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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

厳しい地圏環境下における岩盤不連続面のせん断 : 透水同時実験方法の開発に関する研究

三谷, 泰浩

https://doi.org/10.11501/3151003

出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

Kodak Color Control Patches

Blue Cyan Green

Kodak Gray Scale

A

1 2 3 4 5 6

Yellow Red Magenta

8 9 10 11

White

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18 19

(3)

...

厳しい地圏環境下における岩盤不連続面の せん断-透水同時実験方法の開発に関する研究

1 999年1月

三谷 泰浩

(4)

目次

第1章 緒言

1.1 地下開発と地圏環境・・・・・・・・・・

1.2 地圏環境評価のためのカップリング特性把握の必要性・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1.3 研究内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

第2章

岩盤不連続面のせん断特性および透水特性

2.1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 2.2 不連続面の種類と分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 2.3 不連続面の属性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 2.4 不連続面のせん断特性の把握手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 2.4.1 室内試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 2.4.2 原位置試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 2. 5 不連続面の変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 2.5.1 圧縮変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 2.5.2 せん断変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 2.5.3 ダイレイタンシー特性・・・・・・・・・・.. . . .. 20 2. 6 不連続面のせん断強度特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

2.6.1 垂直応力による影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. . . .. 24 2.6.2 不連続面の粗さによる影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 2.6.3 壁面強度による影響.. . . .. 26 2.6.4 充填物の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 2.6.5 寸法効果による影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. . . .. 31 2.7 透水特性の把握手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.31 2.7.1 室内試験.. . . .. 34 2.7.2 原位置試験・・・・.. . . .. 39 2.8 単一不連続面の透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

2.8.1 不連続面の状態の違いによる不連続面の透水特性・・・・・・・・・・・・・・ 43 2.8.2 不連続面に作用する外的要因による不連続面の透水特性・・・・・・・・ 46 2.9 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

第3章

不連続面のせん断-透水同時実験装置

3.1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50 3.2 不連続面のせん断-透水特性に関する従来の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・.50 3.3 せん断-透水同時試験装置の設計・開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

3.3.1 せん断装置部および計測・制御装置部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66

-}-

(5)

...

3.3.2 透水加圧装置部および計測・制御装置部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 3.3.3 人工不連続面作成装置部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 3.4 試験体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76 3.5 透水係数の算定方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78 3.6 AE計測システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83 3.7 不連続面表面形状の計測システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84 3.8 せん断-透水同時実験システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86 3.9 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86

第5章 先行履歴を与えた人工不連続面のせん断-透水同時特性

5.1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140 5.2 実験方法および実験ケース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140 5.2.1 Casel PS, Case2 PS・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140 5.2.2 Case3 PD, Case4 PD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・142 5.3 垂直応力の異なる先行履歴による影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 142 5.3.1 せん断応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 142 5.3.2 垂直変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 144 5.3.3 透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 148 5.4 せん断変位の異なる先行履歴に よる影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153 5.4.1 せん断応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153 5.4.2 垂直変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153 5.4.3 透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 5.5 先行履歴を与えた時のせん断初期 のせん断特性と透水特性の関係・・・ 160 5.6 せん断過程での不連続面の表面形状の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163 5.7 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 166 第4章 人工不連続面のせん断-透水同時特性

4.1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88 4.2 岩石材料の基礎特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88 4.2.1 物理特性試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. . . .. 90 4.2.2 超音波速度試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. .. 90 4.2.3 引張試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 4.2.4 一軸圧縮試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 4.2.5 三軸圧縮試験 .. . . .. 94 4.3 実験方法および実験ケース・・・・・・・・.. . . .. 94 4.3.1 垂直荷重制御による垂直応力一定条件下での実験方法・・・・・・・・・・. 94 4.3.2 垂直変位制御による垂直変位一定条件下での実験方法.. . . .. 98 4.4 垂直応力一定下でのせん断-透水同時実験・・・・・・・.. . . .. 99 4.4.1 せん断応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. . . .. 99 4.4.2 垂直変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 4.4.3 透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105 4.4.4 AE特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 4.5 垂直変位一定下でのせん断-透水同時実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110

4.5.1 かみ合った不連続面の垂直変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110 4.5.2 せん断応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 4.5.3 垂直応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・116 4.5.4 間隙幅の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119 4.5.5 透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 4.5.6 AE特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 4.6 せん断初期におけるせん断特性と透水特性との関係・・・・・・・・・・・・・・・・123 4.7 Bartonらのモデ、ルとの比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129 4.8 せん断よる表面形状の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 130 4.9 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137

第6章 自然の不連続面のせん断-透水同時特性

6.1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170 6.2 試験体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170 6.3 不連続面表面の性状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170 6.4 試験体 の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 176 6.5 実験方法および実験ケース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 179 6.6 せん断応力特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 181 6.7 垂直変位特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 183 6.8 透水特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 184 6.9 AE特性との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 190 6.10 表面形状の変化 との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.. . . .. 194 6.11 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 198 第7章 結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 202

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 207

表号記

謝辞

-11-

-111-

(6)

A

第1章 緒言

1. 1 地下開発と地圏環境

近年における科学技術の進歩は人類にかつてない利便性と, 快適で豊かな社会をも たらしている. その成果のひとつとして優れた建設技術を駆使した膨大な社会資本が 建設されてきた. しかし, 一方では, 地球規模での環境問題を引き起こし, 今や「開 発と環境の調和J, I持続可能な開発Jの推進は全人類的課題 となるに至った. 昨今 では, 環境に関連する 様々な指摘が多岐にわたる分野でなされ, 環境に関する意識の 向上も見られるが, 現実には人類の開発活動は, 現状の拡大を継続するものと見受け られる. とのような状況のもと, I環境と調和した新しい活動 空間の創出Jが強く求 められるようになり, その中でも, 80年代後半から, 深部地下空間の開発・利用がそ の1っとして注目されるようになった.

