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算数科における「説明する力」の育成に関する研究

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(1)

平成

26年

学 位 論 文

算数科における「説明する力」の育成 に関す る研究

兵 庫 教 育 大 学 大 学 院

教育 内容・方法 開発 専攻

M13139

学 校 教 育 研 究 科

認識形成系教育 コース

F

(2)

は じめに

これか ら我 々が生 きてい く社会 は

,知

識基盤社会 である。知識 基盤社会 とは,「新 しい知 識・情報 。技術 が政治 。経 済 。文化 をは じめ社会のあ らゆる領域での活動 の基盤 として飛 躍的 に重要性 を増 す」(文部科学省

,2008,p.1)社

会 の こ とであ る。 この社会 で求 め られ るこ とは

,収

集 した知識 を正 しく読み取 ること

,読

み取 つた知識 を正 しく周 りに表現す る ことな どである。 そ して

,こ

の知識基盤社会が進むの と同時に

,社

会 の グローバル化 が さ らに進展 してい くと考 え られ る。 そ こでは

,民

族 。国籍 な どは間わず様 々な人 々に

,自

分 の考 えを的確 に伝 えるための表現力が今後 さらに求 め られ てい くだ ろ う。

2008年

の 中央教育審議会答 申「幼稚園

,小

学校

,中

学校

,高

等学校及び特別 支援学校 の 学習指導要領 の改善 につ いて」で は

,各

教科 において,「他者 に分 か りやす く伝 える」「解 釈や説明

,評

価や論述 をす る」 といつた言語活動 を重視 し

,児

童 の言語力育成 の必要性 を 指摘 してい る。また

,学

習指導要領 改訂 に伴 い,算数科 においては

,算

数 的活動 として「説 明す る活動」 が強調 され

,具

体物

,言

,数 ,式

,図

,グ

ラフ等 を用いて, 自分 の考 えた ことを表現 した り

,友

達 に説 明 した りす る学習活動 を取 り入れ

,言

語活動 を充実 させ るこ との重要性 が示 され てい る。 そ して, この 「説 明す る活動」 を取 り入れ た実践が数多 くの 学校 現場で行 われ

,児

童 の 「説 明す る力」 の育成 が図 られ てい る。

PISA調

査や全 国学力・学習状況調査 の結果 か らは

,

日本 の生徒・児童 には

,判

断 した 理 由を数学的 な表現 を用 いて説 明す るこ とな どに課題 がみ られ るこ とが指摘 されてい る。 また

,筆

者 の指導経験 を振 り返 つてみ て も

,算

数 の授業 において児童 に, 自分 の解 法や考 えの理 由な どの説 明 を求 めた場合,「ど う説明 した らいいのか分 か らない」な どの声が出た り

,考

えの理 由を友達 に分 か りやす く説 明す ることができなかつた りす るこ とが しば しば み られ

,説

明す る ことに課題 をもつ児童 が多い と感 じてきた。 上記のよ うな

,筆

者 の問題 意識

,

日本 の児童 の実態

,こ

れ か らの社会 で求 め られ る能力 を鑑 み る と

,表

現 した り説 明 した りす る力 に関 して研 究 を進 め るこ とは

,非

常 に有意義 な ことである。 そ こで

,算

数科 において求 め られ てい る「説明す る力」 とは どのよ うな力であるか, た

,そ

の力 を育成す るた めには, どの よ うな教材 を用 いて指導すれ ば よいか。 これ が, 研 究 に取 り組 んだ動機 で あ る。 ま   本

2014年

12月 田中 雄 太

(3)

目次

は じめに 第

1章

本研究の 目的 第1節 「答申」における言語力育成の重要性

1.各

教科 にお ける 「言語活動 の充実」

2.算

数・数学科 にお ける 「説 明す る活動 」。「説明 し伝 え合 う活動」 第

2節

算数教育 にお ける 「説 明す る力」 に関す る課題

1.OECDの

PISA調

査 に見 られ る 「説 明す る力」 に関す る課題 ・

2.全

国学力・ 学習状況調査 に見 られ る「説明す る力」に関す る課題 第3節 本研究 の 目的 ・・・・ ・・ ・ 5 , 9 15 第

2章

第1節 1. 2. 3. 第2節 1. 2. 3. 4. 本研究 に関す る理論 的枠組み 「説明す る力」に関す るい くつかの観点 説 明の手段 一何 を用 いて説 明す るか一 分か りやす い説 明の条件 一 何 が説 明 を分か りやす くす るか一 「説 明す る力」の指導 一 どこで 「説 明す る力」 を指導す るか一 「説明す る力」の構成要素 長崎 らの 「算数・数学 で考 え合 う力」 熊倉 らの 「数学的 な表現力」 金本 の 「数学的 コ ミュニケー シ ヨン能 力」 「説明す る力」の構成要素 「説明する力」育成のための教材 口学習指導法の開発とその実践 実践授業の目的と方法 実践授業 の趣 旨 実践授業 の 目的 6     8     2 1   1   2 28 34 37 44 第

3章

第1節 1. 2. 47 48

(4)

3.実

践授業 の方法

(1)実

践授 業 にお ける課題 と学習 プ リン ト

(2)授

業 の展 開

(3)対

象 と時期

(4)ア

ンケー ト 第

2節

「説明 コンテス ト」での発表の分析 と考察 1.「説 明 コンテス ト」 にお ける発表 の分析 の観 点

2.授

業 Iの 発表 の分析

3.授

業 Ⅱの発表 の分析

4.ア

ンケー トの結果

5.説

明活動 にお ける児童 の実態 第

4章

「説明す る力」育成のための教材案 第1節 「四角形の

4つ

のすみ を集 める と.… ?」 第2節 「四角形 を対角線で分 けると.… ?」 第

3節

「グラフか ら未来の人 口を予沢1しよ う」 第

5章

本研究のまとめと今後の課題 第1節 第2節 おわ りに 本研 究 の総括 と成果 今 後 の課題 引用 口参考文献 付録資料 8     3     9     9 4 5 5 5 0 1 4 8 5 6 6 6 6 7 6   9   3 7   7   8 7   2 8   9

(5)

1章

本研究の 目的

1節

「答申」における言語力育成の重要性

1.各

教 科 に お け る「言 語 活動 の 充実 」

2008年

の中央教育審議会『 幼稚園

,小

学校

,中

学校

,高

等学校及 び特別 支援 学校 の学習 指導要領等 の改善 について (答申)』 (以下,「答 申」 と呼ぶ。

)で

,学

習指導要領 改訂 の 基本的な考 え方 の一つ として,「思考力・判断力・表現力等 の育成」を挙 げてい る。そ こで は

,各

教科 の指導 の中で

,そ

れぞれ の教科 の知識・技能 を活用す る学習活動 を充実 させ る ことの必要性 が

,以

下の よ うに示 され てい る。 ≪現在 の各教科 の内容、

PISA調

査 の読解力や数学的 リテ ラシー、科学的 リテ ラシ ー の評価 の枠組み な どを参考 に しつつ、言語 に関す る専門家 な どの知見 も得て検 討 した結 果 、知識 。技能の活用な ど思考力・判断力・表現力等 をは ぐくむために は、例 えば、以下のよ うな学習活動が重要であると考 えた。 この よ うな活動 を各 教科 において行 うことが、思考力・判 断力・表現力等 の育成 に とつて不可欠であ る。 ① 体験 か ら感 じ取 つた ことを表現す る ② 事実 を正確 に理解 し伝 達す る ③ 概念 。法則 。意 図 な どを解釈 し、説 明 した り活用 した りす る ④ 情報 を分析・評価 し、論述す る ⑤ 課題 につ いて、構想 を立て実践 し、評価 。改善す る ⑥ 互いの考 えを伝 え合い、 自らの考 えや集団の考 えを発展 させ る≫ (中央教育審議会

,2008,p.25)

思考力・判 断力・表現力等 を育成す るためには

,各

教科 において

,伝

達や説 明

,論

述 な どといった言語 に関わ る知識・ 技能 を活用す る学習活動 を

,重

視すべ きであ るこ とが指摘

(6)

