日本機械学会[No.147-1]北陸信越支部 第51期総会・講演会 講演論文集 [2014.3.8富山県射水市]
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波形状の面と球状圧子による接触解析 -波の高さ・幅と接触半径の関係-
Contact analysis for spherical indenter and wavy surface -Relationship between contact radius and wave height and length-
○正 林 高雄(長岡技科大) 正 古口 日出男(長岡技科大)
Takao Hayashi, Graduate school of Nagaoka University of Technology, 1603-1, Kamitomioka, Nagaoka, Niigata Hideo Koguchi, Nagaoka University of Technology, 1603-1, Kamitomioka, Nagaoka, Niigata
Key Words: contact analysis, wavy surface, spherical indenter.
1. 緒言
表面に粗さを有する面に対する接触・凝着解析は,実用 上の面から重要でありこれまでに多くの研究者により研究 が行われきた.近年ではナノスケールのパターンやカーボ ンナノチューブなどのナノワイヤーが製造されるようにな り,様々な表面形状に対する特性の調査も重要である.
Guduru(1)は軸対称の波形状を有する面に球状圧子が接触
する軸対象モデルの解析解を導いた.Guduruは接触面の全 領域で二面が接触する仮定の下で解を導いたが,波の形状 や材料の高さにより,接触しない部分が生じることがあり
Guduruの理論では不十分な場合もある.そこで,接触して
いない部分が生じた場合の解析を行う.本研究では,波形 状の表面に剛体球状圧子が接触する問題を解析しする.初
めに,Guduruの理論解と比較を行い本解析手法の有用性を
確認する.次に波の高さと波の幅の値を変えて解析を行い,
波と波の間に接触しない部分があらわれる条件を調べた.
2. 接触解析
2・1 軸対称の波を有する面の接触問題
本研究では図1に示すように半径Rの球状圧子が波形状 の表面に接触する問題を解析する.図1においてλは波の 周期(幅)を表し,2Aは波の高さを表し,初期二面間の間 隔hは以下のように表すことが出来る.
h= r2
2R!A cos 2"r
#
$
%& ' () !1
*+ ,
-.
/ (1)
ここでr= x2+y2 である.
Guduru は軸対象の波形状を有する等方材料に剛体球状
圧子が接触する問題を解析的に解き,接触半径aのとき押 し込み荷重Pの関係を以下の式のように導いた(1).
P a
( )
=2E* R2+4!2A
"2
#
$% &
'(a3 3 )*
+ ,+
+!Aa 2 H1 2!a
"
#
$% &
'( -!2Aa2
2 H2 2!a
"
#
$% &
'(. /0
(2)
ここでHnはn次のStruve関数を表している.式(2)はA=0
の場合,Hertz接触理論と一致する.
2・2 接触解析
一般に,単位集中荷重に対する表面の応答をK(x1, x2)で 表すと(これを影響係数という),接触荷重分布 p(x1, x2) に対する応答変位w(x1, x2)は次式で求めることができる.
w x
(
1,x2)
= "#$
"#+#p(
!1,!2)
K x(
1"!1,x2"!2)
d!1d!2$
+# (3)ここでKは,等方性材料の場合はBoussinesqの式を用い,
異方性材料の場合は,Koguchi(2)が導出した式を用いて求め た.この式をFourier変換すると,畳み込み演算はそれぞれ
の関数をFourier変換した関数の積で表され,
%
w
(
!1,!2)
=p%(
!1,!2)
K%(
!1,!2)
(4)と書くことができる.本研究では離散化した接触圧力と影 響係数を用いて,Liuらが提案したDC-FFT法(3)を用いて接 触による変位分布を求める.
2・3 弾性接触問題の離散化解法
接触面を含む領域を微小領域に分け,中心座標を(xi, xj) とする.押し込み荷重P0,押し込み深さδのときの圧子と 平面の二面間の間隔gijは,微小領域の変位wijと初期二面 間の間隔hijを用いて以下の式から求めることができる.
gij=hij!" !wij (5)
また,接触時の荷重分布 pijは gijに関する以下の関係式か ら得られる.
In contact :gij=0 thenpij>0 In separation :gij>0 thenpij=0
pij=
!
P0"
#$$
%
$$
(6)
ここで,第一式は接触格子点での二面間隔 gijと荷重 pijの 関係,第二式は非接触格子点での二面間隔 gijと荷重 pijの 関係,第三式は接触荷重分布 pijの総和と押し込み荷重 P0
の 関 係 式 で あ る . こ れ ら の 連 立 方 程 式 を 解 く た め に , PolonskyとKeer(4)が提案した共役勾配法を用いた.
3. 解析結果
3・1 理論解との比較
初めに,軸対称の波形状を有する等方性弾性体に対する Fig. 1 The geometry of the contact problem.
