日本機械学会[No.0117-1]北陸信越支部 48 期総会・講演会 講演論文集 [2011.3.5 長野県上田市]
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Stroh 形式を用いた異方性-等方性弾性体の 3 次元グリーン関数
Three-dimensional Green’s function of anisotropic materials using Stroh formalism
正 古口 日出男(長岡技科大) ○ 神田 剛(長岡技科大院)
Hideo Koguchi, Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamitomioka, Nagaoka, Niigata
Tsuyoshi Kanda, Graduate School of Nagaoka University of Technology, 1603-1 Kamitomioka, Nagaoka, Niigata Key Words: Anisotropy, Isotropy, Elasticity, bimaterial, Green’s Function
1. 緒 言
等方性弾性体の異材接合体に対する二次元弾性論の歴史 は古く,これまでに多くの理論解析が行われ,工学・工業へ の有益な知見を与えている.しかし,三次元接合体に対する 応力解析,特に界面端に発生する特異応力場についてはあま り行われていない.最近,電子デバイスの中にはシリコンな どの異方性と等方性の弾性体,または異方性と異方性弾性体 の接合部を有する構造体が多くある.接合体の強度評価を行 うには接合界面近傍の応力を高精度に評価する必要がある.
本研究室では,界面上の要素分割を必要としないように,境 界要素法の基本解に界面の境界条件を満たす解を用い,応力 解析を行っている.筆者等が調べた限りでは,3次元異方性- 等方性弾性体のグリーン関数は導出されていない.そこで,
本研究ではStroh形式でそのグリーン関数を導出する.
2. 異方 性-等 方性 弾 性体 のグ リー ン 関数
2.1 異 方 性 - 等 方 性 弾 性 体 の グ リ ー ン 関 数 異方 性弾性体および等方性弾性体の基礎式は参考文献(1),(2)を参 照のこと.
今,異なる材料特性を有する半無限異方性弾性体が図1の ようにz=0で接合されている場合を考える.z=0を界面とし,
z>0の領域をMaterial 1(異方性体),z<0の領域をMaterial 2(等 方性体)とする.観測点zと作用点P(0,0,d)の位置関係より,
グリーン関数は以下の3つの領域に対して得られる.グリー ン関数を考える際,z→ ∞のとき変位u→0の条件を満たす よう選定することが必要である.u!は変位{ux,uy,uz},t!は {!zx,!zy,!zz}からなる応力ベクトルを表している.なお,変 数上の˜は,Fourier変換された関数であることを指している.
1) z>d(Material 1)の場合
u!(1)(!1,!2,z)=A(1) e"i p*(1)#(z"d) q$ +A(1) e"i p*(1)#z q(1)
(1)
t!(1)(!1,!2,z)="i#B(1) e"i p*(1)#(z"d) q$"i#B(1) e"i p*(1)#z q(1)
(2)
(3.)
2) 0 ≤ z < d(Material 1)の場合
u!(1)(!1,!2,z)="A(1) e"ip*(1)#(z"d) q$+A e"ip*(1)#z q(1)(3) !t(1)(!1,!2,z)=i"B(1) e#ip*(1)"(z#d) q$#i"B(1) e#i p*(1)"z q(1)
(4) 3) z<0(Material 2)の場合
u!(2)(!1,!2,z)="A(2) e"ip*( 2 )#z q(2) (5)
t!(2)(!1,!2,z)=i"B(2) e#ip*( 2 )"z q(2) (6) ここで,各変数の上添字は,Material 1(異方性)とMaterial 2(等 方性)を表している.等方性弾性体に対するA(2), B(2)は以下の 式で与えられる(2).
A( )2 =
!i 0 i"n1z
0 !i i"n2z
n1 n2 3!4# ! "z
$
%
&
&
&
' ( )) )
(7)
B(2)=µ
1+n12 n1n2 2 1!
(
2"+#z)
n1n1n2 1+n22 2 1
(
!2"+#z)
n22in1 2in2 2i
(
2!2"+#z)
$
%
&
&
&
' ( )) )
(8)
さらに, A(1), B(1) :Material 1の固有ベクトル,p:固有値,
η1=ρcosθ, η2=ρsinθ,n=[n1,n2, 0]=[cos!, sin!, 0]T,ν:ポアソ ン比,μ:横弾性係数,q!:Material 1が無限体である場合の 係数ベクトル,q(1),q(2):未定係数ベクトル
また, 固有値pは以下の固有方程式を解くことにより得 られる.
{
Q+p(
R+RT)
+p2T}
a=0 (9)ここで,Qik=Cijksnjns,Rik=Cijksnjms,Tik=Cijksmjmsである.