また,「答 申」 では

,教

科 内容 に関す る主な改善事項 の一つ として,「言語活動 の充実」 を挙 げてい る。そ こでは

,言

語 を

,知

的活動 (論理や思考

)や

コ ミュニケー シ ョンや感性 。 情緒 の基盤 で ある と捉 え

,言

語 は思考力・ 判断力・表現力等 の基礎 であ り

,そ

れ らの力 を 育成す るためには

,言

語 の能力 を高 める必要が ある と述べ てい る。 さらに

,言

語能 力の育成 に関 しては

,文

部科学省 (2007)「 言語力育成協力者会議 (第 8 回

)配

布資料 資料5」 (以下,「資料 5」 と呼ぶ。

)に

おいて

,詳

しく述べ られ てい る。「資 料 5」 では

,言

語 力 を

,知

,論

理的思考

,感

性等 を基盤 とし

,考

えの深化

,他

者 との コ ミュニケー シ ョンにおいて言語 を使 うた めに必要な能力 と捉 え

,児

童生徒 の発達段階に応 じて

,各

教科 で言語力 を育成す るこ とが示 され てい る。言語 力育成 のた めの基本的 な考 え 方の 「(ア

)知

的活動 に関す るこ と」 について

,以

下の よ うに示 され てい る。 ≪○ 思考や論理 は、的確 で あることが基礎 となるので、事 実 を正確 に理解 し、他 者 に的確 に分 か りやす く伝 える技能 を伸 ばす こ と ○ ク リテ ィカル・ リーデ ィングや いわゆる

PISA型

読解 力 の考 え方 を踏 まえ、 自らの考 えを深 めるこ とで、解釈や説 明、評価や論述 をす る力 を伸 ばす こと ○ 対話 や議論 の形式 を活用す るな どして、考 えを伝 え合 うこ とで、 自 らの考 え や集 団 の考 えを発展 させ る力 を伸 ばす こと≫ (文部科 学省

,2007,HPよ

り) 各教科 において,「他者 に分 か りやす く伝 える」,「解釈や説 明

,評

価や論述 をす る」,「考 えを伝 え合 う」な どの言語活動 を通 して

,児

童 の言語力 を育成す るこ とが

,基

本方針 とし て示 され てい るので ある。

2.算

数 口数学科 における「説明す る活動」口「説明 し伝 え合 う活動」 「答申」では

,算

数・数学科の改善の基本方針において

,算

数・数学教育におけるね ら いについて

,次

のように述べている。 ≪○ 算数科、数学科については、その課題 を踏まえ、小・中 。高等学校 を通 じて、 発達の段階に応 じ、算数的活動・数学的活動 を一層充実 させ、基礎的・基本的

(7)

な知識 ・技能 を確 実 に身 に付 け、数学的な思考力 。表現力を育て、学ぶ意欲 を 高 めるよ うにす る。 ≫ (中央教育審議会

,2008,p.83)

算数科 においては

,算

数的活動 を充実 させ

,基

礎・基本的 な知識 ・技能 の定着 を図 り, 数学的 な思考力・表現力 を育成 す るこ との重要性 が示 され てい る。 また

,算

数 的活動 は, 「基礎・基本的な知識・技能の習得」,「数学的 な思考力・表現力 の向上」,「算数 を学ぶ こ との楽 しさや意義 の実感 」 のた めに必要 な活動 である と指摘 され てい る。 「答 申」を受け改訂 された『 小学校学習指導要領解説 算数編』

(2008)に

は,「

A数

と 計算」,「

B量

と測定」,「

C図

形 」,「

D数

量関係 」の

4領

域 において

,そ

の内容 の解説 に続 けて算数的活動 の内容 が示 され てい る。算数的活動 の例示 において

,第 2学

年 か ら第

6学

年 までのすべ ての学年 で,「説 明す る活動」が取 り上 げ られ てい る。第

1学

年 においては, 「説明す る」とい う表現は見 られないが

,そ

れ に近い もの として,「イ 計算 の意味や計算 の仕方を

,具

体物 を用いた り

,言

,数 ,式

,図

を用 いた りして表す活動」(文部科学省,

2008,p.60)が

示 され てい る。算数 的活動 として,「説 明す る活動」 が強調 され てい る と い える。 『 中学校学習指 導要領解説 数学編』

(2008)で

,中

学校数学 の改訂 の基本的 な考 え 方の一つ として,「説 明 し伝 え合 うこ と」があげ られ てい る。 この「説明 し伝 え合 うこと」 は,「数や図形 の性 質 な どを見いだす活動」や「数学を利用す る活動」を支 えるものであ り, 生徒 が数学 を理解 してい く上 において も重要であることが述べ られてい る。「説 明 し伝 え合 う活動」の重要性 に関 して

,次

の よ うに示 されてい る。 ≪数学的活動の過程 では

,何

を考 え, どのよ うに感 じてい るのか, 自分 自身 と向き 合 わなけれ ばな らない。 自分 自身 の言葉 で着想や思考 を表す こ とに よ り, 自分 の 考 えを再認識 す ることがで きる。 こ うして言語 で表 され た ものは, 自分 の考 えを 見つ め直す反省 的思考 を生み 出 し, さらに研 ぎ澄 ま され た もの とな つてい く。 こ の 自己内対話 の過程 は

,他

者 との コ ミュニケー シ ヨンに よつて一層促進 され

,考

えを質的 に高 める可能性 を広 げて くれ る。説明 し伝 え合 う活動 にお ける他者 との かかわ りは

,一

人では気付 かなかつた新 しい視 点 をもた らし

,理

由な どを問われ るこ とは根拠 を明 らかに し

,そ

れ に基づいて筋道 立てて説 明す る必要性 を生み出

(8)

生 まれ る。 ≫ (文部科学省

,2008,p.35)

自分の考 えを言葉 で表す ことで,考 えを見直 した り,高 めた りす るこ とがで きる。また,

他者 との コ ミュニ ケー シ ヨンは

,新

しい考 えに気 がつ く機 会や

,よ

り洗練 された考 えを作 り出す機 会 を生み 出す。考 えを 自分 自身や他者 に説 明す るこ とで

,理

解 を深 めた り

,考

え の質 を高めた りす ることができるのである。

(9)

2節

算数教育における「説明する力」に関する課題

1.OECDの

PISA調

査 に見 られ る「説 明す る力」 に関す る課 題

OECD(経

済協力 開発機構

)は

,「各国 の子 どもた ちが将来生活 してい く上 で必要 とされ る知識や技能 が、義務教育終 了段 階 において、どの程度身 に付 いてい るか を測 定す るこ と」 (国立教育政策研 究所

,2013,p.53)を

調査 目的 とし

,15歳

を対象 に,「生徒 の学習到達 度調査」(以下

,PISA調

査 と呼ぶ。

)を

実施 してい る。

PISA調

査 の学力 に関す る内容 は, 読解 力

,数

学的 リテ ラシー

,科

学的 リテ ラシー

,問

題角峯決能力の

4つ

の分野で構成 されて い る。その中で

,数

学的 リテ ラシー は

,次

のよ うに定義 されてい る。 ≪数学的 リテ ラシー とは、様 々な文脈 の中で定式化 し、数学 を適用 し、解釈す る個 人 の能力 であ り、数学的 に推論 し、数学的 な概念 。手順・事実・ ツール を使 つて 事象 を記述 し、説 明 し、予測す る力 を含む。 これ は、個人 が世界 において数学が 果 たす役割 を認識 し、建設 的で積極 的、思慮深 い市民 に必要 な確 固た る基礎 に基 づ く判断 と決定 を下す助 け となるものである。 ≫ (国立教育政策研究所

,2013,p.66)

数学的 リテ ラシー の問題形式 は,「選択肢」,「選択肢 (複数)」 ,「求答」,「短答」,「自由 記述」の五つであ る。

2003年

,2006年 ,2009年

PISA調

査 にお ける出題 形式別 の 日本 の無答率 と

OECD平

均※の無答率 は

,[表

1.1]の とお りである。 ※

OECDに

加 盟 してい る国 。地域 の うち,それ ぞれ の実施年 に参加 した国。地域 の平均である。

(10)

2003 2006 2009

日本

OECD平

均 日本

OECD平

均 日本

OECD平

選 択 肢 1.8 4.0 2.3 3.4 2.4 3.7 選択肢 (複数) 1.6 3.7 1.2 2.7 1.5 2.9 求 答 5.0 7.2 4.5 6.7 4.9 6.8 短 答 16.1 17.6 21.4 17.7 18.3 17.6 自由記述 28.0 27.2 30.3 26.8 28.0 26.1 (国立教育政策研究所

,2010,p.84)