地下空間は, 我々の生活と密接に関わってきた. 古くは, 住居として利用し, 産業 の発展とともに進められた資源採取 ・トンネノレ・地下鉄などの輸送施設, ライフライ ンなどの生活基盤施設といった様々な利用がなされている. また, 最近では産業施設 として, 地下発電所・石油・LNGおよび圧縮空気などの岩 盤内エネルギー貯蔵施設・

高レベル放射性廃棄物処分施設など, 革新的地下利用技術の開発や建設プロジェクト が検討・推進されている. これらはいずれも, 地下が有する建 設立地上の有利性, す なわち3次元的に広がる空間を有効に利用できること, 生活環境から隔離できること などの空間的特性・岩盤の高強度・高剛性・気密性・化学的安定性などの工学的特性,

その他にも恒温性・耐震性などといった地下がもっ特有の特性を積極的に利用しよう とするものである. こ のように地下空間の利用は, 多様化・大規模化・深部化してお り, 今後は, 地下1000mレベルの厳しい地圏環境下での開発が行われる傾向にある.

地下開発は, 自然・ 社会環境からの制約が少ない状況下で行うため, 環境保全に貢 献できるが, 他方で地圏の環境へ大きな影響を及ぼす. これまでにも, 地盤沈下・地 下水系の変化・土壌汚染など, 著しい被害を与えた例が, 数多く報告されている. こ のような地下開発による地圏環境問題は, 地下が, 透視が利かず, -ii開発を行うと 元の状態に戻すことや取り壊し, 改修といった再利用が困難であるという不可逆性を 有していること, 開発による環境への影響が生じたとしても, 密度の高い隔離性のあ る地盤を介して周囲に 伝えられるため, その伝播が経時的に緩慢で感知しにくく, 比 較的長い時間を経過し て影響が広範囲に及んだ後, 初めて周囲 に感知されること, な どの理由から非常に難しい問題となっている.

したがって, 厳しい地圏環境下における地下開発にあたって 新たに創出される環境 について正確に捉え, 開発が環境に与える影響予測及び環境保全といった観点からの 配慮、・先見性を持って , 計画, 建設, 維持管理, 廃棄の各段階で周到・適切な対策・

監視を行うことが肝要となる.

(7)

Fig.1.1-1 A 4 x 4 rock mechanics-rock engineering matrix (after Jao & Hudson, 1995).

(T)

1. 2 地圏環境評価のためのカップリング特性把握の必要性

地下開発が地圏環境へ及ぼす影響を適切に評価し, 地圏環境 に配慮した開発を行う ためには, 地下を構成する岩盤の情報をできるだけ多く, かつ詳細に明らかにする必 要がある. しかし, 岩盤の力学・透水・熱などの各特性は, 相互に影響し合い, 非常 に複雑であるため, これら個別の特性を明らかにすれば, 岩盤の状況を的確に捉えら れるというわけではない.

Y.Jao & J. A. Hudson(1995)は, この複雑な岩盤を工学的 に取り扱うために, 岩盤に 発生する事象をシステム的に取 り扱 う岩盤工学システム (rock engineering sy stems : RMS) の重要性を提言し, ある事象を評価す るためには, その事象と相関性のあるす べての事象を同時に取り扱う完全同時モデル(fully- cou pled model : FCM)を提案し,

岩盤に生じる事象を総合的にシステム化したモデ、ルとして取り扱うことが必要である ことを示している. Fig.1.1-1に岩盤構 造物の建設に伴う事象の相関マトリ ックスを示 す. この図に示すように, 岩盤構造物の建設にあたっては, ハッチングしである4つ の事象を明らかにすることが必要で あり, そのためにはそれらを支配する12の事 象を 明確にしておく必要が あることを示している. さらに, このマトリックス中に不連続 面に起因する事象が, 12のうち7つも考えられているように, 多くの 岩盤内に存在す る断層, 節理などの不連続面の重要性も示している.

o .Stephanssonら(1995)は, 不連続面の挙動は, Fig.1.1-2に示 すように, 熱(出ermal 仕組 sport: T) ・水(fluidflow : H) ・力学的挙動(mech組ica1 deformation : M)の3つ の特性に依存した挙動を示すとし, これら個別の特性だけでなくこれらの相関性を考 慮した同時特性の重要 性を示している. そして, これまでの研究では, 熱に関する同 時特性は, 既存の熱伝導, 熱応力などの考えを適用することで説明がつく部分が多い が, 水と力学的挙動の同時特性については未知の部分が多く, これを明らかにするこ とが重要であることを示している.

このように, 実際の岩盤内に地下空間を建設する際に生じる岩盤の挙動は, 特に不 連続面に支配的であり, とりわけ, その不連続面に関わる様々な特性を明らかにする ことが重要となる. これまでの地下開発では, 単に空洞やトンネノレといった空間を建 設することを目的として開発が行われてきたため, 岩盤不連続面の力学的特性, 透水 特性, 熱特性といった個別の要素特性を把握すれば対処するこ とができた. しかしな がら, 放射性廃棄物の地層処分やエネルギーの地下貯蔵などのように, これまでに経 験したことのない地下1000 mレベルの厳しい地圏環境下での検討が必要となる場合に は, 相互に関係のあるこれらの特性を同時に検討する必要がある. 特に, 過去の地殻 変動や開発による影響で不連続面がせん断履歴を受けた時に, その力学的特性・水理 学的特性が大きく変化することが予想されるが, 不連続面の入力値となるせん断・透 水特性を得る手段や方法は, 現状では確立されていない. 今後, 増大するであろう厳 しい地圏環境下での問題を考える上では, この不連続面の力学的・水理学的同時特性 を明らかにすることが非常に重要な課題となる.

そこで, 本論文では, 岩盤不連続面のせん断特性と透水特性を同時に評価し, せん 断による透水特性の変化を捉え, そのメカニズムを解明し, 解析に必要な同時特性を

A slronger rock can SUSlaln a hígher slress

InlaCl rock plus disconlínuillC

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1.2 High slress

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CONVECTION BUOYANCE

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FLOW IN JOINT

Di.sconlinuilies diclale

1.3 Conneclivity

Slress field alters joint permeabilily

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2.3

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6 1.4

Design of openlngs 10 allow for

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Drainage during conSlrucllon

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C0515. elC 4.4

AND EXPANSION FRICTIONAL HEAT

JOINT

DEFORMATION

FLUID PRESSURE

CONDUCTIVITY CHANGE

Fig.1.1・2 Coupled T皿H-M processes of rock joints (after Stephansson, 1995).

-3ー

-2-

(8)

A

実験的に得ることを目的として研究を行う.

第2章 岩盤不連続面のせん断特性および透水特性

1. 3 研究内容

本論文は以下に示す7章から構成される.

本章1.1, 1.2節では, まず本研究の背景と目的について述べた.

