割だけでなく、購買時点対策として、商品の 陳列や売り場全体の雰囲気醸成、セール告知等、販売促進に関わる多様なツールのこと を指す10。
藤木(2014)は、POP には 2 つの本質があると述べている。ひとつは、消費者の目 を引くこと。もうひとつは、知ってほしい情報を売り子の代わりに消費者に伝えること。
そのため、POPにはブランド名やメーカーロゴ、店頭価格、商品写真、テーマ、ブラン ドメッセージの 5 つのメッセージが顧客へのコミュニケーション活動の 85%から 97%
を占めている11。さらに、商品の所在を知らせる役割だけでなく、価格告知や商品の使 い方といった情報の提示、加えて衝動買いを刺激し、ブランドや品質により信頼感を抱 かせるといった機能が挙げられる12。深沢(2006)は、マス媒体を駆使しても、モノが 売れなくなった今、マス広告以外で情報の取捨選択をする人が増え、売場は「情報収集 の交差点」的な意味で、POP は客を引き止める有効的な手段であると指摘した。つま り、POP 広告はマス広告や交通広告、他のプロモーションツールと異なり、購買時点 に寄与する有効な店頭販促ツールであるといえる。
POP の分類に関しては、これまで様々な視点から行われてきた。店頭において果た すべき役割として、ポスターやサインなど商品の認知促進を促す「告知POP」、テスタ ーやディスプレイなど商品展示の基本機能を果たす「マーチャンダイザー」、バナーや フラッグなど商品の大量陳列に売場演出としての機能を果たす「ショーアップPOPツ ール」、クーポン券やレシピなどの特典提供の機能を果たす「プロモーション・ターミ ナル」の 4 種類に区分できる13。また、POPの設置場所という視点からは、表 1のよう に区分することができ、設置場所によって、POP の形状や仕様も異なることがうかが える。なお、本研究では、これらのPOPのなかで、商品に最も近く、商品パッケージ
10 社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会(2010)『プロモーショナル・マーケティング第三版』株式会社宣伝会議
11 POPAI Original Research (2001)「POP Measures Up ―Learnings from the supermarket class of trade―」(「POP 広告は測定でき る:その方法と課題~スーパーアマーケット調査~」『インストアマーケティングに関する欧米の研究論文集』vol.3 , pp.7-43, 2005.)
12 川上嘉則(1972)「小売店の POP 広告―その考え方進め方」『別冊宣伝会議=販促と広告』,第 1 号,宣伝会議.
13 社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会(2010)『プロモーショナル・マーケティング第三版』株式会社宣伝会議
6
の情報訴求と相乗効果も狙えるとして、棚前に設置される「ショウカード」に特化して 論じる。
表 1 POPの仕様・場所別区分
種類 設置場所
① シーリング POP 天井からつり下げるもの
② ウォール POP 壁に取り付けるもの
③ フロアーPOP 床おきのもの
④ ショウカード 商品に直接とりつけたり、棚にとりつけるもの
⑤ 大量陳列キット POP シェルフ・エンドでの商品の特設陳列時等に用いるもの
⑥ 店外サイン 店の入り口等で用いるもの
⑦ その他
(社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会(2010)『プロモーショナル・マーケティング第三版』をもとに著者が作成。)
さらに、POPの制作者及び利用者の視点から、棚谷(1982)が消費者、小売店、メー カーの異なる三者の立場からみたPOP広告の機能について論じている。購買時点にお ける三者の働きを総合すると下記のPOPの役割がいえる。
① <消費者>は自分のライフスタイルに合った商品を自由に選ぶため、その目的に合 った商空間を探す。
② 購買時点である<小売店>は、消費者と商品を結びつけるジョインターである。消 費者にできるかぎり自由な立場で商品を選べる場所を提供しなければならない。
③ <メーカー企業>は小売店の協力を通じて、消費者により多くの情報を提供して、
共感を得るようにしなければならない。
このように、立場が異なる三者の中でも、小売店とメーカー企業は、対消費者という 点で立場は共通しており、一つでも多くの商品を消費者の手に渡し、“売り”に直結す ることが最終目的であるといえる。
一方、デジタル型POPに関する定義はきちんとされておらず、その主体となるデジ タルサイネージに関してについてはこれまで様々な領域から注目を集めてきた。富士キ メラ研究所の調査によると、デジタルサイネージの市場規模は 2020 年では推測 271,670 百万円になるといわれており、交通広告、ビルボード(屋外ビジョン)をおさえ、イン ストアでの成長率が最も顕著であり14、将来的には「店・ルート系」でのサイネージの
14 富士キメラ総研(2015)『デジタルサイネージ市場総調査 2015』, p15-18
7
比率が益々高まると予測される15。一般財団法人デジタルサイネージコンソーシアムは、
デジタルサイネージを用途別に「インフォメーション」、「広告」、「販売促進」、「環境演 出」の 4 つに区分しており16、また表 2に示すように、設置場所別の役割と広告効果が 挙げられる。店舗におけるサイネージの活用は特定のターゲットに向けたメッセージ訴 求だけでなく、売場での CM 想起や購買促進にも寄与している点が挙げられる。さら に、そのインタラクティブな媒体特徴を活かし、ゲームやライブビューイングなどのエ ンターテイメント領域での活用も期待されている傾向である17。
表 2 設置場所別デジタルサイネージの媒体特性
(博報堂 DY メディアパートナーズ(2017)『メディアガイド 2017』p272)