[表

1.1]出

題形式別 の無答率 三回の実施 において,日 本 の生徒 は,「選択肢」,「選択肢 (複数)」,「求答」の無答率が,

OECD平

均 の無答率 よ り低 い。 しか し,「 自由記述」 の無答 率は

,OECD平

均 の無答率 よ りも高い。「自由記述」は,「答 えを導 いた考 え方や求 め方

,理

由を説 明す るな ど

,長

めの 語句 で答 える問題 」(文部科学省

,2005,p.11)で

あ る。 この 「自由記述」形式の問題 に 対す る 日本 の生徒 の無答率が

,OECD平

均 よ りも高いのであ る。 以下に,日 本 の生徒 の無答率が

OECD平

均 に比べ高かった 「自由記述」の問題 を紹介 し てい く。

(11)

次の問題 は

,2003年

に実施 された身長 に関す る問題 である。 ノ 〆 〆

/

/

/

ri コ ノ

レ 臓 オランダの 1998年 のおい男女の平均身長が

,下

のグラフに示されています。 190 身 長 (。総

) 180

1998年の若 い男子の平均身長 1998年の藩い女子の平均身長 171 160 160 140 130 10 11 12 13 14 15 16 17 13 19‐ 20 年齢 (議, 身長に関するF・52 女子の平均身長について

,12歳

以降はその増加の割合が低下 しています。このことがグラフでど のように示 されているか

,説

明.してください。 (文 部 科 学 省, 2005, p.32‐ 33)

(12)

この問題 に対す る

,

日本及び

OECD平

均 の正答率

,誤

答 率

,無

答率 は

,[表

1.2]の とお りである。 日本の生徒 の無答率が

,OECD平

均 よ りも高 く,さ らに

,正

答率 まで も

OECD

平均 を下回 る とい う結果 で あつた。 [表

1.2]日

本及 び

OECD平

均 の正答率

,誤

答率

,無

答率 正 答 誤 答 無 答 日本 43.3 27.4 29.3

OECDヨ

子J勾 44.8 34.1 21.1 (文部科学省 , 2005, p.36) この問題 では,「女子 の平均身長 の増加 の割合 が低下 してい るこ とが グラフで どの よ うに 示 されてい るか」が問われ てい る。女子 の平均身長 の増加 の割合 は グラフの傾 きで表 され, その傾 きが12歳以降で緩 くなつてい ることを

,文

章 で説 明 しなけれ ばな らない。 正答例 としては,「12歳以降 は前 よ りなだ らかにな る」な ど

12歳

以降 の傾 きの鈍化 を述 べた り,「10歳か ら12歳までの増加 は約

15cmだ

,12歳

か ら

20歳

までの増力日はわず か に約

17cmで

ある」な ど増加 量その ものを比べた りして,説明す るこ とが挙 げ られ てい る。 また

,誤

答例 として,「女子 の線 が男子 よ り下が つてい る」 な ど,「女子 の グラフの傾 き」 や 「女子 の

12歳

前後 の成長率 の差異」 を述べ ていない ものが挙 げ られ てい る (文部科学 峯3, 2005, p.35)。 この問題 の結果 を受 け

,文

部科学省 は 「学習活動 の改善 に向けて」 において

,次

の よ う に今後の学習指導 の課題 を指摘 してい る。 ≪ 「身長」に関す る問題 で無答率が

30%程

度 で あったが

,そ

の原因 として

,自

分 の 考 えを 自分 の言葉 で表現 した り

,他

の生徒 に分か りやす く説 明 した りす る経験が 十分 でない ことが考 え られ る。「為替 レー ト」に関す る問題 の問

3や

「盗難事件」 に関す る問題 な ど

,状

況やデー タを解釈 し

,そ

れ に基づ いて 自分 の考 えを整理 し 自分 の考 えを数学的 な表現 を用 いて説 明 (記述

)す

る問題 で も

,正

答率 があま り 高 くない状況 が見 られ た。 自分の考 えを数学的な表現 を用いて説 明す る力は

,今

後 い ろい ろな場面で必要 にな る と考 え られ る。数学的 な表現 を解釈 し

,同

時 に適切 な数 学的 な表現 で 自分

(13)

の考 えを説 明す る指 導 を今 後

,一

層 重視 す る必 要 が あ る。 ≫ (文部科学省

,2005,p.48,下

線 は筆者) 生徒 に 「説 明す る力」 をつ けるためには

,説

明す る経験 を与 える必要 があ る。特 に

,算

数・数学科 においての 「説 明す る力」 としては

,適

切 な数 学的 な表現 を用 い るこ との重要 性 が示 されている。

2.全

国学 カ ロ学 習状 況 調査 に見 られ る 「説 明す る力」 に関す る課 題 文部科学省 は

,「

義務教育 の機 会均等 とその水準の維持 向上の観 点か ら、全 国的な児童 生徒 の学力や学習状況 を把握・分析 し、教育施策の成果 と課題 を検証 し、その改善 を図 る」 (文部科学省

,2014,HPよ

)こ

とを 目的 に

,小

学校第

6学

年 と中学校第

3学

年 を対象 に

,全

国学力・学習状況調 査 を

2007年

か ら実施 している。教科 に関す る調査 は国語

,算

数・数学 であ り※

,調

査 問題 の問題形式 は

,「

選択式」 「短答式」 「記述式」 の二つで あ る。 『 全国学力・学習状況調査 の

4年

間の調査結果 か ら今後 の取組 が期待 され る内容 のま と め∼児童生徒への学習指導の改善・充実 に向けて∼』(国立教育政策研 究所

,2012)で

は, 2007∼

2010年

4年

間の全 国学力・学習状況調査結果 を分析 し

,そ

の成果 と課題 を教科 ごとにま とめてい る。その中で

,算

数科 において

,過

4年

間にお ける問題形式別 の平均 正答率が,[表 1.3]の よ うに示 されてい る。 ※2014年度調 査 では,「理 科」が追加 され た。

(14)

1.3]過

4年

間 にお ける問題形式別 の平均正答率 の状況 ‐ 6 73`2 鞭 73.8 義 2 57.6 62.2 77£ 74、1

273

76.8 69。 1 ア象

6

lD3.8 路 3 76.7 霧.3

7at

恥 、

3

319

71.9 ∞ `O

7a6

70.3 墾 、

5

※「過去4年 間の平均」は,小数第2位 を四捨王入した数値 (国立教育政策研究所

,2012,p.48)

算数科 にお ける 「記述式」の問題 は,「言葉や数

,式 ,図 ,表 ,グ

ラフな どを用 いて

,筋

道立てて説 明 した り論理的 に考 えた りして,自 ら納得 した り他者 を説得 した りできること」 (国立教育政策研 究所

,2012,p.48)を

狙 つて出題 され てい る。「記述 式」問題 の過 去 4 年 間 (2007∼

2010年

)の

平均正答率 は

,35.5%と

,「選択式 」,「短答式」の平均正答率 を 大 き く下回 る結果 であった。 以 下に

,過

4年

間 (2007∼

2010年 )の

平均正答率が最 も低 か つた 「記述式」問題 を 紹介 してい く。

(15)

次の問題 は

,2008年

に実施 され た

,

ドア と戸棚 に関す る問題 である。

(2)た

か子 さん は

,下

の図の よ うに,,ヒfllと 西側の かべ につ くよ ま した。 長 ヽ 置 を 裁 珈 ヽ つ たか子 さんの家 には

,次

の図の よ うな

,は

ぼが異な る戸 だなが全部 で

3つ

あljま す。 心Sc税 60 cm

(16)

たか子さんiよ

=3つ

の戸だなの中から

2つ

を進び

,下

の国のよ 当たらな蝿 蕩に麟きたいと考えています。

2つ

の戸だなは、 のかべ1薔 つllて

,れ

綺機{二霊べて置きます。 うに

,ド

アが 後ろ猥1をjヒ個1 すると

,た

か子 さんのお姉 さんが

,次

のようlξ輩いました.

