日本機械学会 北陸信越支部学生会 第 44 回学生員卒業研究発表講演会講演論文集 [2015.3.6 柏崎市]
0913
三次元異材接合体の特異応力場解析における特異要素寸法の影響
Influence of singular element size in stress singular analysis for three dimensional bonded structures
○ 渡辺 裕太郎(長岡高専専攻科) 正 倉橋 貴彦(長岡技科大)
正 近藤 俊美(長岡高専) フェロー 古口 日出男(長岡技科大)
Yutaro Watanabe, Nagaoka National College of Technology Advanced Course, 888 Nishikatakai, Nagaoka, Niigata 940-8532, JAPAN
Takahiko Kurahashi, Nagaoka University of Technology, 1603-1, Kamitomioka, Nagaoka, Niigata, 940-2137, JAPAN Toshimi Kondo, Nagaoka National College of Technology, 888 Nishikatakai, Nagaoka, Niigata 940-8532, JAPAN
Hideo Koguchi, Nagaoka University of Technology, 1603-1, Kamitomioka, Nagaoka, Niigata, 940-2137, JAPAN Key Words: Akin singular element, Order of singularity, Intensity of stress singularity, FEM
1. 緒言
部材の軽量化,強度,耐熱化の向上のために,異なる材料 を接合した異材接合体が開発,研究されている.しかし,外 力(引張り,曲げ等)が作用した際に,界面端角部では材料定 数の違いにより特異応力場が発生する.特異応力場内では,
破壊,き裂が発生することがあり,特異応力場内における応 力と破壊やき裂の発生要因との関係を整理するために特異 応力場内の応力分布を明らかにすることが重要である.応力 解析の方法として,境界要素法や有限要素法が用いられるこ とがある.さらに,これらの解析方法に対し,特異要素を用 いて計算精度を向上させる方法があり,1つの例として,Akin は解析精度の向上のために特異点周りに関する特異要素[1]
を提案している.しかし,対象としているモデルは2次元で ある.
本研究では,Akinが提案した特異要素を3次元に拡張し,
計算モデルとして,軟鋼-アルミニウムの接合体および,シ リコン-レジンの接合体に対する適切な特異要素寸法を調べ る.
2. Akinの特異要素を用いた有限要素方程式の誘導 本研究では,3次元弾性体モデルを対象とする.なお,物 体力を考慮しないことにする.3次元における平衡方程式を 式(1)に示す.
,j0
σij ……(1) ここで,σijは各応力成分を示す.式(1)に対して重み付き残差 法による離散化を行い,応力-ひずみ関係式および,ひずみ- 変位関係式を代入すると式(2)に示す重み付き残差方程式が 得られる.
U
Ke
Ue d S
Ue Fet tdS te e
e
* t
*
……(2)ここで,[Ke]は剛性行列,{Ue*}は重み関数,{Ue}は変位ベク
トルを示す.さらに{Fet}は外力項である.また,重み関数は 任意であるため,式(2)は式(3)のように表すことができる.
Ke
Ued Se Fet tdSe
……(3)
式(3)を重ね合わせの原理により重ね合わせることで全要素 (対象とする計算モデル)について解くことが可能である.
全体系における有限要素方程式を計算する場合,異材接合 材の界面端近傍における応力分布を適切に得るためには,界 面端近傍においては非常に細かいメッシュが必要である.そ こで,応力の特異性を考慮した補間関数を,特異点(界面端 角部)を含む要素にのみ適用することで解析精度の向上を図 る.Akinの特異要素を用いた形状関数を式(4)に示す.
ここに,N1,N2,N3,N4は通常の四面体要素を用いた形状
関数を示す.また,体積座標ξ,η,αによりN1=1-ξ-η-α,N2=ξ,
N3=η,N4=αと書き表される.ここでλvertexは3次元における 特異点 (界面端角部)における特異性オーダを示す.
……(4)
3. 有限要素法に基づく固有値解析による特異性のオーダ 対象とするモデルは3次元であるため,Bogyの特性方程 式を用いて求めることが困難である.そのため,有限要素法 による固有値解析により特異性オーダλを求めるために,以 下に示す特性方程式が得られる[2](式(5)).
X p Y X Y I
C A B A
0
1 1
……(5)
式(5)を解くことにより特性根pが求められ,特異性オーダλ
の間にλ=1-pとなる関係があることから特異性オーダλが求
まる.また,3次元モデルにおける界面端近傍に対する応力 分布σijを式(6)に示す.
vertex
λ ij
ij K f θφr
σ ( , ) ……(6) ここにKijは半径r方向に対する特異性の強さ,f(θ,φ)は 角度依存関数,および,λvertexは特異点における特異性のオー ダを示す.また,θおよび,φは図1に示す様に特異線から界 面上の角度を表す.