また、近年では視覚的情報の提供のみならず、聴覚や嗅覚的訴求も技術的に可能とな ったことから(岡田・川口・榎本・伊勢,2006;伴野・伴野,2015)、様々なインタラクテ ィブコンテンツが制作され、コミュニケーションツールとして活用されている。デジタ ル型POPの販促効果として、恩蔵・若江(2009)が 2008 年にGMSを対象とした調査 では、カレールーとトクホ飲料の 2 カテゴリのデジタル型POPを設置し、効果検証し た結果、電子POPとポスラビジョンが、電子POP単独、電子POPとフロアディアの
15 博報堂 DY メディアパートナーズ編(2017)『広告ビジネスに関わる人のメディアガイド 2017』宣伝会議, p272
16 一般財団法人デジタルサイネージコンソーシアムマーケティングラボ部会(2016)『デジタルサイネージ 2020』東急エージェンシー
17 デジタルサイネージの今後の活用について、一般財団法人デジタルサイネージコンソーシアムへのインタビューで、特に今後のエン ターテイメント市場での可能性について取り上げられた。
8
組み合せよりも販促効果が高いことを明らかにしたことから18、単体のみならず店内の 他のツールと並陳することにより生まれる相乗効果も期待できることが示唆された。
これら従来型POPとデジタル型POPの特徴をふまえて、次の 3 節にてPOP広告の 課題について論じる。
3.店頭 POP の訴求表現
これまで実務・学術ともに、従来型POP広告の特徴や素材、デジタル型POPのマー ケティング効果については述べられてきたものの、両者の訴求表現に関しては言及され てきていない。
紙素材を主とする従来型POPは、制作コストが比較的安価である一方、印刷された コンテンツを容易に変えられないため、制作の企画立案段階が重要となる。一般的に、
広告POPの紙面には、「色」、「形状」、「文字」などの要素が配置されており、特に「色」
と「形状」は売場における商品の視認性を高め、来店者の興味を喚起すると同時に「文 字」は商品への理解を深め、興味関心を高めることで、消費者の能動的な行動を促して いるともいえる。
ものがあまり買われなくなってきた今、メーカー企業は、よりよい物をつくろうと品 質改善やバリエーションを増やすことに注力してきたが、品質の改善よりも、消費者が
「買いたい!」という気持ちを誘発するための工夫にこそ目を向けるべきではないかと いう議論もあがっている19。これまでのマーケティングにおいて、情報提示のされ方が どうであれ、同じ対象であるかぎり、人間は合理的に同じ判断をすると認識されてきた。
しかし、人間は非合理的な考えをする生き物であり、そのため巧みなマーケティングに 心を動かされ、非合理的な判断をすることもあるという行動経済学の観点からのアプロ ーチが近年注目を集めている20。マーケティング研究が消費者反応の記述や予測に視点 を置くのに対し、行動経済学は、人の経済行動に関するより基本的かつ普遍的性質を明 らかにすることに視点を置いており、行動経済学とマーケティング研究の類似性とアプ ローチの異質性の双方が存在しているため21、両分野の知見を補完しあうことでより消 費行動の解明にポジティブな示唆を与えることが期待できる。情報提示時の表現手法に
18 フロアディアとは、フロア(床)に貼る広告ボードのことを指す。ポスラビジョンとは、複数の静止画広告を 10 面まで切り替えられ るスクロール式サインボードを指す。(恩蔵直人・若江正敏(2009)「店頭研究の現在―感性マーケティング―」『マーケティング・リサ ーチャー』 (108), p.32~37)
19 「特集「行動経済学」で非小売な顧客を動かせ」『日経情報ストラテジー』第 18 巻第 5 号通巻 206 号, 2009 年, p30-42
20 「特集 行動経済学で賢くなる人生に差がつく経済学」『週刊東洋経済』第 6761 号, 2017 年 11 月, pp28-58, p29
21 守口剛(2011)「特集にあたって」『流通情報』2011(492), p4-p5
9
よって消費者に異なる印象を与えることも既に明らかにされており、特にフレーミング 効果と呼ばれる心理的効果がマーケティング活動にて用いられている。竹村(1994)に よると、意思決定時において客観的情報が同じ場合でも、心理的構成の仕方(フレーミ ング)によって、異なる選択肢をすることから、これまでのPOP制作にこのような行 動経済学的観点を基とした心理効果を適用することで、より消費者の心理に作用する訴 求効果の高いPOP広告が期待できると考えられる。
一方のデジタル型POPは、機器導入やランニングコスト、電源確保など設置コスト は従来型POPに比べ高いものの、訴求情報やターゲットに応じたメッセージ配信やネ ット経由でのコンテンツ配信など情報鮮度が高く、消費者自身が興味を示す内容を選択 して閲覧できるなど、体験の提供に寄与できるという点で、媒体としての優位性を発揮 している。さらに、店内の掲示を取り換える手間がいらない、価格変更に即座に対応可 能、電子広告収入が得られるなど、小売企業にとってのメリットも大きい22。加えて、
他のツールとの併用によって購買へは一定の購買影響があることから23、来店者に対し て様々な五感に訴える付加価値体験の提供を通して、来店促進や店頭の活性化などの効 果も期待できる。
4. 店頭 POP 広告の実務的課題
昨今、メーカーが送り込んだPOPツールだけでなく、小売店舗独自で制作したPOP も増え、様々な仕様のPOPが店頭で入り混じっていることから、いかに店頭で埋もれ ずに、他社との差別化をはかれるか、制作現場で様々な工夫が施されている。しかし、
一方で店頭における販促ツールの約7割が処分され24、さらに一部の流通チェーンでは 既にメーカーPOP全般の設置不可指示が出るなど、POPの存在価値が問われ始めてい るのも確かである。今後更なる地域密着型店舗や狭小店の増加が見込まれ、限られた店 頭スペース内でどう効率よく消費者にアプローチできるかが課題となるため、POP 制 作において、POP が提供する情報の“量”だけでなく、その“質”も精査するべきで あるといえる。
これまでPOP研究の重心は設置有無による購買への影響などマーケティングに視点 を置いたものが多く、POPの内容についてはあまり言及されてきていない。POPの訴
22 太田美和子(2013)『「買物」を科学する ショッパー・マーケティングスタディ』商業界
23 恩蔵直人、若江正敏(2009)「店頭研究の現在―感性マーケティング―」『マーケティング・リサーチャー』 (108) p.32~37