接触解析を行い,式(2)の Guduru の解と比較し,本解析の 有用性を確かめる.解析条件として波の形状を λ=10nm,
A=0.1nmとし,材料はCu,球状圧子の半径をR=200nmと した.さらに,Hertz理論の結果を示し,平らな面との違い を調べた.図2にそれぞれの解析結果の接触半径と押し込 み荷重の関係を示す.本解析と Guduru の解の結果は,よ くあっていることがわかる.これらの結果は表面が波形状
のため Hertz理論の結果に対して周期的にずれていること
がわかる.このため,本研究で用いた解析手法は有用であ ることが確かめられた.
3・2 波の高さ,幅を変えたときの解析結果
次に,波の幅をλ=10, 20, 30nmに変え,波の高さを0.01nm から5nmまで変えたときの解析結果を示す.材料は同じく Cuで,R=2000nmである.押し込み荷重はP0=100µNにし た.図3に波の幅と高さを変えたとき,それぞれの条件で の押し込み深さを示す.結果より,波の高さが0.1nm以下 の場合には押し込み深さはほぼ同じであるが,0.1nm より 大きい場合には,波の幅が大きいほど押し込み深さが深く なっている.これは,波の高さが0.1nmになると,接触し ない部分があるためである.
図4にλ=20nm,A=0.05, 0.1, 0.5nmのx軸上の圧力分布 を示す.A =0.05nmの場合,波と波の間で接触圧力が0に なる部分が無いため,接触していない部分は無い.また,
A =0.1nmの場合にはx座標が80nmから100nmの間で接触 圧力が0である部分があるため,この部分では接触してい ない.さらにA=0.5nmの場合ではすべての波と波との間で,
接触していない部分があることがわかる.このため,図 3 の波の高さが0.1nmより大きい場合に押し込み深さが波の 幅によって異なるのは,接触していない部分が生じたため である.
次に,接触しない部分が生じる条件について検討した.
図5に接触解析で求めた圧力からHertz接触圧力を引いた 結果を示す.波の高さが高くなるに従い,圧力の変化の幅 が大きくなっていることがわかる.接触していない部分が 無いA =0.05nmの場合では中心部を除いて波の分布が一定 である.接触していない部分があらわれるA =0.1nmの場合 には,接触していない部分はHertz 接触圧力を負にした圧 力と一致していることがわかる.さらに,すべての波の間 で接触していない部分のあるA =0.5nmの場合には,接触し ていない部分では負にしたHertz 接触圧力と一致している ことがわかる.このことから,接触していない部分が生じ るのは,接触圧力から Hertz接触圧力を引き,その圧力の 負の部分が負の Hertz 接触圧力を越えるときに生じると考 えられる.
4. 結言
本研究では軸対象の波形状を有する表面に球状圧子を接 触させたときの解析を行い,押し込み深さに対する,波の 高さや幅の関係について調査した.初めに Guduru の軸対 象モデルの解析解と比較し,本解析の有用性を確かめた.
次に波の高さと幅と変えて解析を行い,波と波の間に接触 しない部分があると,波の幅により押し込み深さが変わる ことがわかった.さらに波の波との間に接触しない部分が あらわれる条件について調べた.
今後は波の異方性材料について解析を行い,材料異方性 により圧力分布が変わるのか調べる予定である.
参考文献
(1) Guduru, P. R., J. Mech. Phys. Solids, 55(2007), 445.
(2) Koguchi, H., ASME J. Appl. Mech., 75(2008), 061014 (3) Liu, S., Wang, Q., and Liu, G., Wear, 243(2000), 101.
(4) Polonsky, I.A., and Keer, L.M., Wear, 231(1999), 231.
100x103 80 60 40 20 Contact load, P, nN 0
50 45 40 35 30 25 20
Contact radius, a, nm Present analysis Theory (Gurudu) Hertz theory
Fig. 2 Contact analysis for isotropic material comparison the present analysis and Guduru theory
6.0 5.8 5.6 5.4 5.2 Indentation depth, !, nm 5.0
0.01 2 4 6 80.1 2 4 6 81 2 4 Wave height A, nm
"=10nm "=20nm "=30nm
Fig. 3 Indentation depth for each wave height
20 15 10 5 0
Contact pressure, GPa
120 100 80 60 40 20 0
x-coordinate, nm
A=0.05nm A=0.10nm A=0.50nm Hertz theory
Fig. 4 Pressure distribution on x-axis
15 10 5 0 Difference of pressure, GPa -5
120 100 80 60 40 20 0
x-coordinate, nm
A=0.05nm, difference A=0.10nm, difference A=0.50nm, difference Hertz pressure (-1)
Fig. 5 Difference between contact pressure and Hertz pressure