3つ

の戸 だな鞠 やか ら, ピれ とごれを進んで鑽い ても, ドず 警鐵 け覇めする と

,戸

だな‡重当た って しま うね゛ お輝 さんが,「

3つ

の声だなめ申か 隼, を聞け鍋めす ると

,戸

だな1こ 当たってし 式 と言葉を続 中で警 きましょう。 ピれ とどれを織んで感いても。けず まう

Jと

言 ったことう=薫 しヽ`わけを, (国立教育政策研究所,2008,p.4‐5) この問題 の趣 旨として,「与 え られ た情報 を整理 した り選択 した りして

,筋

道 を立てて考 え,示された判断が正 しい理 由を式 と言葉 を用いて記述 できるか ど うかをみ るものである」

(17)

と示 されてい る。 正答例 としては

,次

の解答 が挙 げ られている。 (正答例) ① ドアに当た らずに戸だなを置けるはばは、

300-(105+75)=120cmに

なる。 ②はばが一番せまくなる

2つ

の戸だなでは、はばの合計が

60+68=128で 128cmに

なり, ③

120cmよ

りも大きくなる。だから、お姉 さんが言つたことは、正 しい。 (国立教育政策研究所

,2008,p.210)

①「戸棚を置 くことのできる幅の数値,机と ドアと戸棚を合わせた幅の数値があること」, ② 「幅が最小になる二つの戸棚を置 く時について調べる説明があること」

,③

「数値の大小 比較があること」の

3つ

すべてを記述 していることが正答の条件 とされている。 この問題 に対す る児童の正答率は

,30.3%で

あ り

,無

答率は

,11.9%で

あつた。無答率は それほど高い結果にはなってはいないものの

,正

答率 も

30%程

度 と低い結果である。 この問題の誤答 として

,次

の解答が挙げられている。 戸棚 を置 くことので きる幅 の数値

(120cm)の

み を記述 してい る解答

,幅

が最小 になる

2つ

の戸棚 を置 く場合

(68+60=128)に

ついて調べ る説明のみを記述 してい る解答な ど, 理 由の説 明が不十分 な解答 が多か った。 その反応率 は

,25.3%と

い う結果であつた。 この問題 の結果 を受 け,国立教育政策研 究所 は,学習指導 に当た り留意す るこ ととして, 次の よ うに述べてい る。 (誤答 例) 例

1:選

ぶ戸棚 につ い て の記 述 が ない

300- (105+75)=300-180=120

どれ とどれ を選 んで も

,120cmを

こえて しま うか ら。 例

2:戸

棚 を置 くことので きる幅 に関す る記述 がない

68+60=128

だか ら戸 だなは ドアに当たつて しま う。 (国立教育政策研 究所

,2008,p.211)

(18)

《数量やその関係 を表現す る方法 として

,言

葉や数

,式 ,表 ,グ

ラフがある。 自全 の考えや思考過程 を他者に伝 えた り

,他

者を説得 した りす るためには

,式

を書き 並べるだけでなく

,何

を求めるための式なのかを言葉で補 った り

,

目的に応 じて 図や表な どを用いて説明 した りすることが必要である。 設 問

(2)で

,式

と言葉 を使 つて 自分の考 えを記述す ることを求 めてい る。 言葉 の説 明がな く式だ けで記述 してい るよ うな児童 に対 しては

,そ

の式が何 を求 め るための ものか

,計

算 の結果 か ら何 が言 えるのかな どを問いか けて確認 し

,言

葉 で補 つて説 明 を記述す る必要性 を認識 できるよ うにす る ことが考 え られ る。 ≫ (国立教育政策研 究所

,2008,p.47,下

線 は筆者) 以上 に見て きた ことか ら, これ か らの算数科 においては, 目的 に応 じて数 学的 な表現 を 使 い分 け

,他

者 に 自分 の考 えを説 明す る能力

,す

なわち 「説 明す る力」 を育成す ることが 重要 である と考 え られ る。

(19)

3節

本研究の 目的

第 1節で述べた よ うに,「答 申」や 「資料5」 では

,各

教科 において言語活動 を重視 し, 言語力の育成 の必要性 を指摘 してい る。また,『小学校 学習指導要領解説 算数編』(2008) では

,算

数 的活動 として 「説 明す る活動」が強調 され

,具

体物

,言

,式

,図 ,グ

ラフ等 を用 いて, 自分 の考 えた こ とを表現 した り

,友

達 に説 明 した りす る学習活動 を取 り入れ, 言語活動 を充実 させ るこ との重要性 が示 されてい る。現在

,こ

の 「説明す る活動」 を取 り 入れ た実践 が数多 くの学校現場 で行 われ

,児

童 の 「説 明す る力」 の育成 が図 られ てい る。 しか し

,PISA調

査や全 国学力 。学習状況調査の結果が示す よ うに,日 本 の児童 。生徒 は, 判断 した理 由を数学的 な表現 を用 いて説 明す ること, 目的 に応 じて数学的な表現 を使 い分 け

,他

者 に分 か りやす く説 明す ることに課題 が あるのが現状 である。 そ こで

,本

研 究 では

,算

数科 において求 め られ てい る 「説 明す る力」 とは どの よ うな力 なのか明確 に し

,そ

の 「説 明す る力」 を育成す るための方策 を講ず ることとす る。 本研 究の 目的は

,次

2点

で ある。 ① 算数科 において育成すべ き 「説 明す る力」 とは, どの よ うな ことであるかを明 らかに す る。 ② 算数科 で 「説 明す る力」 を育成す るための教材 と学習指導法 を開発す る。 まず,① の 目的のために,「説 明す る力」に関連す る先行研 究 を概観 し,そ れ をも とに「説 明す る力」 の構成要素 を整理す る。次 に

,②

の 目的のために

,①

で整理 した構成要素 をも とに,「説 明す る力」を育成す るた めの教材 と学習指導法 を開発 し

,そ

れ を用 いた実践授業 を行 う。

(20)

2章

本研究に関す る理論的枠組み

第 1節

「説明する力」に関するい くつかの観点

1.説

明の手 段 ― 何 を用 いて説 明す るか一 黒崎(2009)は

,算

数的活動 の 中の説 明す る活動 を,「①具体物 を使 って考え

,説

明す る活 動」「②図

,数

直線 を使 って考 え

,説

明す る活動」「③ 言葉

,数 ,式

, グラフをつかつて考 え

,説

明す る活動」 の二つ の タイ プに分 けてい る (p.6)。 金魚 の合併状況 を表す 問題 を例 に して

,以

下に

,三

つの タイプの具体例 を示す。 【問題】 一つのすいそ うにきんぎょが

,5ひ

きはいつています。 もう一つのすいそ うにきんぎょが

,3び

きはいつていますc きんぎょは

,あ

わせてなんびきで しょう。 (月ヽ山他,2012,p.30)

⑦具体物

(お

はじきや数図プロックなど)を 使つた説明

(藤井 他, 2012a, p.44) 数 図 ブ ロ ック な ど (具体 物

)を

金 魚 と見 た て る。 数 図 ブ ロ ック を動 か し

,5つ

3つ

を合 わせ て

8つ

に な る合 併 状 況 を表 して い る。 問題 場 面 の 数 (こ こで は金 魚 の 数

)を

,

(21)

数 図ブ ロ ックに置 き換 えて

,実

際 に手 で動 かす ことで

,問

題場 面が表 され る。 また

,ブ

ロックを動か している途 中の様子 を見 ることや

,動

か した後か ら動かす前の状態へ戻す ことができる。 しか し

,適

当な具体物 を用意す るな どの面倒 さがあ るこ とや

,扱

う数 が 大 き くな る と実際的で な くな る とい う問題 点 もある。

④図

(絵

や図など

)を

使つた説明

│や

や貸◇む 罪

:◇

│や

金←■■‐

■■

1幸:

費■■0も 心ё

6

0ゆ

参 奪

0 000

き 舎 機

OO参 00

幕豪暴暴彎

l寺

懸 鸞:

│「

llttξ

(永井 , 1991, p.51) ○ を金魚 と見たて る。

5つ

の○ と

3つ

の○の合併状況 を楕 円で表 し

,8つ

にな ることを 矢印 の先 に表 してい る。 図 に

,数

量関係 を統合的・構造的 に示す ことができ

,視

覚 に訴 え なが ら

,考

えを説 明す ることができる。 また

,数

量 関係 を図に表す ことは

,学

習 内容 の理 解 を助 けるた めのイ メー ジ形成 につ なが る と考 え られ る。 しか し

,図

で は

,例

えば 「寄せ る」「取 り去 る」な どの操作 による対象の動 きを表す ことが難 しい。また,上 の例 において, ○印 を金魚 として見 るこ とので きない児童 に とつては

,抽

象度 の高い表現 となって しま う ことも考 え られ る。

◎言葉や記号

(式

,表

,グ

ラフなど

)を

使つた説明

(言葉):「 5と

3を

あわせ る。す ると

, 8に

な る。 だか ら

,答

えは

, 8匹

にな る。」 (式

):5+3=8

答 え

8匹

(22)