24 株式会社マックス(2010)『セールスデザインー「売れる仕組み」のつくりかたー』株式会社マックス, p16
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求情報が売り手である店舗や企業によってコントロールされていることを消費者も理 解しているため、どれだけ消費者に無意識にメッセージを意識させ、能動的な行動を促 せるかが課題ともいえる。どのような訴求メッセージがより消費者心理に刺さり、また どのような色や仕様が消費者の興味を喚起できるかを明らかにすることこそがPOP研 究の意義であると考えられる。特に、POP制作においては、メーカー企業・小売流通・
制作会社の 3 者が企画制作・製造・設置に関わるため、どの立場からどのようなメッセ ージを発信すべきかも明確化する必要がある。
したがって、以下 5 節から 6 節では店頭における紙素材を主とする従来型POPとデ ジタル型POPの主体であるデジタルサイネージに関する学術的先行研究についてレビ ューしたのち、7 節にて従来型とデジタル型POPの課題について整理し、本研究の目 的へ導く。
5. 従来型 POP 広告に関する先行研究
従来型POP広告に関しては、下記「マーケティング効果」と「クリエイティブ表現」
の 2 つの視点からのレビューについて論じる。
① POP 広告のマーケティング効果に関する研究
POP広告のマーケティング効果についてはこれまで多く研究されてきている。牧野・
高木・林(1994)は、購買計画の有無と掲出POPの種類(価格訴求、イメージ訴求)
に着眼し、価格訴求型POPが「理性消費」(良いものを安く、十分に吟味してから購入 する)を促進するのに対して、イメージ型POPは「感性消費」(自分の望む消費場面を 作り出せるような、自らの感性に合った商品を購入する)を促進することを明らかにし た。山﨑(2016)は、大学の学園祭での売店実験を通し、イメージ訴求型POPの掲示 が非計画購買者に有効的に作用することを示した。また、非計画購買者ほど店内のPOP 広告の量を少ないと感じることが木村・石原(2009)の研究により明らかにされ、POP 広告は非計画購買に有効的であることも示唆された。さらに、Patton(1981)は、商品が 同じクオリティの場合、消費者はより多くの情報が提供された方の商品を選択する傾向 にあることを明らかにした。これらの先行研究からPOP広告の購買へのポジティブな マーケティング効果がうかがえる。
11
② POP 広告のクリエイティブ表現に関する研究
水野(1997)はこれまでの広告販促に関する研究領域において、広告の投下や起用す るタレント効果と購買意図などに関する研究はされてきたものの、表現効果をはじめと する広告クリエイティブに関しては、未だ論理的な整理が行われていないことを指摘し ている。広告ビジュアルに関しては、土屋・松原・長町(2003)は、食品広告に描かれ ているオブジェクトを検証した結果、「背景」、「商品写真」、「ロゴ」が感性に強く影響 することを明らかにした。これらは広告全体のイメージを決定づける重要なビジュアル 要素であるといえる。また、デザイン要素の配置については、石井・恩蔵・寺尾(2008)
が言語的情報を右側に、非言語的情報を左側に配置したレイアウトの方が言語的情報の 再生やデザイン評価に優れていることを明らかにした。
文字を用いた表現方法に関して、Aaker and Lee(2001)は、ポジティブ志向フレーム の消費者に対して、ポジティブな表現が有効であり、リスク回避志向の消費者に対して は、リスク回避的な表現が有効に働くことを明らかにした。また、小林・小松・鈴木・
田邊・本橋(2011)は、POP広告の表現内容によって消費者の購買意思決定にどのよう な変化がおきるのかを明らかにするために、フレーミング効果を活用したPOPを用い て、コンビニのPB茶系飲料を対象に、POPの実証実験を行った。結果、商品のポジテ ィブな面を強調したPOP 広告より、将来起こりうるリスクを予防する POP 広告の方 が消費者の評価が高くなることがわかった。同様フレーミング効果に着眼したとして、
Choi(2007)は、4 つの電子機器商材の既存の広告メッセージを用いて検証を行った結果、
メッセージをネガティブにフレーミングするよりも、ポジティブにフレーミングするほ うが、消費者の購入意向によりポジティブな影響を及ぼすことを明らかにしている。こ のことから行動経済学のマーケティング適用は扱う商材によってもその効果が異なる ことが伺える。
その他の表現について、上原・山下(2017)は、スマートフォンを調査対象とした場 合、クチコミ評価の情報を提供することによって、iphoneとAndroidに対する全般的 な印象が形成され、クチコミ評価に影響することを明らかにし、これは心理効果のひと つであるハロー効果による効果である25。これまでは著名人や権威のある人による評価 が消費者の購買に影響するとされてきたが、近年ではメーカー視点よりも自分と似た属 性のユーザーによる評価コメントを信頼する傾向にあることが判明した。
25 ハロー効果とは、評定者が被評定者の本来持っている多面的で異なる特性を同一視してしまう傾向である。(山下洋史(1991)「評定デ ータのスケーリングを組み込んだ評定傾向分析モデル」『山梨学院短期大学研究紀要』No.12,pp.88-94)
12
6. デジタル型 POP 広告に関する研究
デジタル型POPの主体となるデジタルサイネージに関する研究として、下記「店頭 におけるマーケティング効果」と「感覚への訴求効果」の 2 つの視点からのレビューに ついて論じる。
① デジタルサイネージの店頭におけるマーケティング効果に関する研究
店頭における購買への影響に関する研究としては、Burke(2009)はイギリスの小売 業であるテスコで、レジ前に設置されているデジタルサイネージに異なる内容のコンテ ンツを一定期間流した結果、設置による購買促進効果を明らかにした。また、恩藏・井 上・須永・安藤(2009)は、小売店舗に設置されたデジタルサイネージと音声POPの 2 パターンについての売上への影響と消費者行動への影響を明らかにしている。さらに、
