第 3 章 従来型店頭 POP 広告の適切な訴求表現
3.2 予備調査
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有無、POPのデザイン(色、画像利用の有無について考察を行う。
3.2.1 調査概要
予備調査として、2008 年から 2017 年の 10 年間の「日本プロモーショナル・マーケ ティ ング協会展・作品年鑑」に記載されている「ショウカード・ステッカー」カテゴ リのPOP作品 241 点を抽出した。集計した「ショウカード・ステッカー」のうち家電 通信カテゴリ類・香りテスター類を除き、食品・飲料・日雑・コスメ・嗜好品カテゴリ のツール 151 点を調査対象として考察を行った49。今回の調査対象から家電通信カテゴ リ類及び香りテスターを除外する理由として、家電通信カテゴリの商材は店舗スタッフ による接客を受けての購入が多く、セルフ購買に比べて各種ツールに記載された情報を きちんと読む機会が少ないと考えられる。また、香りテスターは視覚情報ではなく、商 品の嗅覚情報を通して購買を促すといった明確な目的を有しているたメディアる。
予備調査では、POPに記載されている文字情報(企業名、ロゴ、商品名、メインコピ ー)、POPのデザイン要件(色、商品画像の有無)の 2 方向より考察を行う。大風・竹 内(2008)は消費者が商品パッケージにおける情報処理要素として、「写真」、「製品名」、
「色」、「形状」 の 4 つのデザイン要素を挙げており、これらの要素は製品パッケージ に付随する商品POPにも適用することができると考える。そのため、予備調査では、
調査対象を「写真」、「製品名」、「色」に加え、メインコピーに限定している。序論でも 既に述べたとおり、POP の形状は設置場所や目的、また商材カテゴリにより大きく異 なるため、今回の調査では「形状」要素については調査対象より除外している。
3.2.2 調査結果
予備調査の結果(カテゴリ区分:日雑 38 点、嗜好品 10 点、アルコール飲料 29 点、
飲料 30 点、医薬品 18 点、コスメ 7 点、食品 17 点、ペット 2 点)合計 151 点のツール のうち、下記の文字情報とデザイン要件(色と画像有無)の特徴がみられる。
① POPに記載されている文字情報
企業名もくしはロゴ、商品名の掲載について、151 点のうちそれぞれ 74 点(49.0%)
と 144 点 (95.4%)であった。具体的な企業名が表記されていなくても、ロゴや商品 名でも十分な認知がとれている商材が多いことが考えられる。次に記載されているメイ ン コ ピ ー に つ い て み て み る と 、 大 半 の POP に は 商 材 の USP(Unique Selling
49 付録1参照。
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Proposition)が記載されている。その中で、具体的な数字の活用が 26 点(17.2%)も みられた。これらの多くは医薬品・食品カテゴリに集中している。例として、「有効成 分約 1.6 倍」(久光製薬,2017 年)や「レモン 34 倍のビタミン」(サントリーフーズ,2012 年)、「3 月 28 日は三ツ矢サイダーの日」(アサヒ飲料,2009 年)などが挙げられる。数 字を用いることで、情報にメリハリが生まれ、消費者への説得性が増すと考えられる。
また、「世界初、特許技術×画期的うまさ!」(淡麗麦酒,2010 年)や「日本唯一。鋭さ 極めたチャコールメンソール。」(日本たばこ産業,2011 年)などハロー効果を活用した のではないかとみられる訴求文言が 10 点(6.6%)みられ、「あなたに足りない 16」(ア サヒ飲料,2009 年)、「見過ごしていませんか? 歯槽膿漏のサイン。噛むと痛い!歯ぐ きがやせてきた。水がしみる。歯ぐきの腫れ・出血が気になる。」(ライオン,2012 年)
といった「損失回避」効果を狙ったのではないかとみられる文言が 5 点(3.3%)みら れた。
② POPのデザイン要素
POP のデザインについては、色と商品画像の掲載有無の 2 要素について考察を行っ ている。POP の色について、商品本体のパッケージのメインカラーと同色もしくは同 系色が使用されたPOP は 151 点中 133 点(88.1%)もあり、大半を占める POPはパ ッケージとのまとまり感を感じさせる色使いとなっている。商品棚に設置した際に、よ り統一したブランド世界観の醸成に寄与できると考えられる。その一方で、一部のPOP では商品パッケージの色に関わらず、赤や黄色など注意喚起を促すような色使いである。
これらの多くは「新発売」や「新登場」といった訴求文言を伴っており、POPと商品パ ッケージ本体の色の統一感を崩すことでメリハリが生まれ、より視認性を高められると いう考え方である。さらに、POP に商品の写真もしくはイラストの掲載有無について 考察した結果、151 点中 103 点(68.2%)のPOPに商品の写真画像もしくはイラスト の使用がみられた。
予備調査を通して、POP には商品名や企業名などの基本的な属性情報の記載だけで なく、数字の使用により商品のUSPをよりわかりやすく消費者に伝えようとする工夫 がみられる。さらに、広義の行動経済学の心理効果を狙ったとおもわれるキャッチコピ ーはみられたものの、数としてはまだ少ないことも明らかとなった。また、POP の色 は商品パッケージと同色または同系色のものが多くみられ、商品の写真やイラストなど の商品画像をPOPに取り入れることで視認性の強化に影響すると考えられる。しかし、
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ここで挙げられた大半のPOPの仕様傾向が消費者評価に結びつく明確な制作意図をも って制作されたものかについては明らかでない部分がある。
そこで、これら事前調査で得られた結果をもとに、本章の目的である従来型POPの 効果的な訴求表現について、次の 3.3 にて仮説を立て、調査を通して検証を行う。