第2章では, 岩盤不連続面について, 分類し, 不連続面を定義づける特性について 整理する. そして, 岩盤不連続面のせん断特性, 透水特性の一般的な把握手法, これ らの特'性に関する従来の研究成果について調査し, その特徴と問題点を整理する.

第3章では, 過去に試作されたせん断-透水同時実験装置について調査し, その問 題点を明らかにする. そして, これらの問題点を解決し, 不連続面のせん断-透水同 時特性を定量的に把握するための新しいせん断-透水同時実験装置の設計・開発を行 い, 岩盤不連続面のせん断一透水同時特性を明らかにするための手法について検討を 行う.

第4章では, 開発した実験装置を用いて, 花開岩, 砂岩の不連続面の基礎的なせん 断-透水同時特性を明らかにするための実験を行う. 実験では, 人工的に作成した不 連続面を用いて, 作用する地圧による影響を捉えるために様々な垂直応力をせん断中 一定として与えた実験 , 深部地下での変形を拘束された状態を想定し, 垂直変位をせ ん断中一定とした実験を行い, 異なる境界条件下におけるせん断-透水同時特性を明 らかにすると 同時にAE計測 , 不連続面表面 形状の変化についても計測し , せん断透 水挙動のメカニズ、ムについての検討を行う.

第5章では, 実際の不連続面は岩盤内において様々なせん断履歴を受けて存在する ことが多いことから, この履歴によるせん断-透水同時特性への影響を明らかにする ことを目的に, あらかじめ垂直応力, せん断変位をパラメータとするせん断履歴を与 えた不連続面に対して, せん断-透水同時実験を行い, その際のせん断一透水同時特 性について検討を行う.

第6章では, 現場から採取した自然の不連続面のせん断-透水同時実験を行い, こ れまでに得られた知見を基に自然の不連続面のせん断-透水同時特性を明らかにする.

第7章では, 各章で得られた結果を総括して本論文の結論とする.

2. 1 はじめに

岩盤は大小様々な不連続面(地質学的分離面)を含んだ複雑な構造体である. 岩盤 の挙動は, 構成する母岩の材料特性と不連続面の配置状態(幾何学的特性)及びそれ ら不連続面の力学・透水特性等が混ざり合って発揮された結果として現れ, 岩石が示 す特性とは本質的に異なる. 岩盤力学・岩盤工学が対象とするのはこうした構造体と しての不連続性岩盤である.

鋼構造物のように均質な銅製品を構造材料とするようなものについては, 試験片か ら構造材料の特性を特定すれば構造物全体の力学挙動を精度よく予測・評価すること ができる. しかしながら 自然界で形成された岩盤については, その内部における不 連続面の位置・方向・大きさ・連結性, 及びそれらの力学・透水特性といったような 岩盤の構造を特徴づけている事柄は, 他材料で行われる評価方法ではほとんど把握で きない. このことが, 岩盤の挙動に対する予測・評価が難しいといわれるゆえんで、あ る. 不連続性岩盤の挙動を工学的設計の中で信頼しうる精度で予測・評価するために は, まず, 不連続面の分布性状, 力学的特性及び透水特性などの諸特性を明らかにす ることが必要となる.

本章では, まず, 不連続面を分類し, 対象とする不連続面の工学的特徴を明らかに し, 不連続面を特徴づける属性について整理する. そして, 不連続面のせん断特性お よび透水特性に関する過去の研究成果, 研究の現状について調査し, 不連続面のせん 断, 透水特性の把握方法およびこれらの特徴について整理する.

2. 2 不連続面の種類と分類

Hoek & Brownら(1985)がFig.2.2-1に示したように, 地下空洞周辺の岩盤には無数の 不連続面が存在する. しかし, それを考える標本の大きさによって岩は, インタクト な岩から不連続面を多く含んだ岩へと変化する. 一般に, 岩は内在的な不連続面を含 んでおり, 岩の挙動は不連続面に支配される. このような不連続面は, 「2つのかみ

合った表面と1つの隙間(さらには, 隙間にある充填物)から成り, 岩盤(もしくは

ある程度大きな岩石)が有する特徴として考える必要のある不連続面であるJと定義 される. しかし, 地質学的な不連続面の分類と工学(岩盤力学)的な不連続面の分類 とではその定義が異なる.

岩盤中の不連続面(地質学的分離面)は, 地質学的に, 次のように分類されている (日本材料学会(1993)).

1) 断層[fa1ut] :面 に平行な相対変位が認められる不連続面

2)破砕帯[fracture zone] :断裂, 圧砕などの作用によって, 不連続面が集合を成して 帯状に存在するもの.

-4骨 ζJ

(9)

Fig.2.2・1 Concept of rock sample in discontinuities rock in according to the sample scale (after Hoek & Brown, 1985).

-6ー

a凪

3)節理[joint] :面に平行な相対変位がない規則性のある比較的小規模の明瞭な割れ 目, 節理群[joint set]と呼ばれる平行な割れ目群を形成する場合が多い. 不連続面 相互の間隔は数センチメートルから10cm以上と様々である.

4)裂か[fissure] :開口しているか, あるいは充填物があってもかつては開口してい たことが明瞭な不連続面. 節理との区別が紛らわしいので, 通常は小さなクラッ

クに対して用いるか, あるいは羽毛状裂か, 乾燥裂か, 収縮裂かのように限定的 にこの用語を用いる.

5)片理[schistocity] :結品片岩, 千枚岩などの広域変成岩に発達する数ミリ間隔の密 な分離面.

6)葉理[lamination] :堆積岩の同一地層内に見られる鉱物粒子の規則的な配列による 分離面.

一方, 岩盤工学の観点から, ISRM[Intemational Society for Rock Mechanics]が岩盤に 対する統一的な見解を示すための用語の定義を行っている(ISRM指針:岩の力学連 合会(1982)). その中で岩盤の不連続面に関する項目は以下のように述べられている.

1)不連続面[discontinuity surface] :岩盤についてのある性質が不連続になるような面,

破壊面, 弱面, 層理面などの総称. この定義は力学的不連続面に限定されない.

2)弱面[plane of weakness] :周囲の材料の強度より低い(せん断, 引張り )強度を有 する面, あるいは狭い帯状の領域.

3)割れ目[合acture] :岩石あるいは岩盤中のあらゆる力学的不連続性を表す一般的表 現. すなわち, 節理, 断層, 亀裂を総称している.