スマートフォンを用いて、広告内の人物からチラシを直接もらえるような体験を提供し、
コンテンツに興味をもってもらうといったデジタルサイネージのインタラクティブな 活用に関する実践的な研究も進められている(林・志賀・須田・太田, 2018)。
② デジタルサイネージの感覚への訴求に関連する研究
伴野(2008)は、嗅覚刺激を用いたデジタルサイネージの誘目性評価について着眼し、
触覚に関しては、串山・馬場・土井(2014)が技術的なアプローチからスマートフォン を用いた参加型触覚デジタルサイネージの開発を進めている。視覚に関して、遠藤(2011)
はデジタルサイネージにおける画面デザインについて述べている。澁谷・中村(2015)
は、デジタルサイネージの視覚情報と聴覚情報、およびタッチパネルの操作性について の三感覚からデジタルサイネージの注目度を左右する要因について述べている。また、
鳴海・二俣・西村・谷川・廣瀬(2009)は、視覚情報を利用した味覚ディスプレイの開発 について検討している。
さらに、感覚へのアプローチが店頭での消費行動にも影響を与えることも明らかにさ れている。触覚に関しては、小売環境において、企業は消費者に製品に触れる機会を提 供することが重要であることを示し、製品に対する接触は消費者が商品に対する評価に 影響を与えると明らかにした研究(Grohmann et al., 2007;朴,2012)が挙げられる。平 木・恩蔵(2006)は、スーパーマーケット 4 店舗での実験の結果、香りのある店舗での 購買は、香りがない店舗に比べ特定商品の非計画購買が進み、購買に伴う心理的コスト が低減されることを明らかにした。縄田(2015)は、店頭において消費者の五感に訴え るアプローチを用いて、顧客満足の醸成にも効果を発揮することについて述べている。
13
しかし、五感全てへの訴求が店頭における消費者に与える影響についてはまだ言及され ていない。
7.POP 広告研究に関する課題の整理
先述 5 節と 6 節でとりあげた従来型POPとデジタル型POP研究の課題について整 理する。これまでの従来型POPに関する研究において、POPの設置有無と売上との関 係性やクリエイティブ要素であるコピーの文言、デザインのレイアウトや色など個々の 要素については述べられてきたものの、その形態の多様さから文字情報やデザイン要素 を包括した POP 全体の訴求表現については触れていない。どのようなメッセージが POPに含まれており、どのようなPOPが高い視認性を持ち、消費者の目にとまり好印 象を与えるのか、POPの訴求表現についても追及していく価値があると考えられる。
一方で、デジタル型POPに関しては、視覚や触覚、嗅覚といった個々の感覚へ訴え るデジタルサイネージについては、既に感性工学や情報工学の分野で研究がすすみ、さ らに嗅覚など特定の感覚への訴求が購買に対して一定の影響を与えていることも明ら かにされたものの、コンテンツ制作に視点を置き、五感に働きかけるコンテンツ表現に ついて触れられていない。海老澤・広田・雨宮・池井(2011)は、技術的な側面から五 感に訴求するコンテンツの実現について検討しているが、そのマーケティングアプロー チについては論じていない。デジタルサイネージの設置有無によるプロモーションの効 果測定については近年マーケティングの観点から非常に注目されており、店頭導入の指 標のひとつともされている26。しかし、店頭で消費者に評価されるのは、むしろサイネ ージ本体ではなく、提供されたコンテンツの内容とその伝え方にあるのではないか。
これまでPOP広告制作において、メーカー主体で制作したものと小売店舗が独自に 制作したPOPの2種に主に分けることができるが、本研究ではメーカー受注を受けて 制作されるPOP 広告にフォーカスし、従来型とデジタル型POP のそれぞれの訴求表 現について検討する。
従来型POPに関しては、訴求効果を高めることが期待できる行動経済学の心理効果 を適用し、訴求文言の検証を行うと同時にビジュアル要素についても検討する。具体的 に、過去の先行研究でも取り上げられたリスク回避表現とハロー効果表現を用いること
26 島崎正章(2011)「店頭におけるデジタルサイネージのプロモーション効果の実証―売上と商品選択への影響―」『流通情報』43
(4), p71-88
中川宏道(2010)「インストアメディアとしてのデジタルサイネージーショッパー・マーケティングにおける役割ー」『マーケティ ングジャーナル』vol.29 No.3,p4-18
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での消費者評価の違い、視認性を左右する色と画像要素の適用による消費者評価の違い を通して、好印象を与えるPOPデザインの要件について検討する。デジタル型POPで は、そのインタラクティブ性を活かした五感への訴求表現について検討し、消費者に評 価される表現を明らかにすることで、今後のコンテンツ制作で活用できる実用的なデザ イン要件を導き出す。これらの解決すべき課題と明らかにすべき項目について表 3 に まとめている。
表 3 本研究で明らかにすべき課題の整理
対象 課題 明らかにすべき項目 期待できる成果
従来型POP
・POPの形態の多さからPOPの
メッセージ内容について追及されて いない。
・文字訴求表現(リスク回避、ハロー効 果)による消費者の印象評価
・ビジュアル要素(色と画像)による消費 者の印象評価
今後の POP 制作における効果的な 訴求表現の要件抽出
デジタル型POP
・中身のコンテンツ制作において、ど のような訴求表現が好まれるか追 及しきれていない。
・消費者が興味を示す五感訴求表現
8. 研究目的
本研究では、二極化がみられる店頭POP広告に着眼し、従来型とデジタル型POPそ れぞれの媒体特徴に応じた訴求表現について検討する。これまでの従来型POP広告に 関してはそのコピーやレイアウトなど個々のデザイン要素について、またデジタル型 POP 広告に関しては感性とマーケティング面からアプローチされてきたものの、POP 広告のクリエイティブまで議論的な整理ができていないなどの課題が挙げられる。