Fig.1 Definition of radius r and angle θ, φ
4. 数値解析結果
4-1 計算モデルおよび解析条件 本研究では,2つの2層 弾性モデルを設定した(図2参照).1つが軟鋼-アルミニウム の接合体(Fe-Al),もう1つがシリコン-レジンの接合体(Si-Re) である.材料定数に関しては,Feの弾性係数および,ポアソ ン比が 216(GPa),0.30 であり,Al は 69.09(GPa),0.33,Si は166.0(GPa),0.26,Reは2.74(GPa),0.38 である.今回作 成したメッシュは7つであり,代表最小メッシュ長さΔh=(1/3・
Δx・Δy・Δz)1/3を変えたモデルである.外力として,Fe および,Si
の上面にσzz=10MPaの引張応力を与える.座標は直交座標系を
(i=2~4)
vertex vertex
λ i i i
λ
N SN N
N SN N
) 1 (
) 1 ( 1 1
1 1 1
用いて,原点は接合界面端とし,材料の右方向をx方向に,奥行
き方向をy,上方向を z 方向とした.この条件で有限要素法を用
いて異材接合材の界面端付近の応力分布を求める.
Case 1 Fe-Al model Case 2 Si-Re model Fig.2 3-D computational models
4-2 解析結果および考察 有限要素法による固有値解析に より求められた Fe-Al の場合での特異点における特異性のオー
ダλvertexは0.121と求まり,Si-Reの場合では,0.395と求まった.
図3にFe-Alの場合でのθ=90°および,φ=45°における特異点
から半径r方向の応力成分σzzの応力分布を示す.図3より,特 異点に近づくほど,Akinの特異要素により得られた応力成分 σzz
は,通常要素を用いた場合より高く得られることがわかった.
Fig.3 Distribution of σzz at line at φ =45 [deg]
in case of Fe-Al(Δh=8.04×10-3m)
また,図 4 は Fe-Al の場合における代表最小メッシュ長さ
Δh(=(1/3・Δx・Δy・Δz)1/3)を変化させた場合における特異要素
を使用しフィッティング曲線により得られた特異点におけ る特異性のオーダの値および,通常要素を使用しフィッティ ング曲線により得られた特異点における特異性のオーダの 値の変化を示している.
Fig.4 Variation of order of singularity for each minimum mesh size in case of Fe-Al
Akinの特異要素を用いた場合のほうが,通常要素を用いた場 合より有限要素法による固有値解析により求めたFe-Alの場 合の特異点における特異性のオーダ λvertexに近い値を得られ ることがわかった.しかし,Si-Reの場合,Fe-Alで使用した モデルではフィッティングが行えるほどの結果を得ること ができなかった.今回のモデルは特異点を含む要素と含まな い要素に分けた後に細かくメッシュを切った.そのため,
Si-Reの場合では,特異点を含む要素をFe-Alの場合より小
さくした後に細かくメッシュを切り,再び解析を行った.図
5にSi-Reの場合であるθ=90°および,φ=45°における特異点
から半径r方向の応力成分σzzの応力分布を示す.Si-Reの場合
もFe-Alと同様に特異点に近づくほど,Akinの特異要素により得
られた応力成分 σzzは,通常要素を用いた場合より高く得られる ことがわかった.
Fig.5 Distribution of σzz at line at φ =45 [deg]
in case of Si-Re(Δh=1.63×10-3m)
図6はSi-Reの場合における代表最小メッシュ長さΔhを変
化させた場合における特異要素を使用しフィッティング曲 線により得られた特異点における特異性のオーダの値およ び,通常要素を使用しフィッティング曲線により得られた特 異点における特異性のオーダの値の変化を示している.
Fig.6 Variation of order of singularity for each minimum mesh size in case of Si-Re
Si-Reの場合もFe-Alと同様に,Akinの特異要素を用いた場
合のほうが,通常要素を用いた場合より有限要素法による固 有値解析により求めた特異点における特異性のオーダ λvertex
に近い値を得ることがわかった.
5. 結言
本検討では,有限要素法を用いて軟鋼-アルミニウムの接 合体および,シリコン-レジンの接合体の解析をおこなった.
通常要素を用いた場合とAkinの特異要素を用い場合を比較す ると,Akin の特異要素を用いた場合の方が,特異点近づくにつ れて応力成分σzzの値が高く得られることがわかった.代表最小メ ッシュ長さΔhを変化に対する特異点における特異性のオーダの 変化の場合において,どのケースに対してもAkinの特異要素を 用いた場合の方が,通常要素を用いた場合より,有限要素法に よる固有値解析により求めた特異点における特異性のオーダに 近いことがわかった.
参考文献
[1] J.E.Akin, The generation of elements with singularities, International Journal for Numerical Methods in Engineering, Vol.10, pp.1249-1259, (1976).
[2]S.S.Pageau and S.B.Bigger,JR, Finite element evaluation of free-edge singular stress fields in anisotropic materials,
Int. J. Numer. in Engng., Vol.38,pp.2225-2239,(1995).