記号 を用 いて

,情

報 を明瞭

,簡

潔 に表現す るこ とができる。 また

,考

えの理 由 とい った抽 象的 内容 を

,言

葉や記号 を用 い る ことによつて

,明

確 に示す こ とができ る。 しか し

,言

葉 や記号 を用 い るこ とは

,具

体物 あ るいは図 を用 い る場合 に比べ

,抽

象度 が高 くな り

,そ

れ だけ児童 に とつては難 しい説明の手段 と言 えよ う。

2.分

か りやす い説明の条件 一何 が説明を分か りやす くす るか一 杉能 。黒崎(2008)は

,算

数科において 「分か りやすい説明」には,「根拠」「論理」「視覚 に訴える資料」の三点が関わつていると述べている。 (1)「根拠」について 杉能 。黒崎

(2008)は

,「分か りやすい説明」をす るための要素である 「根拠」につい て

,以

下のように指摘 している。 ≪授業の中で説明す る際

,第

1に

必要な要素は根拠である。拠 り所 となる根拠は, 算数科においては

,類

推的な考えや帰納的な考えを した場合

,具

体物を使った算 数的活動が根拠 になる。 しか しなが ら

,系

統性の強い算数科において

,演

繹的に 考える場合が多数 ある。演繹的に考えた場合は

,課

題の解決方法やアイデ ィアを 説明する根拠になるのは

,課

題解決で用いた既習の数量や図形に関す る基礎的・ 基本的な知識・技能である。 ≫ (杉能 。黒峙

,2008,p.27,下

線は筆者) ここでは

,説

明の 「根拠」として,「⑦具体物を使 った活動」,「④既習の知識・技能」の 二つが指摘 されている。以下に, この二つの 「根拠」の具体例 を挙げる。

(23)

②「具体物を使 つた活動」が根拠 となる場合 以下,「三角形の内角の和は180° である」 ことを例 として説明 してい く。

0青 水 他, 2012, p.74) 図の よ うに

,三

角形 の角 を切 り取 り

,三

つ の角 を一点 に集 める。す る と

,一

直線 にな る ため

,三

角形 の内角 の和 は 180° とな ることが分か る。 この場合

,具

体物 を用 いて

,三

角 形 の三つの角 を一点 に集 める活動 が,「三角形 の内角の和は 180° であ る」 ことの 「根拠」 となってい る。 ④「既習の知識 口技能」が根拠 となる場合 以下,「四角形の内角の和は360° である」ことを例 として説明 していく。 次の図のように

,対

角線

ACに

よつて四角形を

2つ

の三角形に分割 した り

,四

角形の中 に点

Fを

取 り四角形を

4つ

の三角形に分害1した りする。 (藤 井 他, 2012b, p.6) 紗 ﹄ 0 0

(24)

左 の図では,四 角形が

2つ

の三角形 に分け られてお り,「三角形の内角 の和 は180° であ る」 ことを 「根拠」 として

,四

角形 の内角 の和が180° ×2=860° とな るこ とが説 明で き る。 右 の図では,四 角形が

4つ

の三角形 に分け られてお り,「三角形 の内角 の和 は180° であ る」 ことを 「根拠」 として

,こ

れ ら

4つ

の三角形 の内角の和が180° ×4=720° となるこ とが説明できる。そ して

,こ

4つ

の三角形の内角 の和か ら点

Fの

周 りの角 で ある360° をひいて

,四

角形 の内角 の和 は360° となるこ とが説 明で きる。 (2)「論理」 につ いて 杉能・ 黒崎

(2008)は

,「分 か りやす い説 明」 をす るための要素 であ る 「論理」 につい て

,以

下の よ うに指摘 してい る。 ≪分か りやす い説 明 をす るために必要な第

2の

要素 は論理 であ る。論理 とは

,筋

道 の こ とである。 したがつて

,算

数 の説 明では

,筋

道 を立てて 自分 の考 えを説 明で きるよ うに してお くことが大切 で ある。 ≫ (杉能 。黒崎

,2008,p.27,下

線 は筆者) ここに述べ られているよ うに

,小

学生 に対 しての 「論理」とは,「筋道 を立てて考 えを説 明す ること」 と広 く捉 えて よいで あろ う。 以下

,複

合図形 の面積 の求 め方 を例 として説 明 してい く。 (文 部 科 学 省, 2012, p.102)

(25)

(式

だけで説明する場合

) 2×

3=6 3× 8=24 6+24=30

答 え

30c`

④ (求め方の手順を示 し説明する場合) 「まず

,補

助線 を引き

,長

方形二つに分ける。次に

,①

の長方形の面積 を求めると

,2

×

3=6と

なる。三つ 日に

,②

の長方形の面積 を求めると

,3× 8=24と

なる。最後に

,①

と②の面積を合わせ

,6+24=30と

な り

,求

める面積 は

30面

である。」 ⑦の場合では

,な

ぜ2× 3と 立式 したのかなど

,式

の着想の理由や考 え方が説明 されて いない。そのため

,聞

き手には

,説

明者の考えが理解 しにくい。 しか し

,①

の場合では, 複合図形を補助線 により①②の長方形に分け,そ れぞれの長方形の面積 を求める式が2×3 や3×

8に

なる, と考え方の説明が されている。理由となる根拠 を明確 に示 し

,解

決の過 程を順序立てて説明す ること

,す

なわち 「論理」が④の説明には表 されているのである。 (3)「視覚に訴える資料」について 杉能 。黒時

(2008)は

,「視覚に訴える資料」について

,以

下のように指摘 している。 ≪第

3の

要 素 は

,聞

き手 の視覚 に訴 える資料 で ある。児童 の発達段階 を考 える と, 抽象 的な思考 の過程

,思

考 の根拠 とな る抽象的な数 量や図形 の知識 。技能 を 口頭 に よる言葉 の説 明だけで理解す ることは不可能であろ う。… (中略

),…

,説

明の た めには,具体物 を使 つた り,図を使 った りして視覚 に訴 えて説 明す る方 が よい。 聞 き手の児童 が友達 の考 えで あって も

,課

題解決 の方法や根拠 がイ メー ジ しやす く

,相

手 に 自分 の考 えを伝 えやす い と考 える。 ≫ (杉能・黒崎

,2008,p.28,下

線 は筆者) 「視覚に訴 える資料」 とは

,具

体物や 図 といつた 日に見 える説 明の手段 の こ とである。 杉能・黒崎 (2008)は,「四角形の内角の和は360° であ る」ことの説 明 を例 に して,「視 覚 に訴 える資料」 の効果 を述べてい る。

(26)

⑦言葉や式だけで説明する場合

「三角形の内角の和は180° なので

,180×

2=360と

な る。だか ら

,四

角形 の内角 の和 は,360° になる。」 ⑦の場合では

,180× 2の

立式の理由が示 されていない。 しか し

,①

の場合においては, 「まず

,三

角形に分けま した。」 とい う発言 と

,四

角形が対角線 によつて

2つ

の三角形に 分割 されている図によつて

,180× 2の

立式の理由を理解す ることができる。 このように

,説

明の際に,「視覚に訴 える資料」を用いることで

,聞

き手は

,説

明の内容 や根拠をイメージ しやす くな り

,他

者の考えを理解 しやす くなると考えられ る。

3.「

説 明す る力」 の指 導 ― ど こで 「説 明す る力」 を指 導 す るか― 長崎 ら

(2007)は

,通

常の授業 の中において も 「算数・数 学で説 明す る力」 を指導す る ことのできる場面 として

,次

5つ

を挙 げている (p.91)。 。「何が問題 になっているか

,解

決 に必要 な条件 は何 かについて考 えを説 明す る場面」「解決への見通 しについての考えを説明す る場面」「立式の根拠 を説明す る場面」「図や表な どをもとに考えを説明す る場面」「わかつた こと

,学

習 した ことを説 明す る場面」

④「視覚に訴える資料」を用いて説明する場合

このま まで求 め られ ませ んね 。 で も

,三

角 形 の

3つ

の角 の和 は分 か つてい るので

,ま

,三

角 形 に分 けま した 。 次 に, どん な三角 形 の

3つ

の角 の和 も180° な ので

,180×

2=360°

,四

角形 の

4つ

の角 の和 は 360° です。 (杉能・黒崎

,2008,p.31,下

線 は筆者)