Cijks:!ij =Cijksuk,lで示される弾性係数テンソル,!ij:応力テン ソル,ui:変位ベクトル
2.2 境 界条 件 作用点P(0,0,d)に集中力f=(fx,fy,fz) が作用している.そのときの界面における変位の連続の条件 および作用点における力の釣合条件は以下のようである.
1) 界面における変位の連続性
u!(1)=u!(2) (10) 2) 界面における作用力の釣合
t!(1)=t!(2) (11) 3) 作用点Pにおける変位の連続性
u!(1)
z+d=u!(1)
z!d (12) (.)
4) 作用点Pにおける作用力の釣合 t!(1)
z+d!t!(1)
z!d=!f (13) ()
2.3 未 定 係 数 ベ ク ト ル の 決 定 ここで前述のq!, q(1),q(2)を決定する.まず,境界条件3),4)から
A( )1q!="A( )1q! (14)
!i"B( )1q#!i"B( )1q#= !f (15)
式(14)より,q!="
( )
A( )1 "1A( )1q!が得られる.この式を式(15)Fig.1 Two-phase materials
に代入して次式が得られる.
i!
{
B( )1( )
A( )1 "1A( )1 "B( )1}
q#="fq#= i
!
{
B( )1( )
A( )1 "1A( )1 "B( )1}
"1f (16)つぎに,q(1),q( )2 を境界条件 1),2)から求める.これらの 条件にz=0とおいて式(3)~(6)を代入すると次式が得られる.
!A(1) eip*(1)"d q#+A(1)q(1)=!A0
( )2
q(2) (17)
!i"B(1)q(1)!i"B( )02q(2)= !i"B(1) eip*(1)"d q# (18) 式(17),(18)をq(1),q(2)について解くと次式が得られる.
q(1)=
( )
A(1) !1 A(1)!A( )02"#$B0( )2 !B(1)( )
A(1) !1A( )02%&' ( !1
)* +*
,"#$B(1)!B(1)
( )
A(1) !1A(1)%&'-
./ eip*(1)0d q1
=S eip*(1)!d q" (19)
q(2)="#$B0( )2 !B(1)
( )
A(1) !1A0( )2%&'
!1
("#$B(1)!B(1)
( )
A(1) !1A(1)%&' eip*(1))d q*
=V eip*(1)!d q" (20)
ここで,A0( )2,B0( )2の下添え字の0は,z=0を式(7),(8)に代入し て得られる行列であることを意味する.式(19),(20)をそれ ぞれ式(1)~式(6)に代入し,Fourier逆変換を行うことにより,
実空間における変位および応力の分布を得ることができる.
3. 解析 例
解析には異方性材料としてMaterial1にAl,等方性材料と してMaterial2にNiを用いた. Niのポアソン比0.306,横弾
性定数 83.9[GPa]とした.解析結果の比較を行う意味で,
Material 2を異方性のNiの場合を計算した.各材料の弾性定
数を表1に示す.
解 析 例 と し て(x,y,z)=(0,0,-3~3)[mm],d=1[mm]の 位 置 に
(fx,fy,fz)=(0, 0,1mN)の集中荷重が作用する場合の変位uz
およびその拡大図を図2, 3に示す.
Table.1 Material property
Al[GPa] Ni[GPa]
C11 111.92 325.7
C12 58.69 129.03
C13 56.96 103.17
C15 2.44 36.58
C33 113.64 351.57
C44 24.89 72.47
C66 26.62 98.33
Fig.2 Displacement uz for fz
Fig.3 Enlargement of Fig.2
z=1mmにz方向の力が作用しているため,z=1mmでuzは無
限に発散する.また,z→ ∞で0 に収束していく.界面を
通過してz<0(Ni)となったとき異方性-等方性・異方性-異方性
ともに変位の傾きが小さくなっていることがわかる.
また,z<0で変位の値が異方性-異方性のものと比べて,大 きな値となり,若干異なる変位分布が得られた.
4. 結 言
本報では,Stroh 形式の異方性弾性体および等方性弾性体 の基礎式を用いて,異方性-等方性弾性体のグリーン関数を 導いた.
(3.)
文 献
(1) Kanda.T, Three-dimensional Green’s functions for two-phase anisotropic materials considering interface mechanical property , Proceedings of the 47th Hokuriku Shinetsu branch Regular Meeting of the Japan Society of Mechanical Engineers, No.107 (2010), pp. 307-308.
(2) Koguchi,H., Surface Green Function With Surface Stresses and Surface Elasticity Using Stroh’s Formalism. ASME Journal of Applied Mechanics, vol.75,No.6 (2008), pp.106