4)断層[fault] :破砕面に平行に両側の地盤を相対的に変位あるいは転移させた破砕 面または破砕帯(この範囲は数センチメートノレから数キロメートルに及ぶ).

・断層群[fault set] :多かれ少なかれ平行になっている断層の集合.

・断層系[fault system] : 2つ以上の断層群から形成された断層の組 み合わせ.

・共役断層[conjugate faults] :同一応力状態で形成された断層の一対(通常せん断 応力による組).

5)節理[joint] :連続性の岩体中にみられる地質学的起因による割れ目. 単独または 組, あるいは系となって出現する. しかし, その不連続面に平行な方向の, 目に 見える大きさの変位を伴わない.

・節理群[joint set] :多かれ少なかれ平行になっている節理の集合.

・節理系白oit system] : 2つ以上の節理群から形成された節理の組み合わせ. また,

放射状や同心円状などの特徴のあるパターンをもった節理の集合体.

・共役節理[conjugate joints] :同一応力状態で形成された節理の一対(通常せん断 応力による組).

・節理パターン/ジョイントパターン[jointpattem] :特徴ある幾何学的関係、を示

す官有理の集合 体であり, 同じ地質岩体内でも場所によってかなり変化している.

6)裂か[fissure]:間隔のある割れ目.

-7-

(10)

7) 破断[rupture] :不安定な状態が生じる様な破壊の発達過程. ruptureとfractureが同 意語として岩盤力学で、用いられているのは好ましくない.

8) クラック[crack] :小さな破断面. すなわちそれが発生している構造体の大きさに 比較して小さい破壊面.

9) 層理[foliation] :堆積物の圧密の結果生じた岩盤中に形成されたものである. 同種 あるいは異種の材料(例えば, 頁岩, シルト岩, 砂岩, 石灰岩など)層間の境界 面を示す.

10) 片理[schistosity] :組粒状の変成岩において生じる葉理の一種であり, 一般に岩 石内の板状あるいは楕円状の鉱物粒子が平行に配置されることにより起こる.

11) 葉理[foliation] :異種の鉱物が片理に平行な層へ分離した結果により得られる.

多少薄片状になった構造.

12) へき開[cleavage] :明確な平行面に沿って割れ目を作ったり裂けやすい性質. こ の面は層理に対し強く斜交することがある. 2次構造であり, 通常少なくとも岩 石のある種の再結晶を伴う.

このように, 岩盤工学的には地質学的な分離面の総称を"不連続面", H弱面", H割れ 目"として表現している. これは, 地質学では不連続面についての成因や形成過程が 興味の対象とされてきたのに対して, 岩盤力学や岩盤工学の分野では, 単に割れ目で あるとし、う事象の力学的取り扱いに第一義的な関心が持たれてきたことの違いによる といえる. また, 節理以下の規模の分離面について工学的には"クラック"として総称 し, H層理H, H片理H, H葉理"といった分類がなされている. 特に"層理"という概念は 工学的な分類のみに存在する特徴的なものである.

以上, 岩盤の不連続性はその特性や形態に応じて様々に分類されているが, 本研究 では, 岩盤構造物周辺の岩の不連続面の基礎的なせん断・透水挙動の把握を目的とす るため, 断層や破砕帯などのような規模の大きな不連続面については対象とせず, 岩 盤構造物周辺に無数に存在する節理以下の規模の不連続面を対象とする.

2. 3 不連続面の属性

不連続性岩盤の力学挙動を予測・評価するためには, まず, 不連続面が岩盤中にど のような形態で存在して岩盤の構造を規制しているのかを知らなければならない.

Å

「不連続面の存在形態を知る」とは, 不連続面に関する属性を客観的に(定量的に) 記載することであり, その際, どのような属性を取りあげるかが問題となる. 本節で は, 岩盤における不連続面の存在形態そのものを明らかにすることを目的に, 工学的 に重要となる不連続面の属性についてISRM指針(岩の力学連合会(1985))を参考に以

下に示す.

1) 方向[orientation]

不連続面の方向は3次元的な不連続面の方向, 傾斜方位(dip direction)と不連続 面の傾斜角(dip angle)で、表され, コンパスやクリノメータによって計測される.

官』ーーー

2) 不連続面の間隔[spacing]

不連続面の間隔は, 隣合う不連続面間の垂直な方向の距離であり, 通常は1つ の節理群における平均間隔あるいは代表的な間隔を指す. 通常測定用テープ・ コ ンパス・クリノメータによって計測される. 隣接し合った不連続面の間隔が主と してインタク トな岩個々のブロックの寸法を支配している. 不連続面の間隔が狭 いと岩盤内に多くの不連続面を含むこととなり岩盤の強度を低下させ, 逆に間隔 が広い場合には相対的に強度は増大する.

3) 連続性[persistence]

連続性とは, Fig.2.3-1に示すように, ある1つの断面内で、の不連続面の長さあ るいは面積の広がり(継続性)を意味し, 堅固な岩, あるいは他の不連続面を不 連続面の終端とする. これは最も重要な岩盤指標の1つで、あるが, 定量化するこ とが最も困難なものの1つでもある.

4) 不連続面の粗さ[roughness]

不連続面の壁面粗さは, そのせん断強度に対して大きな影響を与え, せん断強 度を推定するための指標となりうる. 特に履歴としての変位を受けておらず, か み合った状態(例えば充填物などがない場合)の時には, せん断強度に対する粗 さの影響度は大きく, 逆に間隙の幅や充填物の厚さが大きくなったり, 履歴によ る変位が進むほどその影響度は小さくなる. 一般に不連続面の粗さは, 不連続面 を大局的に捉えた場合の波状性を表す起伏度[Waviness]と微視的にとらえた場合 の粗度を表す凹凸度[Unevenness]の2つによって特徴づけられる. 起伏度はせん 断時の初期の滑動方向に影響を及ぼすとともに, 起伏を破壊するような大きなせ ん断力が作用しなければ, せん断時にダイレーション[dilation]を発生させる. 凹 凸度は小規模の粗さを意味し, その強度や応力レベルに応じてダイレーションや 損傷などを引き起こす. そのため室内あるいは中規模の原位置せん断試験におい て計測されるせん断強度に影響を与える.

5) 壁面強度[wall strength]

不連続面の壁面強度とは, 不連続面の壁面を構成する岩石の圧縮強度である.

