日本機械学会[No.0127-1]北陸信越支部 第49期総会・講演会 講演論文集 [2012.3.10 石川県野々市市]
0710
角部微小剥離を有する三次元異材接合体の応力解析 Stress analysis in three-dimensional joints with small delamination at a vertex
○ 板倉 司(長岡技科大院) 正 古口 日出男(長岡技科大)
Tsukasa ITAKURA, Nagaoka University of Technology, Kamitomioka 1603-1, Nagaoka, Niigata Hideo KOGUCHI, Nagaoka University of Technology, Kamitomioka 1603-1, Nagaoka, Niigata
Key Words:Three-Dimensional joints, Stress singularity, Interface Strength,small delamination
1.緒 論
特性の異なる材料を接合した異材接合体の界面端角部付 近では材料特性の違いから特異応力場が発生し,これが接 合界面付近の剥離の主な原因となっている.このように特 異応力場が異材接合体の強度に密接に関わっていることか ら今までにも多くの研究が行われてきた.本研究室でも三 次元異材接合体の界面上の応力を求め,三次元界面端角部 の応力分布の評価を行なってきた1)2).本研究では前述した 界面上の応力評価より得られた知見を踏まえて,界面端角 部に微小な剥離が生じた際の界面上の応力場を求め,その 評価を行う.微小剥離面の形状をいくつか変えて解析を行 い,剥離面形状の応力場への影響について検討する.
2.境界要素解析
三次元異材接合体内における任意の点の変位は,次の境界 積分方程式で求めることができる.
u
i( p) = "S{ U
ij( p, Q)t
j(Q)! T
ij(p, Q)u
j(Q) } ds(Q)
(1)ここで,pは内点,Qは境界上の点,UijとTijは変位および作用 力の基本解である.内点の応力は,内点のひずみを次式で求 め,フックの法則に代入して求める.
u
i,j( p) = "S{ U
ik,j( p,Q)t
k(Q) ! T
ik,j( p,Q)u
k(Q) } ds(Q)
(2)
ここで,Uik,jとTik,jは着力点pにおける変位と表面力の基本解の 微分である.本研究では,基本解にRongvedの二相体の解を使 用し領域解法を用いて解析を行なう.
3.三次元異材接合体界面端角部剥離モデルの解析 3.1解析モデル及び解析条件
本研究の解析モデルを図1に示す.解析モデルは二相体で 材料は上からシリコン(Si),封止樹脂(Resin)である.用いた物性 値を表1に示す.大きさはSi,Reともに20mm×20mm×20mmであ る.
本研究では図1に示すとおり,解析モデルを剥離面上方の領 域1,それ以外の領域2の二つに分けて,領域解法を適用する.
本研究では図 2に示す三つの剥離形状(TypeA,B,C)について 解析を行う.それぞれの剥離形状の剥離距離(La,Lb,Lc)は表2 の様に設定した.接合体の上面に1MPaの引張応力を与え,剥 離面形状毎にエネルギ解放率を求め,比較する.接合体形状 の対称性を考慮して全体の 4 分の 1 を解析対象とした.
3.2 座標系の変換
特異応力場の応力分布は前述した境界積分方程式を用い て求めた.応力は剥離縁に沿う円柱座標系に対してプロッ トする.円柱座標の原点の取り方を剥離形状Type Aを例に とって説明する.モデル界面端角部 Oを原点とする球座標 系を用いたとき,側面の特異応力線からの角度をφとし原 点Oから r方向に直線を引いて剥離縁との交点をとる.こ の点を原点Oiとする.図 3 に示すように円柱座標はOiに対 して,剥離縁法線方向に riをとり,図3に示すように角度Θ
をとる.ここで言う角度φにより各原点の位置を表記する.
Fig.1 Model for analysis
Fig.2 Shape of crack
Table1 Material properties
Material Silicon Resin
Young’s modulus,GPa 166 2.74
Poisson’s ratio 0.26 0.38
Table2 Crack size
Crack Type TypeA TypeB TypeC
Crack distance,mm 3.87E-4 3.87E-4 3.05E-4
Fig.3 Cylindrical coordinate system
4.エネルギ開放率による剥離面形状の検討 4.1 仮想き裂進展法
本研究ではエネルギ解放率を求めるにあたり,き裂が微 小長さ進展する際のエネルギ変化よりエネルギ開放率を計 算する仮想き裂進展法を用いて計算を行う.この手法は図 4 に示すように,充分な大きさのき裂長さaがあるところか らの進展 δaに対して用いられる手法である.これに対し本 研究では図 5 の様な,き裂無しの状態からδaだけき裂が発 生した状態に対して適用し,初期剥離面のエネルギ開放率 を求めていく.通常の場合,き裂先端の応力に対して仮にき 裂が進展した時の変位をかけることでエネルギ開放率を求 めるが,ここでは剥離無しの二相異材接合体の解析により 得られた角部の応力場に対し,剥離有りの二相異材接合体 の解析より得られた剥離変位をかけ合わせ,剥離面で積分 することでエネルギ開放率とする.
エネルギ開放率の式は以下に示す.
G
total= { !
""vertex(r, # )u
"(R(s), s)+ !
r"vertex"
!(r, # )
!u
r(R(s), s)+ !
#"vertex(r, # )u
#(R(s), s)}rdrd #
(3)
図 6 に示す様に,sは剥離縁に沿う形の座標軸である.式(3)
中のvertexの添字がついているものは剥離無しの二相異材
接合体の界面応力である.uθ,ur,uφは,剥離有りの二相異材接 合体の剥離面の上面の変位と下面の変位の差で剥離面相対 変位となっている.また,R(s)は円柱座標系のパラメータを 示しておりsの関数として表す.
Fig.4 Theory of crack Fig.5 Theory of initial crack
Fig.6 Coordinate system of energy release rate
4.2 相対変位分布とエネルギ開放率の結果
エネルギ開放率の計算に必要な相対変位分布は剥離形状
TypeCを例にとって図 7 に示す.なお,相対変位の結果は対
称性を考慮して,φ=45°までの結果を記載する.この相対変 位の結果と剥離無し二相異材接合体の界面上の応力を使用 し,エネルギ開放率を計算する.また,計算結果を剥離面積 で割ることで,単位面積あたりのエネルギ開放率とする.
他の剥離形状の結果と比較については本講演にて詳細を述 べるものとする.
a) Distributions of displacement uθ in crack surface
b) Distributions of displacement ur in crack surface
c) Distributions of displacement uφ in crack surface Fig.7 Distributions of displacement in crack surface
against distance r in TypeC
5.結 言
三次元異材接合体角部微小剥離モデルに対し境界要素法 を用い,応力分布と剥離面相対変位を得ることができた.ま た,その結果を用いてエネルギ開放率を求めることができ た.
参考文献
[1] H.Koguchi,"Stress singularity analysis in three- dimensional bonded strures", Int. J. Solids Struc. Vol. 34, 1997, pp.461-480.
[2] M.Nakajima,H.Koguchi,"Evaluation of The Singular Stress Field at The Vertex in Three- Dimentional Three-Lyered Bonded Joints", The jarnal of 22 th Computational Mechanics Conference,2009,pp.446-447.
Silicon
Resin δa
a
Silicon
Resin δa
Relative displacement of crack ue(R(s),s) [mm]
Distance from origin of vertex r [mm]
q
Relative displacement of crack ur(R(s),s) [mm]
Distance from origin of vertex r [mm]
q
Relative displacement of crack uq(R(s),s) [mm]
Distance from origin of vertex r [mm]
q