そこで、本研究では従来型 POP とデジタル型 POP の表現特性を把握した上で、実 店舗においてPOP媒体を介して発信される販促情報に対して、消費者がどのような訴 求表現に興味を示すかを明らかにし、今後のPOP制作へ向けて有効な訴求表現の要件 抽出を目指す。
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9. 研究方法
有効な POP の訴求表現の要件を抽出するにあたり、本研究ではまず従来型POP と デジタル型POPの 2 種類に分類し、実店舗における活用事例をもとに、それぞれの店 頭媒体としての販促的役割と媒体特徴について整理する。次に、従来型POPに関して は、これまでのメーカー主体で制作されたPOP作品のレビューを行ったのちに、訴求 文言であるメインコピーとデザイン要件に関する仮説立てを行い、実験をとおして仮説 検証を行う。一方、デジタル型POPに関しては、まず感覚に訴求する表現を企画立案 する際に考慮すべき項目を抽出し、五感訴求の表現について整理を行う。次に、各訴求 表現間の関係性と評価される訴求表現を抽出するために、消費者の興味意向について実 験を行う。なお、従来型とデジタル型POPのどちらの調査も具体的なカテゴリ商材に あてはめて調査を行う。調査後、データ分析を行い、それぞれのPOPにおいて消費者 に好印象を与え、興味を促す表現要件を抽出し、今後のPOP制作の現場で取り入れる べき従来型とデジタル型POPの有効的な表現要件を明らかにする。
まず、第 1 章ではこれらの POPツールが GMS・スーパーにおける販促的役割と課 題について文献及び関連資料のレビューを行う。第 2 章では、広告の定義及び昨今のマ ーケティング環境の変化によるPOP広告の店頭コミュニケーション的役割について文 献レビューを行い、POPを介する消費者とのコミュニケーションについて把握する。
第 3 章では、従来型POP広告の訴求表現に関して、過去 10 年間の『日本プロモーシ ョナル・マーケティング協会展・作品年鑑』に記載のPOP作品をレビューしたのちに、
リスク回避表現とハロー効果による訴求文言とビジュアル要素であるカラーと画像の 効果について検討するために仮説をたて、検証実験を実施したのちに分析及び考察を行 う。
第 4 章では、デジタル型POPの主体であるデジタルサイネージについて、業界関係 者のインタビューを実施し、デジタル型POPの五感訴求フレームを構築し、商材をあ てはめて、検証実験を行う。
10. 本研究の位置づけ
これまで店頭POP研究は、従来の紙素材であるPOPとデジタル型POPの主体であ るデジタルサイネージそれぞれに関して、その店頭におけるマーケティング効果につい て議論されてきたが、両者の媒体特性の違い及び店頭における役割、訴求メッセージに
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ついては言及されてこなかった。本研究ではPOPの企画立案及び制作を担う制作会社 視点から、従来型POPとデジタル型POPの2つのPOPの媒体特徴に着目し、それら の店頭販促ツールとしての役割、訴求表現について論じる。これらのPOPの効果的な 訴求表現を明らかにすることで、今後の制作現場に寄与するという実務的な意義をもつ。
11.研究の構成
本研究は、店舗における適切な情報の訴求表現に関して、3 つの本論に序論と結論を 加えた 5 章で構成されている。全体の研究構成については、以下図1に示している。
第 1 章では、小売業態の整理をしたのち、店頭におけるPOPツールの販促的役割と 現状及び課題について論じる。第 2 章では、POPを介しての店頭コミュニケーション とその情報伝達フローについて論じる。
第 3 章では、従来型の紙素材POPについて、事前調査の実施及びその結果について レビューしたのちに、コピーとデザインの訴求表現の仮説を提示し、行った検証実験に ついて論じる。第 4 章では、デジタル型POPの五感訴求表現について、表現の五感フ レームを提唱したのち、実施した検証実験について論じている。
結論は、まとめの章である。先述の第1章から第 4 章までの結論づけと結果からの実 務的な寄与及び POP(従来型・デジタル型)における効果的な情報表現を明らかにし たこと、研究に残された課題、今後の展望について言及する。
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図1 本研究の全体構成
POP 仕様の多様化 POP の実務的課題
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第1章 GMS・スーパーにおける販促施策
1.1 小売の市場規模と販売方式
経済産業省による商業統計では、小売を「個人(個人経営の農林漁家への販売を含む)
又は家庭用消費者のために商品を販売する事業所」と定義づけており27、その多くは事 業所28を有している。つまり、店舗を構え、その空間内で消費者に対してモノの販売や サービスの提供を行っていることを指している。図 1-1 は経済産業省による小売業態 別売上規模の統計調査結果を示している。平成 29 年度小売業態全体の売上規模は 70 兆 円以上に達し、その中でも百貨店・スーパーの売上占有が高く、売上が 9 兆円超に達し ていることわかる。
(経済産業省 経済解説室レポート「平成 29 年上記小売業販売をふりかえる」をもとに著者が作成。)
図 1-1 平成 29 年度業態別販売額
27 経済産業省ホームページ商業統計用語の定義より(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-4.html#menu05/アクセ ス日 2018 年 12 月 20 日)
28 事業所とは、経済活動が行われている場所ごとの単位で、1.一定の場所を占めて、単一の形成主体の下で経済活動が行われている こと。2.従業者と設備を有して、物の生産や販売、サービスの提供が継続的に行われていること。これらの要件を備えており、「有体 的商品を購入して販売する事業所」である卸売業、小売業などの商業事業所を指す。(経済産業省、経済センサスー基礎調査、商業統計 調査の用語解説より)