(27)

以下に

,そ

れぞれ の具体例 を示す。 (1)「何が問題 にな つて いるか

,解

決 に必要 な条件 は何か につ いて考 え を説 明す る場 面」 長崎 ら(2007)は

,小

学校

4年

生「変わ り方」の授業分析 を行 つてい る。この授業では, 児童 に全校遠 足の写真 を見せ,「算数 の問題 をつ くろ う」とい う課題 が提示 され た。この課 題 に対 して

,児

童 は,「 ドッジボール をす る時の人数 を求 め る問題 」,「コー トを作 る野原 の 面積 を求 める問題 」,「 コー トの形 を求 める問題」な どがつ くれ ると答 えた。 以下は,「 ドッジボール コー トの面積 を求める問題」が提案 された ときの教師 と児童 のや りと りである。 ≪ その中か ら,「 ドッジボール コー トの面積」の問題 がつ くれ る と言 い出す子 ども が現れた。「ドッジボール コー トの面積 を出すためには何 がわかれ ば よいですか」 と問 いか け る と 「1つの辺 の長 さがわかれ ばいい」 と答 え る。 続 いて 「ど うい う形 を考 えたの?」 と問 うと 「正方形

,長

方形」 と答 え, さら に 「ど うや つて求 める」 と問 うと

,次

の よ うな答 えが返 ってきた。 「1ピが何個分かで面積がわかる」 「テープを敷 き詰 めてみ る」 「縦 と横 の長 ささえわかれ ば

,数

えな くて もか け算 で求 め られ こ」 ≫ (長崎 ら

,2007,p.135,下

線 は筆者) 児童 は

,

ドッジボール コー トの面積 を求 めるためには何 が必要 な条件 で あるか

,に

つい て 口頭で説明 している。 ここでは

,面

積 は何 によつて決 ま るのか とい う関係 を考 えた り, 何 を決 める と何 が決 ま るのか を見出 した りしてい る。 (2)「解決へ の見通 しにつ いての考 えを説 明す る場面」 長崎 ら

(2008)は

,小

学校

2年

生 「か け算」の授業 の分析 を行 つてい る。以下は

,そ

の 授業 にお ける課題 と

,解

決 の見通 しにつ いての話 し合 いの様 子 であ る。

(28)

課題】

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 クッキーはい くつあるかな ? クッキーの数 を

,か

け算を使 って求めよ う。 課題 を提示 した後

,教

師 は

,か

け算 で ク ッキー の数 を求 め るこ とがで きるか ど うか を問 いかけた。そ して,「で きそ うだ」と答 えた児童 に,その考 えを説 明 させ てい る様子 を示す。 《

C

T

C

T

ここ と ここで分 けて。(左右 に分 け る)∩ 他 にいます か。 他 に。違 うや り方 の人 い る。 これ ク ッキー なんだ け ど

,な

ぜ ここがないか知 つて る。 先生が食べちやつた。 その通 り。 どうして。 おなかがすいてたか ら。

C

T

C

C

これ (ない部分

)は

先生 が食べ ちゃつたか ら。 最初 はあった。 そ の最初 のや

Ci先

生が食べ る前, ここに あ つた もの を入 れ て式 を立 て てい けばい セヽ。 ≫ (長崎 ら, 2008, p.55‐56, 下線 は筆者) ここで

,ク

ッキー の数 を求 め る方法 に対す る児童 の考 え として

,3通

りの方法が見 られ る。一つ 日は

,ク

ッキー を

,正

方形 (5×

5)と

長方形 (7×

5)と

縦 に分 ける考 え方 であ る (下線①)。 二つ 日は

,上

の凸の部分 (5つ

)を

移動 させ

,長

方形 (6×

10)と

変形 させ る 考 え方で ある (下線 ②)。 三つ 目は

,な

い部分 (2×

5)を

ある と考 えて全体 (7×

10)か

ら 引 く考 え方で ある (下線③)。 この よ うに,ク ッキーの数 をかけ算で求 めるための考 え方が 示 され

,解

決へ の見通 しが図 られ てい る。

(29)

(3)「立式の根拠 を説明す る場面』 長崎 ら(2008)は

,小

学校

5年

生 「小数 のわ り算」の授業の分析 を行 っている。以下に, その授 業にお ける課題 と

,児

童 と教師 のや りと りを示す。 【課題】

1.2mで 96円

のテープがあ ります。

lmで

はなん円ですか。式をたてよう。 《

T

では

,発

表 してみ ま しょ う。 どんな式 にな りま したか。

C 96+1.2

C

□ ×

1.2=96

=96+1.2

T

ど うして この式 になつたのか

,説

明できます か。

C (Clの

考 えを発表)1.2■

1.2=1だ

か ら 96■ 1.2に なつた。

T l.2■

1.2は 習 っていない よ。本 当にそ うなるの。

C

同 じ数 でわ つてい るか ら

,1に

なる と思 う。

C 100■

100=1

≫ (長 崎 ら, 2008,p.112, 下線 は筆者) 児童 は

,数

直線 で 1.2か ら 1ま での矢 印の ところが■1.2に なってい るか ら

,96か

ら□ までの矢印の ところ も

+1.2に

な る と考 え,これ を

96+1.2と

立式 で きる根拠 に してい る。 (4)「図や表などをもとに考えを説明する場面」 (5)「わかつたこと

,学

習 した ことを説明する場面」 長崎 ら

(2008)は

,小

学校

1年

生の単元 「いくつ といくつ」における授業を分析 してい る。 (長画等ら, 2008, p.111)

(30)

<じ

ゃんけんゲー ムにつ いて

>

図 1のカー ドを使 って じゃん けんゲー ムを しなが ら

,7を

い くつ とい くつ とい くつ に分 け てい く活動である。 じやんけんゲームは

,3人

で じゃんけんを して勝 った ら色 をぬってい く ゲー ムであ る。例 えば

,Aが

勝 った ら図

2の

よ うに色 をぬってい く。次 に

,Bが

勝 った ら図

3の

よ うに色 をぬっていき

,す

べての○がぬれ た ら終了である。 (長山争ら, 2008, p.21) この授業では,「

1+6=7,2+5=7,…

」,「

7=1+6,7=2+5,…

」 といつた数

7の

合 成・分解が主題 となっている。以下に

,児

童が

7の

分解の しかたを説明 している様子を示 す。 ≪ 他の子 どもが 「これは

,●

がちょっとはなれているけど 3 こで,鬱:が 3こ,あと鬱:が 1こ 。だか ら,3と 3と

1で

す。」 と説明す る。 次に図

9を

示 し,「これは どうかな」 と続ける。 これ も発 表 した子 どもと違 う子 どもが説明する。「これは,●が5こで, 瞥 が 1こ

,鸞

:が 1こ 。だか ら

,5と

1と 1に したんだと思いま 五 」 発表 した子 どもに確認 した後

,あ

る子 どもが次のように言つた。「ぼくね

,そ

れ (図

9)1と

5と

1で

もいいん じゃないかなと思 うんだけど。」一 「ちが うよ」「え っ」など

,一

瞬いろいろな声があがる。 このつぶやきか ら

,教

師 と子 どものや りとりが続 く。 「どうい うこと。」 「攀:が 1こ で

,●

5こ

,

攣が 1こ で

,1と

5と 1になるんだよ。」 「わかつた。あたまをまげてカー ドを見るといいよ。」

(31)

「カー ドを回 してみようよ (図 10)。」「もつと回す と

,1と

1 と

5に

なるよ。」「

7は

5と 1と 1と にもなるし

,1と

5と 1 とにもなるし

,1と

1と

5に

もなるんだね。」 ≫ (長崎 ら, 2008, p.26, 下線 は筆者) 「7=5+1+1」 は図

9の

Aか

Cへ

時計回 りに数 を見てい くこ と,「7=1+5+1」 は図 10 (図

9を

回転 させ た もの

)の

Cか

Bへ

時計回 りに数 を見てい くこと

,

7の

分解 の し かたが図を用いて説 明 され てい る。

.