これは, せん断強度や変形特性の重要な要素の1つである. せん断時には壁面の 凸部が接触し, 岩石の壁面強度を越えるとこの凹凸部が破壊する. この不連続面 の変化は, 変形と破壊に対して大きな影響をもたらすため, 不連続面の壁面強度 を把握することは重要である.

壁面強度に影響を与える因子としては, 風化および変質が考えられる. 岩盤は 大気と接触する表面や水・空気の出入りする不連続面に沿って内部に風化・変質 を受ける. そのため岩質, 岩盤および不連続面壁面の風化と変質状態の把握は重 要となる. 岩盤の壁面強度, 特にせん断強度や変形特性に影響を与える岩石壁面 の比較的表層部分の強度は, シュミットハンマー試験などの簡易な指標試験によっ て計測される.

6) 不連続面の間隙幅[apea巾re]

不連続面の間隙幅とはFig.2.3-2に示すように, 関口容jれ自の向かいあった壁面

(11)

Fig.2.3-1

(a) 密着不連続面

コニ二にご ζ二ユ二二7

- r

一 司� 一 一「

続 し なf不連続iJijg�

,..,

I I

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_ L 一一 / ー/ -_.!. -

I I

,..,

The sketch of continuity and discontinuity.

(b) 関口不連続面 (c) 充損された不連続面

Fig.2.3-2 The concept of the wide of aperture.

ー10-

a‘ 'ー-

7)

聞 の垂直距離をいう. ただし, その間隙が中空状態か水で満たされている場合に 用い, 図中(c)に 示すように間隙が充填物で満たされている場合の充填割れ目の幅 とは区別する. 間隙ができる原因としては, 無視できない粗さや起伏を持つ不連 続面のせん断変位, 引張力による開口, 充填物の流出, および溶解などが考えら れる. その幅に関しては, 充填物の流出や様々な引張により生じる間隙が数十,

数百, 場合によっては数千mmの幅となるのに比べ, 地下岩盤に見られる多くの 間隙は通常およそO.5mm以下に過ぎない. 一般に, 不連続面が例外的に滑らかで かつ平坦でない限り, 関口幅が0.1'" 1.0mm程度で、閉じていれば, せん断強度に影 響を与えないとされている. しかし, 間隙中を水が通ることにより, どんなに狭 くても間接的に有効応力を変化させるものであれば, 意味をもつものとなる. ま た, 間隙が最も影響をあたえるのは透水性であるため, これらの特性把握には欠 かせない特性である.

充填物[fùling]

不連続面の充填物とは, 不連続面の壁面聞に介在する物質を示し, 砂, シルト , 粘土, 角れき, 断層粘土, 圧砕岩などがこれに相当する. これは不連続面の間隙 に流入したもの, 不連続面形成時のグージである. また, 薄い鉱物脈や石英脈,

方解石脈などが密着している場合すなわち貫入岩も充填物とする. とのように充 填物を含む不連続面は産状が非常に多彩である. 充填された不連続面は充填物の 状態が異なれば物理的な挙動(特に, せん断強度, 変位特性)や透水性に影響を 与える.

8) 不連続面の透水性[permeability]

岩盤中の水の透水は, 主として透水性の卓越した不連続面を通じて行われるた め, 不連続面の透水性は非常に重要である. 層流状態において透水は, 概ね局所 的な動水勾配と透水方向の透水係数に比例するダ、ルシー則に従う. 充填物のない 不連続面を通る高速流は乱流となるため, 水頭損失を増加させる.

9) 不連続面のセット数[number of set]

不連続面のセット 数とは, 交差する節理系を構成する節理の数で, 互いに交差 する不連続面のセット数により岩盤の力学的挙動は支配される. これは, 健全な 岩を破砕することなしに岩盤が変形できる範囲や岩盤の変形・破壊のモードなど がセット の数によって決定されるためであり, 不連続面のセット数は岩盤の 強度,

変形を支配する特性となる.

10) ブロックサイズ[block size]

ブロックの大きさは, 先に述べた不連続面の間隔, セット 数, そしてブロック を形どる不連続面の連続性(交差し合う節理群のそれぞれの方向と間隔)によっ て決定される. セットの数と方向は, ブロックの形状(例えば, 立方体, 菱面体,

四面体, 板状など)を決定する. また, ブロックサイズとブロック聞のせん断強 度という2つの性質から決まる特性は, 与えられた応力条件下での岩盤の力学的 挙動を決定する. そのため, ブロックの大きさは, 岩盤の挙動を把握する上で重 要となる.

ー11-

(12)

A.

以上のように岩の不連続面を評価する上で、重要

なる属性について述べたが, これ らの属性のうち不蹴面の「方向J r間隔J r蹴性Jは不連続面の幾何学的な属也 不連続面の「粗さJ í壁面強度J í関口幅J í充填物J r浸透性Jは不連続面の工学 的特性に関する属性, rセット数J rブロックサイズ」は視野を岩盤に広げた時の不 連続面の集合体としての幾何学的属性である. これらの属性は, 共通の認識のもとに 客観的に不連続面を評価する上では重要な目安となる. しかし, 各属性の評価に際し てはほとんどが定性的な判断基準を導入しているため, 我々が目的としている工学的 に意味のある評価手法とはなっていない. そのため, これらの基本的な属性を定量的 に捉え, これらをパラメータとして不連続面のせん断特性, 透水特性を工学的に評価 することが重要となる.

2. 4 不連続面のせん断特性の把握手法

不連続面の力学特性として, 不連続面を定義づける特徴を整理すると以下の点が挙 げられる.

① 面に沿った方向にすべりが生じること.

② 面に垂直な方向の引っ張りカには抵抗しないこと.

③ 面に垂直な方向の圧縮性を増大させること.

この様な特徴を示す不連続面の力学特性を把握するために行われる室内試験や原位 置試験の方法について以下に示す.

2. 4. 1 室内試験

室内試験は主に小規模不連続面を対象として実施される. 不連続面のせん断特性を 調べるためには, 通常, 一面せん断試験(不連続面をすべり面とした直接せん断試験) や三軸圧縮試験が実施される. また, 垂直変位特性だけを把握するのであれば一軸圧 縮試験でも可能である.