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また、商業統計調査では、小売業の業態区分とその販売方法について、表 1-1に示す ようにまとめている。特に、販売方法は「対面販売」と「セルフサービス」の 2 種に区 分されており29、百貨店を除き、ほぼその他の全ての業態では、店員からの接客を受け て商品を購入するのではなく、消費者自ら陳列された多数の商品の中からものを選び、
レジまで運ぶ「セルフサービス」の販売方式を採用している。しかし、この店内でただ 陳列されているだけの商品では、他の競合商品に埋もれ、消費者に気づかれずに終わっ てしまう恐れがあるため、来店者に対してその対競合優位性を適時適切に訴求し、購買 を促すことが重要視される。つまり、セルフ販売だからこそ、チャンスロスを防ぐため に、店内での商品露出・視認性を高める工夫が必要であり、いかに店員の代わりとなる ような“接客”機会を創出し、セルフ販売でも有効な販促効果を創出できるかが求めら れる。
では、GMS・スーパーの店頭において、どのような販促施策が設けられているのか、
次の1. 2にて論じる。
表 1-1 小売業態の主な区分と販売方式
区分 販売方式
百貨店 対面
総合ス―パー
(GMS・)
大型総合スーパー
セルフ 中型総合スーパー
専門スーパー
衣料品スーパー
セルフ 食料品スーパー(スーパー)
住関連スーパー
(うちホームセンター)
コンビニ(CVS) セルフ
ドラッグストア(DRG) セルフ
専門店
衣料品専門店
セルフ/対面 食料品専門店
住関連専門店
家電大型専門店 セルフ/対面
※『統計局』商業統計表業態統計編をもとに著者が作成。
29 商業統計調査でいうセルフサービスの定義として、①客が値札等により各商品の値段が判るような表示方式をとっていること、②店 に備え付けられている買物カゴ、ショッピングカート、トレーなどにより、客が自由に商品を選び取れるようなシステムをとっている こと、③売場の出口などに設置されている精算所(レジ)において、客が一括して代金の支払いを行うシステムになっていること、の 3 つの条件を兼ねている場合をいう。(経済産業省、経済センサスー基礎調査、商業統計調査の用語解説より)
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1.2 GMS・スーパーにおける販促手法の整理
1.2 では、GMS・スーパーにおいてどのような販促施策が設計されているのかを明ら かにするために、制作において用いられる販促手法と期待できる効果について論じる。
販促手法について、これまでは販促の目的やテーマに応じ、制作現場において都度実 践的な方法の列挙が突出してみられたが、学術的に体系化されたものはまだみられない。
販促で使用するメディアとツールという視点から販促手法を体系的に整理したものと して、日本プロモーショナル・マーケティング協会がまとめた「プロモーションメディ ア&ツール」が挙げられる30。これにメディアの展開場所を加えたのが、下記図 1-2に 示す一覧である。
(『プロモーショナル・マーケティング(第 4 版)』をもとに、著者が作成。)
図 1-2 プロモーションメディア&ツール
30(株)宣伝会議(2013)「プロモーショナル・マーケティング」・第 4 版 プロモーショナル・マーケター認定資格試験公式テキスト、日 本プロモーショナル・マーケティング協会
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図 1-2 に示すように、販促に利用するメディアとツールは多種にわたり、その表現 内容や役割も大きく異なる。使用シーン・設置場所別にみると、インストアにおける販 促メディア・ツールは大きくグラフィックと編集系をまとめた「印刷物」、購買時点に アプローチする「POP広告」、商品の使用方法や体験を提供する「イベント」、動画を通 して購買喚起する「プロモーション映像」の 4 種類に集中していることがわかる。印刷 物系の販促ツールは、店舗内で最も多くみかける販促ツールである。チラシやポスター などの1枚もののグラフィック系の印刷物はGMS・スーパーでは主にイベントやキャ ンペーン情報の告知、ハウスカードのポイントアップの掲示などのような情報訴求に使 用されることが多く、一方の編集系の印刷物は、GMSの館内案内・フロアマップやシ ーズナリーのおすすめ商品等を掲載した館内冊子等が挙げられる。グラフィック系の印 刷物に比べ、編集系の印刷物はページ数が多いため、編集や制作に時間を伴い、また一 定期間店頭に設置されるなど情報の更新期間が比較的長いといえる。これらの印刷物系 ツールに共通点として、入店してからの来店者の動線上に各ツールが散りばめられてお り、場所や方向を示す大まかな情報から、近づくにつれ精緻化された細かな情報まで、
来店者の足止めや売場への送客に役立てられているといえる。
棚前での購買時点に機能するのが POP 広告である。特に GMS・スーパー等におい ては、商品の売場における視認性を補助する役割だけでなく、売り子の代わりに商品の 付加価値を訴求している。表 1で示したとおりPOP広告は設置場所に応じ、様々な仕 様がある。棚前のプライスレールに差し込むショウカードを始め、飛び出すことで視認 性を高めるスイング POP、お酒などの商品本体につけるネック POP などが挙げられ る。これらのPOPに共通していえることとして、商品の視認性を高め、消費者の目に とまり、商品に興味を持ってもらうことで、より商品を手にとりやすくすることである。
店頭で実施される販促施策で最も消費者との距離が近いのが店頭「イベント」である。
週末GMS・スーパーで、商品の試食やタッチ&トライ31などのイベントを実施している 場面が多くみかけられる。店頭でのイベント実施は、売場の活性化に貢献しているだけ でなく、買い場に一番近い場所で商品の良さを実際に実感してもらうことで、商品理解 を深め、興味喚起と購買喚起を促すのが狙いである。一般的に、イベントでは販売員や 売り子などスタッフが商品案内や接客を行うため、セルフ販売が多いGMS・スーパー では、イベントをきっかけに集客効果が見込め、にぎやかし効果により商品の注目度が より高まるなどの効果が得られる。また、こうしたイベントの多くは、上記の印刷物系