以下は

,全

体での検討 の後 で

,学

習感想 を尋 ね られ た際 の児童 の答 えで ある。 ≪

C 7は

いろいろなかずにわけられるね。

C 7は

4と 3と かにわけられるけど

,い

くつといくつ といくつにもわけられる

C

T

C

T

C

んだね。 まえは

2つ

にわけたけど

,き

ょうは

3つ

にわけたよ。 じゃあ

,他

にももつと分け方を考えられ るのかな。 1と 1と 1と 1と 1と 1と 1にもわけられるよ。

1,2,3,…

,7を

7つ

にわけたんだね。 2と 2と 2と

1で

もいいね。 》 (長崎 ら

,2008,p.23,下

線は筆者) 学習 したこととして

,7の

分解の仕方が複数 あることが

,児

この授業でわかったこと, 童の言葉で語 られている。

(32)

2節

「説明する力」の構成要素

以下では,「説 明す る力」 の構成 要素 を明 らか に してい く うえで参考 とな る と思 われ る 先行研 究 を概観 してい く。

1.長

崎 らの 「算 数 口数 学 で考 え合 う力」 長崎 ら

(2007)は

,「算数・数 学 の力 とは

,算

数・数学 にお け るあ らゆる活動 に関わ る はた らきで ある。」 (p.26)と 述べ,「算数 。数学の力」 を 「算数・数学 を生み 出す力」「算 数・数学 を使 う力」「算数・数学 で表す力」「算数・数 学で考 え合 う力」 の

4つ

の力か ら構 成 され るもの としてい る。 これ ら

4つ

の力は

,そ

れぞれ次 の よ うに解説 され てい る。 ≪ 「算数 を生み出す力」 とい うのは

,算

数 の概念 を理解 し形成す るた めに

,算

数 の きま りや方法 を考 えた り発展 させ た りす る力であ り

,5つ

の力 に分かれ る。 この よ うな算数 の力 は

,こ

れ までの 日本 の算数教育で 目標 とされ て きた 「数学的 な考 え方」に関連 している。 「算数 を使 う力」 とは

,算

数 の概念 を現実の世界 で使 うために

,現

実 の問題 を算 数 の問題 として とらえた り算数 で処理 した り判 断 した りす る力 であ り

,5つ

の力 に分かれ る。 この よ うな算数 の力は

,算

数 の学習 で以前 か ら強調 され て きた 「問 題解決」

,1980年

代 頃か ら強調 され るよ うになった 「数学的モデル化」 に関連 し てい る。 「算数で表す力」 とは

,算

数 で考 えた り算数 を使 った りす るた めに

,式

・表・ グ ラフ 。図 な どの数学的表現 を扱 う力で あ り

,3つ

の力 に分かれ る。 この よ うな算 数 の力 は

,算

数 にお ける 「表現」,「読解」 に関連 してい る。 「算数で考 え合 う力」 とは

,算

数 を集 団で協 同 して創 り上 げ るた めに

,算

数 の学 習 において数学的表現 を用 いて算数 の内容 について集 団の参加 者み んなで考 える 力 であ り

,3つ

の力 に分かれ る。 この よ うな算数 の力 は

,算

数 にお ける 「伝 え合 う│,「コ ミュニケー シ ョン

Jに

関連 してい る。 ≫ G受鰯予ら, 2007, p.14‐15, 下務誡ま筆蒻静)

(33)

ここでの 「算数・数学で考 え合 う力」 に含 まれ る 「伝 え合 う」,「コ ミュニケー シ ョン」 とい う活動では,自分 の考 えを他者へ説 明す ることが必要 とな る。そのた め,「算数・数学 で考 え合 う力」は

,本

研 究 の「説 明す る力」と大 き く関連す るものである。そ こで,「算数・ 数学で考 え合 う力」 につ いて

,以

下 に詳 しく見てい くことにす る。 長崎 ら

(2007)は

,「算数・数 学で考 え合 う力」 を

,以

下の[表 2.1]の

3つ

の力 に類別 し てい る。大略 して述べれ ば,「①算数・数学で説 明す る力」 とは情報 を発信す る力 の ことで あ り,「②算数・数学で解釈す る力」 とは情報 を聞 く力 の こ とであ り,「③算数・数学 で話 し合 う力」 とは情報 を共有 して

,改

良 してい く力の ことで ある。 ①算数・数学で説明す る力 【小中高を通 して 目指す力】

1)説

明:自 分で考えた結果や過程を式や図などを用いた りして

,日

頭でわかるようにと きあかす こと 【いずれかの段階で 目指す力

,関

連す る力】

2)結

果の説明 :考 えた結果 を目頭でわかるようにときあかす こと

3)過

程の説明 :解 き方や考え方や証明などの過程を口頭でわかるようにときあかす こと

4)言

い換 えによる説明 :他 人が説明 したことを自分の言葉でも う一度言い換えて 日頭で わかるよ うにときあかす こと ②算数 0数学で解釈す る力 【小中高を通 して 目指す力】

1)解

釈 :他 者が式や図などを用いた りして説明 したことを聞いてその意味をよみ とるこ と 【いずれかの段階で 目指す力

,関

連す る力】

2)結

果の解釈 :結 果の説明を聞いてその意味をよみ とること

3)過

程の解釈 :過 程の説明を聞いてその意味をよみ とること

4)批

判的な解釈 :説 明に絶えず疑いをもつて検討す るな ど批判的にその意味をよみ とる [表

2.1]算

数・数学で考え合 う力 こ と

(34)

③算数・数学で話 し合 う力 【小中高を通 して 目指す力】

1)真

意の確認 :お 互いの考えの真意 を確認す ること

2)話

し合 う :集 団での話 し合いを通 して

,個

人や集団の考 えをよ りよいものに してい く こと 【いずれかの段階で 目指す力

,関

連す る力】

3)洗

練す ること :集 団での話 し合いを通 して

,個

人や集団の考 えを算数・数学的により 価値 があるものに してい くこと (同義語 :練 り上げ)

4)考

えの評価 :集 団での話 し合いを通 して

,個

人や集団の考えの算数・数学的な価値を 判断す ること

5)考

えの修正 :集 団での話 し合いを通 して

,個

人や集団の考えの算数・数学的に価値が あるものに修正 してい くこと

6)批

判的考察 :集 団での話 し合いを通 して

,個

人や集団の考えに絶 えず疑いをもつて検 討す ること ※「算数・数学の力」は,小中高校 を通 して育成す ることが考え られている。それぞれの力は, 指導可能性 の時期 によつて,【小中高校 を通 して 目指す力】 と 【いずれかの段階で 目指す力, 関連する力】とに分けられている。 (ず尋山奇ら, 2007, p.53) 以下に

,①

∼③の

3つ

の力のそれぞれの項 目の内で説明を要す ると思われ るものについ て

,具

体例を用いて角峯説 してい く。 (1)「算数 日数学で説明する力」(言い換えによる説明) 長崎 ら

(2007)は

,3年

生 「あま りのあるわ り算」の発展学習における授業の分析 を行 っている。以下に

,授

業中の教師 と児童のや りとりの場面を示す。

(35)

【課題】 今 日は計算マ ン

(T2)と

おは じきゲームをします。 ゲームのルール ①25こ のおはじきを順番に取つていく。 ②l回 に取る数は,1∼5こ 。 ③最後に1こ残 され

,取

ることになつた方が負け。 子 ども 1回

目の

2回

目②

00

3回

0●

α

Xわ 4回

目 の②

5回目 の 負 け 計算マ ン

0●

O⑫

2,°

000②

勝ち 計算マ ンのひみつ を さぐれ

!(必

勝法 を考 えてい く) Aさん(先攻

)匠

夏マコ(後攻)IBく ん(先攻

)圧

算マヨ(後攻)1匠頭≡コ銑 攻

)圃

(後攻) ○○○

○○〇

│○

Oooo lo ooooo

○○

│○

○○○○ 〇

│○

〇〇〇〇 〇

o loo OOOO IOOOo OI

OOOOO IO OOOoo looo o‐

〇〇〇〇〇 〇

│○

○○○〇

│○

○○○

○○ ○

○○○○○

│○

○○○○○

│○

○○

○○○ ○

│○

│○

(長 崎 ら, 2007, p.95)

C57 Aさ

んのほうが先なので,計 算マンが相手が出したやつがわかるから

,■

算 マ ンは相 手 と正反 対 の数 を出 してい る。

T47

C58

T48

C59

T49

C60

正反対の数 を出 してい る… それ を も うち よつ と詳 しく言 えます。 待 って

,C57く

んの言 つた正反対つて, ど うい うこと?も う一回言 つて。

Aさ

んが… ち ょつ と出てきて。

Aさ

スノが

4つ

取 った たきは.計算マ ンが

2つ ,Aさ

んが

5つ

取 った ときは, 計 算 マ ン が 1つ

.Aさ

ん が 1つ取 っ た とき は

,計

算 マ ンが

5つ

ハ ≫ (長崎 ら, 2007, p.95‐96, 下線 は筆者)