実際の不連続面の特性を調べる場合, 試験体は, 地質調査用のボーリングコアから 不連続面を含む部分を取り出して作成するか, 露頭などで不連続面を含む岩石ブロッ クを採取し, そこから作成する. また, 調査坑が掘削される場合には, 掘削ズリや坑 道壁面から不連続面を採取することも可能である. その場合, 不連続面が乱れないよ うに慎重に作業する必要がある. 一方, 不連続面の基礎的な力学特性を研究的に把握 する場合には, 岩石ブロックやボーリングコアをせん断箱に埋め込んだり, 人工的に 不連続面を作成したり, モルタルや石膏などの材料で不連続面の複製(模擬不連続面) を作成し, 試験に用いることが多い.

(1) 一面せん断試験(不連続面直接せん断試験)

一面せん断試験は, 垂直方向の応力や変位を制御しながら不連続面に沿ってせん断 する試験である. 不連続面の垂直方向とせん断方向に現場の状態や極限的な状態など 任意の境界条件を独立して与えることができ, それらを容易に制御することができる

ー12-

長所がある. 一般には, 垂直応力が一定になるように制御しながら一定速度でせん断 を行い, 不連続面の強度, 変位特性を求める.

試験では, Fig.2.4-1に示すように不連続面の表面がせん断面と一致するように試験 体をせん断箱に固定した後, 上下方向に一定の垂直応力を作用させたまま, せん断箱 の上箱もしくは下箱にせん断荷重を加えていき, せん断変位を起こさせる. 作用する 垂直荷重は常に一定で接触面積の中心にかかるようにし, せん断中は試験体が回転し ないような配慮が望ましい.

試験体としては, 幅5cm"-'20cm, せん断方向の長さ1Ocm "-' 30cmの長方形のものが用 いられる場合が多い. せん断方向の長さが幅に比べて長くなっているのは, せん断変 位の増加に伴うせん断面積の変化や垂直応力の偏心を小さくするのに効果的である.

一般に, 試験の目的に応じて様々な形状と大きさの試験体が用いられている. 小型の 試験体や不定形状のものは石膏やモル タルを用いてせん断箱に固定される.

ISRM指針(岩の力学連合会(1983))によれば最大垂直応力は想定される応力の2倍 程度とし, その間隔を4段階程度に分けて設定するのが望ましいとされている. せん 断速度の一般的な範囲を記すのは難しいが, 充填物が無い不連続面では, 不連続面長 に対して0.01%'"'-' 1 %/ minの範囲で、行われる場合が多い. 間隙水圧の影響を考慮する 場合には, さらに遅いせん断速度でせん断されることもある. また, 最大のせん断変 位は残留強度に漸近するように十分に与えるのが一般的である.

この試験では, せん断時にせん断面の面積が変化するためその補正が必要となるこ と, せん断ひずみとせん断応力が試験体の前後端に近い部分で大きくなり, せん断力 が材料の強度を越える場合には進行性の破壊を生じる恐れがあるなどの宿命的欠点を 有する.

(2) 三軸圧縮試験

これは, 不連続面のせん断変位に対して十分な内部空間をもっ三軸セルを用いるこ とによって実施される三軸試験である. 不連続面の三軸試験は, Jeager(1959)によって 導入され, これまでに様々なジョントについての結果が報告されている.

その原理については, Fig.2.4-2に示すように, 試験体軸方向に対してその面でのせ ん断破壊を生じるように傾斜した不連続面を含む試験体を用いて, 軸差応力と拘束圧 を与えピークせん断強度や残留強度と垂直応力の関係を求める. この試験は, 汎用の 三軸圧縮試験装置がそのまま使用できること, 不連続面を含むボーリングコアを切断 するだけで試験体が容易に準備できること, また, 拘束圧を調整することで低い垂直 応力下でせん断を行うことができるなどの長所を有する. しかし, 不連続面の傾斜角 が大きすぎた り, 小さすぎるとインタク ト部分でせん断破壊が生じるので, 傾斜角が ある範囲内に収まるように考慮する必要がある. また, 不連続面の垂直変位とせん断 変位が同時に変化するので試験結果の整理, 評価が難しい. さらに試験条件によって は大きなせん断変位を与えることができるが, 試験体端部の摩擦の影響, 接触面積が 減少することに対する補正が必要となってくる. また, 大きなせん断変位に対しては 追従できない欠点を有する.

-13-

(13)

&

垂直荷重

(3) 一軸圧縮試験

この試験は, 不連続面の垂直変位特性を求めるためにしばしば行われる試験で, 垂 直な載荷に対して水平な不連続面(傾斜した不連続面については試験不可能)となる ようにした試験体に荷重を載荷し, 不連続面の垂直変位と垂直応力を計測する. 試験 体上下端の変位には不連続面の変位量とインタクト部分の変位量の両方が含まれてい るので, 別途にインタクト部分だけの試験を行い, その変位量を補正して不連続面の 変位量を求める.

| し一一一� I! u�山砲lli

[i i!

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州力低

Schematic view of direct shear test.

Fig.2.4-1 2. 4. 2 原位置試験

原位置試験では, 不連続面のうち特に断層破砕帯などの大規模不連続面を対象とし て行われる. このような不連続面の強度・変位特性を原位置で求めるために行われる 断層せん断試験, 平板載荷試験, 断層三軸圧縮試験, および孔内載荷試験方法につい て述べる.

+++++++++++++

-pill--

A

-Ul--

Schematic view of triaxial compression test.

三柏セJレ Fig.2.4・2

(1) 断層せん断試験

断層せん断試験はFig.2.4-3�こ 示すように, 対象とする断層部分でせん断が起こるよ うに試験体を切り出し, その上部をモルタルで整形して通常の岩盤せん断試験と 同様 の試験を行う. その際, 断層部は脆弱な材料から構成されている場合が多いため, 試 験体を緩めないように慎重に切り出す必要がある.

過去にはせん断面の面積がO.25m2'""'"'8.15m2の範囲で、試験が 行われている. 一般には 一辺がO.5m'""'"'1.5m程度の大きさで, 3カ所前後で試験が実施される場合が多い. しか し, 断層が薄かったり, 断層材料が粘土状である場合には小面積での試験が行われる.

試験では, まず, 垂直荷重を載荷し, その後, 徐々にせん断荷重を増加させる. こ の際, 断層部の力学的な挙動は塑性流動的な挙動を示し, 明確な破壊点を示さない場 合が多い. また, 破壊に至るまでおよび破壊後の変位が大きくなるので載荷装置や計 測装置の選定や計測に注意する必要がある. そして応力レベルの異なる幾つかの試験 結果から, 強度物性値として粘着力と内部摩擦角を求めることができる.