31 実際に商品に触れて、試しに肌につけたりなどすることを指す。
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ツールや購入特典としてもらえる景品やノベルティといった他の様々な販促手法と連 携しながら店頭で作用し、ひとつの販促テーマの具現化に寄与しているといえる。
最後に近年増えているのが、店頭「プロモーション映像」の活用である。これまでGMS では、大型サイネージはアパレルショップ内でのコンセプト映像の放映や空間演出的な 役割として活用されることが多かったが、サイネージの小型化が進み、スーパーの商品 棚やレジ前でも見かけるようになってきた。プロモーション映像は印刷物ツールに比べ、
音声や光で訴求することができ、シーズナリティを重視する小売の商空間では、販促テ ーマに応じた演出で環境を変化させ、棚前における小型サイネージでも商品の価格や割 引率等リアルタイムに変更できるなど、印刷物系ツールに比べ、より鮮度の高い環境に 対応した情報提供が可能である。
先述のとおり、店頭において多種にわたる販促ツール・メディアが混在しており、そ れぞれの役割や訴求方法を維持しつつ、互いに作用しながら来店者に対し、情報の提供 や買物体験の提供、さらには購買喚起を促しているといえる。では、昨今の店頭ではこ れらの販促手法やメディアを用いて、どのように来店者にアプローチしているのか、次 節にて具体例を挙げて論じる。
1.3 店頭販促の現状
GMS・スーパーにおける販促施策について触れるにあたり、まず言及すべきはGMS・ スーパーを代表する 2 大巨頭であるイオングループとセブン&アイグループである。
イオングループは、2018 年 2 月の連結合計における営業収益は 8 兆 3,909 億円にも 達し、のうち約 8 割強をGMS・スーパー事業が占めている32。2017 年 12 月に発表した 中期経営計画では、2020 年度に営業収益 10 兆円の達成へ向けての「GMS改革」、「ス ーパー改革」、「デジタル改革」の 3 つの改革方針をあげている。より地域特性に対応し、
衣料品や住関連部門の専門会社化、ディスカウント店の強化、食を中心とした「モノ」
+「コト」を提供する売場の拡大、ネットスーパーの売上構成比率のアップなどが具体 策として挙げられている33。また、2018 年 2 月の連結決算報告では、GMS事業・スー パー事業に比べ、ドラッグ・ファーマシー事業による営業収益増加率が高いことから34、
32 2018 年 2 月期の連結業績では、連結合計の営業収益が 8 兆 3,909 億円に対し、GMS事業が 3 兆 842 億円、SM事業が 3 兆 2,409 億 円であった。(イオンの業績<https://www.aeon.info/ir/individual/results/>アクセス日 2018 年 12 月 11 日)
33 イオン『2020 年へ向けて』ニュースリリース(https://www.aeon.info/export/sites/default/ir/policy/pdf/AEON_Group_Medium- term_Management_Plan_jp.pdf アクセス日 2018 年 12 月 21 日)
34 GMS 事業では、営業利益 3 兆 832 億円で 2017 年 2 月時に比べ+0.6%、SM 事業では営業利益 3 兆 2,409 億円で 2017 年 2 月時に比べ+
0.9%である一方、ドラッグ・ファーマシー事業は、営業利益 6.963 億円であったものの、2017 年 2 月時に比べ+11.7%と大きく伸長 している。(イオン業績ホームページより https://www.aeon.info/ir/individual/results/アクセス日:2018 年 12 月 21 日)
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従来の売場強化だけでなく、ネットと実店舗の連動性や売場における買い物体験の提供 など、多様化する小売の事業内容に柔軟に対応できるようなメーカー企業主体の店頭販 促手法が求められる。
一方のセブン&アイグループは、生鮮食品の配達サービス「IY フレッシュ」をスタ ートさせ、宅配事業を強化しつつ、中核であるコンビニ事業でも他業種企業とタックを くみ、宅配サービスである「セブンミール」の強化や高齢者見守り活動なども行ってい る。さらに、2018 年 3 月には小田急電鉄と業務提携を結び、小田急電鉄グループの各駅 売店や駅構内のコンビニを全て「セブン・イレブン」に転換するなど、コンビニ事業で 拡大を進めており35、多種業態に延長していることから、これら従来の業態区分だけで は満足できないような新たな販促手法が求められる。
このような小売業態が変貌を遂げるなか、環境の変化に対応すべき販促手法の見直し についても検討する必要がある。昨今の売場では、各種販促ツールが入り混じって展開 されている状態が多い。下記図 1-3 は某インスタント珈琲商材の売場展開の様子であ る。売場には印刷系ツールであるトップボード、他社商品との差別化をはかる仕切り POP が設置されており、展開商品をひとまとまりとして魅せている。さらに、タブレ ットモニターも並陳されており、モニターの枠もトップボードと世界観が統一された印 刷系ツールで装飾されている。
図 1-3 インスタント珈琲売場の棚前ツール
35 小田急電鉄ニュースリリースより(https://www.odakyu.jp/news/o5oaa10000017bvx-att/o5oaa10000017bw4.pdf アクセス日:2018 年 12 月 21 日)
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人が棚前を通ると、サイネージ前のセンサーが人の動きを感知し、「♪ちょっとそこ のお客さん~」と足止めを促す声が流れてくるのである。サイネージ画面には商品の人 気ランキングが表示されており、来店者が自分の興味のある商品をタップするとその商 品で使用されている珈琲豆の種類や味のテイスト、またユーザーによる商品と相性のよ い商品の紹介などのコンテンツがながれるようになっている。統一感のある視認性の高 い棚づくりであると同時に、デジタル型POPを用いて音声と映像で来店者の足止めに 寄与し、商品への興味を喚起した売場づくりであるといえる。このような売場が昨今の GMSの食品売り場やスーパーのいたるカテゴリ売場でみかけることができ、商品の売 上に寄与している。