C60の

児童 は

,C57の

児童 の 「正反対 の数」 の意味 を問 う教師 の発 間 に対 して,「

Aさ

んが

4つ

取 つた ときは

,… 5つ

取 つた ときは

,…

」 と具体的 な数 を用 いて

,言

い換 えて説 明 してい る。 この例 にお いて

,他

者 が説 明 した ことの意味 をはつき りとさせ るために

,具

体的 な例 を示 し

,言

い換 えて説明す ることが,「言 い換 えに よる説 明」 で ある。

(36)

(2)「算数 口数学 で解釈す る力」(批判 的な解釈) 長崎 ら

(2008)は

,中

1年

生 「一次方程式 の利用」の授業 にお ける生徒 の発話 を用い て,「批半J的な解釈」が どのよ うなものかを例示 してい る。 【課題 】 1000円でお か しを買います。120円のチ ョコレー ト1つとポテ トチ ップを

3袋

買つた ら, お釣 りが310円で した。 ポテ トチ ップ1袋の代金はい くらで しょ う。 以下 は

,方

程式

:1000=120+3x+310が

示 され た後 での話 し合 いの様子 であ る。 ≪

T

S

T

S

T

S

T

S そ う, これ

(1000)は

出 したお金。 じゃあ

,こ

(120)は

? チ ョコ レー ト これ はチ ョコレー トって分か るよね。 じゃあ

,こ

れ (3x),これ は何 だ ? うん と

,ポ

テ トチ ップ

3袋

分。 西 田 さんいわ く

,こ

れ はポテ トチ ップ

3袋

分。 では, これ

(310)は

? ポテ トチ ップ。 小玉 さん。 これ でいいんです か

?ん

?ち ょっ と違 う。 じゃあなお して。

310は

おつ り。 ≫ (長崎 ら

,2008,p.96,下

線 は筆者) 方程式 の中の

310を

ポテ トチ ジプの代金 と間違 って発言 してい る生徒 がい る。これ に対 して小玉 さん は

,教

師 か らの 「これ でいいんです か?」 とい う問いか けに応 じて,「310 はおつ り」 と

,間

違 い を訂正 してい る。他者 の発言 内容 の誤 りに気づ き

,そ

れ を訂正す る ことが,「批判的 な解釈」 であ る。 (3)「算数 日数学 で話 し合 う力」(批判 的考察) 長崎 ら

(2008)は

,5年

生 「平行 四辺形 の面積 を求 めよ う」の授業 における児童 の発話 を用 いて,「批判的考察」 力`どの よ うな ものかを例示 してい る。

(37)

【課題】下の図は平行四辺形です。 自分で必要な場所を沢1つて

,面

積を求めましょう。 ※平行 四辺形 の寸法 は,底辺

6cm,高

4cm,斜

4.5cm (長

崎 ら,2008,p.118) 《

T C3の

方法について質問はあ りますか。

C

なぜ

,そ

うなるのですか。

C3

ななめの辺 と下の辺 をか けると面積 が求 め られ ます。

C

どうしてそ うしたのです

L

C3

長方形 の面積 は

,た

て ×横だか らです。

C

本 当に正 しいですか。

C

前 は

,C2の

よ うにマスで考 えてきたんだけ ど

,た

て ×横 は このマスの数 をか け算で出 していて

,こ

のマ スは正方形だった。 たての部分 は直角にな らなき ゃい けない。

C

下の辺 に対 して直角 にな つていない とたて とは言 えないか ら

,な

なめの辺 は たて じゃない。 ≫ (長崎 ら

,2008,p.121,下

線 は筆者) 児童 の求積方法 は

,次

3通

りであつた。

Cl

C2 4×4+4×

2=24

欠 けてい る部分 は上下に組 み合 わせ て 4.5×

6=27

27cポ 24c」 数 える と24cポ 以下では

,C3の

方法 につ いての話 し合 いの様子 を示す。

(38)

「なぜ

,そ

うな るのです か。」,「ど うしてそ うしたのですか。」,「本 当に正 しいです か。」 といつた問いかけの発言 が見 られ る。 これ らの発言 は

,児

童 が

C3の

考 えに対 して疑間 を もち

,筋

道立 った考 えで あるか

,既

習 の内容 とどう関係 してい るか

,考

えが妥 当か どうか な どを検討 してい る姿 を端的 に表す ものである。 このよ うに話 し合いの中で他者 の説明に 対 して 「本 当かな?」 と疑 いをもつて聞き

,そ

こに誤 りがないかをクラスの中で検討す る ことが,「批判的考察」で ある。

2.熊

倉 らの 「数 学 的 な表 現 力 」 熊倉 ら

(2009)は

,「数 学的 な表現力」 について

,表

現す る文脈 と表現 の手段 とい う観 点か ら

,そ

れ ぞれ次 の よ うに分類 してい る。 《

<文

>

A.数

学的 に考察 した こ とを人 に説 明す る

B.数

学的 に考察 した ことを整理 しま とめる

C.数

学的 に思考 を進 め

,理

解す る

<手

>

a.式

・記号 。図・ グラフ等 を使 う

b.言

語 を使 う そ して

,数

学的 な表現力 の内容 を,「上記 の文脈 で

,上

記 の手段 を用 いて表現す る力」 と捉 えた。 ≫ (賞姜倉 ら,2009,p.33‐34) ここでの

<文

脈>と は,授 業 中の様 々な場面である と考 え られ る。また

,<手

段>とは, 式・記号 。図・ グラフ等 の数学的表現 と言語 を用 い ることであ る と考 え られ る。 以下に

,そ

れぞれ の具体例 を示す。

(39)

(1)<文

>Aで

<手

>a,bを

使 う 延安・黒崎 (2008)│ま

,小

学校

2年

生 「た し算 とひ き算 の筆算 (1)」 にお いて,「

2桁

たす

2桁

」の筆算 の誤答 と正答 を

,児

童 が比較・検討す る授業の分析 を行 っている。以下 は

,そ

の授業 にお ける児童 の説明の様子である。

A

34

+28

52

: 34 :

:+28 :

: 62 :

o.`oo●.│●

0`●

│●

0●

01●

│`,′

B

(延安 ・ 黒 崎, 2008, p.103) 写 真 の児 童 は

,Bの

考 え方 を

,次

の よ うに

3つ

の表 現 手 段 (式

,図

,言

)を

用 い て説 明 して い る。 (式

):34+28=62 (図

(言語):「

Aは

,一

の位 の計算 でできた 10を 繰 り上げてい ませ ん。

Bは ,十

の位 に10を繰 り上 げてい ます。」

Aは

,1の

位の計算ででてき た10を 繰り上げていません。

3は

,十の位に10を 繰り上げ ています。

(40)

(2)く

文脈

>B,Cで

く手段

>a,bを

使 う, 熊倉 ら

(2008)は

,中

学校

1年

生 「

1次

方程式の利用」の授業の分析 を行つている。以 下は

,そ

の授業で用い られた 「追求用紙」に生徒が書いた解答である。 【課題】 「・・・

2年

前には

,あ

の子は貴方様の半分の年だつたのです よ。それに貴方様 もたいへんお 若 く

,い

,貴

方様 とあの子の年 を足 しても

28に

しかな りません。お申し出はかた じけの うございますが, とても貴方様にさし上げ られ るような娘ではございません。」 このとき

,少

女は何歳だったので しょう。

<文

B>

(熊葬きら, 2008, p.12) 上の 「追求用紙シ」は

,あ

る生徒が

,小

集団・全体での話 し合いを通 して

,他

の生徒の 発言内容や議論 となつた内容 をま とめたものである。 ここでは

,他

の生徒か ら理解 した考 えが

,式

・線分図・言葉 を用いて

,整

理 されている。 今 の少女 の

3倍

の年齢もつま り

,2年

前 の合計 よ り

6多

い数 となる。その 6と い うのは,

2人

とも

2年

前だか ら

,ま

4才

多 くて,さ らに

,今

の貴方様の年齢 は今 の少女の年齢 の 2 倍より

7才

少ないので

,2多

いことになります。だから

,合

計で

6多

いので

,-6す

ること にな ります。 (「追求用紙 シ」 に書 かれ てい る説 明文)

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