Schematic view of fault shear test.

5∞

単位(mm)

ピストンジャッキ

ぃ∞

8

町、守、a

Fig.2.4-3 (2) 平板載荷試験

本試験は, 断層破砕帯の垂直変位特性を求めるために行われ, 通常行われる平板載 荷試験と同じ方法で断層破砕帯を直接または間接に載荷する試験である. 断層破砕帯 は全体が一様でなく, 場所的にばらつきが多いが, なるべく代表的なところから3カ 所以上選定 して行う.

試験は加圧表面を平らに仕上げた後, セメントペーストや石膏でフェーシングし,

Fig.2.4-4�こ示すようにジャッキにより加圧面に荷重を載荷し, 垂直変位量を計測する.

そして試験結果より, 断層部の垂直剛性を求める. しかし, 断層破砕帯の厚みによっ ては通常の連続体としての評価方法が適用できない場合があるので結果の評価には注 意を要する. 図に示す試験例では, 断層と平行になるように断層面を切り出し, 断層 材料を直接載荷する場合と岩盤をある程度残して間接的に断層に載荷する場合の両方

-14- ー15-

(14)

Â

層理に直角なせん断面を有する場合 フラットジャγキ

による垂直力 FJ 3枚

!副理に平行なせん断面を 布するt待合

長!引川一ノ

スャょん

。噌。 00的同

その結果の比較を行っている.

(3) 断層三軸圧縮試験

試験では断層材料を切り出し, 岩の三軸圧縮試験と同様に3方向からの載荷を行い 試験を行う. 本試験はある意味で室内試験であるが, 現場で実施される場合もあり,

諒験体として大きなブロック状のものを使用することから原位置試験として取り扱う.

これは極めて特殊な試験で、あり, 断層せん断試験や平板載荷試験と比較すると実施例 は極めて少ない(土質工学会(1988)) .

について試験を行い,

Schematic view of plate bearing test.

Idealized rock joint.

Fig.2.4-4

(a) (4) 孔内載荷試験

この試験は, ボーリング孔を利用した載荷試験であり, 断層三軸圧縮試験や平板載 荷試験のように試験体を切り出す必要がないため経済的であり, 不連続面が深部に存 在する場合でも適用できる特徴がある. 載荷方法により等圧分布載荷法と等変位載荷 法の2種類に分けられるが, 断層破砕帯が脆弱であること, 異方性まで考慮しない場 合が多いことから等圧分布載荷法が一般に用いられる.

数段階の孔径に対応した装置があるが, 一般には地質調査用のボーリング孔径が 66mrnで、あるので, これを標準径とする場合が多い. 孔内に挿入する測定部が確実に 断層破砕帯の中に完全に位置するように, ボーリングコアの 観察やボアホールカメラ 等による孔内観察で試験位置を確認しておく必要がある. また, 孔径の変化や孔壁の 乱れがないように慎重にボーリングを行う必要がある. 載荷のパターンは, 載荷圧を 何段階かに区切り, 各段階ごとに圧力を一定時間保持してから次の段階に移る断続的 載荷が一般的である.

.1v

Behaviour of compressed joint.

V剛C

、‘,r'hu f,‘‘、

(Bl I

かみ合った j ジョイント i をもっ岩石 t

p /

50∞

40∞

(一色)R迫梱糊

10∞

20∞

これらの試験は, 既存の不連続面に対して強制的にせん断力を与え試験をする方法 であり, 不連続面を有する岩盤のせん断特性を把握する代表的な方法である. 室内試 験と原位置試験とを比較すると, 本研究で 取り扱う不連続面の規模, 不連続面の基礎 的な特性を把握するという観点からは, 試験時の境界条件を容易に制御することがで きる点で原位置試験より室内試験の方が有効であると考 えられる. また, 室内試験で は, 比較的大きな残留域までのせん断を行うことができ, 試験結果に対する評価が容 易である一面せん断試験が不連続面のせん断試験として最も有効であると考えられる.

しかし, 一面せん断試験は前述したような宿命的な欠点を有しているため, これらを 解決するための工夫が必要となる.

O.∞5 0.010 0.015 0.020 O.∞5 0.010 0.015 0.020 軸1]向変位(in) ジョイントの聞き(in)

Examples of normal stress-deformation beha viour for intact rock,

for interlocked rock and for mismatched joint.

(c) 2. 5 不連続面の変位特性

不連続面の変位特性は, 大別して不連続面に垂直方向とせん断方向の2つに分けら れる. ここでは垂直方向の変位特性について, 不連続面に垂直な圧縮応力が作用した 時の圧縮変位特性とせん断時に発生するダイレタンシー特性を区別し, 以下の3つの 変位特性に分類する.

Normal deformation of rock joint (after Goodman, 1978).

Fig.2.5-1

-

1 7

-

-16-

(15)

4

① 不連続面の面に垂直な方向の圧縮変位特性

② 不連続面のせん断変位特性

③ せん断に伴うダイレタンシー特性

以下それぞれの特性に関する特徴について整理する.

F I l l --'L

2. 5. 1 圧縮変位特性

不連続面に垂直な方向の変位特性に対しては2つの物理的制約がある. まず, 関口 した不連続面は, ほとんど引っ張り強度を持たない. 第2に可能な圧縮量に対して1 つの限度があり, それは不連続面の厚みより小さくなければならない. Fig.2.5-1(a)に 示すような不連続面を含む試験体を圧縮すると, 垂直方向の変位は不連続面のかみ合 わせの程度に応じてFig.2.5-1(c)の(B)あるいは(C)のような曲線を示す. この変位から (A)で示される不連続面を含まない試験体の変位を差し引くと, 不連続面の圧縮変位 が各変位量の差として(B)一(A)及び(B)一(C)のように得られる. この図に示すように,

不連続面の圧縮変位特性は, 初期の段階では垂直変位の増加に伴い, ゆるやかに垂直 応力が増加し, さらに垂直変位が増加すると垂直応力が直線的に増加し, 図に示すよ うな双曲線型のカーブを示す. Goodman(1978)は, このように不連続面の垂直変位特 性を考え, 最大閉塞変位VJOCがその特性を代表する1つの指標と考えた.