1.4 GMS・スーパーにおける販促の課題
しかし、GMS・スーパーは売場の集合体である。専門店のようにひとつのメーカー企 業の商材だけを販売しているわけではなく、類似商品が同じ陳列棚に並び、同じように 各種販促ツールを駆使して商品視認性を高める工夫に努めているのである。そのような 環境下、乱雑する店頭情報の中でいかに多社との差別化をはかり、視認性を高めるべき か。
渡辺(2014)は売場には二つの機能があると述べている。1 つ目は「買いやすいか否 か」、つまり無駄な情報を削減し、消費者にわかりやすい売場であること。2 つ目は、
「面白いか否か」、つまり常に売場で新たな情報を消費者に提供できること。同様のこ
とが POPAI(2001)の実施した調査でも指摘されている。店頭での急速な広告露出は
消費者にとって新奇性を失うため、消費者に“新しい”と思わせるためには、購買意思 決定を行うタイミングに合わせて、広告露出に加え、さらなる付加価値を感じさせる売 場づくりが必要とされる。
しかし、過剰な付加価値は消費者をかえって混乱させてしまうリスクもある。Iyengar
and Lepper(2000)がスーパーで実施したジャムの試食実験の例が挙げられる。彼らは
24 種類と 6 種類のジャムを交互に並べて、試食率をはかる実験を行った結果、24 種と 6 種ではそれぞれ 60%と 40%の試食率であった。だが、その後の購入率は逆転し、24 種類の試食を体験した後で購入に至った客はわずか 3%であったが、6 種類の試食の結 果、30%の客がジャムを購入したという結果になった。豊富な商品バリエーションとい う付加価値を提供したものの、より多くの情報を処理することで、反対に消費者に“選 択するストレス”を与えてしまった。このような現象は「決定麻痺」という心理的バイ
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アスによるものだと橋本(2014)は指摘している。選択肢が多すぎることでかえって決 断を妨げ、決定を先送りしてしまう恐れがあるため、適切な情報提示が店頭では求めら れる。
このように、広義の行動経済学の心理効果をマーケティングに活用し、無意識のうち に消費者心理に働きかけることで、売場の購買行動にポジティブな影響が期待できる36。 昨今の情報社会において、売場も各メーカー企業の商品と販促ツールで情報があふれか えっているため、より視認性の高い新たな販促ツールの開発に着手しがちだが、その前 にまずは既存ツールの“質”の改善に取り組むべきではないだろうか。
36 マルク・アンドルース、マティス・ファン・レイヴェン、リック・ファン・バーレン(2016)『人を動かす広告デザインの心理術 33―
人の無意識に影響を与えるイメージに秘められた説得力―』株式会社ビー・エヌ・エス新社, p100-170
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第 2 章 POP 広告と店頭コミュニケーション
2.1 マーケティング環境の変化と店頭コミュニケーションの重要性
AMA(2008)37は、広告を次のように定義している。「広告とは、営利企業や非営利
組織、政府機関または個人が、特定のターゲット市場や聴衆に対して、製品、サービス、
団体またはアイディアについて、伝達または説得するために、大量伝達が可能な媒体の タイムまたはスペースを購入して、告知や説得的メッセージを掲出することである。」
38。2008 年の定義は、前回の 2004 年の定義からわずか 4 年での変更となり、広告を取 り巻く環境の急速な変化を示していることがうかがえる。特に 2004 年の定義と比較し、
2008 年では有料媒体という文言がのぞかれ、広告の役割として「告知」や「説得」の部 分が強調されている39。このことから、広告における役割が従来の単なる情報の発信と 販売促進のみならず、「説得」というコミュニケーション的視点が取り入れられている ことがわかる。そのため、広告において、商品の告知と購入を説得させるためには、ど のような訴求メッセージ・表現をすべきか、制作プロセスにおいて十分に検討すべきで あるといえる。
これまで広告は、マーケティング手法のひとつとして取り上げられてきている。
McCarthy(1960)は、企業がターゲット市場でマーケティング目的を達成するために 用いるマーケティングツールの組み合わせを唱えたマーケティング・ミックスの4Pの 概念を唱えた。4Pはそれぞれ製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモー ション(Promotion)の頭文字を代表しており、その後4Pのような企業側の視点に立
37 AMA(American Marketing Association の頭文字をとった略)で、アメリアマーケティング協会
38 原文は、「Any announcement or persuasive message placed in the mass media in paid or donated time or space by an identified individual, company, or organization.」で、AMA のホームページより抜粋。(https://www.ama.org/Pages/default.aspx アクセス日 2018 年 12 月 1 日現在)(和訳(三井、2016 年))
39 AMA が 1985 年定義以後 2004 年に再定義づけがされ、その4年後の 2008 年に再度定義づけされていることからわずか 4 年の間に定義 変更をすべき環境が急変していることを示している。(三井雄一(2016)「広告に求められる役割についての考察―マーケティング・コミ ュニケーション定義の変遷からみる広告効果の変化―」『清泉女学短期大学研究紀要第 35 号』, pp60-77)