また, 不連続面の圧縮変位特性は, 通常, 垂直剛性Knで表される. 垂直剛性は Fig.2.5-1に示すような垂直応力と不連続面の垂直変位とのグラフの傾きから求められ る定数である. これは, Fig.2.5-2 (Yoshinakaら(1986)) に示すように不連続面が閉合 するにしたがって著しい応力依存性を示し, 垂直応力の増加とともに増大する.

これら2つの指標(最大閉塞変位VJOC, 垂直剛性Kn)は不連続面の圧縮変位特性を 表すパラメータとしてよく用いられる. しかし, これらに影響を与える因子としては,

不連続面の初期接触状態(接触面積および開口幅の分布) , 表面の形状, 壁面の強度・

変位特性, 充填物の厚さや物性などがあり, これらをこの2つのパラメータの決定に どのように取り込んでいくかが重要となる.

0.0 Vmc 0.25 0.50 0.75 Vmc 1.00 6v 10lnt closure (mm)

Fig.2.5-2 An example of joint closure vs. compressive stress curves (after Yoshinaka et al., 1986).

r

L1u

(a) An examples of shear stress-shear disp. curves under constant normal s仕.esses.

2. 5. 2 せん断変位特性

不連続面のせん断変位特性のみを把握するような検討はほとんど行われておらず,

通常は, せん断応力との相関性として捉えられる.

不連続面のせん断応力一せん断変位との関係は, Fig.2.5-3(a)に示すようなせん断応 力一せん断変位曲線で表 される(Goodm叩(1978)). 図は一定応力下での不連続面の せん断応力一せん断変位関係、の代表的な事例である. 図中の曲線Aは, 不連続面の凹 凸がかみ合っている場合であり, せん断変位の増加とともにピークまで急激にせん断 応力が増加し, その後に, せん断応力は減少し, 一定の残留せん断応力状態を示す.

一方, シームを挟んだり充填された不連続面は曲線Bのように, 上に凸の応力一変位 曲線を示し, ピーク応力をはっきりと示さない曲線となり, その勾配は連続的に変化 する. そして最終的には, ある残留せん断応力に落ちつく.

このようなせん断応力一せん断変位特性は, Fig.2.5-3(b)に示すようなパラメータで

r (rp,up)

trr,Ur)

L1u (b) Model of shear s廿ess - shear disp. curve.

Fig.2.5-3 Shear stress vs. shear displacement curves (after Goodman, 1978).

-18- ー19-

(16)

4

特徴づけられる. このモデルにおいて, 変位に伴ってせん断応力が増加していく領域 を弾性領域, ピークの強度を最大せん断強度(τp), ピーク以降の領域を塑性領域,

ピーク後の最小せん断応力を残留せん断強度(τr), 弾性領域での勾配をせん断剛性 (Ks)と定義している. そして, これら属性に対して不連続面は以下のような特徴を 持つことが過去の研究から示されている.

. Aタイプの曲線を示す不連続面のせん断岡リ性は, Bタイプの曲線を示すそれより 一般的に大きい.

・せん断剛性は強し、寸法効果を示す. (Fig.2.5-4,Barton( 1972))

また, 不連続面のせん断特性に関する多くのパラメータは垂直応力の変化に大きく 影響を受ける. 一般に, 最大せん断強度, 残留せん断強度は垂直応力の増加に伴って 大きくなる. また, せん断剛性については垂直応力の変化に対して変わらない場合と 垂直応力の増大に伴って増加する場合がある. このような挙動をGoodman( 1978)は Fig.2.5-5に示すような一定剛性モデルと一定ピーク変位モデルの2つのモデルによっ て単純化している.

このように, せん断変位特性は様々なせん断特性(特にせん断応力)を定義づける 基準として用いられる. そのため, せん断変位特性について単独でその特性を論じる のではなく, さまざまなせん断特性を関連付けるものとして取り扱われる.

£ze ハリ'EE--

a室内試験

\\

o .fJL場試験

10‘

。 モテ'ル

( dtp h

s a ο自

、、~

07

) 1

4同E

10 J 主E 主語、と キJ

102ト

2. 5. 3 ダイレタンシー特性

せん断に伴うダイレタンシー特性は, 不連続面に垂直な方向の変位特性の1つで、あ り, せん断特性の中でも重要な変位特性の1つで、ある. Goodman(1978)は, Fig.2.5・6 に示すようなモデルを用いてダイレタンシーの効果について説明している. 垂直応力 を一定に保ってダイレタンシーを自由に起こさせたせん断曲線Aとダイレタンシーが 生じないように鉛直方向変位を拘束したせん断曲線Bでは, ダイレタンシーを拘束し た場合の方が大きなせん断強度を示す. すなわち, 不連続面が拘束された状態にある 岩盤中では, ダイレタンシーは不連続面のせん断強度を高める作用があることを示し ている. そして, Barton(1971)は不連続面に作用する垂直応力が凸凹の一軸圧縮強度 程度の大きさに達すると, ダイレタンシーが完全に抑制される傾向にあることを示し ている.

ダイレタンシーの発生機構は主として不連続面表面の粗さ(不連続面の凹凸による 表面形状)に起因する. XuとFreitas(l990)は, せん断に伴う不連続面の凹凸の挙動を Figユ5-7のように示し, ダイレタンシーの発生, 凹凸の乗り上げ, 破壊現象を以下の ように説明している. まず, (a)の段階において, 垂直応力の増加により, 凹凸は弾性 変位を受け, 不連続面凸部の底角(不連続面凸部が水平面となす角)が低下する. そ の結果, 不連続面の間隙幅が減少する. (a)""'(b)の段階において, せん断が始まること によって凸部の一方の面に静止摩擦力が働き, 凸部の頂点はせん断方向に偏心を受け る. (b)の段階では, 摩擦力の増大による更なる偏心を受け, (c)のピーク強度に達する までせん断応力は非線形的に増加する. ダイレタンシーは, 不連続面の凹凸の乗り上 げにより発生する. さらに, (c)""'(d)の段階で, 不連続面の上面を凹凸はすべりだし,

10' 1.0

) ( 、EE--

100 10∞

ぷ験 ・j法,L (in)

Fig.2.5-4 A variety of shear stiffness according to sample size (after Barton, 1972).

r τ

(2)最底σ

.1u Up u.. .1u

(a) Constant shear stiffness model.

(b)

Constant peak displacement model.

Fig.2.5-5 Shear defoIτnation models (after Goodman, 1978).

-20- -21-

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